(第26章)死神の失脚

(第26章)死神の失脚

 

阿門法師も大河もスティーブンもピアーズもハンターγ(ガンマ)達に

食われそうになったハガネの騎士達を助ける為。大河は牙浪剣で切り裂き、

次々とハンターγ(ガンマ)を消滅させた。

ティーブンもゴールドガーを連射してハンターγ(ガンマ)を

次々と頭部を撃ち抜き、消滅させて行った。

ピアーズはスナイパーライフルから持ち替えて

グレネードランチャーの火炎弾で攻撃した。

そしてなるべく広い範囲の2種類のハンターγ(ガンマ)の大群を

魔導火の火炎で焼き尽くして延焼させて一気に倒して行った。

ピアーズは駄目押しと言わんばかりにロケットランチャーを使い。

手当たり次第にロケット弾で吹き飛ばして行った。

ようやく2種類のハンターγ(ガンマ)は次々と大河達によって全滅させて行った。

やがて全ての死神ホラー・タナトスの身体の一部の2種類のハンターγ(ガンマ)を

完全に全滅させる事に成功した。生き残った大河。ピアーズ。スティーブン。

ハガネの騎士達。2万人はどうにか安堵の表情を浮かべた。

死神ホラー・タナトスは自らの一部で模倣した2種類のハンターγ(ガンマ)

を殲滅させた事に獣のように吠え、腹ただしく慟哭(どうこく)上げた。

「くそおおおっ!このやろうめ!

集まった分の魂は取り込んだが!全然足りぬわあっ!」

大河とスティーブン、ピアーズ、阿門法師と生き残った2万人のハガネの

騎士達は見上げるように死神ホラー・タナトスとようやく対峙した。

「次は貴様だ!タナトス!!」と大河。

「お前を倒す!」とスティーブン。

「これ以上面倒ごとは増やしたくない!」とピアーズ。

「さてとタナトスを封印するとしよう!」と阿門法師。

更に生き残った2万人のハガネの騎士達も両刃の長剣魔戒剣を両手に構えた。

死神ホラー・タナトスは不意に空を見上げた。彼女が見上げた空は。

青空にポツンと浮かんでいる黒き月があった。

死神ホラー・タナトスは舌なめずりをした。

「フフフッ!あの黒き月の中には現世(現実・リアル)から生命を失って

分離した人間共の魂がある!あれを喰い尽くせば妾はより強いホラーとなろうぞ!」

「マズイ!あいつ黒き月の中に人間の魂を喰おうとしている!」と大河。

「食われたら!2度と転生できない!魂が死んでしまう!」とピアーズ。

「くそおっ!早く止めないと!全員本当に消えてしまう!」とスティーブン。

次の瞬間、天空からオレンジ色に輝く光線が死神ホラー・タナトス目掛けて落下した。

死神ホラータナトスはその極太のオレンジ色に輝く光線を頭上から直撃されたので。

大きくつんめのり、危うくうつ伏せに転倒しかけたが足元で両足を踏ん張り耐えた。

上空には七色に輝く円盤の上に死者となった

大勢の魔戒法師達が魔導筆を両手に構えて。

ハッ!と気合を入れ続けながら球体から極太のオレンジ色の光線放ち続けた。

極太のオレンジの光線はタナトスの後頭部と背中に当たり続けた。

彼女は飛び上がって黒き月のところへ行けずに長い間、足止めをされた。

死神・タナトスの動きが完全に制止されている間。

大河達は直ぐに計画の変更と先の続きを手早く仲間達と話し合った。

「ぐぞっ!死んでも魔戒騎士と同様に邪魔するかアアアアッ!」

死神ホラータナトスは怒り狂い吠えた。

しかし残念ながら飛ぶ事も出来ずにそのまま動きを止められ続けた。

さらに死神ホラー・タナトスは苛立ちを募らせて獣のように激しく唸り続けた。

大河、阿門法師、ピアーズ、スティーブンは武器を両手に構えた。

「ピアーズ!あのパチンコ玉のコア(核)は俺が引き出すッ!のぴの意識も救い出す!

そして光矢流星(こうしりゅうせい)で一気に仕留める!

奴を予定より早く封印する!!」

「どうやら若村秀和は予定をひとつくり上げたようじゃな!」と阿門法師。

「そうだな。阿門爺さん!俺達の手でな!」とスティーブン。

大河は合図があるまで阿門法師とスティーブンとピアーズと

生き残ったハガネの騎士達を待機させるとたった一人で魔戒馬・轟天を走らせた。

そして大河はたった一人で死神ホラー・タナトスに立ち向かって行った。

大河は轟天を走らせて砂浜の大地を疾走した。

奴は過去のシグマが製造したイデアと同じように霊獣の波動が弱点のはずだッ!!

