(第72章)天使達の本性

(第72章)天使達の本性

 

ケインナインは近くの最新式のコールドスリープ(冷凍冬眠)カプセルの

操作盤のモニター画面を起動させて他に何か罠が仕掛けられてないか慎重に

操作している内に彼はこの大きなメインコンピューターの

データファイルに『DOOP(ドォープ)』と思われる。

そう取り込んだ伝説のハッカーの『ウィッチ』のものと

全く同じハッキングデータプログラムが検出され、発見された。

「DOOP(ドォープ)はここに保管されていた旧ソビエト連邦の実験で

生み出された例の異星人と人間のDNAと融合させた生体兵器の

模倣のお手本になったのはほぼ間違いない」

とクリス隊長が呟いた通りどうやら奴らが模倣した可能性はより高まったのだった。

更に保管庫の内部をX線や赤外線や熱探知によって

ルーアンブレラ社の特殊部隊が長々と時間をかけて調査した結果。

保管庫内部には大量の男性の白衣を着た

白骨死体と真っ黒に乾いた血がこびりついていた。

それは近くの別のごみ処理場の壁や天井や床に

ギュウギュウ詰めに圧縮されていて殆どは砕けて潰れていて

形はほぼ無くなっている事が分かった。つまり身元特定は困難であると。

さらに別の区画には無数の人型の生物がネコのように身体を丸めて恐らく長い間、

休眠状態になっていると思われる例の強化改造された

異星人と人間のDNAを融合させた生体兵器の姿が確認された。

まるでクマムシのように。

更に背中には奇妙な植物の種子のようなものが生えているのが確認された。

さらに詳しく分析した結果、それはイビーの植物の球根と同一のものと判明した。

また別の幾つかの他の区画二も奴らの巣と思われる痕跡が

多数発見された為、直ぐに保管庫の突入作戦は中止された。

そして別の単独潜入に切り替える事をハウンドウルフ隊のクリス隊長に提案した。

クリス隊長は「慎重に考えた上で指示する」とだけ答えたのだった。

また保管庫付近にて回収した研究院のメモにはその強化型異星人と

人間のDNAを融合させた生体兵器『シンクレア・モンスター』達が暴走した時に

対処したと思われる悲痛なメモの内容が書かれていた。

『畜生!ラクーンシティのNEST研究所で研究されていたプラント43の

移動する果実のイビーのDNAをTウィルスを利用して組み込んで改良した

シンクレアモンスターが暴走しやがった!保管庫は地獄のような光景だ!

男性職員やスタッフや研究員は惨殺されて!

女性はシンクレア少尉よりも非道な目に遭っている!あいつは。いやあいつらは。

女性スタッフと職員と研究員の繁殖可能な若い女性を次々と交尾の末に自らの肉体と

融合したあとに急速に種子・球根のようなものを

背中に発生させて自己増殖しやがった。

マズイ!封鎖しろ!このままじゃ人類は絶滅する。奴らが種子をばら撒いたら終りだ!

もはやあいつら自体が『移動する果実』だ!種子を守る為に非常に強い生命力がある!

いいか!奴らをここから出すな!ウォルト・べイジー

「なんてこった!」とブルーアンブレラ社の特殊部隊の男性隊員は言った。

「資料によると・・・これは・・・・マズイ!」と別の男性隊員。

「クリス隊長の言う通りあれを外に出さない方がいい!」

「ええ!封鎖したままにしておきましょう!開けるのはリスクが高いわ!」

ルーアンブレラ社の特殊部隊隊長のキャリー・ペンランド(偽名)

(本名はラクーンシティ市長の娘だった

キャサリン・ウォーレンである)はそう判断した。

 

それからシン・サイレントヒルとあの神崎りょうすけが

起こした事件からかなりの日付が立った数日後。

全ての事件を終えて英雄とでも呼べるような存在となった

『おこさまぷれーと』の緑担当の『のぴ』はバサッ!と布団を自分の身体に被せた。

そして彼女はそのまま静かに瞼を閉じて、すやすやと眠った。

やがて深い眠りに堕ちて夢を見る事無く眠ったのだった。

こうして彼女は気の遠くなるような闘いは終わりを告げた。筈だった・・・・。

そして次の瞬間、また悪夢が始まった。

最初に飛び込んで来たのはガシャアアン!と大きく豪快にガラスが割れる音。

更にいつも通りだったはずの106号室の

部屋の中に何者かが侵入したような大きな物音。

鳥が羽ばたくようなバサッ!バサッ!と言う大きな音が数回。

そしてちゃきとゆいにゃとりあら達の甲高い悲鳴と泣き叫ぶ声。

もう。何が何だか分からなかった。

まさか?悪夢をループしているのでは?

