(第17章)サトル・ユウマ

(第17章)サトル・ユウマ

 

紗倉アミコが彷徨い始めて間も無くしてどこかの部屋から声がした。

それは威厳のある女と少年の声だった。聞いた事がある少年はまさか??

「サトル?話してんのは誰?宮田?彼女?もう一人の???」

アミコは扉に耳を付けて聞き耳を立ててみた。

「それで?僕の。いや、ファントム(幻影)と

オペラ座の怪人の結末を君は知っていると?

魔女王ホラー・ルシファー!!教えてくれる見返りは?」

「特別なベイビーの宿ったストークスをエアの元に還す。寄越せ!!」

「なーるほどね。なーるほど。あのイヴがアダムを欲しいのかい?

君はまるで。そうだ!アダムとイヴを騙した蛇のようだね」

「なんとでも言うがいい。しかし結末を知るといい事があるぞ!

人の子は絶壁を見ずに前を向いて歩けば足を踏み外して転落して死ぬ。

しかし絶壁の方を向いて足場を確認しながら歩くか?

あるいは避けながら進めば足場を踏み外して転落して死ぬ。

さあーどちらがいい??汝ならどちらの道を選ぶ??」

「面白い謎かけだ!僕は死ぬのが怖いなぁ!

僕は昔からとってもとっても臆病だったんだ!だから死にたくない。

ましてや自分で何も出来ずにこの世から消えたくない。よしっ!君の取引に応じよう!

