(第36楽章)神曲・G4のマウフォメーションソング(奇形曲)

(第36楽章)神曲・G4のマウフォメーションソング(奇形曲)
 
ニューヨーク市内のセントラル・パークの広場。
「観念しろ!魔獣ホラー・バエル!」
「もう!逃げられないわ!貴方の顔写真はニュースで流れた!」
ジルと鋼牙は魔獣ホラー・バエル事、赤いセダンの姿をしたアレックスに詰め寄った。
すると赤いセダンの姿をしたアレックスはしばらく黙っていた。
しかしすぐにアレックスは赤いセダンの姿のまましゃべり始めた。
「仕方がないな!変身して俺の本当の姿を見せてやる!」
赤いセダンの姿をしたアレックスは15歳の
少年の姿ではなく直接、真の姿へ変身した。
同時に全身から真っ白な蒸気がモクモクと放たれ、さらに周囲に真っ赤に輝く
賢者の石の力を持つ邪気と魔導力の強烈な衝撃波に変えて放出した。
ドーンと言う大きな音と共に鋼牙とジルは真っ赤に輝く賢者の石の力を持つ
邪気と魔導力の強烈な衝撃波を両腕で受け止めて防いだ。
2人はザーッ!と土埃を上げてセントラルパークの
広場のコンクリートの床を滑走して後退した。
そして衝撃波が止み、2人は両腕を降ろした。周囲に静寂が訪れた。
魔獣ホラー・バエルが立っていたセントラルパークの広場の
コンクリートの床は周囲を円形の輪に高熱で溶けてクレーターになっていた。
鋼牙とジルは冷静に茶色の瞳と青い瞳で魔獣ホラー・バエルを見据えた。
その魔獣ホラー・バエルの真の姿は一般にみられるコランド・プランプシー著の
「地獄の辞典」によればバエルの姿はヒキガエル、人間、猫の3つの頭に
蜘蛛の脚が多数生えていると言われている。
しかしこのモデルになったホラーはそのような姿をしていなかった。
どちらかと言うと過去にラクーンシティでウィリアム・バーキン博士が
Gウィルスによって進化したG生物の第4形態をベースにテラグリジアや
クイーンゼノビア、クイーンセミラミスの船内で目撃されたT-アビスに感染した
事で人間が変異したウーズの特徴が混じったクモ型のホラーだった。
鋼牙は素早く白いコートの赤い内側から魔戒剣の赤い鞘を取り出した。
続けてシャッ!と赤い鞘から魔戒剣を引き抜いた。
両刃の長剣『魔戒剣』は月光に照らされてキラキラと輝いていた。
ジルは青い瞳でまだ魔獣ホラー・バエルを見据えていた。
やがて魔獣ホラー・バエルは夜空に向かって甲高い声で野獣のように激しく吠えた。
「ウウッ!グウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!」
同時にジルと鋼牙の全身が大きく震えた。だが鋼牙はいつも通り無表情だった。
しかしジルは何故か楽しそうに口元を緩ませた。
「フッ!・・・・・・・・・・変身!!」
ジルが余裕の笑みを浮かべ、静かな口調で掛け声をした。
次の瞬間、腰のベルトのバックルに付いている球体の宝石が真っ赤に発光した。
すると隣に立っていた鋼牙は咄嗟に両腕を組んだ。
ズドオオオオオオオン!!大爆発と共にコンクリート
床の一部が吹き飛ばされ、円形に周囲に散らばった。
同時に鋼牙と魔獣ホラー・バエルは爆発が起こった縁の外側に弾け飛んだ。
しかも鋼牙もバエルも両脚を踏ん張り、転倒を防いだ。
ジルの全身は魔導力と賢者の石の力が含まれた真っ赤に輝く炎に包まれていた。
やがてその真っ赤な炎が消えた時、ジルは大天使カズフェルと戦った時と
同じ姿の黒い縞模様の緑の異形の戦士アンノウンに変身していた。
鋼牙は驚きを隠せない表情でジルを見た。
「まさか?たった一年でここまで賢者の石の力が……」
「やはり俺様の懸念は現実に……」
「そうよ。あたしはニューヨーク中のメシア一族に敵対する
魔導ホラー達をたくさん狩ったわ!自分一人でね!」
