(第53章)不安定な平和の世界。

(第53章)不安定な平和の世界。

 

「さてと!のぴさんジョンさん!

今回僕は真っ向から君達と対立して戦うつもりはないよ。

のぴさんとジョンさんと鋼牙達と対立するのはまだ少し先の話。

まだのぴさんは本格的な力に目覚めていない」

神崎りょうすけ事、白痴の魔王ホラー・アザトホースは笑った。

「『のぴ』さんは『ヴィシュヌ・アバター』と『宇宙の賢者の石』を宿した

君自身が進化しつつあるのは確実!今後の人生にも強く影響を受けるものさ。

君はいずれは幾つもの神結界を打ち破り。そして・・・・・・・・。」

のぴはただ無言で神崎事、白痴の魔王ホラー・アザトホースの話を聞いていた。

「のぴさん!ジョンさん!今回は真っ向から対立して戦うつもりはないよ!

のぴさんとジョンさん!鋼牙達と対立するのがまだ先な理由。さっき話した通りだ。」

するとジョンは苛立ちを隠せない様子で「話を続けろ」と急かした。

神崎はまだクスクスと小馬鹿にしたような笑いを浮かべていた。

「そう急くなってさ!ジョン様!」と言うとやっと話の続きを始めた。

「こちら側(バイオ)の世界とは違う世界線のこの世界は!

もう既に世界に蔓延している大勢の人々の邪心と欲望の陰我(いんが」で犯した

大罪をあらゆる『死』と『神』の運命を操る力を君と十六夜咲夜(いざよいさくや)

の代わりに全て背負い力を得た。つまり『静かなる丘・サイレントヒル

の原始的な本来あるべき目に見えない理(コトワリ)の力をね。

君は『静かなる丘・サイレントヒル

において聖母アレッサとは違う存在。

君は太陽神テスカトリポカの信仰の立証者として

全生命を一時的に代償にした。つまり『死』を与えた君は『致命女(ちめいじょ)』

となったんだ。君はこの世界初の独りだけ信仰の立証者として

苦難を受け手も死に至らなかった。

もはや君はシェリルやアレッサに続く新たな。そう。『聖女』なんだ。

『静かなる丘・サイレントヒル』にて君はあの町に記憶された。」

神崎事、白痴の魔王ホラー・アザトホースはパチパチと拍手した。

「のぴ君。ウィリアム・アフトンの狂気の遺物を手に入れ給え。

その力を利用し、本来の『致命者(ちめいじょ)』の力に目覚めさせた時。

僕は全力で君のお相手をするよ。それにそろそろ小腹が空いてきたなぁ~♪♪」

神崎は目にも止まらぬ速さで風紗の背後に回った。

「風紗!何をする!彼女を離せ!

何で彼女が?貴様!意識があるまま肉体を操ったな!」

ジョンは一気に頭に血が昇って大声で神崎に怒鳴り散らした。

しかし風紗の背後から「ハロー。ハロー」と明るく彼女に話しかけて笑った。

彼は風紗の両腕のV字型の赤いドレスの上半身と白いブラジャーを

無理矢理下へと引っ張り降ろした。そして彼女の大きな丸い両乳房の

ピンク色の乳輪と乳首が屹立したまま露出した。

続けて両乳首から大量の青緑色に輝く精気が吹き出して細長いロープのように伸びた。

神崎はそれを大きく開けた口で死なない程度の量の精気を美味しそうに

どんどん吸い上げて捕食した。ジョンはそれを見るなり。

凄まじい剣幕で怒号を上げた。

「おい!この野郎!止めろ!止めろと言ってるんだろうがあああ!クソがあああっ!」

しばらくも魔王ホラー・ベルゼビュート事、ジョン・C・シモンズは

怒り狂い何度も怒鳴り散らし続けた。しかしそんな彼の顔をあざ笑うかの様に

どんどん、風紗の両乳首から青緑色に輝く精気を吸い続けた。

一方、のぴはショックの余り、失神してしまったのであろう。

目の前が真っ暗になったのだった。

パタンと彼女は床に横向きに倒れた音が耳に聞こえた。

続いて自分の身体が床に付く感覚も一瞬だけ感じた後にすぐに意識は途切れた。

何時間か経過した頃にのぴはようやく意識を取り戻した。

彼女が最初に観たのは聖ミカエル病院の見知らぬ天井が広がっている光景だった。

まだ頭はかなりぼんやりとしていて意識ははっきりしないが神崎が風紗と言う女性にした仕打ちのあの悍ましい気持ち悪い

変態的な出来事は自分でも驚く程、明瞭に覚えていた。

更に目覚めたばかりの『のぴ』の目の前には

見知らぬ病室の天井がぼんやりと見えていた。

その時、急に右横から妙に大きな音でガラッ!

