(第50楽章)時空の狭間の魔王と幽霊との変革の序曲

(第50楽章)時空の狭間の魔王と幽霊との変革の序曲
 
しばらくして教会の別の場所(つまり教会の床の上)に時空の歪みが現れ、
中から韓国人の男が現れた。その男は眠っていた。
僕はその男の意識を曖昧にして起きているかいないか分らない状態にした。
それからジョンは右掌を差し出した。やがて右掌の皮膚が十字に大きく裂けた。
間も無くしてジョンの十字に裂けた右掌の穴からぬるりと丸々と太った
真っ赤に輝く2対の黒い牙を持つクワガタムシの幼虫に似た寄生生物が出て来た。
眠っていた韓国人の男はジョンによって意識を起きているか
起きていないかどうか分からない状態で目を開け、ぼんやりとジョンと
クワガタムシの幼虫のようなものが見えていた。
「うっ!ううん!これは?何?クワガタムシ?」
するとジョンは男に向かってこう語った。
「君は人間のフリをした怪物によって裏切られ、
射殺された弱小の哀れな人の子である。
だから君にそんな非道な連中に負けない力を。特別なギフトを与えよう。
僕は僕の意志に従い、この特別なギフトを受け取らなければならない。いいね?」
それから花嫁の幽霊は韓国人の男の両肩を両手で無理矢理押さえつけた。
「動いちゃ!だ駄目よ!」と花嫁の幽霊。
「痛いのは一瞬だけだ!」と花婿の幽霊。
それからジョンは右掌の穴から真っ赤に輝く2対の黒い牙を持つ
クワガタムシの幼虫は韓国人の男の口の中に侵入した。
やがて韓国人の男はビクンビクンと全身を激しく痙攣させた。
同時に酷い痛みを感じた。やがてバチバチと視界が赤くなった。
そして意識が途絶えて目の前が真っ暗になった。
それからジョンは韓国人の男に寄生体を自らの体内に宿した後、
花嫁と花婿に元の世界に連れて行くように指示した。
そして時空の歪みに去り際にジョンは花婿と花婿の幽霊にこう言った。
「分かっているね!新しい世界を産み出すには世界が死ななければならない。
つまり自分の意志で達成した『アヤのいない世界』を殺し、
『アヤと君の妹のイヴがいる世界』を産み出す。
当然ツイスデッドや高次種族も『アヤのいない世界』で復活する。いいね?」
「分かっています!」
「本当にこれしか方法が無いのか?」
「破壊と創造、死と生は常に対極にある。
つまり破壊が無ければ創造出来ない。死が無ければ生は無い。それがこの
大いなる理のルールだ。世界を変えると言う事はそれだけ罪深い行為だ!それでも!」
「やって見せます!」
「そして俺達は自分の悲惨な運命を変える。そして新しい世界でイヴと
アヤと俺の家族が存在出来る新しい世界を作り出す。
そして後は3人で協力してその新しい世界を守って見せる!必ず!」
「よろしい!では!彼を連れて元の世界に戻りたまえ!僕はこちら側(バイオ)の
世界で君達の未来の行く末を静かに見守る。頑張りたまえ!その子と共に!」
「はい!」「ああ、うまく行くさ!必ず!」
それから花嫁と花婿の幽霊は韓国人の男をお姫様抱っこをした。
やがて花婿の幽霊は花嫁の幽霊を連れて
時空の歪みを通り、『アヤのいない世界』に戻った。
この教会の幽霊騒動はこれで解決だな。
ジョンは自分が出した成果に満足した。
やがてジョンは全ての出来事を思い出すと再び緑色に輝く
プレイステーションポータブル型の魔道具のゲーム画面に目を移した。
それから電源を切り、再び緑色に輝くプレイステーション
ポータブル型の魔道具を鍵付きの木の棚に大事にしまった。
さて!彼らが巡る幸せな結末を見るのはいつだろうか?フフフッ!
