(第61章)ネメシス

(第61章)ネメシス

 

今!それすら満足できぬと言うのか?ジル・バレンタイン?まあーいいか。

マルセロ・タワノビッチ事、ドクターリーパーはそう思ってはみたが結局は

彼の頭の中に何故?ジル・バレンタインラクーンシティの英雄である名誉があるにも

関わらずアルバート・ウェスカーのように歴史を繰り返そうとしているのか?

それは何よりジョン・C・シモンズ、魔王ホラーベルゼビュートに一体?

何を吹き込まれたのか?結局これらの謎は彼の頭に頑固に居座るように残り続けた。

4年後の『R型暴走事件』が起こり、事件後の一ケ月の月日が経っても決して

解ける事無くずっとずっと頭の中に残り続けた。彼にとってもこれが

最大の謎だと思っていた。しかもタチの悪い事にこれが決して解けない謎としてー。

いつかちゃんと解ける日は来るのだろうか?もしかしたら永遠に来ないかも知れ無い。

これ以上、考えても仕方あるまい。私は解けない謎を考えている余裕は無い。

『R型計画』が始まる4年後に備えて色々準備をしなければなるまい。

彼は解けない謎はとりあえず頭の片隅に置いておくとして『R型計画』の下準備を

すべく魔王ホラー・ベルゼビュート事、ジョン・C・シモンズの自室を失礼した。

それから彼は秘密組織ファミリーの本部のジョンの大きな

屋敷の地下にある極秘研究所へ戻った。

地下にある超極秘施設ではいわゆる悪魔や異教の神々の生態や役割を初め。

第3の世界(真女神転生Ⅳファイナル・ロウルート)からもたらされたマグネタイド

(生体磁気)や人間に感染させて悪魔化させるデモニックジー

(悪魔遺伝子)の研究が日々行われている。

そして今はデモニックジーン(悪魔遺伝子)の人間から悪魔に進化させる

カニズムを全て解明し、ゲノム解析も完了していた。

そしてデモニックジーン(悪魔遺伝子)に対する抗体物質を

人工的に製造する事に成功した。これでこちら側(バイオ)の世界で

デモニックジーン(悪魔遺伝子)のパンデミックも阻止出来るだろう。

そしてあのシルクのいとこの女の子から産まれた地母神サンタムエルテは

いずれ重要な役割果たす事になろう。何せ地母神サンタムエルテは体内に

デモニックジーン(悪魔遺伝子)に対する抗体がある。

そのデモニックジーン(悪魔遺伝子)の抗体を持つ生体マグネタイド(生体磁気)

を東のミカド国の上空から散布し、そして東のミカド国全国民を支配する唯一神YHVAと大天使、天使達が仕込んだ自由を縛り付ける奴隷にする為の

爆弾のデモニックジーン(悪魔遺伝子)を体内からほとんど消滅させて

発症不可能な抗体を作らせて東のミカド国の人々を解放する。つまり奴隷解放じゃ。

これで連中は東のミカド国の国民を操れなくなる。

しかもこの抗体は人から人に感染しても人間の精神と肉体に影響は無い。

つまり実害はないから連中が声を出して我々を攻撃者と呼んだとしても誰も信用しない

じゃろうと言うのがジョン・C・シモンズ事、

魔王ホラーベルゼビュート様の魂胆じゃ!

