(第56章)生き延びろ!怒涛の反撃!

(第56章)生き延びろ!怒涛の反撃!

デスギドラは、居なくなった美雪の魂を見て、
さらに動揺した様子で
「何故だ?どこだ!どこに消えた!」
と3つの首を振り回し、狂った様に周りの瓦礫を探したが、
美雪の意識は影も形も見当たら無かった。
ケーニッヒはいつかの日の事を思い出していた。
「本当に良かったのか?」
「しつこいわよ!」
と笑い合い、2人はキスをしたのだった。
ケーニッヒはいつかの日を思い出しながら
「善い人間は例え暗い衝動に駆られても……正道を忘れると言う事は無いものだ……
俺は……覇王圭介!ケーニッヒギドラだ!」
美雪の魂はその力強いケーニッヒの言葉を聞いて、感動のあまり静かに涙を流した。
一方ケーニッヒの言葉を聞いたデスギドラは
「それでは!人間を守る為に望み通り死ぬがいい!」
と激しい殺気を放った。
ケーニッヒは
「嫌だね!」
ゴジラ
「ただ本能に従って俺達は生き延びる!」
ミ二ラは
「誰も死なせない!」
デスギドラは
「ならば私を倒して見るがいい!」
と絶叫した。
ミニラはデスギドラに飛び掛かった。
デスギドラは飛びかかったミニラを火砕流撃弾で吹き飛ばした。

しかし吹き飛ばされたミニラを見て、ゴジラはデスギドラに向って、
青く輝く渦を巻いたハイパースパイラル熱線を放った。
その後ケーニッヒが黄金の光線を放った。3体は自然に協力して戦っていた。
デスギドラに直撃する数百メートルまで飛んでいた
ハイパースパイラル放射熱線に当たり、大爆発を起こした。

デスギドラがその爆発を避けかけた瞬間、ケーニッヒがゴジラ
の頭上を飛び越えた。ゴジラも走り出し、2体共デスギドラに襲いかかった。
デスギドラは左右の首から火砕流撃弾を放ち、飛び上がった
ケーニッヒとゴジラは上下一列に一回転して倒れた。
しかしその2体の上をいつの間にかミ二ラが飛び越え、デスギドラに放射熱線を吐いた。
デスギドラはミニラの不意打ちを受けて爆発と共に宙に吹き飛ばされた。

美雪の意識はデスギドラに見えない瓦礫の隙間から静かに覗いていた。
爆発の時に発生した突風がデスギドラを遠くへ吹き飛ばしてくれた為、
ようやく死の恐怖から解放された彼女は
ゴジラとミニラ、ケーニッヒが助けてくれたんだね……」と思った。
彼女は最後まで死神と3体の怪獣との戦いを見守った。彼女は
戦いに加わる事は出来無いが……むしろ彼女がここへ来たのは
きっと『この為』では無いかと思い始めた。
そして次の世代の人達にこの戦いをどう伝えればいいのか真剣に考え始めた。

宙に吹き飛ばされたデスギドラは民家を押しつぶし、地面に倒れた。
しばらくしてデスギドラはまるで操り人形の様に起き上がり、ゴジラとケーニッヒの方を見た。

ゴジラの背びれは赤色に輝いていた。

ケーニッヒギドラの全身も黄金に輝いていた。

デスギドラの全身も赤色とオレンジ色に輝き出した。

しばらくしてデスギドラは3つ首から火砕流激弾を一斉に放った。
それは3つの火球が回転しながら合体し、激しい旋風と衝撃破で
周りにある建物やビルの瓦礫の山を吹き飛ばしながら、
巨大な業火を纏った巨大な火球がフラフラで動けないミ二ラに向かって襲いかかった。

しかしミ二ラを守るかのようにゴジラ、ケーニッヒが現れ、2体は迷わず、
巨大な火球の中心部を狙い、ゴジラは赤い放射熱線を放った。
ゴジラが赤い放射熱線を放ったと同時にケーニッヒギドラも中央の首から1本の黄金の熱線を放った。
ゴジラとケーニッヒが放った2つの光線は混じり合い、
デスギドラが放った巨大な火球を一瞬で貫通し、そのままデスギドラの腹から背中まで貫いた。
しばらく沈黙が流れた。

