(第11章)前代未聞!!言葉を理解する昆虫型BOW(生物兵器)??

(第11章)前代未聞!!言葉を理解する昆虫型BOW(生物兵器)??

 

HCFの保安部隊員達のスマートフォンのイタズラ動画は止まった。

次郎とエレナはただ茫然としていた。その横で黒服の保安隊員達は

両手で腹を抱え、その場でそれぞれあお向けやうつ伏せに寝転がり、

両眼から涙を流して顔を真っ赤にして大きく口を開け、笑い続けた。

「やべえええっ!面白過ぎるっ!スゲエええっ!」

「ブレス本部長は気付いたかな?マッド!」

「気付いたけれど大丈夫だろうさ!レイリー!スゲエ!」

「そうかそうか!大丈夫だろうかね?」

「ああ!そうさ!そうさ!だいじょ……だあああああっ!保安部長!」

全員の保安隊員は一斉に顔を真っ青にした。

その保安部隊員が振り向くとあの強面のブレス保安部長が両腕を組んで

今にも怒り出しそうな表情で仁王立ちしていた。

すると保安隊員達は顔を真っ青にしつつも言い訳するでも

誰かのせいにする事でも無くただ黙っていた。

それからブレス保安部長は自分の愛車の4WD車にイタズラした罪で

保安室とHCF内の医療室やその他、全てのトイレ掃除を4か月間命じた。

勿論、保安隊員達も素直に「はい!」と返事をした。

次郎はそのやり取りを聞いてー。

何だろう?ここ滅茶苦茶怖い場所の筈なのにー。

なんだか全然怖くないぞ!あれ?おかしーなー。

それからまたBOW(生物兵器)飼育室のトラブルを解決して戻って来た

アッシュ博士と多分、そのスーパープレイグクローラーに襲われたと思われる

スウェーデン人の女性がベッドの上ですやすやと眠っていた。

どうやら大丈夫なようだ!アッシュ博士は「やれやれ」と首を左右に振った。

「よし!これでもう安心だな!エレナと同様に『新型T-エリクサー(仮)』

のワクチンも投与した。妊娠検査もこれからしなければ。

多分、可能性は高いな。あとは無傷で問題無しだ。さてとこれで一応解決だ!」

それからスウェーデン人の女性は次郎のすぐ隣に運ばれた。

しかし次郎は気付いた。そう左側のベッドにはロシア人美女のエレナ・ハリス。

左側のベッドにはスウェーデン人の美女がいる事に。

ちなみに名前はアンナ・ヘン二ーと言うらしい。

次郎はつい男の本能で右側のベッドですやすやと眠っている

アンナ・ヘン二ーの顔をまじまじと見てしまった。

美しい金髪のロングヘア。やや細長いキリッとした黒色の眉毛。

高い大きな鼻。両頬がややふっくらしていて形が整った美しい顔立ちをしていた。

ピンクの唇。どうやら彼女は目を覚ましたようだ。

彼女はぱっちりとした茶色の瞳で次郎の顔を見ると静かに口を開き話しかけた。

「貴方は誰?ここは医療室?」

額にしわを寄せて、茶色の瞳を魚のように泳がせてアンナは次郎に尋ねた。

次郎はおずおずとこう返した。

「そっ!そうだよ!これからその妊娠検査をするって!その・・・・」

アンナはまるで全てを悟ったマリアかイエスのようにこう返した。

「必要ないわ!もう妊娠しているわ!あたしには分かる!」

アンナは穏やかな笑みを浮かべた。

「どうして?つまりも何も自覚症状が・・・・・」

「何故だか分からない。けれど自分のお腹の中で新しい命が

宿ったのをさっき強く感じたの。きっと私が女だから。」

「そっ!そう・・・・」と次郎は戸惑った。

ただ実際、自分のお腹の中で命が宿ったのを感じたと言う女性の話は

冗談でよく聞いていたが。まさか本当にいるとは。

それからちなみにアンナが次郎に「自分のお腹の中に新し命を感じた」

と言う話をした後、直ぐにアッシュ博士が妊娠検査をアンナにした結果。

彼女の言う通り妊娠している事が分かった。

「まさか?二人目?なんて的中率だ!

人間よりもこいつの方が繁殖力に優れているとは。」

アッシュ博士もこの結果に流石に驚きを隠せずにいた。

通常人間の女性の卵子は卵巣から左右交互に一回噴出される。

そして卵子の受精可能な期間は排卵されて8時間で老化する。

つまり選び抜かれた最高の卵子が受精可能な訳だ。

勿論、精子もあらゆる困難を乗り越えて最後の2億から3億の内の

たった一つだけ選ばれた精子のみ卵子と受精する。

しかし仮に受精して子宮壁に床着するのは3分の1の確率だ。

つまりほとんどは着床せずに終わってしまう。

一体?スーパープレイグクローラー精子はどうなっているのか?

