(第35章)排除と更生(前編)

(第35章)排除と更生(前編)
 
やがて美しい女性から巨大な怪物に華麗に変身したシイナは
クエントと烈花、若村を威嚇するかのように耳まで
裂けた口をバカッと大きく開いた。
そして口内から無数の牙が並んだ筒状の舌をチラつかせた。
同時に凄まじいスピードで3人に向かってどんどん前進した。
「うわああああっ!こっちに来るっ!」
「マズイ!早く逃げて下さい!今の彼女は新種の女王ヒルです!」
「おおおおっ!」
烈花とクエントはそのまま全速力で左右に走った。
一方、若村も「ひいいっ!」と小さく悲鳴を上げ、
慌てて烈花の方へ走って行った。
同時にシイナは一瞬だけ動きを止めた。
次の瞬間、瞬時にシイナは大量の土埃を巻き上げ、
一軒家程の巨体を方向転換させた。
そしてまるで弾丸のように烈花に向かって強烈な突進を仕掛けてきた。
烈花は冷静に身体を高速で側転させてシイナの突進を回避した。
シイナの一軒家程の巨体は烈花の真横の数cmの距離を通り抜けた。
ドガアアアアアアン!と凄まじい音と共に
近くの中庭の灰色の壁に衝突した。
同時に灰色の壁は粉々に砕け散り、大きく円形に抉られた。
すかさずクエントがマシンガンを両手で構え、引き金を引いた。
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!
断続的な連射音と共に放たれたマシンガンの弾丸はシイナの
一軒家程もある巨大な緑色の分厚い鎧の皮膚に直撃した。
しかし全ての弾丸は緑色の分厚い鎧により
眺弾してしまい完全に無効化された。
また両肩の巨大なオレンジ色の眼球をクエントはマシンガンで
攻撃して見たが無反応だったので弱点では無い様だ。
烈花もハンドガンの弾丸をお見舞いするがやはりクエントと同じく
全ての弾丸はやはり緑色の分厚い鎧に阻まれ、
眺弾してしまい無力化された。
「このっ!これはどうですか!」
クエントは両手で構え、グレネードランチャーの引き金を引いた。
グレネードランチャー銃口から火炎弾が放たれた。
放たれた火炎弾はシイナの分厚い鎧に直撃した。
大きな爆発音と共に一部が爆炎と煙に包まれた。
しかしグレネードランチャーの爆発の熱と
衝撃波すら完全に無力化していた。
続けてクエントはグレネードランチャー
リロードすると今度が流酸弾を放った。
女王ヒルとなったシイナの分厚い鎧に流酸弾が直撃した。
だがそれでもシイナの分厚い鎧は酸で
溶ける事も無く完全に無力化していた。
「ダメです!あの緑色の無数の植物の蛭同士が強固に結合し合って
分厚い鎧を形成しているようです!
何とかして強固な結合を緩めなければ!」
シイナは暗闇に向かって甲高い声で咆哮を上げた。
同時に巨大で恐竜の様に長く太い尻尾を大きく
ブウンと空を切り、振り回した。
「うわっ!いてっ!」
巨大な恐竜の様に長く太い尾はクエントの身体にベチンと直撃した。
クエントはそのままいとも簡単に勢い良く遠くへ吹き飛ばされた。
やがてクエントの身体は3m先の灰色の壁に
凄まじい勢いで叩きつけられた。
クエントは仰向けに倒れ、起き上がろうとしたが
背中に凄まじい激痛が走った。
「クエント!よくも!」と烈花は再び
巨大なシイナに向かってハンドガンを構えた。
すると巨大な女王ヒル化しても自我がはっきりと
残っていたシイナは烈花に語りかけた。
「この私を止められなければ!『R型』も止められないわ!」
そう言うなりシイナは再び巨大な恐竜のように
長く太い尾を烈花に向かって振り回した。
烈花は大きく空高くジャンプし、
前転しながら恐竜の様に長く太い尾の一撃を回避した。
烈花は着地してふと見ると若村が
中庭の灰色のコンクリートの上で縮こまっていた。
「おい!お前も闘え!男の癖に情けないぞ!」
「わああああっ!ふっざけんな!あんな馬鹿でかい怪物に敵う訳が!」
股間蹴飛ばしたろうか??」
「はいっ!」
烈花の凄まじい一喝により、まるでスイッチが
入った撥ね戸のように立ち上がった。
そして若村はブラックライトのスイッチを付けて、
女王ヒルのシイナを照らした。
間も無くしてシイナは突然、凄まじい激痛を
感じたのか苦痛で身体を見悶えさせた。
「うぎゃああああああっ!ぎゃあああああああっ!」
素早く烈花はブラックライトで照らされたシイナの分厚い緑色の鎧を見た。
するとシイナの緑色の分厚い分厚い鎧に成っている植物型の変異ヒル同士の
強固な結合が維持出来無くなったのか
物凄く柔らかい緑色の皮膚が露出した。
試しに烈花はそこにハンドガンの弾丸を叩きこんだ。
すると血飛沫と共にシイナの柔らかくなった緑の皮膚を抉った。
