(第17章)激戦!!魔人フランドールVSエア・マドセン(中編)

(第17章)激戦!!魔人フランドールVSエア・マドセン(中編)

 

それからエアはレッドハーブとグリーンハーブの調合薬飲み、体力を回復した。

モニター画面の心電図は緑となり『FINE』になった。

しかし魔人フランドールはエアが回復したのを見計らうようにまた急接近した。

エアは両腕を組んだ。しかしエアの予想に反して魔人フランドールは

真上へ飛び上がり、赤のストライプシューズの爪先でエアの下顎を蹴り上げた。

それだけで彼の身体は真上に空高く飛ばされ、落下してまた

オレンジ色の床に叩きつけられていた。エアは咳き込みながらモニター

画面を見ると心電図は黄色になっていた。『CAUTION』と表示されていた。

しかしエアは「まだまだ戦える」と思った。

しかしその考えは甘かったと後で嫌と言う程に思い知らされた。

魔人フランドールはオレンジ色に着地した。

魔人フランドールはまたエアに急接近した。

続けて目と鼻の先で回転させながら左右の腕を振り、小さな拳を高速で動かした。

エアは「同じ手は通用しない!」と言い素早く両腕を組んでガードしようとした。

しかし魔人フランドールの左右の両腕の振りとパンチは

エアの動きを軽く上回っていた。

その為、ガードが全く間に合わずエアはそのまま同じように

右頬と左頬を交互に高速で殴られた。エアはまた左右の頬に激痛を感じた。

魔人フランドールは今度は水平に右腕を伸ばした。

同時に小さな拳でエアの胸部を殴りつけた。

エアは身体をくの字にして吹っ飛ばされてオレンジ色に輝く床に仰向けに倒れた。

エアは呼吸が出来なくなりどうにか肺に空気を入れようと深く息を吸ったが。

うまく行かず激しくむせてゲホゲホと咳き込んだ。

ようやくまともに呼吸が出来るようになった。

エアは腕の心電図を見ると既にさっきの魔人フランドールの容赦の無い攻撃で

心電図はオレンジ色となり、『CAUTION』と表示されていた。

「クソっ!」と舌打ちすると今度は緊急スプレーで体力を心電図を緑にして

『FINE』にした。そしてようやく起き上がった。

しかし魔人フランドールは両腕を伸ばしてエアの首を掴んだ後ー。

万力で喉笛を締め上げるとそのまま身体を半回転させて、エアの身体を投げ飛ばした。

エアは人形のように飛ばされてオレンジ色の床に転がった。

またゲホゲホとと咳き込んで立ち上がった。

それからエアがまた腕の心電図を見るとまた黄色の心電図となっていた。

エアは今度は油断せずグリーンハーブで『CAUTION』から

『FINE』にして心電図を緑にした。

魔人フランドールは不意にオレンジ色に輝く天井を真っ赤に輝く瞳で見た。

そして静かに口を開き残念そうな表情をした。

「ああ、もう一つの望み。僕の恋人のストークスが何故?

HCF上層部の決定で殺処分される理由は何だ?今度こそ!答えてくれ!」

「いいでしょう!さあーフィナーレと行きましょう!!エア・マドセン!!」

魔人フランドールは両腕を大きく広げた。

同時に10歳未満の女の子の全身が真っ赤に発光した。

ドギャアアン!と音を立てて、真っ赤な火柱が上がった。

続けて真っ赤な瞳は更に真紅に輝いた。

静かに魔人フランドールは右手を掲げた。

間も無くして「全てを貫け!」と言うと右手から真っ赤に輝く光の柱を放った。

魔人フランドールは強い闘気の10歳未満の女の子の全身から放った。

そして何度もピカーンと真っ赤に輝いた。

「行くぞ!意地でも聞き出してやる!覚悟しろよ!」

エアは背中の巨大な無数の剣が集合して出来た鳥の翼を大きく上下に振り、

両腕の肘を曲げて、両拳を硬く握りしめてボクシングの様に構えた。

そしていつでも肉弾戦が出来るように備えた。

 

HCFのセヴァストポリ研究所のストークスのいる隔離部屋に続く

一本道のある天井裏のダクトの中をマッドはどんどん匍匐前進で進み続けていた。

そして迷路のようなダクトを手に持っているマップを頼りに進んでいる内にとある

空き家となっている倉庫の天井裏の四角い金網に辿り付いた。

その時、ふと倉庫の天井裏の四角い金網から一人の男が両腕を組んだ

白衣の男が落ち着かない様子で倉庫の中を行ったり来たりしていた。

マッドはその人物が誰なのか分かった。

そう、最近、グアテマラから帰ってきたばかりのライザー博士がいた。

そう彼は4年前に急用でグアテマラにいたっけな?

