(第18章)激戦!!魔人フランドールVSエア・マドセン(後編)


フランドール・スカーレットの主題によるフーガ イ短調【Fuge a-moll】

(第18章)激戦!!魔人フランドールVSエア・マドセン(後編)

 

再びルービックキューブ異世界

エアが背中の巨大な無数の剣が集合して出来た鳥の翼を大きく上下に振り、

両腕に肘を曲げて両拳をボクシングの様に構えていつでも

肉弾戦が出来るようにファイティングポーズをしていた。

魔人フランドールも空中でエアのファイティングポーズを真似した。

長い間、エアと魔人フランドールは真っ赤に輝く瞳で睨み合った。

長い間、沈黙が続いた。2人は天と地で間合いを取り、睨み合っていた。

しかしすぐに魔人フランドールはエアよりも早く動いた。

そして魔人フランドールは右腕を真上に持ち上げた。

バアン!と言う大きな音と共にいつの間にか取り出していた

真っ赤なレッドカードを天に掲げた。

「スペルカード!紅魔符ブラッディカタストロフ!」

次の瞬間、魔人フランドールの周囲に真っ赤に輝く円形の輪が現れた。

同時に真っ赤に輝く巨大な鋭利なナイフが多数放たれた。

放たれた多数の鋭利なナイフは一気に真っ赤に輝く円形の輪に沿って

エアに向かってまるで巨大な花の形をした花火のように放たれた。

それは余りにも数が多くエアは全てをどうにか回避しようと

背中の剣が無数に集合して出来た鳥の翼を自分の目の前に構えて盾にした。

しかし何故か魔人フランドールが放った多数の鋭利なナイフは

エアの無数の剣が集合して出来た鳥の翼に弾き返されるどころか

貫通して全て鋭利なナイフの無数の剣が集合して出来た鳥の翼と

全身をズタズタに長い間、切り刻み、全身から弾丸に撃たれたように

血があっちこっちからビシャッ!ビシャッ!と音を立てて飛び散った。

「うっ!ぐあああっ!なんだ?くそっ!どうして貫通なんか?」

エアは吹っ飛ばされ、仰向けにオレンジ色の床に倒れた。

腕を見ると既に心電図はオレンジ色になっていた。

『CAUTION』と表示されていた。

エアは回復薬を探したがもう回復薬は尽きていてレッドハーブも

グリーンハーブの調合薬も緊急スプレーも一つもなかった。

つまり回復する手段はもう無いからこのまま

魔人フランドールをどうにかするしかない。

果たして勝算なんかあるのだろうか??

「フン!どうやら貴方も限界のようね!!