楽しみだな!今から!フフフフフッ!」
ジョンは笑いながら自室のスーツの試着や身だしなみをするのに
良く使う大きな木の縁の長四角の鏡を見た。
ジョンは再び自らの右目の眼球をらんらんと七色に輝かせた。
そしてジョンは七色にらんらんと輝く眼球をまじまじと観察しながらこう評した。
「素晴らしい力だ!ヨグソトホースの窮極の眼は。
この窮極の眼があれば僕は無敵だ!これで唯一絶対神YHVAが
定めた法と秩序を全てひっくり返せる!僕も観測の力を使える!
それにこれがあればさっきみたいにこちら側(バイオ)の世界とは別の
異世界や並行世界(パラレルワールド)の存在する多重次元に自由に干渉できる。
僕の右目と全身の細胞はヨグソトホースが持つ構造の安定しない
外神ホラーの有機物が含まれた変異型賢者の石で出来ている。
これを用いれば僕はあらゆる異世界
並行世界(パラレルワールド)の歴史を改変できる。
これを使って我々メシア一族の生息域も真魔界やこちら側(バイオ)の世界や
向こう側(牙浪)の世界以外にも僕が望んだ分だけ好きなように拡大させられる。
しかも時空の制限も無視してね。今や僕の眼球は『全にして一、一にして全』だ!
さて僕あのメシアの涙のエイリスと同等の力を得た。
そう言うとジョンは再びあの七色にらんらんと輝く眼球で
ニューヨーク市内のチャイナータウンの最奥の地下の光景を映し出した。
その光景はいわゆる異空間で時が永遠に止まっている場所である。
そうここは我々メシア一族の新たな巣穴だ。
こちら側(バイオ)の世界の若くて健康な様々な人種の女性を
狩猟者の役割を果たす魔王ホラー・アブホースがこの異空間に運び、
人間の女性と交わり、新しい真っ黒なホラーの卵を産ませる。
産まれた新たな素体ホラーは真魔界へ時空を通って送られる。
このサイクルを繰り返せばいずれはイデア』によって
激減した個体数は元に戻る筈だ!それまで頑張ってもらう!
それからジョンはその魔王ホラー・アブホースのいる時空を窮極の眼で覗き続けた。
魔王ホラー・アブホースは時空の歪みを通って赤黒色のタコに似た太い触手を
向こう側(バイオ)の世界に伸ばしていて次々とそのニューヨーク市内の
あっちこっちに出来た時空の歪みから様々な人種の女性を捕らえ、さらっていった。
そして更に様々な人種の若い女性と交わり、
どんどん真っ黒なホラーの卵を産ませていた。
ジョンはその時空の歪みから魔王ホラー・アブホースがいる異空間から
こちら側(バイオ)の世界から多数の様々な人種の若い女性を連れ去る姿を観察した。
実際、ホラー・アブホース赤黒色のタコに似た触手で先程、
向こう側(バイオ)の世界のニューヨーク市内のチャイナ―タウンの街中の
交差点辺りで茶髪の左側に白い花のリボンを付けていて。
穏やかな曲線を描いた茶色の眉毛。そして真っ赤な赤い縁の
眼鏡のレンズから覗く茶色の純粋な美しい瞳。低い鼻。
透き通るような白い肌に染めた美しい顔の輪郭と赤い口紅。
チャイナータウンの会社のオフィスで働いているOLの若い日本人女性を捕らえた。
そしてOLの日本人女性はアブホースの身体の一部である粘着質の赤黒色の
肉体にゴボゴボとまるで底なし沼のように沈んで行った。
しかしOLの日本人女性は甲高い悲鳴を上げて立ち上がろうともせず。
そればかりかアブホースの身体の一部である粘着質の赤黒色の肉体はまるで鳥もちのようにOLの日本人女性の衣服にへばりつき、どんどん身体が沈んで行ってもその
OLの日本人女性は一切抵抗をせずまるで流されるがまま自らの身体を沈めて行った。
OLの日本人女性は他の様々な人種、日本人、ロシア人、韓国人、イラン人。
ドイツ人、ブラジル人、アフリカ人、カナダ人、オーストラリア人、
中国人達と同じようにどんどんOLの日本人女性の身体は沈んで行った。
やがてOLの日本人の女性はとうとう顔半分まで沈んでしまい。