『新型T-エリクサー(仮)ウィルス』はどのように人間の卵子精子の授精に

作用しているのか色々調べてみる価値はあるだろう。

だからまずはあのスーパープレイグクローラーをあの飼育室かでは無く

広大なしっかりとしたセキュリティと研究設備の整った専用の研究室と

隔離部屋に移す必要がある。実際に飼育員達が

「スーパープレイグクローラーの世話はもうしんどいし、手が付けられない。」

「もう別の場所へ移して欲しい」「もう無理だあっ!」

「産休する女性飼育員や怪我人が今後増えると人手不足になって困る」

「他のBOW(生物兵器)達の世話に集中出来ない。」

「プラントデッドの世話以外は無理」と言った苦情が

アポロの相談プログラムに投稿されているとの事だ。

しかもHCF上層部にまで女性飼育員達が電話で直接苦情の

連絡が大量に集まっているとの事だ。早急に対処しなければなるまい。

さて私は事故とその対応とスーパープレイグクローラの

私の個人的な意見とアンナの診察結果をまとめて報告書にして

HCFの上層部に提出しないと。

アッシュ博士はすぐさま自分の机の上の銀色に輝く大きな

ディスクトップパソコンのスイッチを押した。

パソコン起動後、アッシュ博士は直ぐに作業を始めた。

彼は両手でマウスを操作して文章作成ソフトを起動させた。

そしてキーボードを世話し無く指で叩き、文章をパソコンの文章作成ソフトの

白紙にローマ字で書き始めた。しばらくアッシュ博士は文章の作成に没頭した。

その間、ずっと医療室は静かだった。一方ベッドの上で横になっていた次郎は

エレナが眠って、アンナが眠った事にも気付いた。

そして自分も丁度、瞼が重くなってきたので眠ろうと思った。

だが次郎は不意に何かに気付いてしまい途端に眠れなくなった。

両目がぱっちりと開いた。更に心臓の鼓動が急速に高鳴った。

彼は顔や耳を真っ赤にした。彼は気付いてしまった。

スウェーデン人の美女のアンナとロシア人美女のエレナが眠っている

ベッドがあり、その中央に自分のベッドがあると言う事を。

やばい!美女2人にサンドイッチされて全然ドキドキして眠れないっ!!

思いっきり挟まれてるぞ!!私!!

アッシュ博士はディスクトップパソコンの文章作成ソフトを使って

事故とその対応とスーパープレイグクローラーの私の個人的な意見と

アンナの診察結果をまとめた報告書が完成した。

その頃、ベッドの上で次郎、エレナ、

アンナは夢の中で静かに寝息を立てて爆睡していた。

アッシュ博士はディスクトップパソコン内で完成した報告書の文章に

誤字・脱字が無いかしっかりと確認した後にHCF上層部全員にメールで

彼らのそれぞれのパソコンのメールソフトに送信した。

その報告書の文章は以下の通りである。

「T-ウィルス系統のウィルスを投与された

昆虫は大体は『BOW(生物兵器)』として

命令を聞くだけの知能が維持出来ないばかりか知能が発達するどころか退化したり。

知能の発達が見られず失敗作とされた事例が多いがこのスーパープレングクローラー

なんと人間らしき知能の発達が見られ、簡単な言葉の理解における学習テストの結果、

少なくともハンターレベルまでの簡単な言葉を理解し、単純な命令なら

的確に遂行出来るようだ。またプレイグクローラーは過去にアンブレラ社が

飼育係に世話させたハンターαと同様に生きた豚を長い間、遊んだ後に

食い始めると言う本来のプレイグクローラーには見られない行動をしている。

これによりスーパープレイングクローラーはハンター並みの知能があり、

しかも甲殻の発達と外骨格の強化によりハンドガンやショットガンを

数発弾き返す程の強度を得ている。強度低下による弱点は無いものの

唯一の弱点は硫酸と柔らかい腹の部分だろう。

そして最近ではこのプレイグクローラーと人間の女性と

交尾して妊娠させた胎児達、つまり昆虫人間達(だがどちらかと言うと人間寄り)

をベースとした新型ハンターの研究開発話が

HCF上層部や研究員の間で噂されていた。

私もその子供達を更に遺伝子改良するとかクローン生産するとか。

「コストの問題はどうかは私も専門じゃないので分からないがうまく行けば

HCFの新たな主力戦力商品に成りえるだろう。」

 

(第12章に続く)