(第59章)「国連テロ対策センター」誕生!

(第59章)「国連テロ対策センター」誕生!

一方とある病院の病室で精神と体調が回復した美雪は何故か慌てふためいた様子で
「駄目よ!それは聞かれると恥ずかしいの!だから!」
と言うと尾崎の手からカセットテープらしき物を取り上げ、
テレビの下の机にしまっていた。
すると隣のベッドから
聖母マリアと一緒とはうれしい事だ」
と声が聞こえた。尾崎はそれを聞いて
「そんな?君が?イメージも全然違うのに?」
と言われ、美雪は怒って
「いい迷惑よ!覇王も私も全く!」
と言い返した。
尾崎が
「それで……色々ゴタゴタになって謝るのが遅れたけど……
あのレストランで酷い事をして本当に悪かった!許してくれ!」
と言うと、美雪は笑いながら
「何言っているのよ?いいのよ!こっちも殴って御免なさい!」
と優しく返した。2人は笑顔になった。
復興のメドが立たず、東京に住んでいた人々はしばらく真鶴
仮設住宅での生活を余儀なくされた。もしくは新しい地域に移住する者も大勢いた。
政府がようやく重い腰を上げて、東京復興に乗り出した。
そして現在も復興作業は続いていた。
しかし東京の街が以前の様に完全に復興するのはこの先何年かかるか分から無かった。
時々それを
「怪獣のせいだ!」
と言う人々が集まってまたデモ行進を起こしていた。
しかし幸いにも 小規模のデモ行進で以前より酷くはなら無かった。
地域の警察や機動隊が24時間ガードをしていたが、
デモ行進隊同士が激しく衝突してエスカレートする事もごく稀だった。
これはガードマン達によって久しぶりの平和だった。
ただバイオメジャーの残党による「G細胞や他の怪獣データ」
を狙ったと思われるテロ行為が相次いでいたので油断は出来無かった。

一方地球防衛軍は仮本部から新しく東京練馬区に本部建設をようやく終えて、
活動を再開すべく色々準備を始めていた。
これから未知の生物を利用したテロ対策の為、本部が一新された。
まず今までは「バイオメジャー、サラジア共和国、対テロ対策本部」のみだったのを、
「国連テロ対策センター」に名称を変更し、怪獣の目撃情報や怪獣の取引、
宇宙人達の情報を始め、世界中の特殊生物研究所に向けて
サンプルや研究データ情報を送ったりするのもここの仕事なった。
その集められた情報から「特殊生物情報部」が、
また怪獣が出現した裏に犯罪の可能性がある場合は「特殊生物犯罪調査部」の
「怪獣密輸取り締まり局」が
地元警察やインターポール(国際警察)と協力してその犯罪を担当する。
もちろんそこに「対テロ緊急会議室」や「M機関」も含まれる。
そしてテロリストによる怪獣あるいは宇宙細菌やウィルスを利用したバイオテロに備え、
赤十字社と協力して、地球防衛軍内に「特殊生物医療機関」と「特殊生物病院」が作られた。
普通の大きな病院の医療技術では怪獣や宇宙細菌や
ウィルスが大勢出た時に全く対応しきれないからである。
また怪獣の災害で傷ついた被災者の心のケアをする
「怪獣カウセリングセンター」が「特殊生物病院内」に作られた。
そこにはあの「怪獣災害ネットワーク」も関わっている。
他にも地球防衛軍本部の地下に、様々な場所で回収された怪獣の身体の一部の標本や分泌物質、
あるいは古代怪獣の化石等を保存して置く「特殊生物保管庫」も作られた。
そこはM機関や国連の関係者でも特別な許可がない限り絶対に立ち入る事が出来無い場所である。
またそこから「特殊生物病院」の研究ラボや他の特殊生物研究所に何かを持ち込んだり、
標本を外部に運ぶのも特別な許可が必要である。
更にその地下では新しい兵器開発の為の研究施設や修理用ドッグ、
轟天号等の新しい格納庫が幾つも作られた。
それから地球防衛軍防衛省内閣府と協力し、今後も怪獣テロ対策の情報を交換し合う事を約束した。アメリカの地球防衛軍でもM機関だけでは無く
国連を始めCIA(アメリカ中央情報局)やFBI(連邦調査局)が介入する等、
本格的な怪獣テロ対策に本腰を入れているようだ。
テロ対策の効果でようやく人々の心は穏やかになり、
いつもの暮らしを取り戻しつつあった。
美雪も無事退院し、再び分子生物学者としてまだ練馬区の国連特殊生物研究所に
送るサンプルや研究機材を整理する為に仮設研究所へ向かった。
その通勤途中、美雪は、尾崎が見舞いに来る数日前に覇王が見舞いに訪れた事を思い出していた。

(終章に続く)