彼女は不思議と恐怖も無くただただ流されるがまま全て飲み込まれ沈んで行った。
間も無くして今度は沈んだOLの日本人女性の代わりに彼女が着ていた
衣服一式が沈んだ場所から飛び出し、時空の歪みの中へ消え去った。
続けてまた沈んだOLの日本人女性がいた場所から真っ黒な大きなホラーの卵が
ゴボゴボと泡立ち、浮いていた。それは次第に数が増えて行った。
そう一度、アブホースの身体の底に沈んだ
若い女性達はもう二度と浮き上がる事も無い。
ジョンは再び瞼を閉じた。
するとその目の前の異世界の光景も消え、目の前の鏡には
元の美しい茶色の瞳に戻った人間の顔が映し出されていた。
それからさっきの力を使って少々疲れたので自室のベッドで仰向けに寝転んだ。
ジョンは仮眠している間に夢の中でさっきのOLの日本人女性がニューヨーク市内の
チャイナータウンにある交差点の歩道をつかつかと歩き、いつもどり会社に行く
途中、突然、歩道の中央の空間が大きく歪み、同時にあのホラーアブホースの
赤黒色のタコに似た触手を素早く伸ばしてOL日本人女性の身体に何重に何度も
何度も巻き付くとそのまま強引に引っ張り、あっと言う間に
時空の歪みの中に引きずり込まれて行く過去の出来事を見ていた。
ちなみに時空の歪みが消えた後の歩道にはあのOLの日本人女性が
持っていたポーチやカバンやらが何故か残されていた。
後に時空の歪みが現れ、全ての衣服一式が吐き出されるとまた消えた。
仮眠の後、ジョンは仮眠から目覚めた。
「成程、あの行為は表現可塑性か!異物となる所持品や衣服を排除して
あのOLの日本人女性の肉体を取り込んだ。」
ジョンは上半身を起こした後に時計を見ると既に午後12時の針を指していた。
どうやらさっきの出来事は朝早くに起こったようだった。
 
ジルの自宅。
鋼牙はとにかくジルの家の中に邪美法師から教わった強力な結界を施した。
これで怪しい悪霊や魔獣ホラーの侵入は防げると鋼牙はジルの耳元で小声で説明した。
それからモトキは日本版ニューヨークタイムズ紙を開いて読んでいた。
ダーマとアリスとジル、鋼牙はニューヨークタイムズ紙を覗いた。
日本版ニューヨークタイムズ紙には英語ではなく日本語でこう書いてあった。
ニューヨーク市内のチャイナータウンを中心に怪奇現象多発か??』
ニューヨーク市内のチャイナータウンを中心に時空の歪みや
謎のタコの触手をしたUMA(未確認生物)とかつてルイジアナ州
目撃されたカビ人間(ブルーアンブレラの公式情報の発表により名前は
『モールデッド』と呼称される)の目撃が相次いでいる。
またその事件をきっかけに若い女性の失踪が相次いでいる。
さらに一部の映画ファンの目撃者によればあのリドリー・スコット監督の
『エイリアン』に登場するエイリアンビッグチャップの特徴と類似点が多く
実はこの実在した生物を偶然どこかで目撃し、それを参考に
H・Rギーガー氏がデザインしたのではないかと
噂がネットやSNSで話題となっていた。
『エイリアン実在』とか『ゼノモーフ実在』と言うハッシュタグ
付いた写真や動画も合成か本物か曖昧なものが多数出回った。
更に時空の歪みから現れた謎のタコの触手をしたUMA(未確認生物)
やそのモールデッドゼノモーフが次々と20代から30代の若い女性を
拉致していると言う情報の投稿が相次いでいた。
SNSやツイッターで写真や動画の投稿も増えている。」
「もしかして?あたしの家を通った奴って?」
「タコだかモールデッドだかゼノモーフだか不明だが。
恐らくそいつらの仕業だろう」
「モールデッド?まさか?このニューヨーク市内にいるなんて……このままじゃ!
またベイカー家のような事件が……もしも噂が本当なら大変な事に!
出来ればブルーアンブレラ社のクリス・レッドフィールドに相談しないと!」
ジルは危機感を募らせた。
 
(第51楽章に続く)