(第3章)更なる取引交渉

(第3章)更なる取引交渉

 

リー・マーラはミルトンに更に取引の交渉の話を続けた。

「我々HCF女性隊員達を捕らえて十分満足したのですから。

今回は通常の取引と行きましょう!!」

リーの無表情で淡々と話しを進めた。

「大体!レオナ・ポートマンだけで貴方が満足するとは思えませんが。

きっと他の女性隊員ともしたのでしょう?」

そしてピエロ型宇宙人のリーダーのミルトンは

ウソがバレて「クソっ!」と舌打ちした。

悔しそうな表情をした。続けてリー・マーラを茶色の瞳で見た。

ミルトンはしばらく黙って何かを考えていた。

くそっ!どうする?このままじゃ!この女は俺のものにはっ!くそっ!駄目だ!

何も思いつかんぞ!クソっ!畜生め!畜生!

「フッ!まあいい!だが優秀な人間の遺伝子が欲しいのだ!

我々は過去に何度も地球へ来たが最近とは言っても1998年にアメリカの大学町

にて保安官の手によって宇宙船如くラウンジラは爆破されちまった!

2000年に再度地球へ来た時にクラウンジラの細胞を回収して

ようやく胎児まで復元できた。しかし復元出来たクラウンジラは

本来の生命体として不完全で成長しても繁殖能力は全く無かった。つまり失敗作だ!

そこで我々はより繁殖能力が高く美しい生命に溢れた人間の女性の卵子が必要なのだ」

「それで私の遺伝子と卵子が欲しいのね!」

リー・マーラはミルトンの話を聞いてピエロ型宇宙人の目的を理解した。

「その道化王クラウンジラを復活させたいのですね?」

リーは真剣な表情でミルトンの話を聞いていた。

ミルトンはゆっくりと醜いピエロの顔をリーに近づけた。

そして口に咥えているエクレア型の葉巻を口から離した。

続けて地面に落として煙草の火を消した。

ミルトンが煙草の火を消す為にしっかりと

足で踏みつけた事をリーは確認したあと質問した。

「何故?煙草の火を消したの?」

ミルトンはさも当たり前のようにこう答えた。

「人間の女が妊娠中はタバコの火は毒なんだろ?」

「それで人間のルールを守っているんですか?」

「ああ、そうさ!俺達はある程度!ルールは守っているさ!!」

リーはミルトンの少々威張った表情をしばらく見ていた。

リーとミルトンはお互い沈黙していた。やがてリーはこう答えた。

「そんなに私の遺伝子と卵子が欲しいのですか?」

ミルトンはフフッと不敵に笑い、大声で言った。

「そうさ!今回はその為に6ヶ月間、君を借りるつもりだった!」

「そうですか!確かに私はセックスの経験も妊娠も出産の経験もあります。

反メディア団体ケリヴァーのメンバーはどうでしょう?やはり私の方が良いと?」

「そうだ!その方が良いな!私も君を一番気に入ってる!」

ミルトンは口元歪ませ、邪悪な笑みを浮かべた。

「6ケ月となると私はしばらくHCFを離れないと・・・・」

リーは両腕を組んでスケジュールを考え始めた。やがて静かに口を開き始めた。

「ではこうしましょう!私はクラウンジラ(道化王)の復活に必要な卵子

遺伝子と子宮を貴方達に提供しましょう!その代わりに通常の取引に加えて

反メディア団体ケリヴァーの男性5人と女性5人の取引。

そして捕えた保安部隊の女性隊員を全員解放して下さい!」

「要求が多くないか?」

「いいえ!充分です!男性隊員達を貴方の食料として

提供します!代わりに女性隊員を返して下さい!」

「グヌヌヌッ!それは人間の言う『屁理屈』と言うのでは?」

「そうかも知れませんがこの取引内容でなければ私は取引しません!

貴方達のクラウンジラ(道化王)復活計画にも参加しませんよ!

このまま何も得ずにここを去りますか?それにこのままでは・・・・」

リーが言いかけた時、急にミルトンがゲラゲラと笑い出した。

急に笑い出したのでリーは面食らった。

「何?何がおかしいんですか??私は真面目に!!」

するとミルトンは笑いを堪えながら右手をぶんぶん振った。

「あーあーあー失礼!失礼!あんたが『一児の母』で。

『尻軽女』じゃない事は俺だって良く分かったさ!さっきのはちょっとした冗談さ!

それに一応あんたにも言っとくが特に保安部隊隊長のブレスの旦那さんとセキュリティ

部門の連中にな!!あんた達のセキュリティはガバガバだぜ!まるでザルだ!」

「おい!コラ!待て!それはどう言う意味だ??」

ブレス保安部長はミルトンに狂犬のように噛みついた。

するとミルトンは邪悪な笑みを浮かべた。

「さっきのクラウンジラ(道化王)の復活の話だが。

俺達はリー・マーラを手に入れるのは難しいと今分かった!

