(第44章)仲間割れと突撃!!

(第44章)仲間割れと突撃!!

 ジュンは事情聴取に来た地球防衛軍の特殊犯罪調査部の関係者に向かって
「娘は、自分が裏切者に仕立て上げられるかも知れない……
裏切り者にされたら最後……自分が作ったウィルスによって実験させられるかも
と数か月前から言っていたわ……だから、
万が一の時の為にあたしがしてやれる事は何かずっと考えていた
……そしてとうとう娘の言葉は現実になった……」
国際警察官は
「それで……あなたはどうしようとしたのですか?」
突然目に涙を浮かべ
「分からない……あたし……何をしたらいいのか?
いくら考えても分からないの……」
とただ泣きながらロシア語で語るジュンの顔を、
国際警察官は気の毒な表情で見た。

 病室の外へ一人で出て行った凛を見て小野さんは
「どうしよう……」
とオロオロして仲間達を見た。
山岸が
「とにかく!凛ちゃんを連れ戻して来る!」
と言ってベッドから立ち上がった。
すかさず小野さんが
「駄目よ!見つかったら!あなたまで殺されるわ!
4人のテロリストがウロウロしているのよ!先生達もいないし!」
中山さんも
「そうだよ!第一右腕を怪我してるじゃないか?」
しかし山岸は決心した顔で仲間達が止めるのも聞かず、病室の
外へ走り去った。

 轟天号は、サンドラが吐いた青い光弾を、冷凍バリアを展開
する事でなんとか威力を相殺して防ぐ事が出来た。
 ゴジラの上にのしかかったサンドラは漆黒の翼で何度もゴジ
ラを左右に殴り、失神させようとした。しかしゴジラは上半身
だけ起き上がり頭突きを鳩尾に食らわせ反撃した。
サンドラはゴジラの頭突きを食らい、一瞬だけ呼吸が出来なくなった。
 その時、彼女の脳裏にある映像が浮かんだ。
(4人の女性が何か話している)
(「あの女は危険よ!」)
(裏切られる前に利用しましょう!)
場面が変わり、どこかの公園
(それから例のガキどもはサンドラのせいで網走厚生病院に入院したらしいわ!)
(これで彼女は役に立ったわね!)
サンドラは過去の記憶を思い出し、遠い意識の中、
「そうよ……あいつら……あたしを裏切り者に
仕立て上げて利用したんだわ……許せない…許せないっ!」
その彼女の意識の叫びと同時に怪獣化したサンドラの頭部から2本の触角らしきものが生え、
さらに下顎が「ビリッ!」と裂け、天空に向かって
高い声でラドンゴジラの混じったような咆哮を上げると、プテラノドンに類似した翼を広げた。
 さらに「バーン!」と言う音と共に8本の触手が腹から飛び出し、
ゴジラの首両手足にそれぞれ巻き付けるとそのまま吊り上げ、振り回し、高層ビルに叩き付けた。

 アヤノは、力尽きた様にその場に倒れたジェレルの下腹部の
傷をすぐに確認しが、驚きのあまりそのやぶれた衣服を見ながら
「なんて力なの……特殊なミュータント兵の衣服を引き裂くなんて……」
確かにジェレルの特殊な素材で出来た兵士の衣服は無残にも引き裂かれていた。
また出血はないものの……1カ所の大きな傷口は青紫色に変色し、明らかに酷い凍傷になっていた。
 ジェレルは意識が混濁し、今にも失神しそうだった。
内臓の一部が凍りつき、かなり危険な状態だった。
場合によっては凍りついた下腹部の一部を切除する大手術にもなりかねない。

 ジェレルは歯を食いしばり腹部の灼熱感や疼くような痛みに耐えた。全身にしびれさえ感じた。
 とにかくアヤノは近くに風呂場か温かいお湯が出る所が
ないか探そうと、ジェレルを担ぎ、歩き始めた。
 ふとアヤノがメイスンやレベッカに射殺されたレイの方を見た。
 額を2カ所も撃たれ、倒れたレイは8本の触手はバラバラに
広がり、両手両足も左右対称にそれぞれ冷たい床に転がっていた。
その姿はまさに糸の切れた操り人形を思わせた。
 アヤノは驚いた表情のまま死んでいるレイの顔を鋭い眼で睨みつけると部屋の外へ出た。
 しばらくして、死体となった彼女の顔は蒼黒く変色し、
ヒビが入り、やがて全身が崩れて青黒い砂と化した。

アヤノは無線で、突撃の合図を待っているガーニャ達に連絡した。
「ジェレルを救出しました!しかし宇宙人に襲われて重傷を負っています!
またレイがメイスンとレベッカに射殺されました!」
しばらくしてガーニャの声が聞こえ
「なんだって!あの2人が仲間を射殺?分かった!
これから突撃して応援に駆け付ける!
それまで応急処置をしてくれ!」
アヤノは
「了解!」
というと無線を切った。
 病棟の非常ドアの前に待機していたガーニャは周りにいる大勢の国際警察や機動隊員に
「ジェレルの救出に成功したが……宇宙人に襲われ重傷を負った。
かなり強いぞ!しかし、犯人は仲間割れをしている模様!今がチャンスだ!突撃する!覚悟はいいか?」
ジーナは
「ええ!」
サミーも
「大丈夫さ!」
しかし大勢の地元の警察官や国際警察や機動隊員は不安な表情でガーニャ達を見た。
 凛の護衛やその元FBIの男もやはり不安は隠せなかった。
その不安を和らげようとガーニャは精一杯どら声を張り上げ、ロシア語で
「1!2!3!突撃!」
と号令を掛けた。
 そしてガーニャや凛の護衛、機動隊、国際警察、地元の警察官は非常ドアを強引にこじ開け、
残り3人のテロリスト達が占領している凛達の病棟へ一斉に突撃した。

(第45章に続く)

これで今日の変更は終わります。
また明日にでも載せます。