さて!僕とファントム(幻影)が宮田フーズを襲撃した時の結末を詳しく全てね。

トークスのその時に還そう。僕と戦って結末通りに僕を倒せたらね。

未来予知通りに動いてやろう。そして仲間をうまく騙せるか?試させてもらおう!!」

「よろしい!では契約成立だ!約束は果たそう!!」

アミコは自分の耳の片方を血と錆に覆われた扉に付けていたので

ベタベタと赤く汚れて不快な表情をした。

「ふっ!馬鹿な女め!」

「安心してくれ!その子は昔からゴキブリが嫌いだと

よく僕に漏らしていたよ!直ぐに終わるさ!」

アミコは自分がさっき会話を聞いていた事が直ぐにばれたのに驚き、

慌てふためいてバタバタと転びそうになりながら立ち上がった。

アミコはすぐにその場から全速力で走り、目の前の扉を開けた。

扉の先にはまた同じ構造の廊下があった。

近くに同じ構造のドアがったが既に誰もいなくなっていた。

アミコの耳に小さくカサカサと言う間延びした音が聞こえた。

反応して素早く音のした方角を見た。気が付けば彼女の五感は研ぎ澄まされていた。

右側の血と錆に覆われた壁の裂け目が見えた。

その黒い裂け目の奥でカサカサと音がしていた。

間も無くして裂け目からカサカサカサカサと言う軽い音と

共に壁一面に蠢く大量の影が見え始めた。

それは黒く長い細長い6対の脚。短い2つの触角。

背中には茶色の模様の付いた少しずんぐりしてスマートな身体。

羽根は無かった。尾に針があった。そいつは間違いな黒い掌サイズのゴキブリだった。

その『クリーパー』の大群は次々と集まり、瞬く間に壁一面を覆い尽くした。

それはまるで超巨大な黒い不定形の生物のようにアミコに群れで近付いて来た。

アミコは暗闇の中、ライトを照らしてはっきりと正体を認識した。

彼女は両眼を大きく見開いた。

続けて口を馬鹿みたいに顎が外れんばかりに大きく開いた。

続けて甲高い声で長々と絶叫した。

「キャアアアアアアアアッ!キャアアアアアアッ!キャアアアアアッ!!」

クリーパーの大群は寄り集まり、大きく膨張し、

巨大な丸いボール状の塊となっていた。

クリーパーの大群は波打つように動き出した。

無数のクリーパーの大群はお互い重なり合い蠢いていた。

クリーパーの大群はいきなり雫のように飛び散った。

続けてクリーパーの大群はアミコに向かって一斉に波打ち、まるで黒光りする土砂崩れ

か雪崩のように物凄い速さで流れ、血と錆に覆われた床を覆い尽くすように前進した。

「きゃあああああっ!いやああああっ!あっ!あっ!いやああああっ!」

アミコは危うく腰を抜かしかけたがどうにか立ち上がり走り出した。

彼女は顔面を真っ青にして涙目となり、クリーパーの大群から逃げ出そうと血と錆に

覆われた裏世界のアルミケラ病院の玄関の受付に続く廊下を無我夢中で走り続けた。

彼女はすぐに近くにあった赤い血と錆にい覆われたドアを掴むと開けた。

そしてパニックで閉じるのも忘れてその部屋の中に飛び込んだ。

アミコはパニック状態のまま周囲を見渡した。そこは白い四角い部屋で

ただ血と錆に覆われた部屋だった。部屋には壊れかけの木の棚とシーツ。

何も被せていない骨組みだけのベッドが置かれていた。

周囲には壊れかけた洗面台と機械を停止させた

レントゲンを見る為の四角い機械があった。どうやら診察室らしい。

そして開けっ放しのドアから遠慮なくクリーパーの大群が入ってきた。

クリーパーの大群はとうとうパニックになったアミコを血と錆に覆われた

壁に追い詰めた。アミコはただただ叫び声を上げて大声で助けを求めた。

「助けてーっ!ヘルプ!ヘールプ!助けて!誰かあアアッ!」

すると間も無くして奥の扉から甲高い鳴き声が聞こえた。

「ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!!」

するとクリーパーの大群は甲高い鳴き声を聞いたと途端に我先へと

一斉にまるで波が引くように物凄い速さで開けっ放しのドアや天井の穴の中に

逃げ出して行った。そしてあっという間にクリーパーの大群は完全に消え失せた。

アミコは泣きながら奥の扉を見た。

やがて奥の扉がキイイイッと甲高い音を立てて開いた。

やがて部屋からヨタヨタと身体を震わせて泣きながら巨大なセミに前屈みに

丸まった態勢の異形の怪物がゆっくりと出て来た。

アミコはヒッ!と小さく悲鳴を上げた。

その昆虫型クリーチャーは頭部は球体のゴムに覆われていてまるで仮面のように

自分の知り合い、それどころか宮田以上に深く愛していた彼氏のサトル・ユウマの顔が付いていた。黒髪の両頬まで伸ばした2対の突起と黒縁の眼鏡の模様と丸顔。

太い眉毛の突起や模様を持っていた。やや筋肉質で細身のある体格だった。

サトル・ユウマそっくりの異形のクリーチャー『ワンバック』は巨大なセミのように

前屈みに丸まった姿勢でヨタヨタと身体を震わせて近付いた。

アミコは思わぬ再開に異形の恐怖よりも戸惑いと安心感が精神を支配していた。

「サトル?サトル?なの?」とアミコはワンバックに語り掛けた。

「ア・・・・ミ・・・・コ?愛しているよ!僕は・・・・・」

アミコはゆっくりと立ち上がりワンバックに近付いた。

そして優しく触ってみた。まるでゴムのような肌触りだった。

「愛してた・・・・でも・・・・君は・・・・」

ワンバックはアミコからゆっくりと離れた。

続けてくるりと背を向けて奥の部屋へ立ち去ろうとした。

しかしアミコは「待って!戻って!」と叫んだ。

彼は確かに肉体は異世界の力で異形の怪物だった。

しかし確かに精神は純粋な人間の心を持っていた。

ワンバックはゆっくりと振り向いた。

アミコは「私を助けて」と真剣な表情で短くそう言った。

ワンバックは「君はここにいちゃいけない!ここは危険だ!」と言った。

対してアミコは「どうしたら?ここから出られるの?」と質問した。

するとワンバックは「方法はある」と答えた。

異世界と現実世界を繋げる異種の子の力を借りれば!」

「子供?子供が必要なの?そうなんだ・・・・・」

アミコはツーバックを見るなり、恥ずかしそうに顔を赤くした。

「これは本来のこの地で太古からして来た事。かつてここはネイティブアメリカン

聖地だった。『静かなる精霊眠る場所』。精霊とは自然世界における構成要素であると

同時に死者であり、崇められる存在だったんだ。そして今は正しい儀式を利用して

真の神が復活しようとしている。

だから生きた精霊や異形の者達が生きたまま座礁する。

つまりマスストランディングが起きようとしているんだ!」

「じゃ!分かった!私は貴方と繋がりたい。だから・・・・・」

アミコは自らの意志で白い服と白いスカート。

ブラシャーやパンツを脱ぎ、全裸になった。

サトルはアミコに近付いた。

アミコは何も無い血と錆に覆われた床に仰向けに寝ころんだ。

サトル(ワンバック)はそれを待っていたように

前屈みに丸まったままアミコに飛び掛かった。

続けてアミコの白い肌に覆われた裸体をどこで見ているのか分からないが見ていた。

アミコは仰向けのまま自分の意志で大きく左右に両足を広げた。続けて両膝を曲げた。

サトル(ワンバック)はアミコの上にのしかかった。

サトル(ワンバック)はアミコの膣に股間からニョキッと伸びた太い触手を挿入した。

「あっ!あっ!はいっ!いいっ!いいっ!あっ!あっ!ひっ!ああっ!いい!いい!」

アミコは急に押し寄せて来た強い性的快楽に身を委ねた。

サトル(ワンバック)は左右の横腹の部分を伸ばして両手の形にした。

サトル(ワンバック)は左右の両手の形になった横腹の部分で

アミコの白い肌に覆われた大きく丸い両乳房を上下左右に揉み続けた。

「あっ!あっ!はっ!ひっ!」とアミコは瞼を閉じ、甲高く喘ぎ続けた。

「はああっ!あっ!ひいっ!」と間も無くしてアミコは膣に挿入していた

太い触手がグネグネと前後に伸び縮みしているのを感じ続けた。

「あっ!あっ!ああっ!はああっ!あああんっ!ああっ!あっ!」

アミコは性的興奮で気持ち良くなった。

既に両頬も深い胸の谷間も真っ赤に紅潮していた。

 

(第18章に続く)