「うぎゃあああああああっ!」
シイナは激痛で甲高い悲鳴を上げた。
「よし!ダメージを与えられるぞ!」
「よし!どうにかなるな……」
若村はブラックライトを使って女王ヒルとなったシイナの一軒家程の
巨体の分厚い緑の鎧を照らすと紫色の光で照らされた部分がたちまち
植物型の変異ヒルの同士の強固な結合が
維持できず物凄く柔らかい緑の皮膚が露出した。
するとクエントはようやく千鳥足をしつつも立ち上がった。
そして柔らかくなったシイナの緑色の皮膚をみるなり、
興奮した口調で説明した。
「変異ヒルはシイナの姿に擬態化させる為に
透明に近い外皮を持っています!
日光下では紫外線が細胞を直撃する為にヒル同士の強固な結合を
維持できずに弱体化します!若村さん!
貴方の手には闇の力、シイナさんを弱める光、
ブラックライトを持っています!」
クエントは直ぐに若村の元に駆け寄った。
「照らして下さい!私と烈花さんが攻撃します!」
「わっ!分ったよ!」
それから烈花も既にブラックライトの光が弱点だと言う事に気付いていた。
彼女はグレネードランチャーの火炎弾を
確実に若村が照らしたブラックライトの
紫外線の光を受けて柔らかくなったシイナの緑色の皮膚に何度も当てた。
するとさっきの無尽蔵の耐性を持つ無傷の状態が嘘だったかのように
次々と爆炎と黒い煙と共に焦げた
無数の肉片が周囲に飛び散り、大量の血が噴き出した。
「ぎゃあああああああああっ!ぐうううううううっ!
うがああああああっ!」
シイナは怒りに満ちた獣の咆哮を上げた。
更にシイナは口内から伸びた無数の牙が並んだ筒状の口を大きく開いた。
すると口内から黄色の液体を吐き出した。
更に背中の大蛇アナコンダ程の太さのある触手の下面のピンク色の
吸盤の内側のイバラ状の棘が外側に大きく開いた。
さらに無数の吸盤の穴からまた黄色の液体を周囲にばらまき始めた。
3人は得体の知れない黄色の液体を
被らない様に広い四角い部屋を走り回り回避した。
しかもクエントが黄色の液体が落下したコンクリートの床を見た。
するとコンクリートの床はドロドロに溶けてブスブスと
煙を上げて液化してくぼみに溜まっていた。
「どうやら強酸の様です!みなさん!絶対に触れないで下さい!」
そうクエントは烈花と若村に警告した。
3人はシイナが放つ強酸の雨を上手く回避した。
シイナは背中のアナコンダ程のある触手の下面の無数の吸盤と口内から
伸びた無数の牙が並んだ筒状の口から大量の黄色の強酸を吐き出した。
そして執拗に烈花、クエント、若村に攻撃を続けた。
対して若村はブラックライトでシイナの緑色の分厚い鎧を照らした。
するとブラックライトの紫外線で緑色の
分厚い鎧の表面の無数の変異ヒル同士の
強固な結合を維持できず、たちまち緑色の柔らかい皮膚が露出した。
そこに烈花はグレネードランチャーの火炎弾を。
クエントはマシンガンの弾を連射で浴びせた。
するとグシャリと音を立てて次々と柔らかい緑色の皮膚が弾け、
周囲に肉片と大量の血を撒き散らし、深々と皮膚が裂けて行った。
シイナは怒り狂い、周囲の空気と3人の
鼓膜が激しく震える程の甲高い叫び声を上げた。
「ピイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!」
シイナの激しく甲高い叫び声に流石のクエントも烈花も若村も
動きを一瞬だけ、両手で耳を塞ぎ、動きを止めた。
その瞬間、シイナは一軒家程の巨体を方向転換させた。
続けて恐竜の様な長く太い尻尾をヴウウウンと振り回した。
恐竜の様な長くて太い尻尾は一瞬だけ止まっていた
烈花、クエント、若村の身体に直撃した。
3人はほぼ同時にトラックに撥ねられた様な強い衝撃を感じた。
そのまま3人は高速で灰色のコンクリートの床を
扇状に広がる様に仰向けのまま滑走し、吹っ飛ばされた。
3人はようやく立ち上がった。
そしてシイナの強烈な突進を立ち上がり様に烈花と若村は右側へ。
クエントは右側に全速力で走り、回避した。
そして隙を見て若村がブラックライトでシイナの緑色の分厚い鎧を照らす。
ライトの紫外線により緑色の植物型の変異ヒル同士の強固な結合が緩み、
緑色の柔らかい皮膚が露出したところを烈花とクエントが武器で攻撃する。
時々上手く当たらずブラックライトの当たっていないシイナの
緑色の分厚い緑の鎧に弾丸当たると兆弾して無力化される。
逆にブラックライトの紫外線が当たる事で露出した緑色の
柔らかい皮膚に弾丸当たれば破片と大量の血が周囲に飛び散り、
確実にダメージを与えられた。
 
(第36章に続く)