(第47章)事件解決!!

(第47章)事件解決!!

救助艇の船内で、男性のFBI捜査官は、
拘束されたX星人の高新一が、『凛の誘拐事件』について事情聴取を受けていた。
凛の護衛が、友紀と凛が遺跡の地下で偶然見つけた小さなカバンを開けて、
MウィルスとMウィルス抗体のカプセルや注射器、止血ゴムを取り出した。
男性FBI捜査官は、自分が見つけた『MB計画』なる資料の入った
白いファイルを取り出し机に置いた。
そして白いファイルの中に入っていた様々な実験の失
敗作の写真を壁のスクリーンに映し出した。
高新一は
「我々はどうしても!あの新種のギドラの実験体が必要だった!」
すると男性FBI捜査官は厳しい顔で
「そうか……だから彼女を誘拐したのか?」
と大声で言った。
高新一は深刻な顔で
「実は……我々の母星が『例の生物』と『例の寄生生物』
により、壊滅の危機にある、それを防ぐ為に今すぐにでも彼女の実験を再開したいのだ!」
凛の護衛はとうとう激怒して
「何を今更!そんなウソをつくんだ!」
と机を再び叩きつけて吠えた。
高新一は
「これは!嘘じゃない本当だ!今!我々はM塩基の支配技術とクローン技術によって、
家畜としてのギドラとより強い戦闘用の強化ギドラを作っていたが、
その家畜用のギドラ達はあまりにも病弱だった。
今そのM塩基の元になった『例の寄生生物』が暴走を始め、
コントロールされた強化ギドラや家畜一部が他の惑星で暴れ出して深刻な社会問題になっている!
しかも今ではやつらは薬のほとんどに耐性を持っている!
考えてみろ、あの地下に居たような奴らがいくらもいるんだ!
だから、寄生生物に支配されないG塩基がどうしても必要なんだ!それを彼女は持っている」
と必死に弁明した。
男性FBI捜査官は
「宇宙人も大変なんだな……」
と皮肉交じりにつぶやいた。

別の部屋では無事遺跡から生還したジュンやビリー、楊国花が
『凛の誘拐事件』について事情聴取を受けていた。
楊国花は『TGRAT社』の命令で凛の誘拐を計画をしていた事を大筋認めた。
しかし『レオパス社』のジュン・ハートとビリーハイブスは『TGRAT』とは全く関係が無く、
バイオメジャーを使って楊国花達が誘拐した凛を横取りはしていないと犯行を否定した。
しかし尾崎とゴードン大佐、女性FBI捜査
官に、上海の海洋研究所で回収された犯行の計画を裏付ける物的証拠を突きつけられ、
ようやく犯行を認めた。
その後、密輸船の3人も、改めて楊国花達との関連を認めた。

バガンは巨大な池の水しぶきを上げながら、
FA戦闘機のミサイルを肩や背中の触手で次々と撃ち落とし、
さらに火球で戦闘機自体を撃ち落としていった。
ゴジラも12発のミサイルを肩や背中に受けたが、
その場を動かず、ただ黙って戦闘機を叩き落とすバガンを睨みつけていた。
そして大きく吠えて、自分の両肩を見た。
両肩には爆発して四散したミサイルの破片があった。
ゴジラは身体を左右に激し揺すってミサイルの破片を払い落すと大きく吠えた。

凛が通う高校の通学路にある電気屋のテレビには、
中国でゴジラが大きく吠える様子が放送されていた。
そのテレビの前で、フットボール選手の様な体格の青年が、
ゴジラが吠える様子を眺めていた。
やがて青年は白いカバンを抱えて、通学路を歩き出した。
中国の森では大きく吠えたゴジラは再びバガンを睨み付けた。
バガンは咆哮を上げ、消失した。
2体は周りを探していたが、ゴジラの目の前にまた
あのビキニ環礁の水爆の幻覚が現れた。ゴジラは今度は怒りを堪え、
冷静にその閃光とキノコ雲の幻覚に向かって放射熱線を吐いた。
放射熱線はキノコ雲に直撃し、どす黒い塵を吐き出し、やがて
キノコ雲は真っ二つに切り裂かれ、たちまちゴジラの背びれに吸収された。
ジュニアはその様子をただ呆然と見ていた。轟天号内では
カンナが
「なんだったの?あれは核に対するゴジラの身を引き裂くような怒りなの?」
しかし翔太は
「いや!違う!俺はあいつの目を見た!怒りをこらえ冷静になろうとしていた!」
ゴードン大佐も
「自らのトラウマをとうとう超えたのか?」
ゴジラは勝利の咆哮を上げ、ジュニアと共に池から川を下り海へ去って行った。
凛と友紀は部屋にある轟天号内のモニターでゴジラとジュニア様子を見ていた。
凛は
「終わったのね……」
友紀は
「そうね…これで帰れるわ!」
と嬉しそうに言った。
その後、友紀は上海で父と再開し、無事、日本の東京へ帰って行った。
東京の凛が通う高校では
担任で自称『エリート教師』の原田先生は
「はい!静かにして下さい!今日クラスに転校して来ました!」
と言った。フットボール選手の様な体格をした青年が
『始めまして!山根蓮です!」
と明るく自己紹介し、丁寧にお辞儀をした。
女子から早速
「カッコイイね!」
「イケメンね!」
とコメントがあった。
蓮は山岸の隣に座った。国語の授業が始まり、長野先生はそれ
ぞれの生徒達にやたらに難しい漢文を読ませた。
転校生の連は
「これ読めません!」
と正直に言った。

(第48章に続く)