(第44章)神殺

(第44章)神殺
 
シュブ二グラスは再び五角形の口を大きく広げた。
そして口内に真っ赤に輝く球体が現われ、
轟音と共に真っ赤に輝く熱光線が放たれた。
鋼牙はその場で力強く芝生を踏みしめ、20mジャンプした。
「うおおおおおおおおおおおおっ!」
鋼牙は雄叫びを上げ、空中で黄金騎士ガロの
鎧を纏った身体をクルリと前転した。
そして両手で牙浪剣を構えた。
シュブ二グラスの山羊の頭部の額に目掛けて一気に振り降ろした。
しかしシュブ二グラスは「ククククッ!」と笑った。
ドゴオオオン!グググッ!
凄まじい音の後、左腕の複雑に捻じれた
太い触手を鋼牙の左腹部に巻き付けた。
そして万力を込めて鋼牙の身体を締め上げた。
「ぐあああああああああああっ!」
万力で身体を締め上げられた鋼牙は全身に激痛が走った。
更に狼を象った黄金騎士ガロの鎧は大きな音を立てて軋み続けた。
バキッ!ベキッ!バキッ!
そして黄金騎士ガロの鎧のメッキが全身から剥がれ落ちた。
同時に月夜に反射し、キラキラと夜空を黄金の星の様に輝かせた。
鋼牙は全身の力が抜け、牙浪剣を手放した。
シュブ二グラスは落下した牙浪剣を
右腕の捻じれた太い触手で絡め、軽々と持ち上げた。
「ぐっ!嘘だろ……」
シュブ二グラスは右腕の捻じれた触手で捕えた
牙浪剣を鋼牙の黄金の狼の額に突き付けた。
「これで終わりじゃ!黄金騎士ガロ!」
シュブ二グラスは牙浪剣の鋭利な先端を
鋼牙の黄金の狼の額に突き刺そうと後方へ大きく引いた。
「そうはさせないわ!」
突然、シュブ二グラスと鋼牙の前にクレアが現われた。
そして自らの肩にFIMスティンガーを乗せた。
彼女はFIMスティンガーに装備されている細長いスコープで
鋼牙の腹部に巻き付いている右腕の捻じれた
太い触手の付け根に狙いを付けた。
その後、すぐさま引き金を引いた。
ヘリコプターの様な奇妙な形をしたFIMスティンガーの銃口から
ホラー封印の法術が施されたスティンガーミサイルが放たれた。
スティンガーミサイルはそのまま狙い違わずシュブ二グラスの
右腕の太い捻じれた触手の付け根に着弾し、大爆発を起こした。
同時に鋼牙の腹部に巻き付いていた右腕の
太い捻じれた触手は引き千切られ、宙を舞った。
鋼牙は捕縛から自由になり、ドンと両足で芝生に着地した。
すぐさま鋼牙は左手の太い捻じれた触手に絡み取られている
牙浪剣に意識を集中し、イメージを送った。
すると牙浪剣まるで鋼牙のイメージを
読み取ったかのように素早く動き出した。
牙浪剣はシュブ二グラスの意識に逆らい、太い捻じれた触手を
あっと言う間にスパッと切断し、そのまま
クルクルと回転しながら鋼牙の掌に収まった。
「凄い……剣が自分でやっちゃった……」
「うおおおおおおっ!まだまだ行くわよおおっ!」
クレアの隣に立っていたモイラは大きな四角形の
M202AIを右肩に乗せ、引き金を引いた。
大きな四角形の4つの穴から4発のホラー封印の
法術が込められたロケット弾が連続で放たれた。
放たれた4発のロケット弾は怯んでいたシュブ二グラスの
胸部の深い胸の谷間の真っ赤な分厚い鎧の皮膚に連続で着弾した。
同時に胸部の深い胸の谷間の真っ赤な分厚い鎧の
皮膚に蜘蛛の巣状の小さなヒビが入った。
「うっ!ぐぞおおおおおおっ!」
