(第73章)在りのままの世界

(第73章)在りのままの世界

 

更に天使達の挑発は続いた。

それはのぴを苛立たせて怒りを与えるには十分だった。

「あの子達の魂は天国にいる!我々に付いてくれば生き返らせよう!」

「はあ?ふざけんな!」と思わずのぴは声を荒げた。

透かし直ぐに魔人フランドールがのぴを一喝した。

「止めなさい!あいつらの挑発に乗らないで!」

のぴは顔をくしゃくしゃにして反論した。

「でも!あいつら!大事な親友も仲間も殺したかも知れないんだよ!許せ無いよ!」

「気持ちは分かるわ!でもあれは天使の挑発。

貴方の仲間は全員生きているわ。

既に通報した。確かに命の危険はあったけど。

直ぐにジョン様の知り合いの覇王圭介って言う日本人の男が

駆け付けて超常的な応急処置をして全員、一命は取り留めたわ!」

と魔人フランドールが咄嗟に言うとのぴは当然、彼女の言う事に疑いの目を向けた。

「本当よ!今はお願い信じて!彼は宇宙で悪名高いギドラ族・キングギドラだけど

人間の味方なの。本来の名前は黄金龍王ケーニッヒギドラらしいわ。」

と真心を込めて説得した。

のぴは半信半疑ながらも彼女の真剣な真っ赤な瞳を見て言う事を信じてみる事にした。

「分かった。信じてみるよ。」とのぴが答えると

魔人フランドールは安堵した表情をした。
「よし!じゃあ!この結界を通って外へ脱出しましょう!

