(第37章)成長

(第37章)成長
 
マンハッタンにある秘密組織ファミリーの本部に当たる大きな屋敷。
秘密組織ファミリーの長であるジョン・C・シモンズは翌朝一番に
パソコンの前でキーボードをいじり、仕事をしていた。
そうか。御月カオリはアルバートの血が存在する!
しかもアルバートの血は多くのウィルスの耐性を持つ。
つまりあらゆる種類のウィルス抗体が豊富に含まれている。
そして今、彼女の血液は我々の『ファミリー』が所有する
アメリカの遺伝子研究所に厳重に保管されている。ただ……。
ニャルラトホテプ・アトゥの前であんな
青臭い演技をするのはもうこりごりだ。
それに安達由美のスパイ活動の失敗も残念だった。
だが、マルセロ・タワノビッチのスパイ活動はそれなりの成果はあった。
彼はキーボードをいじり、アメリカ遺伝子研究所から送られて来た
御月製薬の魔獣ホラーを利用した生物兵器『M-BOW』。
『Tーエリクサー』の開発データ資料を表示した。
更にジョンは『M-BOW』の個体別データを表示した。
そして一番上から6番目のM-BOWの個体データを見た途端、
ジョンは穏やかな表情から一変、怒りの表情に変わった。
「カオリめ!我々同胞を!僕のザルバ(友)を!許さん!決して!僕は!」
彼は心の奥から湧き上がる強い怒りをカオリ社長に向けた。
更に強い怒りは徐々に強い憎しみに変わって行った。
彼は魔獣ホラーを利用した生物兵器
『M-BOW』の個体データとその資料を閉じた後。
パソコンの画面に御月カオリの肌色のドレスの映った写真を表示した。
不意に彼は狼の遠吠えに似た叫び声を上げた。
「ウオオオオオオン!ウオオオオオオン!
ウオオオオオオン!ウオオオオオン!」
ジョンは息を荒々しく吐き、暫くパソコンの画面の
御月カオリの写真画像を爛々と輝く水色の瞳で睨みつけた。
そこに慌てふためいて両頬まで伸びた茶髪の
メイドのメアリーが部屋に飛び込んで来た。
「どっ!どうしたんですか?さっきの狼の遠吠えは??」
ジョンは爛々と輝く水色の瞳でメアリーを見た。
「なんですか?まさか?カラコンです……か?」
ジョンは暫く爛々と水色に輝く瞳でメイドのメアリーの顔を見ていた。
ふと大きな窓を見ると太陽の暖かな日差しが射し込んでいるのに気付いた。
彼は日光下では魔獣ホラーとして本来の姿に変身して
活動する事は出来無い事を知っていた。
但し日光の当たらない暗い場所は除くが。
要は我々魔獣ホラーが活動出来るのは夜間や暗闇のみである。
しかしジョンはふと我に返り、
爛々と輝く水色の瞳は元の茶色の瞳に戻った。
「メアリーか……すまない!怖がらせてしまった様だね……。」
ジョンは申し訳ないと頭を下げた。
「あっ……いいですよ。
きっとご主人さま疲れているんですよ!今!コーヒーをお持ちします!」
「頼む……ちゃんと目覚ましはしないとな!」
「分かりました!」
そう言うとメアリーはニッコリとジョンに笑い掛けた。
続けて熱い視線を送り、微かに息を吐くと
彼の為にコーヒーを入れに部屋を出て行った。
ジョンは彼女がコーヒーを持って来るまでの間に
パソコンの画面に表示されている
御月カオリの肌色のドレスの映った写真を閉じた。
暫くしてメイドのメアリーからコーヒーカップ
受け取るとゴクゴクと一気に飲み干した。
その後、何故か急に立ち上がった後、
メアリーの両肩を掴み、椅子に座らせた。
メアリーは戸惑いの表情を浮かべた。
ジョンはメアリーのピンク色の唇にキスを交わした。
続けてメアリーの白いエプロンドレスを全て脱がせた。
その後、黒いブラジャの留め金を背中から外した。
露出したメアリーの美しい雪の様な白い肌の
大きな丸い両乳房の乳首にジョンは唇を付け強く啜った。
「あっ!ふっ!んっふっ!あっ!」
メアリーは小さく喘いだ。
ジョンはメアリーのパンツとTシャツを全て脱がせた。
何故か彼は既に全裸になっていた。
メアリーを椅子に座らせると彼女の太腿を両手で掴んだ。
そして強引に大きく広げさせた。
ジョンは腰を上下に振った。
同時にメアリーの大きな丸い両乳房も上下に大きく揺れた。
メアリーは全身の力が抜けるのを感じた。
続けて久しぶりに感じる性的快楽に強い興奮を覚えた。
彼女は茶色の瞳をうつろにし、恍惚の表情を浮かべた。
そして両頬と深い胸の谷間を紅潮させた。
彼女はだらしなく口を開け、荒々しく息を吐き、喘ぐ様な声を上げ続けた。
「ああっ!ああっ!ああっ!ああっ!
ああっ!ああっ!ああっ!ああっ!ああっ!」
ジョンは次第に獣のように唸り始めた。
「ううっ!ううっ!ううっ!ううっ!
ううっ!ううっ!ううっ!ううっ!ううっ!」
更にジョンは腰を更に速く激しく上下に振った。
同時にメアリーの大きな丸い両乳房は更に激しく上下に揺れ続けた。
メアリーは更に荒々しく息を吐き、甲高い喘ぎ声を上げ続けた。
「ああっ!ああっ!ああっ!ああっ!ああっ!ああっ!ああっ!ああっ!」
メアリーは突き上げる様な性的快楽が全身を貫くのを感じた。
そして首を左右に振り、両頬まで伸びた茶髪を左右に振り乱した。
全身から大量の汗が吹き出し、白い美しい肌を濡らした。
「あっ!あっ!あっ!あっ!もう!ダメェッ!イッちゃう!イッちゃう!」
「ああっ!ああっ!ああっ!うっ!ぐっ!僕もだっ!駄目だっ!ああっ!」
ジョンは獣の様な太い喘ぎ声を上げた。
メアリーは甲高い喘ぎ声を上げた。
性的興奮が絶頂に達したメアリーとジョンは
お互い満足した表情を見合った。
「凄く良かったわ!なんと言うか……野性的で!最高!」
「そうか……それは良かった……」
 