だが!まずはのぴの意識が閉じ込められている

核(コア)を引っ張り出してしまわないと!!

大河は魔戒馬・轟天を走らせ続けて死神ホラー・タナトスに一気に接近した。

魔戒馬・轟天に乗った大河はギャロップしつつで高速で上空の

魔戒法師の死者達による法術で動きを完全に制止されてしまった

元死神にして魔獣ホラーとなったタナトスに一気に近付いた。

大河は牙浪斬馬剣をしっかりと両手で構えた。

続けて魔戒馬・轟天は金色の分厚いヒズメをバン!と白い砂浜に叩きつけた。
同時に大きく上空へ飛翔した。大河大きく気合を入れた。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

そして魔獣ホラー・タナトスの胸部の真っ赤な外骨格の皮膚に

牙浪斬馬剣の巨大で鋭い刃を叩きつけた。しかしびくともしなかった。

魔獣ホラー・タナトスは「効かぬ!無駄だあっ!」と声を荒げて叫んだ。

大河は黄金騎士の狼を象った内側の仮面で歯ぎしりして大きくなっていた。

魔獣ホラー・タナトスの真っ赤な外骨格と牙浪剣が擦れ合いバリバリバチバチ

赤いオレンジの火花が大量に散り、黄金騎士ガロの鎧に頭から大量に降り注いだ。

「フフフッ!無駄な事よ!2030年のこちら側(バイオ)の世界の現世・現実

(リアル)は今や汚れ切っておる!男性社会によってのう!

今の時代の人間共はな!太陽神テスカトリポカによって

憎悪の連鎖と将来不安とが循環する目に見えない地獄の中に囚われておる!

しかし今は我と共に人間共を新たな力へ引き上げる

太陽神テスカトリポカの『静かなる丘・サイレントヒル』の力が降臨したのだ!

我は既に真実に他のメシア一族のメシアの兄弟と

姉妹よりも早く力を得た。死神の力をのう!」

魔獣ホラー・タナトスは口元を滲ませて妖しく笑って見せた。

更に彼女は大河に向かってねっとりとした美しい音色で話し始めた。

「そして太陽神テスカトリポカによって我が『ニュクス形態』となり。

こちら側(バイオ)の世界・現世に訪れる事が出来れば

全ての人間の苦しみから完全に開放される。

しかし太陽神テスカトリポカの真実に触れながら救いを理解出来ぬ!

哀れな人間共!そう貴様ら魔戒法師と魔戒騎士!闘い続ける人間!

若村秀和!反メディア団体ケリヴァーやユーチューバー共だ!

貴様らはその全ての神の力を個人の私利欲の為に悪用しているのだ!

もう!諦めたらどうだ?そして現在!約束の場所は『聖ミカエル病院』と言う

名前の塔にある!我はそこから来訪しよう!恐れる必要は無いのだ!

全ての人間は等しく救済されて皆楽園で母子共に安息できるのだ!

我こそが!太陽神テスカトリポカこそ人間の希望なのだ!来るべき刻を待てばいい!」

「その希望は偽りに過ぎないッ!死を待つなど私には出来ない!」

大河は牙浪斬馬剣の持ち手に更に力を込めた。

魔獣ホラー・タナトスは大河をまるで母親が子供をなだめる様に優しくこう言った。

「何も心配しなくともいい。ただ待ち続ければいい。

愛する妻の冴島りんと共に転生したくないか?転生すれば無事に楽園で再会出来よう!

勿論、息子にも会わせてやる!これは革命である!

大きな波のうねりによるものな!先行きの分からぬ未来を救えるのは

太陽神テスカトリポカと我と『ネガブドネザルの鍵』

を持つ人間の女の救世主。つまり!カルキだけなのじゃ!

さあ攻撃を止めておとなしくするがいい!」

しかし大河ははっきりと力強くこう言った。

「断る!そんな救済は今の人間に必要無いッ!」と。

すると魔獣ホラータナトスはフフフッ!と笑うと話を続けた。

「太陽神テスカトリポカ様か若村秀和どちらの儀式が成功しても。

人の手で儀式が行われたとしてものう。

いずれのぴと言う人間の女は神に等しき力を手に入れて創造神に等しくなるだろう!」

「創造主。唯一神YHVA。太陽神テスカトリポカ。

それとも白痴の魔王ホラ―アザトホースか・・・・・。」

大河はのぴが人間を超えて神になる事実を冷静に受け止めつつも彼女の身を心配した。

大丈夫だろうか?人の形と心を失い元の人間に戻れなくなるのでは?

それでは大勢の人々の命が助かっても彼女一人が犠牲になる。それでは駄目だッ!