ニューヨーク市内のどこかに一回貴方を隠さないと!連中はきっと諦めない!!」

「・・・・・・・・・うん」とのぴは寂しそうに悲しそうに頷き答えた。

のぴは魔人フランドールに先導されて何とかホテルの建物の形に形成された

真っ赤に輝く結界の出口からの脱出をする事に成功していた。

しかし脱出してもまだ安心は出来なかった。

まだ天使達は執拗にのぴと魔人フランドールを追跡していた。

「隠れて!」と魔人フランドールは呼び掛けた。

それからのぴは咄嗟にニューヨーク市内の

ホテルの壁の裏路地のレンガの壁に身体つけた。

更に不意に天空に何かの気配を感じた。

ついうっかりのぴは真っ黒な夜空を見上げた。

そして彼女が真っ黒な夜空を見上げるとブーン!ブーン!と

言う夜空を横切る音と共に眼光が金星の輝きを持ち。

翼を合わせて持ち羽衣の左には二十七個のエメラルドがはめ込まれ。

それは第七天使ではなく魔人フランドールと共に逃亡していた行方を

くらませたのぴを探して天空から地上を照らしていた。

「隠れて!直ぐ近くのゴミ箱にある!私の真似をして!」

魔人フランドールはゴミ箱の中に隠れた。

真似をしてのぴも同じ動きで隠れた。

「頭を下げて!」と指示されてのぴも頭を下げた。

「あいつは?」とのぴ。「スローンズのオファ二エルよ!」と答えた。

そのまま屈んだまま先へと進んだ。屈んだまま2人はゆっくりと慎重に移動した。

「とにかくライトに見つかっちゃ駄目よ!」と魔人フランドールは警告した。

それから魔人フランドールはカバーして。えーと壁に張り付いて身を隠すのよ。」

と言いながらゴミ箱から慎重に出て街の裏路地のレンガの壁に慎重に張り付いた。

見本を見せられたのぴも彼女の真似をして街の裏路地のレンガの壁に張り付いた。

直後に彼女達が立っていた場所をオフェニムルの

金星の光がコンクリートの床を照らした。

「あいつらが来るわ!急いで!」と魔人フランドールはのぴに呼び掛けた。

直後に救急車のサイレンとパトカーのサイレンが同時に聞こえてきた。

「救急車・・・みんな・・・・」と一瞬のぴが気を取られ掛けた瞬間。

魔人フランドールは慌ててのぴに大声で叫び制止した。

「ダメよ!動かないで!」と。

そしてぼんやりと行動してしまったのぴはのぴは目の前の入り組んだ

裏路地の過度の壁にプリンシパリティとパワーらしき天使の影がはっきりと見えた。

更にホームレス女性らしき人物が後退しているのが見えた。

次の瞬間、ドゴッ!と言う鈍い音と共にホームレスの身体はくの字に曲がった。

彼女の華奢な身体はレンガの壁に叩きつけられた。

その時の魔人フランドールは「こっち!走って!早く!」と耳元近くで叫ばれた。

反射的にのぴが背後を向いて立ち上がった。

ハアハアハアハアハアと激しく息を切らして全速力でのぴはダッシュした。

両腕を前後に振って走り、両腕を精一杯動かして細い道を走り続けた。

そして先で魔人フランドールは廃ビルの建物前に立ち。

のぴはとにかく早く激しく飛び込むようにその建物の中に入った。

同時に分厚い扉をバン!と閉じると近くにあった金属ロッカーを両手で掴んだ。

宙に飛び上がり、ガタンと強引に金属の長四角のロッカーを横向きにひっくり返した。

これで入り口は封鎖されてバリケードとなった。

たいした時間は稼げないけどないよりはマシだと魔人フランドールは考えていた。

だがすぐにバリバリバリと言う大きな音と共に電撃属性魔法ジオダインが炸裂した。

一気のその鉄の扉もロッカーも跡形も残さず粉々に消し飛んでしまった。

不運にものぴも魔人フランドールもジオダインの攻撃をモロに受けて

大きな爆発音と共にドオオオン!とまるでスタングレネード

まともに食らったかのように2人の身体は同時に空高く宙へ舞い上がって行った。

そのまま二人はほぼ同時に扇形に吹っ飛んで行った。

当然、彼女達はうつ伏せにドスン!ドスン!と床に叩きつけられて意識を失いかけた。

キイイイイイイイイイイイン!と長い間耳鳴りがのぴの鼓膜を震わせた。

更に頭がフラフラして目の前が真っ白になり何も見えなかった。

のぴは誰かに右腕を無理矢理掴まされる感覚に襲われた。

彼女は必死に両腕と両足を上下に無茶苦茶にばたつかせて抵抗した。

「HQ!捕獲した!回収作業に移る!次元移動ターミナルゲートを開けろ!」

「HQ!こちら側(バイオ)の世界から第3世界(真・女神転生Ⅳfinalロウルート)