それに・・・・・」と言いながら白いスーツの内側から一枚の写真を取り出して見た。

魔王ホラーベルゼビュート様の話によるとこの写真の怪物は天魔ヴァルティエルと

呼ばれていて。元老院付きの魔戒騎士や魔戒法師の誰もが知っているそうじゃ。

話によると天魔ヴァルティエルは神の母体『聖女』を見守る異形の天使で。

輪廻転生を司る存在であり、処刑人でもあるそうじゃ。

少なくとも放置しておいてもこちらの計画には今の所は支障は無さそうだが。

奴が現世に出現したと言う事はあの以前問題を起こした『教団』が復活したと。

しかも彼らがまた『聖女』となる人間の女の子を利用すれば。

またあの『静かなる丘・サイレントヒル』の土着神が産まれて

酷く厄介な事態になる事を危惧しておった。

なんか嫌な予感がするのう。虫の知らせかのう。

マルセロ・タワノビッチ事、ドクターリーパーは

不安そうに地下の高い天井を見上げた。

何も起こらんと良いがのう。特に4年後に。

それとマルセロ博士は自分の過去の事を思い出した。

どうやら自分もかつてのジョン・C・シモンズが魔王ホラー・ベルゼビュートに

憑依されても僅かに人間の記憶が残っていたのと同様に自分も大昔に

魔獣ホラー・クラーケンに憑依された時に残っていた僅かな記憶があった。

彼は1984年の時代。彼は実年齢の当時80歳の頃。

アメリカ合衆国のかつてのラクーンシティを拠点に表向きは真っ当な

製薬会社を装い、裏で極秘にBOW(生物兵器)やウィルス兵器を開発していた

多国巨大複合企業アンブレラ社の最年長の

遺伝子生物学及び分子生物学者の権威だった。

ドクターリーパー事、マルセロ・タワノビッチは更にウィルス病治療の権威で。

しかもアンブレラ社本社直属のヨーロッパ支部

独自新型開発計画の立案者でもあった。

つまりあのSTARS抹殺を目的にラクーンシティジル・バレンタイン

執拗に追跡した『ネメシスT型』の誕生『ネメシス計画』である。

彼は遺伝捜査のノウハウを駆使して『寄生生命体ネメシス』を

他の研究員と共に創造した。これは『NEα型』と後に呼ばれた。

『ネメシス』はBOW(生物兵器)の知能強化を目的としている。

『ネメシス』は宿主となる生物の細胞レベルで脊髄に移植された後。

Tウィルスを取り込んで増殖して独自の脳を形成後に脳機能を支配するが如く

中枢神経の改変を行い、宿主となった生物は全ての思考を『ネメシス』に委ねる事で

外部からあの直ぐに暴走する困った暴君『タイラント』を制御出来る筈じゃった。

ところがどっこい人生は失敗の連続じゃ。

その『ネメシス』の『寄生』が全く安定しない。

だから寄生された宿主は5分と待たずにあの世へ旅立ってしもうた。

何度も失敗を繰り返した。最初はカップラーメンと同じように

3分で宿主が死んでしもうた。それを何とか5分まで伸ばしてそれが限界じゃった。

それから。アメリカ合衆国のアークレイ研究所のアルバート・ウェスカー

名乗る男から強引な手段で。まあ実際はオズウェル・E・スペンサーの

後ろ盾が大きかった訳で。長い物には巻かれろ。

そこで『サンプル』と失敗による『生体』の

死亡例だけを羅列させた書類を送ってやった。

わしからの最悪なプレゼントじゃ。せめてもの仕返しじゃ。

やれるものなら。やればいい。

ラクーンシティに現れたネメシスT型は量産型タイラントのT103型に

ネメシスを移植して新型BOW(生物兵器)として完成したようじゃ。

つまりあのジルの宿敵は間接的にわしと仲間達が生み出した事になろう。

最後はジルの数発のマグナムを喰らって完全に停止したそうじゃな。

ついでにあの『ネメシス』の寄生を安定させた方法をその後、噂程度に耳をした。

噂によると『寄生時間』を何とか延ばす為に『女の実験体』

(のちにリサ・トレヴァーと言う娘である事が分かった。)

の異常な生命力なら『ネメシス・プロトタイプ』の寄生にも長い間、

耐えられるだろうと踏んで実験をしたが。彼女の脳に侵入したネメシスは消失。

どうやら彼女は寄生生物を完全に取り込んでしまったらしい。

そして彼女の体内で新型の自然発生型ウィルス。

唯一ウィリアム・バーキンが博士が気付きその名を『Gウィルス』と名付けられた。

こうして彼の妻のアネットと共に始まった『G計画』が始動する事になった。

わしはアンブレラ社が倒産する前に唯一の今は亡き悪の天才科学者の友人から渡された

『ネメシスプロトタイプの製造方法とその研究データ』を持ってフランスから

母国のロシアに国外逃亡した。

今でも『ネメシスプロトタイプの製造方法と研究データ』は保持している。

親友故にどうにも捨てられなかった。

じゃがアンブレア社は保身の為に特殊部隊をロシアに派遣した。

そしてわしはハチの巣にされてデータを奪われそうになった。

しかしネメシスプロトタイプの模型の入った箱が陰我のあるオブジェとなった。

結果、それが真魔界と現世の通り道のゲート(門)となり、そこから

飛び出した魔獣ホラーに憑依されて復活して特殊部隊を喰らい尽くした。

わしは直ぐにデータを持って行方をくらませてやったのじゃ。

わしは長い間、ホラーの力で顔も変えて、名前も変えてずっと人間社会に潜んでいた。

自分を追撃するアンブレラ社の殺し屋や特殊部隊を捕食して、したたかに生き延びた。

そして魔王ホラー・ベルゼビュート様に出会いー。

再び『ネメシス』の研究を利用した。

わしは魔獣新生多神連合に所属して今、現在に至ると言う訳じゃ。

それからマルセロ・タワノビッチ事、ドクターリーパーはにやりと笑った。

 

ジョン・C・シモンズ事、魔王ホラー・ベルゼビュートは自室に戻った。

それから密かに魔獣ホラー・シーチェアを特殊な魔道具を応用した

監視カメラでちゃんと自分の言う通り、目的を果たしているか細かくチェックした。

息子の魔獣ホラー・バエルと同じように行動を

監視して計画の進み具合を把握していた。

魔獣ホラー・シーチェアは生殖に必要な栄養分を手に入れる為に黒い髪。

太い眉毛に茶色の瞳。丸っこい鼻。丸顔に太った男性を捕食していた。

そいつは他の人間の若い女性を暴行して脅して大金を奪っていたゲス野郎である。

その太った男性は恐怖に怯え切っていた。

魔獣ホラー・シーチェアは太った男性の背中に飛んで組み付き、仰向けに押し倒した。

続けて鋭く硬い口吻を伸ばした。

既に巨大な蚤のような姿形がシェルエットとしてレンガの壁に

浮かんでいるのが辛うじて見えていた。魔獣ホラー・シーチェアは

太った男性の白い服と脂肪と皮膚に難く鋭い口吻を

背中に向かって深くブスリと突き刺した。

すると太った男は激痛で両眼を大きく見開き、太い声を上げ続けた。

 

(第62章に続く)