(第50章)光矢流星(こうしりゅうせい)(特別エピソード)

第50章を読む前に牙浪GAROファンの皆様へ。

鋼牙の父親にして先代黄金騎士ガロの称号の男。

冴島大河役の渡辺裕之さんが66歳で亡くなりました。

冴島大河役として人間としてとても素晴らしい名言や演技を見せてもらい。

まさか本当に死去されるとは思いませんでしたので残念に思っています。

この『シン・サイレントヒル』の第50章の三途の川頂上決戦の

最後のエピソードを亡くなった彼の鎮魂歌として捧げます。

今まで本当に最高の冴島大河の演技をありがとうございました。

謹んでお悔やみをお申し上げます。

私のこの小説を天国で読み、彼の魂が安らかにご永眠されます

ことをお祈り申し上げます。

最後の冴島大河の勇姿を私の小説や心の中で永遠に書き残します。

では。本篇スタートです。(今回は特別エピソードと言う事で赤文字にします。)

 

(第50章)光矢流星(こうしりゅうせい)


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のぴと咲夜と『おこさまぷれーと』のインパクトから数時間後。

生と死の境目の三途の川の頂上決戦も終わりを迎えようとしていた。

間も無くして『おこさまぷれーと』のミライギアの曲は無事に終わった。

天空の黒き月は消滅した。

しかしまだ三途の川の砂浜に巨大な天まで届く銀色の塔の形をした

外神ホラー・イリスのゲート(門)が残っていた。

大河と阿門法師とハガネの騎士達と

ティーブとピアーズは後始末をする為に集まった。

そしてあのゲート(門)を封印する作戦を決めた。

勿論、トドメはかつてギャノンとイデア

封印した光矢流星(こうしりゅうせい)である。

大河は素早く天に向かって金色に輝く牙浪剣を掲げた。

「おおおおっ!」と太い声で雄叫びを上げた。

そして「光矢流星(こうしりゅうせい」発射準備!」と天高く大河が号令を上げた。

すると天井の円盤の上に載っていた大勢の魔戒法師の

死者達は大河の号令を作戦開始の合図と理解した。

する大勢の魔戒法師達は一斉にはっ!と気合を入れると

魔導筆を円盤の中心の大穴に向かって放り投げた。

投げられた大量の魔導筆を次々と生き残ったハガネの騎士達。

ピアーズとスティーブが右腕を伸ばしてキャッチした。

ピアーズは持っていたスナイパーライフルを縦に持ち直し、弓の代わりにした。

ティーブンはゴールドルガーを2つをカチッと合体させて一本の弓のようにした。

続けてピアーズは魔導筆をスナイパーライフルの中央に乗せて大きく弓を引いた。

魔導筆は紫色の長い鋭利な三角形の矢になった。

ティーブもゴールドルガーの中央に魔導筆を乗せた。

2つに組み合わさった持ち手の中央にピッタリと収まった。

そしてゆっくりと魔導筆を引くと紫色の鋭利な矢が伸びて行った。

ピアーズは歯を食いしばりながら魔導筆を

掴んでいた右手を胸元間の限界まで引き続けた。

そして持ち前の狙撃力で銀色の門の形をしていた塔の

外神ホラー・イリスの門(ゲート)の球状の物体を狙い。

右手を離して矢を放った。矢は紫色の細長い光線となり、

周囲に紫色の輪を幾つもの作りながら一直線に飛び続けた。

続けて再び大河が大声で力強く号令をかけた!!!