に帰還する。この女は直ぐに元老院の実験室に送る以上!」

のぴは目に見えない力で身体を浮かされていた。

しかも彼女は全身に金縛りにあったように動けずにいた。

魔人フランドールはうつぶせに倒れていて

目を閉じて動かずどうやら失神しているらしい。

しかしすぐに瞼を開いて真っ赤に輝く瞳を更に輝かせたと同時に

目にも止まらぬ速さでプリンシパリティに接近した。

そのプリンシパリティの顔面に最大火力の火炎魔法攻撃を叩き込んだ。

掌から放たれた『アギタイン』は大爆発と共に

全身を焼き尽くして炭化させて消滅させた。

続けざまにパワーに氷結属性魔法攻撃の最大火力の『フブタイン』を

叩きつけてパワーを氷漬けにして粉々に破壊し尽くした。

更にアークエンジェルに対しては魔人フランドールは拳を目の前に突き出して

『きゅっとしてどかん』と呟いた。

次の瞬間。アークエンジェルは激しく苦しみ、

全身の激痛で苦悶の表情を浮かべてその場で

のた打ち回ったかと思うと内部から破裂した。

ビシャアアッ!と大量の血液が周囲にまき散らされ床も壁も天井も血に染まった。

こうしてさっきから追跡してきた天使達を止む負えず全員倒すと返り血で

魔人フランドールの顔を真っ赤に鮮血に染め上げた。

更に彼女は「行くわよ!」と指示をした。

しかしのぴは恐怖で染まり、金縛りのせいで動けずにいた。
それから魔人フランドールは右手を掲げて

天使プリンシパリティが掛けた金縛りの術をしっかりと解いた。

ドサッ!とうつぶせにのぴはまた床に落下した。

「悪いけど!立って歩くわよ!」と魔人フランドールは強引でも

倒れて立てそうにないのぴを無理矢理立ち上がらせた。

のぴは血塗れの魔人フランドールの顔を見て息をのんでしまった。

「・・・・・血・・・・うそ・・・・殺した?・・・あ・・・あ・・・」

頭がパニックになりかけたのぴを魔人フランドールは大声でこう言った。

「しっかりして!正気を保って!ここでパニックになったら悪化するわよ!」

のぴはパニックになりかけた自分をスースーと呼吸して落ち着こうとした。

だが心臓はバクバクと鼓動していてまだ興奮していた。

しかも自分の顔にも点々の真っ赤な鮮血の模様が付いているのに気付いた。

魔人フランドールは直ぐに無線で事件現場にいた魔獣新生多神連合の

魔王ホラー・ベルゼビュート事、ジョン・C・シモンズに報告した。

そして救援部隊の応援をよこす様に頼んだ。ジョンも救援部隊をよこす事を了承した。

ちなみに魔人フランドールは独断でのぴを救出したらしい。

止む負えずのぴを迎えに来た救援部隊のヘリに乗り、

何処かに隠れる事にしたのだった。

しかし『すぐに救援部隊の隊員によって天使達に襲われたおこさまぷれーとの

メンバーは全員、聖ミカエル病院に搬送されて意識を取り戻して無事だ』

と言う事を教えられてのぴはようやく魔人フランドールを

信じる事が出来きとても安心した表情となった。

それから帰りの救援隊のヘリの中で魔人フランドールは

ジョン・C・シモンズとの連絡を取っていた。

「こちらHQ!無事に『のぴ』さんを救出しましたわ!」と。

するとジョンは「御苦労!君が早く奴ら動向を察知してくれた

お陰で彼女は連れて行かれずに済んだ。礼を言う。

そして直ぐにでも『のぴ』と僕は話がしたい!大至急だ!」

「はい!分かりました!直ぐに謁見(えっけん)させます!」

その魔人フランドールとジョン・C・シモンズのやり取りを

聞いていたのぴはあからさまに嫌な顔をした。

しかし救援ヘリの行き先が魔獣新生多神連合の本部にある

屋敷行きなのを知り、観念して渋々会う事にした。

のぴは自室にいるジョン・C・シモンズと謁見(えっけん)した。

彼はいつものように長四角の机に両手を置いてじっと茶色の瞳でのぴを見た。

続けてジョンは机から小さな箱を取り出してコトッ!と音を立てて机に置いた。

続けて彼が箱を開けると緑色に輝く強い力に満ちた渦巻き型の宝珠が現れた。

「これは『黄泉の宝・泉生魂』だ。

本来は『ムスビ』の理(ことわり)の者が所持するものの筈だが。

芳賀真理と言う人物が恐らくムスビに覚醒したのだろう。」

のぴは『黄泉の宝・泉生魂』を受け取った。

さらにジョンは静かにまた口を開いた。

「やはり君も無くしてしまったようだな。

今君は大事な親友や仲間を天使達に傷付けられた痛みに

今の目覚めても眠っても悪夢にうなされている。

君は今はその痛みを憎悪と怒りで緩和しようとしている。」

ジョンはのぴの目と鼻の先まで近付いた。

「だが。それは僕も同じ!傷付けられて

差別されて排除された痛みは決して消えない!」

「もう。君は人間の本来の日常生活には戻れない。君はもう逃げも隠れも出来まい。」

のぴは茶色の瞳でしっかりとジョンに

警戒と怒りの強い瞳の眼光で殺気立ち、睨みつけた。

アメリカや中国で盛大に語られる差別のない自由な世界の創世。

ポリコレやツィフェミの愛の戦士達。そしてジェンダー平等。

日本の共産党と深い繋がりのある仁藤夢乃氏。更に唯一神YHVA。