「だからそこまで強く!何故?そこまでして!!」
「今!そんな話をしている暇はないわよ!」
「くっ!確かに正論だ!」
ジルの厳しい声に鋼牙は柄にもなくドキッとなり、仕方がないと言った表情で
目の前の魔獣ホラー・バエルに鋭い視線を向けた。
やがて鋼牙は素早く頭上で魔戒剣をヒュッと空を切り、一振りした。
間も無くして頭上に円形の裂け目が現れた。
更に円形の裂け目から黄金の光が差し込んだ。
そして黄金の光はセントラルパークの四角い広場の中央を覆いつくした。
続けて「ゴルルルッ!」と狼の唸り声を上げた。
やがて狼を象った黄金騎士ガロの鎧を纏った鋼牙が立っていた。
黄金騎士ガロの鎧の狼を象った仮面の緑色の瞳で
もう一度魔獣ホラー・バエルを見据えた。
魔獣ホラー・バエルの特徴は以下の通りである。
頭部は巨大なハート型の蜘蛛の形をしていた。
全身は赤白い分厚い鎧のような外骨格に覆われている。
またオレンジ色に輝く8つの巨大な眼球を持っていた。
口は耳まで裂けており、更に頭部と胸部が一体化し、巨大な口となっていた。
口内には無数の巨大な鋏角を伸ばし、下顎にも4対の鋭い牙を生やしていた。
口の喉奥からピンク色の太く長い円形の下を伸ばした。
更にその先端には数百もの細かな牙を持ち、ひとつひとつが個別に稼働した。
両肩から更に巨大なオレンジ色の眼球で鋼牙とジルをギョロリと睨みつけた。
胴体も赤白い分厚い鎧のような外骨格に覆われている。
また車の形をした胴体から赤白い分厚い鎧のような外骨格に覆われた
太く長い蜘蛛の脚を10対バタバタと痙攣させながら生えた。
10対の太く長い蜘蛛の脚は赤黒い分厚い鎧のような外骨格に覆われていた。
10対の太く長い蜘蛛の脚には分厚い鎧に覆われた亀の甲羅の形をした
両手にはそれぞれ鋭利な針状の爪を生やしていた。
それはまるで骨が変形したように見えた。
お尻の部分は赤黒い分厚い鎧のような外骨格に
覆われているものの車の後部に似ている。
更に背中には黒い背骨と脇腹を覆う太く長い肋骨が完全に露出していた。
体格も鋼牙やジルよりも大きく高くなっていた。
魔獣ホラー・バエルは野獣のような吠え声を上げた。
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!」
続けて魔獣ホラー・バエルは素早く10対の赤黒い分厚い鎧のような外骨格に
覆われた蜘蛛の脚の内の2対の赤白い分厚い鎧のような外骨格に覆われた
太く長い蜘蛛の脚でしっかりと巨体を支えて、立ち上がった。
そして2本足で立ち上がった魔獣ホラー・バエルは10対の蜘蛛の脚で
獣のようなうつ伏せの状態よりも更に巨大に鋼牙とジルは見えた。
続けて魔獣ホラー・バエルは残り8対の赤黒い鎧のような外骨格に覆われた
太く長い蜘蛛の脚の先の亀の甲羅の形をした鎧に覆われた左右の両手を乱暴に
激しく上下左右に素早く振り回し、細長い鋭利な針状の爪でジルのアンノウンの
黒い縞模様の緑の鎧とガロの狼を象った黄金とオレンジにキラキラと
輝く緑の胸部をしつこく切り裂いた。この連続攻撃にジルと鋼牙は
ガロの鎧とアンノウンの鎧のメッキが一気に大量に剥がれて、
月光に照らされて緑と黄金にキラキラと輝き、まるで星々の様に散らばった。
鋼牙とジルの身体は軽く吹き飛ばされた。
続けて魔獣ホラー・バエルはさらに追い打ちをかけるように亀の
甲羅の形をした手の甲で鋼牙の右側の顔面を殴りつけた。
更にジルにはもう一つの甲羅の形をしていた右手から生えた鋭利な
針状の爪でアンノウンの鎧の胸部を刺し貫こうとした。
しかしジルは目にも止まらぬ速さで動きを読み、鋭利な針状の爪の
突き刺しをしゃがんで回避するとスライディングして自分の巨体を支えている
