(第10章)遺書

(第10章)遺書
 
洋館・甲冑の間。
クエントはしばらく間を置いて緑色の大きな扉の前の外側から
ジェネシスで甲冑の間の部屋内に
毒ガスが充満していないか分析して確認した後、
再び二人は緑色の大きな扉を開け、甲冑の間に入った。
「しっ……死ぬかと思ったよ……」
「恐らく不審人物に洋館内の鍵を
持ち出されない様にする為の防衛機能でしょう。
過去のアンブレラ社の幹部達は秘密保持の為です。」
「秘密保持の為なら人間一人が死んでも
何とも思わないのか?なんて奴らだ!」
「全くです!さあー今度は真面目に仕掛けを解きましょう!」
「うううっ。うっ!分った!もう……あんな目に遭うのは御免だ!」
2人は真面目に甲冑の間の仕掛けの謎を解く事にした。
そこで烈花は甲冑の間のショーケースの
近くの前方の灰色の床に置かれている
兜と鎧を象った四角い茶色の石像を色々、
考えながら上下左右に押し始めた。
クエントは甲冑の間の部屋の入口の近くの後方の灰色の床に置かれている
兜と鎧を象った四角い茶色の石像を色々考えながら上下左右に押し始めた。
ほぼ同時に烈花とクエントが押した前後の兜と鎧を象った
四角い茶色の石像は石が大きく擦れる鈍い音と共に動き続けた。
それからしばらくクエントと烈花は
兜と鎧を象った四角い茶色の石像をショーケースの
近くと入口の近くの灰色の床に設置された
通気口の穴を完全に塞ぐように動かした。
2人はそれほど苦労せず兜と鎧を象った
四角い茶色の石像で通気口の穴を完全に塞いだ。
烈花は甲冑の間の中央の赤い丸いボタンを今まで以上に慎重に指で押した。
するとカシャカシャカシャと部屋の奥のショーケースのガラスが開いた。
「やっ……やった……」
「開きましたね……」
それからクエントはショーケースの中の鍵を取った。
烈花はショーケースの中から取り出した鍵を見た。
鍵には剣の模様が刻まれていた。
「どうやら剣の鍵の様ですね」
「これであの食堂の先のあの廊下の先のピンク色の扉は開きますね」
「でも、またあそこに戻るのか?」
「ああ、そんな事もありますよ、このまま先に進む事もありですけどね。」
クエントはハハハハッと笑った。
「戻るか?先に進むか?どっちにすりゃいいんだ?」
その後、烈花は呆れ果ててまた盛大に溜息を付いた。
烈花とクエントはしばらく相談した末にもう少しこの先へ進む事に決めた。
その後、2人は甲冑の間から再び
赤いカーペットが敷かれたコの字型の長い廊下に出た。
それから2人はコの字型の長い廊下の先へ歩き続けた。
2人はコの字型の長い廊下の上部のもう一つの角を曲がった直後、
「待って下さい!」とクエントが慌てて呼び止めた。
「いきなり?なんだ?クエント?」と返し、烈花が足を止めた。
次の瞬間、いきなり長い廊下の赤いカーペットが敷かれた床の上に
仰向けに倒れていたプラントデッドはむっくりと上半身を起こした。
そして触手状の蔦の両腕を烈花の
灰色のズボンに覆われたしなやかな右脚に巻き付けた。
続けてプラントデッドは真っ赤に輝くつぼみの花弁を何度も開閉させ、
大きく開いた花弁の内側の無数の牙で烈花の右脚に執拗に噛みついた。
噛みつかれた右脚から血が噴き出し、周囲に散り、流れ続けた。
「うっ!ぐあああっ!この!」
烈花は右脚に走る強い痛みを堪え、左脚を勢いよく振り上げた。
彼女が放った右足はプラントデッドの
真っ赤に輝くつぼみの形をした頭部に直撃した。
同時にボロリと真っ赤に輝くつぼみの形をした頭部はもげた。
もげたプラントデッドの真っ赤に輝くつぼみの形をした頭部は
ゴロゴロと赤いカーペットが敷かれた
床を長々とサッカーボールの様に転がって行った。
弱点の頭部がもげたプラントデッドは完全に息絶えたらしく、
そのまま赤いカーペットが敷かれた床に
仰向けに倒れたまま完全に沈黙した。
やがて切断されたプラントデッドの首の切断面から赤い血が流れ、
赤いカーペットが敷かれた床に血溜まりを作った。
「大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ!全く油断も隙も無いな!」
クエントは持っていたグリーンハーブの粉薬を烈花に飲ませた。