しかし間もなくしてドゴン!バコン!と何かが吹っ飛ばされる大きな音。

「ちー!早く逃げて!なっ!きゃあああああっ!」

「てんし?どうして?うがあっ!」

「なにすんや!天使やろ!この!離せ!離せ!うあああっ!まて!まて!嘘ッ!」

ドゴオン!ガシャーン!と大きな激突音とガラスが割れる音が聞こえた。

彼女は怖すぎて瞼を固く閉じていた。

だから目の前は常に真っ暗なままだった。

「てんしなのに?どうして?こんなひどい事をするの??なんで・・・・・」

すると天使と思われる男の声がした。

「仕方ないのだ!神の命であり!光の正義なのだ!」

「我々正義は必ず勝つのだ!」

次の瞬間、りあらと思われる日本人女性の絶叫がのぴの鼓膜を震わせた。

同時にまたしてもバゴン!と壁が砕けるような音がした後に声が途切れてしまった。

「見つけたか?」

「ああ。例の偵察部隊からの情報だ!間違いない!」

「のぴと言う神殺し兵器を探せ!」

「破壊するのか?」

「いや生かしておけ!と言うのが大天使メルカバ―様のご命令だ!」

「他の連中は??」

「生かしてはおけない!

「やはり顔を見られた!口封じに全員始末しておこう!」

「まて!我々の命令は『のぴ』と言う名の神殺し兵器を第3の世界

真・女神転生Ⅳfinalロウルート)の東のミカド国に護送する事だ!

我々はあくまでも『のぴ』と言う名の神殺し兵器『キノッピギア』

を回収する為の偵察用小部隊の中の『神殺し兵器回収部隊』でしかない。

そもそも我々は『殺戮の天使部隊』ではない。

死んだ者は仕方が無いが。生きている者は神の慈悲として生かすことにしよう」

「しかしそれでは魔獣新生多神連合に神殺し兵器強奪計画が知られてしまうぞ!」

『キノッピギア』は最強の神殺し兵器に成り得る!

他の異教の神々に奪われぬ内にちゃんと

我々が手に入れて運用管理しなければならない!」

気が付くとのぴはベッドの上から転げ落ちてベッドの下に潜り込んで隠れていた。

目の前は瞼を閉じたままで真っ暗だったがようやくゆっくりと目を開けた。

ホテルの106号室の部屋は滅茶苦茶に荒らされていた。

「あ・・・あ・・・みんな?どこ?どこ?いない!あっ!どこなのおっ!」

のぴはパニック状態で滅茶苦茶になったベッドの下の僅かな隙間から覗き込んだ。

ホテルの106号室の床には大量の割れたガラスの破片が散乱していた。

さらにテレビのニュースで過去に見かけたウクライナとロシアの戦争の戦場の現場

そっくりのまるで戦争でも起こったかのような非現実な光景が広がっていた。

更に周囲のひっくり返った机や椅子の間から頭から出血しているちゃきが見えた。

彼女は仰向けにひっくり返っていて意識を失っていた。

机の上に下敷きとなってりあらも瞼を閉じて意識を失って倒れていた。

また突き破られた壁の穴には座った状態で失神しているゆいにゃと

折り重なるように倒れているしゅがらしき日本人女性を見つけた。

みんな・・・・まさか?・・・・いや!大丈夫!大丈夫!落ち着いて!

