(第10楽章)外宇宙からのピエロの行進曲(後編)

(第10楽章)外宇宙からのピエロの行進曲(後編)
 
ピエロ型宇宙人は堂々と自分達が地球へ来た目的を短く語り始めた。
「我々ハ種が滅亡シカケテイル!ダカラ我々ハ地球へ来タ!
最低デモ種の維持ニハ50ハ必要!ダカラ!コレカラ私が種ヲ維持スル!」
それからピエロ型宇宙人は慌てて車の陰から飛び出した日本人の若い女性を見た。
その日本人の若い女性は聖ミカエル病院に看護師として勤務していた。
日本人の女性の特徴は茶髪のお団子ヘアーに銀色の小さな輪のピアスを付けた両耳。
名前は加護雪乃である。それからピエロ型宇宙人はさっきピンク色の液体の入った
カートリッジの形をした試験管とジルの血液とピエロ型宇宙人の細胞が
混じったカートリッジ型の試験管と交換しておいたピンク色の先端にパラポラ
の付いた奇怪な銃の銃口を慌てて逃げ出したうしろ姿の加護雪乃の青いジャージに
覆われた大きな形の整った丸いお尻に素早く銃口を向けて引き金を引いた。
同時にピンク色の先端にパラポラの付いた奇怪な銃からオレンジ色の光線が放たれた。
銃口から放たれたオレンジ色の光線は加護雪乃の青いジャージに
覆われた大きな形の整った丸いお尻に直撃した。
同時に加護雪乃はそのままうつ伏せにコンクリートの床に転倒した。
加護雪乃は何故か笑みをこぼし、自ら望んで寝返り、ゴロンと仰向けに寝転んだ。
同時に何故か加護雪乃は青いジャージに覆われた両脚を大きく左右に開いた。
続けて加護雪乃は口を大きく開け、甲高い声で激しく喘ぎ続けた。
「あああっ!!あああっ!あああっ!あああっ!あああっ!あああん!はあああん!」
同時に全身と青いジャージの生地で出来た服に覆われた柔らかく大きな
丸い両胸も細かく激しくプルプルプルと痙攣するように前後左右に揺れ続けた。
数分後、加護雪乃は両頬と青いジャージの生地で出来た服から露出している
深い胸の谷間を紅潮させ、口を大きく開け、ハアハアと息を吐き続けていた。
加護雪乃はただ驚き、茫然とした表情で茶色の瞳を何度もパチクリさせた。
更に反射的に右手で美しい白い肌の低い団子鼻と
ピンク色の唇の口を覆い、笑い出した。
「嘘!アハハハハッ!さっきの光線!何?
凄く興奮して気持ちよかった!んっ?えっ?」
加護雪乃はある異変に気付き、ややキリッとした茶色の眉毛のある額にしわを寄せた。
間も無くして加護雪乃の下腹部がまるで風船のように急激に大きく膨らみ始めた。
自分の下腹部が大きく風船のように大きく膨らみ始めるのを目の当たりにした
加護雪乃は驚愕し、両眼を大きく見開き、口を大きく開けた。
「おい!ザルバ!どうなっている?」
と驚愕の余り、鋼牙は魔導輪ザルバに意見を求めた。
勿論、流石の魔導輪ザルバも驚きを隠せず、かなり動揺した様子でこう答えた。
「嘘だろ。あのオレンジ色の光線で日本人の女性の子宮にたくさんの新しい生命が……」
ピエロ型宇宙人はその新しいオレンジ色の光線の効果に大いに満足した。
「フフフフフッ!」とピエロ型宇宙人は鋼牙の方を見ると不敵に笑って見せた。
更にピエロ型宇宙人は今度は広場のあっちこっちを逃げ回る20代から30代の
不特定多数の金髪と茶髪と黒髪のアメリカ人の若い女性達の大きな形の
整った丸いお尻に素早く銃口を向けて次々と狂ったように撃ち続けた。