だからさっき他の小型UFOから連絡があってな!!」

ミルトンは耳に付けている小型の飴玉の形をしたイヤホン型の通信機を見せた。

「あんたの研究所の屋上で侵入者を見張っている警備員の女で優秀な遺伝子と

健康でしかも生殖能力のある20代の女性を捕らえたんだよ!取引前に!」

「はあーふざけんな!いつの間にそんな事を!」

「ハハッ!だから最初、マルフォス隊長達が俺達の

サーカスのテント型UFOに肝試しとやらで入ってきた時はマジで焦ったぜ!!

早くもバレて奪い返されるかと思ったぜ!」

そういってミルトンはクスクス笑い続けた。

これで彼らがサーカスのテント型UFOに侵入したマルフォス達を

大慌てで必死に探してなかなか見つからずに苛立っていた理由がはっきりとした。

彼らは取引前に予め捕らえておいたHCFの20代の女性をマルフォス達に

よって奪い返される事を恐れていたのである。

「そのアメリカ人女性で名前はウルフって名前だったな。」

「ウルフさん!貴方達いつの間に??」

「これから俺自身をあんた達が提供してくれた遺伝子操作とやらで

道化王クラウンジラの遺伝子を利用して改造するんだ!そのあとは!

たっぷりとそのウルフの子宮に俺の遺伝子と今度は

道化王クラウンジラの遺伝子を含んだ精子を注入させて!

それで妊娠させる!そして彼女はクラウンジラの母親となる。

勿論!こちらでちゃんと面倒は見るし!調教もさせて貰うぜ!さーてと。

こちらはセキュリティーのガバを親切に教えてやったんだ!

あとはその見返りとして公式の取引だぜ!ブレスの旦那さんよおっ♪♪」

弾むような声でミルトンはリーとブレス保安部長の答えを待った。

「分かりました!それで取引しましょう!今後セキュリティの強化を・・・・」

そう言いかけた時、急にブレス保安部長が遂にリー・マーラに噛みついた。

「おい!こらあっ!まてえっ!いいのか?本当に?相手は凶暴な奴らだぞ!」

ブレス保安部長の怒鳴り声を聞いていたミルトンはおかしくなりクスクスと笑った。

「おやおや?ブレス保安部長!あの敵の反メディア団体ケリヴァーの

メンバー達じゃなく!お仲間のウルフさんに感情移入しているのかい?」

「うるさい奴だ!頼むリーあんな奴の為にウルフを差し出すな!

彼女も俺達の仲間なんだぞ!!確かに彼女は成人だ!

法律では確かにセックスはいいだろう!でも!はっきりと言って!君は仲間を

大切にしない!とりあえずHCFを裏切ったライザー医師の件は仕方が無いにしても!

今回の君の行動はおかしい!!何故?裏切ってもいない仲間を簡単に見捨てるんだ?

よく考えろ!頼むから助けてやれよ!おい!リー!リー!」

「悪いけれど!今、くだらない茶番をしている場合じゃないのよブレス保安部長!

ここで取引を駄目にしたら!連中はまたスパニッシュハーレムや

1998年のアメリカ大学町の時のように人間をまた大勢襲って食料にされて

次々とサーカスのテント型のUFOのに連れ去られる事になる。この取引が始まる前に

ちゃんと説明した筈!私達が!HCFがあのピエロ型宇宙人と取引して!一ケ月に一回

繁殖用の人間の女と食料の人間の男を提供する!代わりに彼らの幼虫やポップコーン卵

を彼らから貰っている!!そうする事で連中はニューヨークや全米全土の人々を

無闇に襲ったりしなくなった。ダニア博士はそれを狙って彼らと取引しているのよ!

つまり取引は我々が続けなければ彼らはニューヨーク市内や全米全土の

多数の人間の男と女を捕えて人類の数は大きく減るかも知れない!

連中と交渉して『我々HCFが食料となる人間の男と繁殖の為の人間の女を

提供すればニューヨーク市内や全米全土の人々は安全に暮らせるのよ!

これは秩序なの!闇取引なの!表舞台でやるとは違うのよ!ちゃんと分かってる?」

「ああ、もちろん!ちゃんと頭で分かっているさ!

でも!あいつの顔をよく見ろよ!よく見てくれよ!」

ブレス保安部長が顔も耳も真っ赤にして怒鳴りつけた。

しかし無表情から一気に怒りの表情になり、脅すようにこう怒鳴りつけた。

「お互い合意の上でHCF上層部とミルトン達が決めたの!はっきり言うけど!

邪魔なんかすれば貴方もマルフォス隊長と同じ目に遭うわよ!

隊長職を追われたいの?彼みたいに!!」

 

(最終章に続く)