「ピアーズの矢に続けえええええええええええええええええええっ!!」

同時に「うおおおおおおおおおおりやあああああっ!」

ティーブは全身全霊の力強い雄叫びと共に勢いよく手を離し、紫色の矢が放たれた。

そしてスティーブが矢を放ったと同時に生き残った

ハガネの騎士達も一斉に弓を引いて青く輝く矢を天空に打ち放った。

放たれた2つの紫色の光線と大量の青い光線は

まるで空から降る雷雨の様に飛び続けた。

続けてスティーブとピアーズが放った紫色の矢の光線はそのまま銀色の塔の形をした

外神ホラー・イリスのゲート(門)の上下に並んだ真っ赤な小さなコア(核)に

正確に命中した。そして真っ白な光と共に2つのコア(核)は同時に砕けた。

続けてハガネの騎士達が放った青い光線はそのまま大きく空へ飛んだ。

美しい放物線を描きながら一斉に天にまで届く銀色に輝く塔の形をした

外神ホラー・イリスのゲート(門)に直撃して行った。

そして塔全体が黄金に輝き爆四散した。

しかし喜ぶのも束の間、銀色に輝く塔の形をした

外神ホラー・イリスのゲート(門)が完全に消滅した代わりにそこから。

既に捕食されて完全に消滅した筈の死神・タナトスの頭部の生首が出現した。

「おいおい。マジかよ!」とスティーブは思わず声を上げた。

「首だけになっても生きているのか?あいつ?」とピアーズも絶句した。

絶句するピアーズとスティーブの横で阿門法師は呑気に苦笑いを浮かべていた。

「魔戒騎士や魔戒法師の仕事をよくやっている時にはあんな感じの

しぶとい奴は普通におる。まあー日常茶飯事と言う奴さ。

わしも生前は下半身だけを法術で吹き飛ばしても上半身と両腕をバネにして

わしの血肉魂を喰らおうと飛び掛かってきたこともあったのう。

あわてず騒がず冷静に魔導筆でとどめの法術で仕留めたがのう。

今となっては懐かしい思い出だな。ははっ!そういえば神官に怒られたっけかの?」

「いやいや。こんなヤバい状況で懐かしい思い出を語っている場合かよ!爺さん!」

ティーブは呆れた表情で阿門法師の方を見た。

ピアーズも呆れ果てて何も言えないのか。

目の前の光景に絶句しているのか?黙っていた。

その死神ホラー・タナトスの頭部は牛のような角の形をしていて。

頭から2対の昆虫の触角が生えていた。

上部は赤色で下部から先端は美しい緑色をしていた。

4対の冷めた青い眼球は憤怒と狂気に満ちていて強烈な殺気を放っていた。

さらに口を大きく変形させて無数の牙の並んだ花弁状の口を開いた。

同時に冴島大河に向かって凄まじい吠え声と共に突進を始めた。

「ぎぃええええええええええええええっ!!」と甲高い絶叫を上げ続けた。

一方、先代黄金騎士ガロの称号を持つ男・冴島大河は一切怯む様子は無かった。

真っ赤な燃える瞳で僅か1mまで迫ってきた死神ホラー・タナトス

生首をしっかりと見据えた。彼は常に毅然とした態度で立っていた。

やがて円盤の穴から一本の魔導筆が高速で落下し、大河の手の中に納まった。

魔導筆の魔導力を通して女性の魔戒法師の声がした。

「大河!これを使って!息子とその仲間達を守るのよ!」

大河は大切そうに一本の魔導筆をゆっくりと握りしめた。

「ありがとう。冴島りん!」と

愛する妻であり、鋼牙の母親の名前を感謝と共に呟いた。

「はあっ!」と大河は魔戒馬轟天を天高く飛翔させた。

続けて牙浪剣を真横に構えて冴島りんの魔導筆を牙浪剣の刀身に当てた。

そして大きく弓を引くように右手を後方に一気に動かした。

同時に金色と真っ黒に輝き始めた。大河は大声でこう言った。

「死神ホラー・タナトスよ!奪われた『死』を返上する!封印されるがいいっ!」

「クソがあああ!返せ!返せ!返せ!死を返せえええッ!!」

甲高い耳が痛くなるような叫び声と共に死神ホラー・タナトスは大河に急接近した。

その表情は余りにも悍ましく恐ろしく名状し難いものだった。

思わずピアーズもスティーブも全身が震え上がった。カチカチと歯の音も鳴った。

大河は常に凛と毅然とした態度のまま左手で弓を大きく後方に引いた。

同時に真っ黒と黄金の封印と『死』そのものの力が入り混じった特別な矢は

鋭利な長い形となった。大河は力強く死神ホラー・タナトスの甲高い絶叫を

遥かに凌駕する張りのある力強い声で気合と雄叫びを上げた。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」。

大河は左手を素早く離した。

同時に真っ黒と黄金に輝く矢は大きな

太い円形の黄金と黒の輪を抜けて高速で放たれた。

続けてあっと言う間に黄金と真っ黒な矢は死神ホラー・タナトスの額を貫いた。

更に一気に後頭部まで貫通した。死神ホラー・タナトスは断末魔の絶叫を上げた。

「うぎゃあああああああっ!死が私のところにッ!