そしてピエロ型宇宙人が持つあのピンク色の先端にパラポラの付いた
奇怪な銃から放たれたオレンジ色の光線に撃たれた20代から30代の
不特定多数の金髪と茶髪と黒髪のアメリカ人の若い女性の
下腹部は次々と風船のように急激に膨らみ妊娠した。
背の低い子供のピエロ型宇宙人はその様子をとても真剣な表情で見ていた。
友達ガ一杯増エレバ!モウ寂シクナイノカナ?」
すると傍にいた赤いおかっぱの髪型のピエロ型宇宙人が優しく
背の低い子供のピエロ型宇宙人の赤い髪を大きな白い手で優しく撫でた。
「大丈夫ダ!友達ハスグニ増エル!モウ!寂シクナンカナイサ!」
すると背の低い子供のピエロ型宇宙人は無言でうんと静かに頷いた。
それから最初の加護雪乃を初め、不特定多数の金髪と茶髪と黒髪のアメリカ人の
女性達は4人のピエロ型宇宙人によって両腕でお姫様抱っこされた後、
どんどんサーカスのテント型のUFOの中に積み込まれて行った。
あっと言う間に妊娠した加護雪乃と不特定多数の若い女性達を
サーカスのテント型のUFOの中に積み込んだ。
やがてドタバタガコッと大きな物音がした。
続けてまたアメリカ人の女性と思わしき声が聞こえた。
「出して!出してよ!いやっ!誰か助けて!」
太ったピエロ型宇宙人はようやく最後の荷物を運んでいる
細長いピエロ型宇宙人を見て再び「フフフフフッ!」と不敵な笑みを浮かべた。
その細長いピエロ型宇宙人の両手には赤い球体が幾つも付いた
大きな黄色の恐竜の卵に似た風船があった。
しかも風船の中でうっすらと茶色のドレスと両耳に黄色の大きな
涙型のイヤリングを付けた大人びた凛とした顔立ちに
両頬まで伸びた茶髪の女の子の姿が見えた。
女の子の入った風船はあっという間に
サーカスのテント型のUFOの中に積み込まれた。
続けて全ての運搬作業を終えた4体のピエロ型宇宙人達は続々と
サーカスのテント型のUFOの中に乗り込んで行った。
全員乗り込んだサーカスのテント型の
UFOは巨大な黄色に輝くクリスタルに変形した。
その後、サーカスのテント型のUFOは地上に大量のパイを
投下しながら空高く浮き上がり、どこかへ飛び去って行った。
 
鋼牙はザルバの呼びかけにより直ぐに我に返った。
「鋼牙!恐らく奴らは最初からジルの体内の賢者の石を狙っていたんだ!だから!
あいつはジルを誘き引き寄せる為に昨日、スパニッシュハーレムで事件を起こした!」
「しかし……一体?賢者の石なんてどこで知ったんだ?」
「分からん……おそらくこの地球にいる人間か誰かが話を吹き込んだかも知れん!」
「一体?誰が?ジョンか?」
「どうかな?奴はジルをメシア一族の寄る辺の女神であり!
地母神だ!それにそんな事をして奴らにメリットがあるのか?
少なくとも奴は利益の無い取引は決してしない!」
鋼牙は木の机にあったチラシを見ると反メディア団体
ケリヴァーの宣伝文が書いてあった。
「テレビ、スマホ、携帯、命の無いおもちゃ!
自然でない物を使うのは止めよう!子供達の身体と精神の健康を守ろう!
ゲームは目を丸くし、精神を混乱させる!テレビを見過ぎたり!
ゲームをやり過ぎた子供は暴力的になる!とにかく暴力的になる!
木切れや石ころ、貝殻は遊び道具になる!我々は悪魔に満ちた大人達を倒し!
子供達を守る為に戦う正義の味方である!さあーみんなも市民も
世界の人々よ立ち上がろう!子供を不幸にする重い罪と責任を償わせよう!