いや、それはHCF側が用意したカバーストーリーだったな。

だから『BSAA』は未だに彼がグアテマラに逃亡したと思い込んでいる。

本当はアメリカのこのセヴァストポリ研究所にいるのに。

いないと思っているんだなBSAAやブルーアンブレラ社の連中も。

まあーいつかはバレるけれど今は大丈夫だろう。

あの『R型胎児』はBSAA北米支部の医療施設からホルム医師の手引きで

HCFセヴァストポリ研究所へ移送された。それ以降ライザー医師はずっと

『R型胎児』をコールドスリープ(冷凍冬眠)カプセルから解放して

リー・マーラと共に偽装夫婦として『R型』

の両親の役で4年間も『R型』を育てている。

でも確かにあの冴えない茶髪の男はライザー医師に間違い無いな!

そしてライザー医師の右手には銀色のジェラルミンケースを持っていた。

『新型T-エリクサー(仮)(E型特異菌遺伝子有り)』のウィルスと

ワクチンを盗み出す事が出来た。俺はこんなワンマン企業の

社員生活におさらばして莫大な金を手に入れるのさ!!!

俺はこれらの手土産を。おっと商品の売り手も決めている。

俺は『コネクト』にどの位の価格で引き取ってくれるのか交渉して

一生遊んで暮らせるだけの金ががっぽりと手に入るのさ!」

それをこの倉庫のダクトの中で聞いていたマッドは「ゲス野郎!」と悪態をついた。

ライザー医師は倉庫の床に座り、ボールペンでノートに書いた。

マッドはそれをズームでノートの内容をビデオカメラで撮影した。

「手元には『新型T-エリクサー(仮)(E型特異菌遺伝子有り)』

のウィルスとワクチンサンプル有り。

またコネクト側にはE型特異菌の遺伝子を持つ事を知らせる。

その上で書いてのコネクトに決めて貰う。駄目なら別の組織に売るまでである。」

しかしこれでライザー医師がHCFを裏切った事実の証拠は

計らずとも手に入れてしまった。マッドは直ぐにエアの事が心配であったが。

早くこの事実をHCFの保安部隊や上層部に知らせないと!!グズグズしていたら

あのくそったれは!HCFセヴァストポリ研究所から逃げおおせてしまう!!

マッドはまだダクトの左の細い道を使って

Uターンすると今度は仲間の保安部隊員のいる

保安室になるべくガタン!ガタン!と大きな音を立てないように慎重に進んだ。

更に彼はなるべく早く急いで匍匐前進して移動し続けた。

 

数時間後。

彼は盗んだ新型ウィルス兵器とワクチンを他の組織のコネクトに

無断で売りつけようとしている様子を撮った映像を見せた。

後にその映像はHCF技術分析班の手に渡った。

そしてHCF技術分析班は直ぐにライザー医師がいる書庫の位置を

特定して『コネクト』や他の組織と取引しようと特殊な加工が施された

HCFセールスマン用のスマートフォン(どこからか盗んだもの)

で連絡しているところをブレス保安部長率いる

保安部隊と彼の妻のリー・マーラが駆け付けた。

するとライザー医師はハンドガンの銃口を妻のリー・マーラに向けた。

「動かないで!さあ!一緒に逃げよう!!リー!!君とは偽装結婚だったけどね!

でも君を抱いた時、身体は最高だったよ!さあ!こいつらを全員殺して僕と逃げよう!

そして本当に結婚して真の夫婦になろう!!」

「貴方は売買の取引を進めておきながら裏切ったのよ!」

リー・マーラは一切ためらう事も無く

ファニングしながらハンドガンの引き金を引いた。

銃音は1発だったが既に2発の銃弾が銃口から放たれていた。

放たれた銃弾はライザー医師の額と心臓を撃ち抜いた。

当然ライザー医師は驚愕の表情のまま即死した。

リーがHCFを裏切ったライザー医師を射殺した後、盗まれた『新型T-エリクサー

(仮)(E型特異菌有り)』ウィルスとワクチンの入ったジェネラルケースを回収した。

またライザー医師の研究ノートも回収した。

エイダは自分の夫であるライザー医師を射殺してしまったリーを心配して話しかけた。

「ねえ・・・・・リー!ライザーの事は残念だったわね。彼は貴方の事を……」

しかしリーは茶色の瞳でエイダの方を見るとさらりとこう言った。

「別に愛していませんよ!先輩!まあーライザーは勝手にそう思っていただけですよ!

どうせ偽装結婚仮面夫婦だったんですから!」

「そっ・・・そう・・・・」とエイダは両膝に視線を向けた。

彼女はどこか残念そうな。しかも悩んでいるような表情を浮かべた。

愛する人が近くにいるのに。彼が直ぐ近くにいても気にしないなんて。

 

(第18章に続く)