このまま一気に決着を付けましょ!エア・マドセンさん!」

しばらくエアは黙っていたがやがて静かに口を開き、こう答えた。

「ああ!このまま一気に決着を付けよう!腹は括った!!」

エアは真っ赤に輝く瞳から鋭い視線を放った。

その表情は『命を懸けて戦う男の決意』に満ちていた。

魔人フランドールは口元を緩ませてニヤリと笑った。

また全身が真っ赤に発光し、点滅し始めた。

続けてドギャン!と全身から真っ赤な火花が散った。

「神の大剣レーヴァティン!!」

魔人フランドールの掛け声と共に自分の小さな身長よりも遥かに長い

オレンジ色に輝く高熱の両刃の長剣が右手に現れた。

エアはまるで獣のように吠えた。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!」

エアは右手で剣の柄部分を掴むと瞬時に引き抜いた。

魔人フランドールはそのエアの持っている真っ赤に輝く両刃の長剣を

真っ赤な瞳で良く見ると微かにドクンドクンドクンと脈打っていた。

「へえー!賢者の石の力を使って心臓の筋肉組織からね」

「御託はいいからっ!こいっ!!かかってきやがれれれれっ!」

エアは吹っ切れた表情で魔人フランドールに向かって叫んだ。

「じゃ!遠慮なく行くわよ!エア・マドセンさん!」

魔人フランドールは女の子とは思えないまるで

ライオンのような凄まじい咆哮を上げた。

「グウオオオオオオオオオオオオオオオン!!」

続けてオレンジ色に輝く高熱の両刃の長剣レヴァーティンを

いとも簡単に両手でしっかりと握り、右に振った。

エアも自分が驚く程の凄まじい反射神経で魔人フランドールの

動きに爆発するようなスピードで反応した。

エアも両手で真っ赤に輝く両刃の長剣を両手でしっかりと握り、左に振った。

エアの真っ赤に輝く両刃の長剣と魔人フランドールの神の大剣レヴァーティンが

激突した。そして激突した瞬間、オレンジ色と真っ赤に輝く火花が

オレンジ色の空間に弾けるように周囲に広がった。

それはまるで巨大な打ち上げ花火のようだった。

魔人フランドールの神の大剣レヴァーティンとエアの真っ赤に輝く両刃の長剣は

しばらく激しくバチバチとオレンジ色と赤の火花を散らして

激しくつばぜり合い続けた。

「フフフッ!あの尊師おじさんと全然違う!強者の力を感じる!」

魔人フランドールはさっきよりも更に嬉しそうに今まで

誰にも見せなかった満面の笑顔をエアに向けた。

「あたしに対抗出来るなんて!貴方凄いわ!!」

魔人フランドールとエアはつばぜり合いを止めて一気に離れて間合いを取った。

しかし次の瞬間、再び間合いを詰めるように高速でお互い接近した。

魔人フランドールとエアは真っ赤に輝く両刃の長剣と

神の大剣レヴァーティンを今度はお互い上下に振った。

大きな甲高い金属の激突音と共にまたオレンジと赤の火花が

周囲に激しく散り、広がって行った。

再びエアと魔人フランドールはお互い高速で離れて間合いを取った。

更に再びを詰めるように両者は高速で接近し、右斜めと左斜めにエアの

真っ赤に輝く両刃の長剣と神の大剣レヴァーティンはまた激突した。

そして大きな激突音とオレンジ色と赤色の火花が周囲に激しく散った。

また間合いを取り、間合いを詰めてまた上下にお互い真っ赤に輝く両刃の長剣

と神の大剣レヴァーティンを振り、また激突し、オレンジと赤い火花が散った。

魔人フランドールはそのままエアの不意を突くように目の前で

素早く目にも止まらぬ速さで前転した。続けて小さな自分の身体よりも遥かに長い

神の大剣レヴァーティンは瞬時に獄炎に包まれて

まるで巨大なかがり火のようになった。

「こーれーでーおしーまーいっ!!」

そして燃え盛りもはや獄炎の火柱となった神の大剣レヴァーティンを

勢い良く右斜めに振り下ろした。エアの脳裏に笑顔で自分に笑い掛ける

愛らしい顔のストークスの顔が浮かんだ。無意識の内に彼は叫んでいた。

「こーこーでー死ーねーるーかーあーあーっ!!」

エアも真っ赤な獄炎に包まれた両刃の長剣を無我夢中で

強い意志と自らの賢者の石の力と全身全霊で勢い良く左斜めに振り上げた。

両者の剣が激しく激突した。同時にまるでC4の起爆装置が

作動したかのように空で大爆発した。

そしてオレンジ色の上空にはオレンジ色と真っ赤に輝く爆炎と衝撃波が

周囲に高速で広がって行った。オレンジ色の床も

激しく上下に地震のように揺れていた。

エアの真っ赤に輝く両刃の長剣と魔人フランドールの全力の

神の大剣レヴァーティンが空中で激しく激突した際に

起こった激し過ぎる大爆発によるオレンジ色と真っ赤な閃光と

オレンジ色の獄炎で魔人フランドールとエア・マドセンの姿は

全く見えず生死は確認出来なかった。長い間、赤とオレンジの獄炎の爆熱と

黒い煙がオレンジ色の周囲にまるで入道雲のように広がり続けた。

既に激しい地震も激しい爆発音も止んでいた。

そしてオレンジと赤の爆熱と黒い煙は自然と消えつつあった。

しかし余りにもゆっくりなのでかなり時間が掛かった。

やがて30分から50分程で赤とオレンジの爆熱と黒い煙は完全に消え失せた。

魔人フランドールとエアの姿は無かった。

オレンジの床に目を向けるときっと普通の人間なら見つけるのに

かなり時間が掛かるに違いない。やがてオレンジ色の床に荒々しく息を吐き、

全身を煤と肺の付いた魔人フランドールとエア・マドセンがお互い、

今にも倒れそうな千鳥足で近づいた。エアが腕を見るとどうやら心電図は真っ赤で

『DANGER』と表示されていた。エアは既に右腕を曲げて右手で

腹部を押さえて前屈みになっていた。危険な状態だった。

しかし魔人フランドールは余裕の笑みを見せていた。

だが小さい身体はさっきの激しい戦闘でボロボロだった。

「フフッ!エアさん!凄く強いね!精神も肉体も!!貴方は私に強い意志を示した!

もう一つの望み!何故?貴方の恋人のストークスさんがHCF上層部の決定で

殺処分される理由をちゃんと約束通り話してあげる。ただし!この先は!

いや!この先の貴方とストークスさんの幸せは貴方のさっきの強い意思次第よ!

彼女を不幸にするか幸運にするか貴方自身が己の力で決めるのよ!

個人の意志の力!彼女と共に生きたいと言う自らの強い意志と信念!

決してそれを忘れないと言う事を約束したら話してあげる!」

「ああ、分かった!俺はストークスを必ず幸せにする!!

俺の自らの強い意志と信念を!俺は彼女と共にこちら側

(バイオ)の世界を生き抜く事を!」

 

(第19章に続く)