その時、再び地面の砂浜が上下に激しく揺れ始めた。

なんだ?この地震は?また若村の仕業か?

やがてバコン!バコン!バコン!バコン!と4回機械の駆動音が聞こえた。

同時に砂浜の砂が次々と宙へと高々に舞い上がり、穴が4ケ所開いた。

続けて4つの丸い黒い穴から銀色に輝く太く長い三角形の塔のような建造物が現れた。

さらに中央にいる魔獣ホラー・タナトスの全身にまるで

イカやタコの触手のようにグルグルと巻き付いた。

さらに強力な力で締め上げた。

「ぐあああああああああああああああっ!おのれええええええええっ!

妾から死神の力を。妾の肉を!ぐあああっ!ぐあっ!があがあがあ!

ぐおおおおおおんっ!ぐぞっ!若村秀和ッ!思い通りにはさせんぞ!」

魔獣ホラー・タナトスは胸部の分厚い外骨格の皮膚をガバッと左右に開いた。

そして黒いパチンコ玉のコア(核)から小さい箱を排出した。

異変を感じて離れて宙を飛んでいた轟天に乗った大河は咄嗟に

その飛んで来た箱をキャッチすると砂柱を上げて砂浜の上に着地した。

そして捕食される刹那タナトスは太陽神テスカトリポカの声を聴いた。

「はっ?太陽神テスカトリポカ様???」

(さっきのお前の発言には失望した。

やはり通常の死神ホラーにはこの大役は無理だな。

特に他の人間の言葉を借りて妄想を語り。

人間の尊厳と名誉を穢し!失言するお前に任せられん!)

やがて死神の力を奪われてただの魔獣ホラーに成り下がったタナトスの肉体は

メキメキバリバリと音を立てて全身の真っ赤な外骨格にヒビが入り始めた。

無数の触手で抵抗するも虚しくあっさりとバキバキメキメキグチャグチャ!

と嫌な音を立てて魔獣ホラー・タナトスの赤い巨大は噛み砕かれるように捕食された。

砂浜の地下深くから現れた何者かの手によって。

 

再び『赤き最果ての死の砂漠』の地下洞窟の若村秀和の第2研究所内。

のぴとクリスとドラキュラ伯爵は若村秀和の

人類補完計画を阻止すべく細長い廊下を歩き続けていた。

その時急にドラキュラ伯爵は両腕を左右に伸ばした。

「まて!誰かいるぞ!」と言うと二人を制止させた。

細長い廊下の奥に人影があった。どうやら車椅子に座っているらしい。

ウィーンウィーンと言う駆動音と共にこちらへ向かっているようだ。

しかもその姿は人間の男だった。それは黒い立派な機械の車椅子に座った

白い髪に眼鏡と赤い服を着た男だった。クリスは見覚えがあった。

「まさか?マツダ・ホーキンスさん?何故?車椅子に?」

クリスはマツダ・ホーキンスBSAA代表が車椅子に乗っているのに戸惑った。

彼は大事故をして怪我をしたと言う話も聞いたことが無いし。しかもー。

BSAA北米支部では車椅子で移動している姿などクリスもBSAA 職員もスタッフ。

エージェントもオリジナルイレブンさえも誰も見た事が無かった。

怪我してなんかいないのに?どうして?車椅子なんかに??

するとマツダ・ホーキンスBSAA代表は静かにゆっくりと語り始めた。

「そのマツダ・ホーキンスと言う名前はかりそめの名前だよ。

私もこの名は嫌いじゃないよ。私の本当の名前は・・・・・。

『STEVEN』。別の次元のパラレルワールド(並行世界)の存在する宇宙から

大いなる理(ことわり)の力を借りてここへ来た。所謂。

次元の漂流者。旅人と呼ぶべき人間の放浪者さ。

BSAA北米支部の代表となったのもこちら側のバイオハザードの世界にて

あらゆる世界の行く末を観測する為にここにいる。さてと!!

君達の世界は本来の原作の世界とは大きく異なった道を歩んでいる。

その原因は幾つか考えられるが一番有力で大きな説は2つある。

ひとつは『第3の世界・東のミカド国の世界』にて。いや正しくは。

巨大な天井の蓋の岩盤に閉じ込められた悪魔と人間が争う東京と

呼ばれた大都市で大天使メルカバーと大天使と天使軍と

光の戦士達によって悪魔王ルシファーが殺されてしまった。

さらに裏切ったナナシと言う少年の手によって無限発電炉ヤマトは暴走してしまった。

そして巨大なマイクロブラックホール『大アバドン』によって人間も

悪魔と呼ばれた異教の神々も大都市も全て飲み込み消滅させてしまった。」

 

(第27章に続く)