腹から背中に開けられた巨大な穴からゴジラとケーニッヒが堂々と立っている姿が見えた。
デスギドラは最後に「愚かな……所詮……我々怪獣は破壊と殺戮の運命……」
と言い残すと最後の断末魔の叫び声を上げ、身体は大爆発を起こし、粉々に粉砕された。

やがて爆発が収まり東京の空からまるで雪の様にオレンジ色の塵が降り始めた。
そのどす黒い塵や暁色の破片はゴジラの青白いギザギザの翼と
ケーニッヒギドラの黄金の翼に吸収された。
ゴジラとケーニッヒは勝利の咆哮を上げた。
ミ二ラも少し迷いながらも同じく勝利の咆哮を上げた。

轟天号内でジェレルは
ゴジラ、ミ二ラ、ケーニッヒギドラの体内エネルギー共に急速弱まっています!」

ゴジラとミ二ラは疲れて瓦礫の山に座り込んだケーニッヒに背を向け、
海へ去ったと同時にケーニッヒギドラの姿も消失した。

真鶴の避難所で教祖は
ゴジラは決して!太平洋戦争で命を散らした数知れぬ日本人、アメリカ人、アジア人
の強烈な怨念の集合体では無い!
ゴジラとは戦災の恐怖や核の恐怖が極限に達した時に生まれた妄想の産物なのだ!
そして我々が核兵器や戦災を恐れれば恐れる程、
ゴジラは破壊衝動や放射線の威力を進化させていくのだ!
しかし逆にゴジラモスラに命を救われ、ゴジラモスラが地球を守ってくれると信じ!
また反戦を訴えたり!怪獣にも人間の様な感情があるのではないかと思えば思う程!
怪獣の人間的な行動や感情も、ゴジラも進化して行くのだ!」
浩子は
「つまり私達が怪獣を恐れれば恐れるだけ!徐々に破壊行動が酷くなっていくって言うの?」
教組は
「テレビを見て全て悟ったのだ!」
と静かに言った。浩子は無言になった。
さらに教組は
自衛隊やCCI、地球防衛軍ゴジラを倒そうと最新の兵器を使えば使う程ゴジラは強くなる!
ゴジラに対する恐怖心が消えない限り不死身の存在なのだ!何をやっても焼け石に水なのだ!」
と自信満々で言った。

東京上空を飛行する轟天号内でジェレルは
ゴジラとミ二ラ海へ帰りました……ケーニッヒギドラ消失……」
と最後の報告をした。
しばらく全乗組員は無言のまま海へ去ったゴジラとミ二ラの方向を呆然と見つめていた。

ゴジラが去った海からゆっくりと朝日が昇っていた。
アヤノは昇り行く朝日を呆然と見つめたまま
「でも本当に?小美人が言った様に彼の正体はケーニッヒギドラなんでしょうか?」
と尾崎に聞いた。
尾崎も
「まさか?」
と言った。
ゴードン大佐は
「残念ながら……小美人は決して嘘は付かない!」
と返した。しかし室井少佐は
「それじゃ彼は?ただテレパシーですよ。
物的な証拠が無いんですよ!」
と反論した。
「もし万が一!小美人の言う事が本当なら?彼をどうします?」
とジェレル。
「彼を倒さなきゃいけないの?」
とアヤノ。
「俺達!スリはしても人は絶対に殺したく無いね!」
とグレン。
「彼は人間だ!」
とニック。
「もし!そうなら倒さないと!」
と尾崎。
「駄目!絶対!駄目!」
とアヤノ。
ゴードン大佐は
「彼がケーニッヒギドラだとしても!
俺達と同じ感情を持ち共に闘って来た戦友を殺す事は出来ない!」
と力強い声で言った。

(第57章に続く)