ジルの隠れ家。
「さて!全員そろったな!」
ザルバは軽く咳払いすると話し始めた。
「昨日の夜、お前さん達と闘った魔獣ホラーの名はクラーケン。
奴は知っての通り、非常に賢く、狡猾な策略を得意とする!
しかも奴は何らかの方法で賢者の石を体内に取り込んだようだぜ!」
「成程、やはり奴は御月製薬がそれに関わっているのか?」
「ああ、しかも厄介な事に奴は別の組織の
スパイとして御月製薬に深く関わっている!」
「でも彼はあたしの担当の精神科医だった……。
あたしは宿敵のウェスカーと言う男に薬で洗脳されて。
バイオテロに無理矢理、加担させられた事実が
あたしの心を長い間、苦しめていたの……。
でも彼の長い精神治療のお陰であたしは
ウェスカーに植え付けられたトラウマを
どうにか克服する事が出来たの……。
彼はあたしの精神を救った天使だった。」
「だが、彼はお前の全身の細胞内の
賢者の石の力を目覚めさせた魔獣ホラーだ!」
「ええ、彼は必ず討伐するわ!」
「それと!あのソフィア・マーカーの事だが。」
「そのソフィア・マーカーって一体?どんな魔獣ホラーなの?」
「前々から気になっていたけど『あの子』
ってもしかしてソフィア・マーカーの事?」
ジルは核心を付かれ、黙り込んだ。
「そのソフィア・マーカーと貴方に何の関係が?」
ジルは答えるのを躊躇しながらもこう答えた。
「あの子は……あたしの娘なの……」
「えっ?」
「はっ?」
クレアとモイラはジルの衝撃的な言葉に茫然となった。
「どう言う事なの?」
すると魔導輪ザルバは再び答えるのを躊躇したジルの代わりにこう答えた。
「正確にはソフィア・マーカーはジルの子宮をゲートに
ジルの卵子に憑依して出現した新種の始祖ホラーだ。」
「あれはあたしが産んだの!だから……」
「奴は人間を1000人、喰らい、成長する。
しかも最初のラスバルデ・カルテルと赤い霧の襲撃事件以降、目立った失踪事件は無い。だが、クレアが報告した20件よりも多いかも知れん!
それどころか……。
もうすでに1000人は喰らっている可能性が極めて高い。」
「じゃ!麻薬カルテルやテロリストを壊滅させたのも?」
「彼女の陰我を持つが故に他人に害をなす者達を
本能的に襲っているのだろう。」
「そう、あたしのバイオテロや悪人を憎む陰我。」
「人一倍、バイオテロや悪人を憎んだジルの心が
あの始祖ホラーの捕食対象を本能的に決めた!」
「でも、当たり前でしょ?テロリストも麻薬カルテル
私利欲の為に人々を大勢殺している!悪を憎むのが正義じゃないの?」
モイラは急にザルバの言い分に反論した。
「そうだな!しかし!それはあくまでも人間が決めた価値観に過ぎない!
憎しみ、怒り、嫉妬は闇の力だ!例えどんな事情、理由があるにしても!」
「じゃ!あたし達の信じる正義は何なの?」
「もう、いいわ、モイラ、あたしに気を遣わなくても。」
「でも!でも!あたしは!!自分が信じた正義が!」
「憎しみが光をもたらすと言う事は絶対に無い!」
鋼牙にそう断言され、モイラは何も言い返せず口を固く閉じた。
「話を続けよう!もちろんソフィア・マーカーの話だ!」
「ねえ、そもそもソフィア・マーカーは
1000人の人間を喰って完全に成長した後は?」
「まだ?喰い続けて大きくなるの?」
「本来、魔獣ホラーは人間を喰らい続けるのが目的だ!
しかしソフィア・マーカーは人間を喰らい続ける以外、目的がある」
「どんな?」
「奴は1000人の人間を喰らった後、シュブ・二グラスとして目覚める。
そして真魔界に戻ったシュブ・二グラスは
何万何千体もの素体ホラーの群れを
全て自らの胎内に戻し、何万何千体もの
新種のホラーとして産み出す事になる。」
「それはつまり!賢者の石を使った未知の攻撃や能力によって
魔戒騎士や魔戒法師達が魔獣ホラー達を
討伐させるのが困難になると言う事だ!」
「つまり!お前達を守るのが困難になるかもしれないと言う事だ!」
「でも?真魔界にどうやって行くの?」
「それは分らないが。もしかしたら?聖ミカエル病院を中心に
真っ黒な縞模様の少女が夢に現れた
500人の女性達と何か関係があるのかも知れん!」
「その報告だけど!実はまた増えているのよ!」
「どの位だ?」
「一万人?」
「一万人?彼女はその人間達をどうするつもりだ?」
「分らん!」
ザルバは答えつつもうーんと唸り、考え込んだ。
 
(第38章に続く)