さらにプラントデッドに噛まれた右脚の傷口を消毒し包帯を巻いた。
「平気ですか?」
「ああ、大丈夫そうだ」
「余り先を進み過ぎないようにしてくださいね。」
「ああ、分った。」
それから長い廊下を曲がった先の壁にまた茶色の扉があった。
「先へ進めるか?」
「さあ、分りません、開けてみないと……」
クエントは慎重に茶色の扉のドアノブを回すと
茶色の扉はギイイっと軋んで開いた。
「先へ進めるようです」
2人はマシンガンとハンドガンを構え、先へ進んだ。
茶色の扉の先にはまたプラントデッドがいた。
烈花はうんざりした表情になり、ハンドガンを構えた。
そして烈花はハンドガン・サムライエッジの引き金を引き、
プラントデッドの真っ赤に輝くつぼみの形をした頭部を破壊した。
弱点の真っ赤に輝くつぼみの形をした頭部を破壊されたプラントデッドは
仰向けに茶色の床に血溜まりを残して倒れ、元の死体へ帰って行った。
2人は押し黙って慎重に先へ進んだ。
その茶色の扉の先の角を曲がると
そこもやはり細長いコの形をした廊下だった。
壁には大きな山の絵が飾られており、
その近くには手すりの付いた階段があった。
「階段……一階に降りられるようだ」
「降りてみましょう」
「だが?その先はどうする?」
烈花は細長いコの形をした細長い廊下の先を指さした。
「あとにしましょう。とりあえず階段の先を調査してみましょう!」
「ああ、分った」
2人はそれぞれ武器を構え、慎重に曲がり角のある2ヵ所の階段を降りた。
その先は逆T字型の構造となっていた。
また廊下の天井には大きな4つの球体のシャンデリアがあった。
更にT字型の廊下の中央の廊下の壁にまた茶色の扉があった。
2人は茶色の扉を開け、部屋の中に入った。
最初に2人は部屋の入口の隅の丸い机の上に
タイプライターが乗せられているのが目に入った。
続けて奥の部屋の右隅には小さな
段ボールや買い物袋等が無造作に置いてあった。
「烈花さん!」
「生存者か?」
2人は左隅の茶色の壁に座り込んでいる反メディア団体
ケリヴァーのメンバーの一人と思われる若い男性を発見した。
しかし既に遅く、その男性は遺体の状況から見るとどうやら
自ら口の中に銃を突っ込み、引き金を引き、自殺したようだ。
その証拠に茶色の壁には大量の血液と脳漿が円形に付着していた。
恐らく自分の意思で自らの後頭部を撃ち抜いたに違いないだろう。
また彼の茶髪、顔、両腕、両脚、両脚、両脚は人間の原形を留めていた。
しかしその胴体、主に胸部にかけて
T-エリクサーのウィルス感染の症状が進み、
彼の胸部は無数の蔦が複雑に絡んだ
緑色の分厚い植物の皮膚に覆われていた。
「ぐっ、こっちも間に合わなかったのか……」
「どうやらそのようです。」
クエントは彼の遺体の傍の木の床には名札と遺書が置いてあった。
名札には『ティモシー・ケイン』とあった。
続けてクエントと烈花は彼が自殺する直前に書いた遺書を読んだ。
「僕の愛しいカペラへ。
この遺書を読んだと言う事は僕にとって喜ばしくも悲しい事だろう
僕は『R型』の暴走から守り逃げる途中あの仲間が変身した
植物の化け物から君を守る為、僕は身体を引き裂かれて致命傷を負った。
きっとその時、僕はT-エリクサーに感染していたに違いない。
そう、奴の鋭い爪にはたっぷりと
Tエリクサーが付着しているだろうからね。
傷口から侵入したんだろう。
カペラどうか落ち着いてこの遺書を読んで欲しい。
あの『R型』のバイオハザードによって
ウィルスが漏れ出し、みんな死んだ。
正確には死んでいない。植物の化け物になったのだ。
もう、僕は半身だけあの植物の化け物になっている。
いずれ僕の人間らしさも愛も喜びも恐れもジョークも、
君と過ごした日々さえも永久に失う。
僕はあの植物の化け物に成らないし、そうする事で君の命は守れると思う。
だから僕は安らかな死を選んだ。
君がここに来る頃には二度と目覚める事の無い眠りについている事だろう。
君はなんとか『R型』と植物の化け物から逃げきって。
この呪われた館から脱出して欲しい。
そして止血剤や包帯、グリーンハーブとレッドハーブの
調合薬は君が生き延びる為に使ってくれ。では、さよならだ。
君を永遠に愛するティモシー・ケイン」
 
(第11章に続く)