「やった!やった!やった!やった!」
モイラは大喜びしていたがクレアは険しい顔で
シュブ二グラスを睨みつけていた。
「マズイわ!モイラ!逃げてええっ!」
「この矮小な人間共め!
貴様らは我ら外神ホラーのマリオネット(操り人形)に過ぎぬ!
使えないマリオネット(操り人形)は
この街ごと処分してくれようぞおおっ!」
シュブ二グラスは五角形の口を大きく開いた。
口内に真っ赤に輝く球体が現われた。
するとザルバは大慌てで鋼牙やクレア、モイラに警告した。
「マズイ!あいつ!俺達や関係の無い人間達を巻き込んで
このニューヨークの街を跡かたも残さず吹き飛ばすつもりだぜ!」
「キャハハハハハハハハハッ!我に逆らう者は皆!
外神ホラーの賢者の石の力によって滅されるのじゃああああっ!」
キイイイイイイイイイイン!ドオギュウウウウウウウン!
轟音と共に五角形の口から真っ赤に輝く熱光線を放った。
真っ赤に輝く熱光線はやはり狙い違わず
クレアとモイラに向かって光速で向かって行った。
「クレア!モイラ!」
「うっ!うわあああああああああっ!」とモイラ。
「うっ!くそっ!これまでなの??」とクレア。
ドオオオギャアアアアアン!
クレアとモイラの耳に大きな衝突音が届いた。
2人の瞼は真っ赤に輝いていた。
しかし不思議と暑さも痛みも感じなかった。
暫くして二人は目を開けられるのに気付いた。
2人は目を開けた。
2人の目の前に女性の背中が見えた。
「ジル?」
「嘘……でしょ?」
ジルは両腕を組み、シュブ二グラスが放った
真っ赤に輝く熱光線を受け止めていた。
「やああああああああああああああっ!」
ジルは大きく吠えたと同時に両腕を左右に広げた。
信じられない事にシュブ二グラスの放った
真っ赤に輝く熱光線は弾き返された。
「なっ!なにいいっ!」
ジルが弾き返した真っ赤に輝く熱光線は集束した。
その後、シュブ二グラスの胸部の深い胸の
谷間の真っ赤な分厚い鎧の皮膚に直撃した。
「ぎいいいいいいやああああああああっ!」
絶叫と共にシュブ二グラスの胸部の深い胸の谷間の真っ赤な
分厚い鎧の皮膚に広がっていた蜘蛛の巣状の小さなヒビが
大きなヒビとして蜘蛛の巣状に一気に広がった。
バリイイイイイン!
ガラスが割れる様な大きな音が聞えた。
同時にシュブ二グラスの胸部の深い胸の谷間の
真っ赤な分厚い鎧の皮膚は粉々に砕けた。
そして千切れ、切断された両腕の
太く捻じれた触手と同じく完全に消滅した。
シュブ二グラスの胸部にはドクドクと脈打つ、
オレンジ色に輝く大きな心臓が露出した。
「ぐっ!おのれえええっ!まさか?外神殺しの力に目覚めたと……」
シュブ二グラスは忌々しげにジルを見た。
ジルの青い瞳は真っ赤に輝く瞳に変化していた。
金髪を帯びた茶色のポニーテールの髪も
真っ赤に輝くポニーテールの髪に変わっていた。
両頬には三角形の真っ赤に輝く模様が現われていた。
やがてジルは口元を緩ませ、ニヤリ!と不敵な笑みを浮かべた。
「今だ!鋼牙!あそこが弱点だ!」
「分かってる!」
ザルバの声に鋼牙はすぐさま反応した。
鋼牙は牙浪剣を両手で構えた。
そして芝生を力強く踏みしめ、大きくジャンプした。
「うおおおおおおおおおおおっ!」
鋼牙は雄叫びを上げ、牙浪剣の剣先を
シュブ二グラスの心臓に向け、突き進んだ。
 
(第45章に続く)