みんな!法的に裁く為の法律を作ろう!」
「たいそうな言葉だな!」とザルバ。
「大口を叩いている暇があったら何故?あんな19歳の子供を
夜中の8時近くまで歩かせた?何故家に帰さなかった?」
「事情はよく知らんが早めに帰宅すれば連中に誘拐される事はなかっただろうな?」
「大人の責任だな!家族の方々が気の毒だ!」
「全く一般的な社会のルールすら守らせないなんて!」
「つくづく酷い団体だな!」
そこにジルが現れた。丁度台所の食器を洗い終えてテーブルの
反メディア団体ケリヴァーのビラを眺めながら一息ついていた。
鋼牙が声をかけた。「おい!胸の傷は?気分は?」
ジルは鉄分を補う為の栄養ドリンクを飲みつつもこう答えた。
「心配ないわ!死ぬ程!取られたわけじゃないし!」
鋼牙はその言葉を聞くと安心した。
そしてほっと一安心した。ザルバもふーつと息を吐いた。
ジルは机の上に置いてある名札を手に取った。
名札には「ナルシッサ・ウィッチャー」と書かれていた。
「心配ね!連中に誘拐されたあの日本人もアメリカ人の女の子達も!」
「ああ!どうにかあのサーカスのテント型UFOを見つけないと……。
助け出そうにもどうしようもない!なあーザルバ!出来ないのか?あれの探知を」
「無茶を言うな鋼牙!俺様はホラーや人間の気配や思念は読める。
だがUFOなんて代物を探知する能力は流石に無いぜ!」
「やはり専門家を当たるしかないか?」
鋼牙も大きく背伸びをしながらつぶやいた。
流石の黄金騎士ガロの称号を持つ鋼牙も困り果てた表情をしていた。
また翌朝のスパニッシュハーレムのピエロ型宇宙人の襲撃にあった
広場の様子がニュースで映し出された。
広場はコンクリートの床と壁はピンク色の綿アメがまるで
芝生か苔のようにへばりつき、覆われていた。
更に床のほとんどはピンク色の綿アメの他に大量の
白い生クリームと茶色のチョコレート、黄色のパイ生地が一面を覆いつくされていた。
そう、夜中、サーカスのテント型のUFOが
飛び去る直前に大量に投下したパイである。
「もう!酷い有様だな!」と鋼牙。
「やれやれやりたい放題だぜ!」とザルバ。
テレビ画面ではニュースのレポーターが金髪の赤い服を着た男性が
マイクを持って昨日の惨事の後に広場の様子を淡々とレポートしていた。
「酷いです!広場はどこもパイや綿アメで汚れてしまい。
周囲には気持ち悪くなるほどのもの凄い甘い匂いが漂っています!ゴホン!ゴホン!」
鋼牙とジルがテレビ画面を良く見ると咳をしている
男性レポーターは顔が青くなっていた。
それからしばらくテレビの報道が続いていた。
やがてニュースの報道スタジオに戻った瞬間、緊急速報が流れた。
慌ただしくスタジオ内の男性アナウンサーは新しく渡された原稿を読み始めた。
「臨時ニュースです!昨日の夜、ナルシッサ・ウィッチャーと多数の人々を誘拐して
サーカスのテント型UFOに乗ってスパニッシュハーレムから逃亡した
ピエロ型宇宙人はスパニッシュハーレムの郊外の森にて目撃され、
ニューヨーク市警やFBIも大量の警官や捜査官、SWAT部隊が
UFOの周囲に集まった直後、UFO内で何者かがピエロ型宇宙人と交渉を行い、
昨日の夜に誘拐されたナルシッサ・ウィッチャー氏を救出しました。
後にUFOは起動し、そのまま宇宙へ逃亡した模様。
ナルシッサ・ウィッチャー氏を救出した何者かは緑の服を着た
インド人の少年であることが確認されました。
そしてインドの少年は救出したナルシッサ・ウィッチャ-氏をニューヨーク市警と
FBIに保護させた後、名を告げずに姿を消したようです……この少年は!」
「鋼牙!この少年は人間じゃないぜ!!」
「ああ、間違いない!あいつは魔神クリシュナだ!!だが……あいつは……」
2人は驚き、その場を去るインド人の少年をテレビ画面を通して見つめていた。
 
(第11楽章に続く)