(第46章)招かれざる客人!!

(第46章)招かれざる客人!!

避難所にいた祥郷は、怪獣抹殺派の母親や浩子にGメ―サー治療についての説明を続けていた。
「そのGメ―サーは、かつてX星人が操るカイザーギドラと言う怪獣にゴジラが破れかけた時、
ゴジラをパワーアップさせました!
それを医学的な様々な研究の末に、レントゲンの様に患部に照射する事で
病気や大怪我を治療しています!」
すると他の抹殺派の母親が
「でも!もし!そんなものを当ててゴジラにでもなったらどう責任をとるんですか??」
と声を荒げた。祥郷は冷静に
「心配要りません!かなり加工されています!」
と返した。
しかし母親は
「でも万が一!」
とさらに大声で怒鳴りかけたが
祥郷は
「大丈夫です!1年前にGメ―サーの効果を、試行錯誤の結果、発見したのは私です!
お陰でノーベル賞をもらいました!」
と返した。
すると母親は
「人の命を見殺しにする為の情けない発明で賞を得たのはあなたね!」
と冷たい視線を彼に向けながら皮肉っぽく言った。
その時、一人の避難民が
「おい!あれは何だ!」
とテレビを指さしながら言った。
真鶴のテレビでは、火砕流が東京の中心部に直撃する瞬間と、
地下鉄の穴から噴き出たドロドロのマグマが竜の形に変形しようとしている映像が
途切れ途切れに流れていた。
全員の避難民が唖然とした様子でテレビ画面に食い入るように見ていた。
住民の中に
「画面の映りが悪いな……」
接触不良か?電波障害じゃないの??」
「一体東京の街に何が起こっているの?」
「この東京のど真ん中で噴火なんて……ありえないわ!」
との声が口々に上がっていた。

大量の火山灰が降り積もった東京の街の上空を飛行していた轟天号内でアヤノは
「地下鉄の穴から噴き出た高温のマグマの中に強い高エネルギー反応!」
グレンは
「次第に竜の様な形に変化して行きます!これは?」
ゴードン大佐は
「これは……あいつか?」
尾崎は
「あの予言が現実になろうとしているんだ……」
ニックは
「予言って何だよ?」
尾崎は
「小美人から聞いたんだ……その予言は……」
すると轟天号内に小美人のテレパシーの声が聞こえた。
「その予言は……『新たな系譜を生む混血の魔神を、古の死神が引きずり落とす。
しかし過去の因縁は断ち切られる。
この予言は成就されなくてはいけません!
その為に、元々ギドラ族と仇同士だったゴジラ達も
我々人類も協力しなくてはいけません!もちろんモスラも……」
そして声は消えた。地下鉄のトンネルから噴き出たドロドロのオレンジのマグマは、
やがて赤い翼と3つの首、4つの脚と長い尻尾を持つ竜に変形した。
火砕流で周りに散った大量の高温の火山灰もまるで意思を持つかのように、
その竜の形に変形したマグマに集まり始め、赤とオレンジの身体を覆い尽くした。
火山灰は醜悪な顔に変化し、両頭部から山羊の様な太い角が伸びて行った。
そして火山灰に覆われた身体は、卵が腐った様な悪臭と強い刺激
臭ただよう紅蓮色の体毛を持つ怪獣に変化した。
その怪獣はゴジラ、ケーニッヒギドラ、ミニラ、モスラの目の前に立つとしわがれた声で吠えた。
ゴジラはその怪獣に向かって吠え返した。
ケーニッヒもフラフラ立ち上がりながらその怪獣に向かって
ゴジラと同時に激しく吠え返した。
小美人と美雪の意識はケーニッヒが怪獣に向かって吠えた時、
「何者だ!」
という声を聞いていた。
さらにその怪獣が再び高らかに吠えた時
「お前か?バガンの子供は?」
と声が聞こえた。
さらにゴジラ
「何の事だ!」
と凄い吠え声と共に吼えた。
美雪の意識は小美人の方を見て
「あなたが……通訳しているの??」
しかし小美人は黙って首を振った。
美雪は
「それじゃ……どうして?」
と考え込んだ。
その怪獣の右首がミニラの方を見た。
続いて左首が小美人と美雪の意識の方を見た。左首は美雪の意識に向かって、
しわがれた様な強い声で吠え始めた。
美雪の意識には
「招かれざる客人よ!数万年の歴史の中で!
この空想と現実の狭間の怪獣世界に弱小の人間の魂が
入り込んだのはアトランティス以来だな!?」
と聞こえた。しかし美雪は訳が分からず怯えた表情でその怪獣の醜い顔を見た。
隣にいた小美人は何故か無言だった。

(第47章に続く)