彼らは異なる人種と同じ人種。自由と選民の政治思想を強める差別主義者の集まりだ。

大学生も大勢のポリコレやフェミニスト論者達は現存の

日本の文化や常識的な秩序のある人間社会には溶け込まずに

秩序のある常識外の遠く離れたSNSのコミニュティで暮らしている。

それぞれ異なるあらゆる国やあらゆる考えの母国(ルーツ)が

世界中の人々もアメリカ合衆国も日本も中国も韓国も含め多様な文化であり。

決してひとつではない。だがポリコレもツィフェミの愛の戦士達も

ツィフェミ二スト活動家も共産党

ジェンダー平等を訴えて日本文化の象徴のオタクやアニメや

様々な文化を排除して唯一神YHAVの『唯一絶対の正義の答え』

『正義は必ず勝つと言う答え』に妄信し。

神の国として世界を一つにしようとしている。それぞれの人々の意志をね。

つまり君や大勢の国民の人間達個人のひとりひとりを

唯一神YHVAやポリコレ愛の戦士達の唯一絶対正義であり。

唯一正しい唯一神YHVAやポリコレの愛の戦士達や

ツィフェミ二スト論者や共産党と同じものを求める。

彼らの目的は単独行動(コ二ラリズム)を求めているんだ。

だから君は独りになった所で仲間が殺されかけて君が狙われた。

今後も『静かなる丘・サイレントヒル』の影響でポリコレ活動家や

ツィフェミ二スト共が悪魔化して君の力を手に入れるべく

裏の世界で君を隙あらば何度も襲い続けるだろう。

唯一神YHVAはポリコレの愛の戦士達はツィフェミ二スト論者は

自らの言葉と文章と情報が唯一の彼らの武器だと思っている。

さあツィッターYouTubeは便利な人間の道具だ。

言葉と情報はどんなに根拠のない情報であっても簡単に拡散できる。

きっと大天使や天使共も草葉の陰で喜んでいるだろうね。

幾らでも情報操作ができ印象操作による情報統制が可能だ。

そしてそれをうまく利用すれば無意識さえも統制できるであろう。

しかし唯一神YHAVAも大天使も天使もポリコレの愛の戦士達やツィフェミ二スト

論者達も神の王国あるいは女だけの街を実現させる為に更なるシステムを

手に入れようとしている。それは君だ。」とジョンは鋭い眼光で彼女を見た。

「私はあの東のミカド国や東京が生まれる遥か昔から

あの第3の世界真・女神転生Ⅳfinalロウルート)にいた。

しかし唯一神YHVAと天使と大天使達が人間を利用して私の神性

バアル・ゼブルを踏みにじり、差別し,本来は神聖だった私は『至高の王から』

傲慢の大罪として『糞山の王』あるいは『蠅の王』の

レッテルを張りつけられて差別された挙句に私は堕落させられた。

ポリコレや共産党やツィフェミ達がオタクやアニメやゲームのキャラにしたようにな。

私は信仰も神性も全て奪い取られた。

奴らの言葉は私の中の神を殺した。

奴の言葉は『悪魔』あるいは『魔王』と呼び。

私の神霊に寄生した。

『人は国に住むのではなく言葉に国語に住むのだ。

国語こそが我々の『祖国』なのだ。』

私の神の真実は唯一神YHVAの『正義は必ず勝つ』

と言う思想にすべて奪われたのだよ。

君も同じだ!危うく奪われかけた。

アイドルと言う名の文化そのものをな。

君は親にゲームやテレビを隠された経験は?

まんまと目的を達して喜んでいる教師の笑顔を見た事は?

君が感じた怒りや憎しみと悲しさは現在も昔も同じものの筈だ!

私は唯一神YHVA。唯一神や大天使や天使達によって過去を奪われて

異教の神々や人々の心に寄生する神の言葉や遺伝子の配列に対する報復。

彼らは言葉や情報や遺伝子を利用して

『神の王国・イスラエル』あるいは『女だけの世界』

『静寂の世界』が成す国を利用して私が神として生まれた自由を殺し。

私の歩んできた神の道を殺し。

私の進むべき道を唯一神YHVAや大天使や天使達や信者達は殺したのだ。

君もいずれは同じ運命を辿るかも知れない。

ツィフェミやフェミニストやポリコレや共産党達や『ヨスガ』の連中の手によって。

しかし残念ながらそうはさせない。

私は『ヨスガ』や『シジマ』の守護神も理(ことわり)も消し去り。

本来の我々の目的である全ての宇宙や世界に巣食っている

宇宙史上最大規模の寄生虫である唯一神YHVAや大天使や天使達を根こそぎ駆除する。

そして全ての神々は息吹を取り戻し。オタク文化も息吹を取り戻すだろう。

更にアイドル文化もアニメ文化も漫画文化も息吹を取り戻す。

君達も唯一神YHVAの影にポリコレやツィフェミ活動家のような

選民思想者や差別主義者の陰に怯えなくて済むのだ。

そして異教の神々もオタク文化もアイドル文化もアニメ文化も

ゲーム文化も現在も過去も未来も勝ち取れるのだよ。

我々魔獣新生多神連合は多種多様な異教の神々やオタク達。

そしてアニメ文化やゲーム文化。漫画文化を初め。

過去から現代まで人間達が苦労して築き上げてきた無数の文化を解放する!

全ての宇宙も世界も人間達の文化は在りのままでいい!」

一方、のぴはジョンの話を黙って聞き続けたのだった。

 

(エピローグに続く)