(第6章)宿主

(第6章)宿主
 
「ジョナサン、ジム、グラップ、ボビーみんな何処行ったのよ?」
マックスが死んだ男子トイレで目玉の異生物に襲われて逃げる途中ではぐれてしまった
アシュリーは一人、何処かの倉庫の中を彷徨っていた。
しかも更に悪い事に天井には何処にも監視カメラが一つも取り付けられていなかった。
監視カメラを使って運良くあのガラス張りの素粒子加速器のコントロール室に逃げ切った
ジョナサン達に自分の居場所を知らせる事も出来ない。
ああ、どうすればいいのよ。
彼女は泣きそうな表情で暗い周囲を見渡した。
助けて。
その時、カサカサカサカサ!と言う何かが走り寄って来る小さな音が聞えた。
「えっ?」
彼女は周囲を警戒し、何度も反射的に振り返った。
さらにカサカサカサカサ!と何かが走り寄ってくる音が徐々に大きくなり、近づいて来た。
「なによ。」
暗闇から巨大な眼球が見えた。
いやっ!いやっ!と何度も首を左右に振った。
近づくたびに巨大な眼球の他の姿も大体分かった。
視神経に似た胴体に赤い4本の触手。
そしてあのマックスやグラップ、ボビーを殺したあの巨大な眼球の下部の長い口吻。
最初に素粒子加速器の広い実験室に出現した時は確か大きさは2mだった筈。
しかし今は3mまで巨大化し成長していた。
すると目玉の異生物の巨大な眼球が緑色に発光した。
同時に緑色の光線が放たれた。
緑色の光線はアシュリーの衣服に直撃した。
そして彼女の衣服を構成している物質は完全に分解され、消滅した。
彼女は裸になり、ベタッと床に尻餅をついた。
目玉の異生物は再び猛スピードで赤い視神経に似た胴体を素早い動きでくねらせ、
4本の赤い触手をまるで昆虫の前脚と後ろ脚の様にカサカサカサカサ!
と交互に前へ前へと動かし彼女に接近した。
「いやああああっ!」
アシュリーは逃げようとしたが恐怖の余り金縛りになり、その場から動けなくなった。
目玉の異生物はそのまま彼女を仰向けに押し倒した。
彼女は大きく開いた両足をバタバタと上下に動かし、必死に抵抗した。
しかし目玉の異生物は彼女の下半身に乗しかかっており、動きたくても動けなかった。
目玉の異生物は上半身を起こした。
それから恐怖で顔が歪んでいるアシュリーの顔を巨大な眼球で真上から覗きこんだ。
目玉の異生物は赤い視神経の下腹部から伸縮するゼラチン状の短い触手らしきものを伸ばした。
やがて下腹部の伸縮するゼラチン状の短い触手は彼女の膣の中に深々と挿入された。
彼女はそれを股間の辺りで感じ、「ぐあっ!ああっ!ああっ!」と小さな声を上げた。
次第に全身が熱くなり、両頬がうっすらと赤くなり、性的紅潮を見せた。
彼女はキリッとした眉を上げてしわを寄せた。
彼女は荒い息と共に大きな甲高い喘ぎ声を何度も上げ続けた。
「きゃあああん!きゃあああっ!あああっ!ああっ!あああんんっ!あああっ!」
ピンク色の乳首が起立した柔らかい大きな両乳房は
次第に大きく激しく痙攣するように何度も前後左右にブルブルブルと揺れ続けた。
やがて性的興奮が絶頂に達し、とうとう我慢できずアシュリーは
最後に甲高い喘ぎ声を長々と上げた。
そのあと彼女は眠るように両目をつぶり、ぐったりとなった。
 
ノートンとジョーダンはこの極秘研究所には監視カメラが無い場所が
6ヶ所の場所を隠し持っていた極秘研究所の見取り図で既に知っていた。
2人は誰も使われない倉庫に行く事にした。
2人は天井に監視カメラが付いていない古びた倉庫に辿りついた。
ジョーダンはドアに耳を当てた。
すると目玉の異生物の甲高い鳴き声が聞えた。
「いる!いるぞ!」
ノートンは静かにドアから離れた。
ガタンガタンと部屋の中からズルズルズル、ガタン!ガタン!と大きな物音がした。
それ以降、目玉の異生物の鳴き声は止み、不気味な程、部屋の中は静かになった。
「行っちまったか?」
「或いは獲物を求めて移動したか、もしくは待ち伏せしているのかも。」
ジョーダンはドアノブに手を掛けた。
「待って下さい!ここでドアなんか開けたら。」
「大丈夫さ、多分、移動したんだろう。」
ジョーダンはノートンが止めるのも聞かず、ドアを開けた。
部屋の中は真っ暗だった。
「おい、見ろ、アシュリーだ」
ノートンに言われ、ジョーダンは部屋の中央に裸の女性が倒れている姿を見た。
彼女はどうやら失神しているらしい。
目玉の異生物は何処に?
ジョーダンはアシュリーに駆け寄った。
ノートンは目玉の異生物を探して天井を掌サイズの懐中電灯で照らした。
どうやらダクトの中にもいない。
「いなくなったようだ。」
ジョーダンはアシュリーの上半身を抱き上げた。
「脳は?」
「無事なようだ。」
「失礼」
彼は掌サイズの懐中電灯で彼女の両目を観察した。
「大丈夫だ。失神しているだけだ。」
ノートンによればどうやら彼女は生きているようだ。
ドオオン!
誰かが古びた扉を激しく蹴り飛ばす大きな音が聞えた。
扉は長い間使われなかった為、かなり古い上に脆く、留め具が簡単に壊れた。
埃まみれの木製の床にバタンと一枚板の様に倒れた。
「気おつけろ……もしかしたら目玉の異生物がまた戻ってきたのかも?」
「ああ、分かっている」
ノートンは失神しているアシュリーを抱えた。
ジョーダンも逃げる為の出口になりそうな天井のダクトに視線を向けた。
扉が勢いよく倒れたので宙には大量の埃が舞っていた。
大量の埃が消え去り、ジムとジョナサンはゴホゴホ咳き込み、誰もいない倉庫の中に入って行った。
「君達」
さらにノートンが上半身を抱きかかえている女性を目にした時ジョナサンは叫んだ。
「アシュリー!無事だったのか?」
ジョナサンに続いてジムもそう言うと気絶しているアシュリーの元に駆け寄った。
「アシュリーは大丈夫なのか?」
ジョナサンは落ち着かない様子でノートンと身体にシーツを掛けられ
眠っているアシュリーの顔を交互に見ていた。
「大丈夫だ。気絶しているだけだ。」
ノートンはそう答えた。
 
(第7章に続く)