ぐあああああっ!ぎゃああああっ!」

同時に死神ホラー・タナトスの頭部は破裂した。

更に黄金と真っ黒な文字で『死封印』という

大きな文字が浮かび、周囲に衝撃波が散った。

こうして死神ホラー・タナトスは『死』の概念を取り戻したと同時に封印された。

もはやそこには完全消滅して美しい澄んだ青空が広がっていた。

大河は牙浪(ガロ)の黄金騎士の鎧と魔戒馬轟天を魔界へ返還した。

元の白いコートの背の高い男に戻って行った。

ピアーズとスティーブは目をぱちくりさせながら「やったのか?」と呟いた。

「完全に封印した安心しろ!」と優しく大河は声を2人に掛けた。

ティーブは天を指さしながら強がってこう叫んだ。

「もう!もう!二度と復活してくんなよ!分かったか!このやろ!畜生めぇ!」

阿門法師もピアーズもなだめる様にそれぞれ声を掛けた。

「安心しろ!」とピアーズ。

「もう!終わったんじゃ!」と阿門法師。

途端にスティーブは全身の痺れるような恐怖が消えて

力無く砂浜の上に大の字になってぶっ倒れた。

「マッ!マジでビビったぜ!」とスティーブ。

「転生した時に子供のころに夢に出ないといいが。」とピアーズ。

「トラウマもんだぜ!あっりゃ!」とスティーブはくすくす笑い出した。

「全くだな!」とピアーズもくすくす笑い始めた。

「なんというか原始的な恐怖を感じたよ!」とスティーブ。

「・・・死神は絶対に激怒させたら駄目だな!」とピアーズ。

ティーブの意見にピアーズはまたしてくすくす笑い出した。

阿門法師は大河の前に立つと「例の子は?」と言った。

思い出したように大河は白いコートの赤い内側から何かを取り出した。

さっき阿門法師とピアーズとスティーブが話していたことを思い出した。

「相手は死神だ。誰だって死ぬのは恐ろしいものだ。俺だって少しは怖いさ!」

苦笑いしながら大河はその物体を天高く真上に放り投げた。

それは小さい箱だった。やがて小さい箱は天空で弾けて

普通の日常の記憶が宿ったのぴの半分の魂を解放した。

やがて普通の日常の記憶が宿ったのぴの半分の記憶は円盤を通り抜けて元の本来の主

(あるじ)のいる現世・現実(リアル)のこちら側バイオの世界に帰って行った。

「これで良し!さて!私達も『大いなる理」に従い!本来の元の場所に還るか!」

「よし!みなのもの!ご苦労だった!

消滅してしまった同胞の魂に黙祷を捧げたあとに。

『大いなる理』に従い、次の転生の為に極楽・あの世の死者の世界へ戻ろう!」

全員、魔戒騎士も魔戒法師も消え去ってしまった同胞の魂に黙祷を捧げた。

しかし急に天空から死神ホラー・タナトスの身体の一部のハンターγ(ガンマ)に

捕食された筈のハガネの騎士達の魂が復活していた砂浜に着地した。

これには阿門法師も大河も生き残った他のハガネの騎士達も面食らった。

「分かりませんが」

「のぴと咲夜と言う女性と少女の声がして気が付いたら」

「光が見えて」

「元通りの魂に再構成されて復活していた。」

口々にハガネの騎士達は説明した。

それから最後に実際に体験した本人達は

「かなり稀有(けう)な現象で彼女達しか起こせない奇跡だ」と喜んでいた。

こうして半数のハガネの騎士達の魂も復活したのだった。

最終的に全員、ピアーズとスティーブも含めて大河と阿門法師、ハガネの騎士達は

本来いるべき極楽・死者の国のある海の彼方へと去って行った。

しかし極楽・死者の国に戻る直前、阿門法師はふと立ち止まった。

するとピアーズが立ち止まり、彼に話しかけた。

「どうしたんですか?阿門法師?!

まさか現世・現実(リアル)の世界に何か問題があるんですか?」

ピアーズはどことなく不安そうに阿門法師に訪ねた。

「・・・・うーむ」と阿門法師はしばらく唸り、黙って何か考えていた。

「恐らくこちら側(バイオ)の世界は再生前と異なるだろう。」

「それはつまり?この『静かなる丘・サイレントヒル』の神の力の影響が

今後も僕達の世界に残り続けると?それで新しい世界はどうなるんだ?」

「わしはこちら側(バイオ)の世界の外の向こう側(牙浪)の世界の住人で在り。

外野であるが故に予測に過ぎんが・・・。恐らくは・・・。」

阿門法師はそう前置きをした上でピアーズに話を始めた。

「静かなる丘・サイレントヒル』の超常的な力は土着神のもの。

つまり神社や地蔵に宿った原始の力。

生命の誕生と再生の力。

胎内に別な生命を宿すも原始な肉体を持つ女性の能力。

そして新しく『静かなる丘・サイレントヒル』と

別世界のエヴァの儀式を再現した方法で再生して輪廻転生された人類。

元の正常な世界。

その際にこちら側(バイオ)の世界から他の無数の並行世界(パラレルワールド

に拡散した『魔人フランドール』と『太陽神テスカトリポカ』

由来の『静かなる丘・サイレントヒル』の膨大な生命の力は

いずれ人々の思考も書き換えるだろう。

そして若い女性達は『まつろわざる者』達となろう。」

「まつろわざる者とは?なんですか?」とキョトンとした表情でピアーズは言った。

「『人のことごとくあらびくも。力で伏すのはまつろわざる者を産むのみ』。

そして『力で性を押さえつけようとも治めてきた業の成すところ。無念である。』」

「誰の言葉ですか?」とピアーズは難しい言葉に首を傾げつつも質問した。

国津神スクナヒコナの言葉を現代風にちょいとアレンジした。

阿門法師はちょっと自信ありげにニッコリと笑った。

「力で押さえつけてもいずれは反逆され。業と共に滅びる。と言う意味じゃ」

さらに阿門法師はそう付け加えたのだった。

するとピアーズは分かったような分からないような複雑な表情を浮かべた。

こうして死神ホラー・タナトスとの死闘と三途の川頂上決戦は無事に幕を下ろした。

同時に熾烈な死神と死者の戦いは終結したのだった。

 

(第51章に続く)