(第51章)夢と現実

おはようございます。
畑内です。
ゴジラの自作小説の載せます。

(第51章)夢と現実

真鶴の避難所で浩子は首を振りながら
「それじゃ!怪獣達やヒーローが子供の夢とか良く言いますけどね!
もっと現実を見るべきでは無いでしょうか?」
すると次郎の息子の太郎が
「子供が夢を持って何でいけないの?」
浩子は次郎を睨みつけるとこう言った。
「テレビのヒーローや怪獣物は『子供の物』と良く聞きますが……
ゴジラはただの人間の傲慢な心や醜い心が生んだ怪獣であって!
あんなのが暴れ回って町を壊して人が大勢死んでいる現実を見ないで!
果たして子供の夢と言えるでしょうか?
子供達にそんな危険な空想を持ち込むのは果たして親のする事でしょうか?」
父親は激怒した。
「それではまるで子供が悪夢を見させられているような言い方でじゃないか?」
すかさず浩子が
「実際そうではないですか?真鶴や東京だけでは無いわ!
世界中が怪獣によって、住む場所も奪われて、友人や両親が次々と奪われていくでは無いですか?
それにウルトラマンだって、あれはマンガですけどね、人類を守るだとかを言い訳にして町を壊して!」
すると沙羅が
「そんな夢を壊すような言い方をしなくてもいいじゃないの!!」
更に続いて沙羅の父親の徳光が
「子供達は誰でも『大きな夢』と『豊かな想像力』を持っているんです!
今の大人達や若者は『目に見える物』しか信じなくなっています!
でも子供達は大人ほど現実的で難しい話は求めていません!
怪獣はもちろん悪夢ではありません!
子供達の『豊かな想像力』の基です!
ただ残念なのは……今のその小さな子供達までその『夢』や『豊な想像力』
の元に触れる機会がほとんど無い事です!
子供から大人まで生きている限り『大人になったら怪獣は卒業』
と言う明確な基準は最初から存在しないんです!
私は娘からその事を学びました!」
と熱意をこめて主張した。

デスギドラに滅多打ちにされたミ二ラはようやく立ち上がり、
放射熱線を吐いた。
デスギドラはすぐに火砕流撃弾で反撃した。
ミニラは危うくかわした。
火砕流撃弾は美雪の意識の近くをかすめてビルに直撃した。
美雪の意識は爆音に大きな悲鳴を上げた。
デスギドラは怖くて震えている美雪の意識に向けて
「ケーニッヒよ……もう一度だけチャンスをやろう……
あの家畜の女とゴジラとミニラを、
かつての両親と同じ様に火球で殺せ!
そうすれば前の裏切り行為は帳消しにしてやる!」
ケーニッヒの脳裏に母親と父親の断末魔の悲鳴が聞こえた。
ケーニッヒは静かに
「あの女からなら!今まで我々一族には無かった能力を持った
新しいギドラが誕生する!断らせてもらう!」
と返した。
デスギドラは
「そうか…残念だな……一族の誕生を待たずに!俺が殺してやろう!」
と言うと美雪の意識に向かって火砕流撃弾を吐こうとした。
美雪の意識は耳を塞ぎ、動けぬまま瓦礫の隙間にうずくまっていた。
ケーニッヒは
「やめろおおっ!」
と悲鳴を上げた。
するとゴジラが何かを感じて放射熱線を吐き、火砕流撃弾を相殺させ、美雪の意識への攻撃を阻止した。
デスギドラは
「邪魔する気か?このクズめ!」
と言うと
さらに火砕流撃弾でゴジラを吹き飛ばした。
デスギドラは突然
「ところで!人類やお前達にとって『生命』とはなんだ?」
と聞いた。
ケーニッヒは一瞬無言となり、ゴジラは混乱した様に首を傾げた。
ミニラも同じだった。
美雪の意識も混乱したままだった。

熱意あふれる徳光の言葉を聞いていた浩子は
「でも!それは!」
と口ごもった。
徳光は話を続けた。
「確かに怪獣に襲われた街の現実は厳しいです!しかしそれで
も子供達は信じています!『ゴジラは必ず地球を守ってくれる!』と」
と言った。
すると浩子が
「それじゃ!何で戦いを続けるの?家族や友人を奪われてまで!
どうしてあんな化け物を信じられるの?
なんで命を奪われてまで戦わなきゃいけないの?
子供の夢って?あんな化け物を信じる為にあるの?」
と泣きながらあふれ出る思いで訴えた。

(第52章に続く)