右側の赤白い分厚い鎧のような外骨格に覆われた太く長い蜘蛛の脚の皿に
強烈なキックを炸裂させた。魔獣ホラー・バエルはバランスを崩した。
そして自身の重みにで仰向けに倒れた。
しかし仰向けの状態のまま瞬時に空高く飛び上がった。
続けて鋼牙とジルとの間に距離を置き、再び獣の10つん這いの状態で着地した。
 
再び秘密組織ファミリーの本部に当たるジョンの大きな屋敷の地下にある医療空間。
そこは広い清潔な白いタイルに全体的に覆われていた。
中央には白いベッドがあり、天井に大きなライトがあった。
そう、そこは紛れもなく手術室だった。ベッドの上には鉄のパネルの
輪で両手両足首を拘束された日本人女性が仰向けに眠っていた。
どうやら日本人女性は麻酔で意識は無い様だ。
日本人女性は艶のあるサラサラの黒髪が2対伸びていた。
また細長い眉毛に瞼は閉じられていた。丸く低い鼻。
丸っこい輪郭の両頬。ピンク色の唇が見えていた。
またその日本人女性が眠っているベッドの傍にはジョン・C・シモンズと
ドクター・リーパー事マルセロ・タワノビッチ博士がいた。
「ドクター・リーパー今度こそ大丈夫だろうね?」
「大丈夫じゃ!張怜製薬の技術協力と助力で一週間前のあの副作用が発生しないように
改良されておる!既に人体の安全は保障済みじゃ!間違いなくのう!」
「そうか!あの危険な遺伝子。デモニックジーン。
つまり悪魔遺伝子が発現するとマズイんだ!」
「分かっておるわい!天使が人間達を奴隷にする為に
唯一絶対神YHVAや大天使が植え付けた悪魔の遺伝子の抗体を作り出す為に
BSAAが製造するよりも先に一週間前に製造したG変異株のワクチン
『ダークエンジェル』にこの遺伝子を組み込み、一週間前に捕らえた
日本女性ミユキ・スズカワに投与してG変異株とデモニックジー
(悪魔遺伝子)の抗体を作らせようとしたが。結果ワクチンの副作用で
ミユキはあの賢者石バエル細胞に感染したのと同様の症状を発症してしまい。
変身してしもうたな。ただワクチンの効果でデモニックジーンや
賢者石バエル細胞の症状は抑えられ、理性はあった。
あとやはりデモニックジーン特有の症状も出ていた。
片目だけ真っ赤に変色しており、脳内ドーパミンも多く分泌されていたのう」
そんな話を聞きながらジョンは一週間前のワクチンの副作用で
暴走したミユキ・スズカワを追っていた時を思い出していた。
ワクチンの副作用で暴走したミユキ・スズカワは手術室を脱走した。
しかも変身した彼女は全身の青い分厚い鎧の皮膚の色を変化自在に
変化させる事で周囲の景色に完璧に溶け込み、擬態して姿を隠しながら
屋敷の地下の石畳の迷路のような廊下を逃亡していた。
しかしジョンは彼女の身体から放たれる気配と賢者の石の力を頼りに追跡した。
5時間後、ようやく行き止まりの袋小路にジョンは彼女を追い詰めた。
追い詰められた彼女は擬態能力を解除して変身した姿を晒した。
変身した彼女の姿は青い鱗に覆われた三角形のトカゲに似た頭部。
左目が真っ赤にらんらんと輝き、右目が茶色の瞳をしていた。
また両手からは巨大な長い爪が10対生えていた。
彼女は背中から伸びた多数の細長い背びれを逆立てて大きく吠えて威嚇した。
ジョンはその姿がファルファレロと言う名前のハンターに
そっくりだと言う事に気付いた。
間も無くしてジョンが純粋な人間では無い。
恐らく同族と認識したのか良く分からない。
しかしミユキは不意に元の人間の女性の姿に戻った。
続けてミユキはまるでジョンに発情したかのように自らの意志で
ピンクと青のパイナップルの絵、青と緑のパイナップルの絵、
オレンジと黄色のパイナップルの絵の付いた白い下地のパンツを脱ぎ捨てた。
どうやら彼女は僕とヤリたいらしい。僕は彼女の望みに答える事にした。
 
(第37楽章に続く)