(第40章)因縁の決着!

(第40章)因縁の決着!

隔離廊下のベッドに酸素マスク着けて眠っていた
友紀がうっすらと意識を取り戻しつつあった。
彼女の脳裏には隔離された病室で凛と面会した時の事が浮かんでいた。
友紀は品川ビルに一緒に遊びに行った友達がデストロイアに殺された事を凛に告げ、
互いに抱き合い大泣きをしていた。
友紀は凛の身体を力無く抱いて泣きながら
「まさか……あんな怪獣に襲われる事になるなんて!なんでそうなったの?
これが夢!空想であってほしい……嫌!夢よ!嫌よ!」
と言った。凛は友紀を強く抱きしめながら
「なんでそうなったのか?あたしにも分からない……だけど……」
しばらく声に詰まって無言だったが、やがて口を開き
「これが運命かもしれない……あいつは……デストロイア
いつでも私達の心の隙間を狙っているわ!」
と言った。
しかし友紀はその言葉の意味がよく分からなかった。

ウニ状に変化したデストロイアに包まれた
ジュニアと凛がそのデストロイアの内部を見渡すと、
そこには暁色の異空間だった。
周りからは、1mの大きさのカニの様な形をし、
翼の生えたデストロイアの集合体がわき出る様に現れた。
凛は右手に槍の形をした中和剤をしっかり持ち、
まるで馬に乗る騎士の如くジュニアの頭に乗り、
疾風の如く緑色の本体に向かって進んでいた。
しかしそれを遮る様に大量の赤いデストロイアが一斉に襲いかかった。
ジュニアは凛を守る様に紫色の放射熱線を吐き、集まって来たデストロイアを蹴散らした。
外の東京の街では、ウニ状のデストロイアから小さい紫色の火花があちこちで起っていた。
内部では次々と紫色の放射熱線でデストロイア達を蹴散らすが、
泉が永遠にわき出る様に現れ、倒しても倒してもキリが無かった。
しかし凛とジュニアは威風堂々、緑色の本体に向かって確実に進んで行った。

外の東京の地球防衛軍「特殊生物病院」
の対デストロイア研究ラボにいる美雪の耳には
「我々は待つ……」
と聞こえた。
美雪はその声がゴジラとジュニアの声だと悟り無言で頷いた。

デストロイア内部で、赤色のデストロイア集合体は、
緑色の本体を守る壁となり、凛とジュニアと攻防戦を繰り広げていた。
しかし凛とジュニアは疾風の如くデストロイアの集合体を蹴散らすと
緑色の本体のギリギリまで近付いた。
緑色の本体のデストロイアは何とか凛とジュニアの進行を妨害しようと、
トゲ状の触手と巨大な鉤爪を振り回した。
その鉤爪やトゲ状の触手はジュニアの身体を貫いた。
しかし凛がいなかった。デストロイアが天井を見上げた時、
凛が槍の形をしたオキシジェンデストロイヤー中和剤を本体の頭部に向かって力の限り、投げつけた。
その槍状の中和剤は見事デストロイアの本体に突き刺さった。
黄緑色の血と共に無色の薄い煙が傷口から大量に噴き出した。
とうとうデストロイアは断末魔の叫び声を上げた。
ジュニアは自分の身体に突き刺さった鉤爪やトゲ状の触手を引き千切り、
力尽きて落下しつつある凛を頭部で受け止めると、
無色の薄い煙から逃れる為、急いでウニ状のデストロイア
の固い外骨格の甲羅を突き破り、外に脱出した。

真鶴の病院でようやく完全に意識を取り戻した友紀が周りを見渡すと、隣に山岸が眠っていた。
友紀は
「山岸くん?……」
と言った。
しかし山岸は突然痙攣を起こし始めた。
続いて友紀にも痙攣が襲いかかり、胸の痛みで悲鳴を上げた。
すぐに近くで友紀の悲鳴を聞きつけたカート医師が駆け付けた。
カート医師は2人の容体を確認しながら隣にいた黒髪の
ヨーロッパ人の看護士に向かって
「キャン!すぐに祥郷医師とプーラ医師を呼んでくるんだ!」
と大声で言った。すぐにキャンは祥郷医師とプーラ医師を呼んだ。
やがてアフリカ人の医師と祥郷医師が容体が急変した友紀と山
岸がいる廊下に現れた。しかも2人の医師の説明によると微小
デストロイアに感染したほとんどの患者達に同じ症状が現れているらしい。

東京の街では、目をつぶっていたゴジラとミニラが、
まるでジュニアと凛が脱出した瞬間を待っていたかのように「カッ!」
と両目を開け、2体は同じ方向に回転した。
背びれが青く輝き、口から放射熱線を放った。
その放射熱線は轟音と共に大気中のわずかな空気を貫き、
大地を揺るがしてウニ状のデストロイアに直撃した。
大音響と共に大爆発が起こり、周りのビルや建物がリング状に
衝撃破になぎ倒され、吹き飛んだ。
轟天号も爆風に巻き込まれて東京の街に墜落した。
轟天号のドッグ内にいたデストロイアは驚くべき事に全て死んでいた。
アヤノは粉々になったデストロイアの破片を払い退け
ながら黄緑色に染まった眼鏡を外し、モニター画面を見た。
オキシジェンデストロイヤーの濃度はゼロになりました……」
ニックは
「ペッ!マズッ!」
と言いなが立ち上がりモニター画面を見た途端、口をあんぐりと開けて
「奇跡だ……」
とつぶやいた。
グレンは
「どうやって中和したんだ……何でデストロイア達は死んだんだ!」
と壁や床に飛び散った黄緑色の血と大量のカニの甲羅や足の破片をただ茫然と眺めていた。

(第41章に続く)