「ところで『のぴ』と言う名の神殺し兵器『キノッピギア』はどこにあるのだ?」

「反射的にベッドの部屋に隠れたのでは?」

「探してみよう!」

のぴは思わず声が出そうになったところで危うい所で右手で口を塞いだ。

彼女の心臓はバクバクと鳴り響き、息を殺した。

更に心臓の音は大きく変化した。

同時に彼女の心臓の鼓動は更に早く強く激しく鳴り響いた。

ドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクン!と。

のぴは匍匐前進をしないように気お付けつつもなるべくベッドの奥に引っ込んで

天使達の視界に自分の身体が入らないように注意した。

そしてベッドの隙間から『おこさまぷれーと』を襲った

天使達の『神殺し兵器回収部隊』の姿が見えた。

あいつらは私の精神世界(内なる魔界)に入り込んで『宇宙の卵』とか

言う形をしたクラゲの集団で私を全力で怖がらせに来たあの天使達だった。

実際、その彼女の推測を裏付けるようにその天使達は口々にあの話をしていた。

龍王エロース』のフリをして例のクラゲの一団と我々の東のミカド国で

住民や無数の天使達を吸って全て一つになって満月に輝く青い映像を

彼女の記憶からわざわざ再現して幻視させて怖がらせたと言うのに。」

「フィリパ・エイルハートと言う

魔術師の女と魔人フランドールの手によって失敗した。」

「できれば穏便に済ませたかったが致し方が無い。」

「我々は大天使メルカバー様の命により、彼女の強奪を命令されたのだ。」

「余り大声で話すな!人間共に話すと色々面倒だ。」

そしてのぴはエンジェル達はその『神殺し兵器回収部隊』にはいなかったが。

メンバーの中にはあのアークエンジェルとプリンシパリティやパワー。

ヴァーチャ。ソロネとケルプが見えた。どいつもこいつも知った面だ!

彼ら天使達は周囲を飛び回り、のぴを探してあっちこっちの机や棚の裏など

それなりに考えて隠れていそうな場所をひたすらすらしらみつぶしに探していた。

のぴは「はっ!」吐息を飲んで更にベッドの奥へと引っ込んだ。

彼女は涙目のままとにかく口を片手で抑えて息を殺し続けた。

もはやさっきまでの眠気も跡形も残さずずふっ飛び。

脳内にはアドレナリンの物質でたっぷりと満たされていた。

どうして?私なの?もしかして?私の神結界の力?嫌だよ・・・・・。

そして彼女の心臓の鼓動は更に早く強く激しく鳴り響いた。

ドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクン!と

「いない!何処かにいる筈だ!」

「探せ!」

「急げ!来るぞ!」

更にパワーがのぴが隠れているベッドの上まで近付いた。

彼の脚が見えた。

時々、バサッバサッ!と翼がはためく音が聞こえた。

「くそっ!やはり!あの『宇宙の賢者の石』の力か?」

「それならとっくに気付いている!強力な魔力のパルスで位置が割れる筈だ!」

のぴはずっと息を殺しながら必死に隠れ続けていた。

しかし背後から魔人フランドール・スカーレットと思わしき声が聞こえてきた。

「後ろに下がって!貴方の後ろに隠れ場の結界を創ったの!」

のぴは一瞬迷った。しかし魔人フランドール・スカーレットの言う事を信じた。

そして一気の背後へ下がると急に目の前が真っ赤に鳴ったので戸惑った。

のぴはしばらくして瞼を開けると目の前にあの金髪のサイドテールの女の子がいた。

あの魔人フランドール・スカーレットである。

のぴは歪な七色のクリスタルのぶら下げた

翼を持つ10代の小さな女の子が立っていた。

「また会ったわね!本当なら私達を貴方の冷戦に巻き込むべきじゃなかったの。

でも貴方は既に『第4神結界』まで目覚めた。

貴方の力はある意味。強大な力よ!だからこちら側(バイオ)の世界に

潜伏している唯一神側の大天使と天使達が貴方の力を欲しがっているのよ!

下手すれば我々の組織以外の別の世界の人間や異教の神々が貴方を狙ってくるわ!

だから悪いとは思っているけど今すぐまた隠れないと!」

「・・・・・・マジで?・・・・何で・・・・」とのぴは涙目で掠れた声で言った。

「それが『強大な力を持ってしまった者の運命(さだめ)』なのよ。

欲しい。要らないは関係無くね。それに大天使や天使達は常に『正義は必ず勝つ!』

と言う役割を果たす為に。今。なりふり構わず必死になっているの」

「どういう事?」とのぴは疑問に思い聞くと魔人フランドールはこう答えた。

「連中は焦っているのよ!暇空茜氏のコラボの不正会計疑惑や

私達魔獣新生多神連合が今までやってきたプロパガンダ

そして大勢の自らの欲望の為に社会のルールを破り。

好き放題暴れているネット上の不特定多数の人々の悪事が『正義』の名に

実行されている事。更に弁護士までそれに加担しているのもそうだし。

ポリコレやフェミニストを気取って黒い肌の人達や太って人痩せた人を差別して。

多様性を受け入れている筈のオタクを叩く女性達や男性達。

とにかく原因は挙げればきりがないからこれでおしまい。奴らはそんな色々な

原因に加えて私とジル・バレンタインが大天使達を何体か暗殺してしまった事。

「えっ?大天使を暗殺?!そんな事出来るの?」とのぴは心底驚いた。

「ええ。そうよ。私達組織と唯一神YHVA側の組織は今でも冷戦状態なのよ。

やはり兵器開発をする我々。唯一神YHVA側は民を先導して更なる

危険なデモニックジーン(悪魔遺伝子)を使って

遺伝子組み換えによる人体実験を行っているわ。」

「そんな事・・・・・天使や大天使や神様がやっちゃっている訳?」

のぴにはにわかに信じられない表情で呆然と魔人フランドールを見ていた。

「今、なんとなく知っている大天使と天使達の本性はこれなのよ」

魔人フランドールは「残念だけど」と付け加えた。

「とにかく貴方はもう危険な存在なのよ。人類の味方どころか敵にされかねない」

魔人フランドールが言った瞬間、突然天使パワーの声が聞こえてきた。

「おい!ベッドの上に隠れ場を発見したぞ!」

「下がりなさい!穴を開けます!」とこプリンシパリティの声がした。

「クソッ!ヤバい!見付かった!突破されるわ!急ぎましょう!」

魔人フランドールは未だに情報量が多すぎて頭の中の整理と気持ちが落ち着かない

のぴの右手をしっかりと握って真っ赤に輝く複雑に入り組んだ迷路のような

まるで病院の廊下を模倣した廊下の形の道を走って進み始めた。

やがてバリインッ!と何かが割れる音がした。

「ヤバイ!侵入されたぁっ!急いで!走って!」

魔人フランドールは急にのぴに「早く走って!」と急かした。

のぴはしっかりと魔人フランドールの右手をしっかりと握り。

とにかく訳も分からずにただただ走り続けた。

更に逃げる2人の背後から「いたぞ!」

「追跡しろ!」

「魔人フランドール貴様!」

「回収だ!急げ!」

「早くしろ!」

「大天使メルカバ―様の命令を守れ!」

天使達が自分達を執拗に追跡してくる声が聞こえてきた。

それを聞く度にのぴは身が凍り付くような思いに駆られた。

するとのぴの真横で出来るだけ小声で魔人フランドールは彼女に語り掛けた。

「貴方!メタルギアソリッドⅤってゲームってやった事ある?

私は故郷で友人と夜中までプレイしたことがあるけど!貴方は?」

彼女の質問にのぴは無言で頷いた。

「伏せて!」と魔人フランドールに声を掛けられてのぴは真っ赤な床に伏せた。

「そのまま匍匐前進で注意深く進むわよ」

のぴは魔人フランドールの指示に従い匍匐前進で真っ赤な床を這った。

「待って!安全を確認する!」と言うと魔人フランドールは少し先へ進んだ。

そして天使の追跡者達がこの先の角の出会い頭にいない事を確認したのちに

のぴに魔人フランドールは「クリア!」と言った後に先へ進むように指示した。

「私も魔力を消す!貴方もあいつらの言う事を聞かないで!

貴方の仲間をダシにして『宇宙の賢者の石』の力を利用して膨大な魔力を

放出させて位置を探ろうとしてくる筈!」と魔人フランドールは警告した。

すると案の定。天使達は『おこさまぷれーと』のメンバーをダシにして

あの手この手でのぴを挑発して脅迫して『宇宙賢者の石』の力を使わせようとした。

天使達はのぴに『宇宙賢者の石』の力を使わせて位置を炙りだそうとした。

「あの子達はもう死んだ!天に召されたのだ!」とかである。

 

(第73に続く)