と病室のドアが横にスライドして開いた。

続けて『おこさまぷれーと』のメンバーの

ちゃき、ゆいにゃ、りあらが飛び込んで来た。

彼女達は大泣きしながら全員、一斉にのぴの顔を覗き込んでいた。

しかし急に『おこさまぷれーと』のゆいにゃとりあらとちゃきの

顔が現れたのでのぴは大口を開けて思わず絶叫した。

彼女は大きく両目を見開いて身体をブリッジしてまるで海老のように上下に跳ねた。

「きゃあああああああああああああっ!

わああああっ!」と正に迫真の声で大絶叫した。

その為、ちゃきもゆいにゃもりあらも思わずびっくりしてしまったのだろう。

全員両足の膝をガクンとくの字に曲げて座り込み、腰が抜けそうになった。

しばらく病院の病棟には4人分の心臓が跳ねる音と荒い息遣いが聞こえ続けていた。

「はあはあはあはあ」と長い間、全員両眼を丸く開けたまま黙っていた。

それからのぴはゆっくりとベッドの上から上半身を起こした。

全員はただ茫然とお互いの顔を見て黙っていた。

「びっ・・・・くり・・・・した・・・・」と小さな声でのぴはつぶやいた。

「とっ・・・・とに・・・かく・・・無事でよかったわ!」とゆいにゃ。

「はあはあはあはあ。ちょっと・・・マジでびっくりしたわ」とちゃき。

「無事やな!とにかく再会できてよかったわ!」とりあら。

「みんな!ああっ!やっと会えたわ!」とのぴはようやく喜びを表した。

やがてじわじわと喜びと涙で全員目頭が熱くなって行った。

だんだんポロポロと大粒の涙を流して、両頬まで一気に流れた。

しばらくしてちゃきとのぴとゆいにゃとりあらは鼻をすすり、泣き続けた。

再びガラッ!と病室の扉が横にスライドして開いた。

同時に大体、30分遅れて最後のメンバーのしゅがが入ってきた。

同時にしゅがまで大粒の涙を流して想いっきりようやく

白いベッドから上半身を起こしたのぴの胴体を抱きしめた。

「よかった!よかった!ぶじやー!ぶじやったあーあーあーあっ!」

彼女は大声を上げてひたすらわんわん泣き出した。

こうしてのぴは仲間との再会を喜び合った。

しかしのぴの脳裏に空白の記憶があるのに気付いた。

幾ら思い出そうとしても何も思い出せなかった。

記憶はおぼろげに自分の発言だけは明確に覚えていた。

「待ってくださいッ!私は!あれを生み出した主として!」

それから黒いスーツの男のジョンって言う人物と話していた。

しかし急に視界が真っ暗になってそれから先の記憶が消え去っていた。

後に意識を取り戻し、気が付いたら聖ミカエル病院のベッドの上にいたのである。

そしていきなりちゃきとゆいにゃとりあらが飛び込んで来たから

本気で心臓が飛び出る位、死ぬほどビビったけど。

でも大きく開いた記憶も気になるけど。あの『宇宙の賢者の石』は。

あれは本当にどうなるんだろう?分からないけど。凄く不安だな。

魔獣新生多神連合はあれを利用するって言っていた。

でも?どうやって利用するのか?私のような一般人に分からない。

いや。それよりもちゃき。ゆいにゃ。りあら。しゅがにも全員に再会できた。

私は素直にとても嬉しかった。でみ。不安の種は尽きないけど。

それとあのジョンさんの妹さんの女の人はどうなったのだろう???

のぴは自分の胴体を抱くしゅがーの胴体を逆に抱きしめながら

喜びの涙を流しつつもその不安と疑問が頭の中から消える事は無かったのだった。

 

ニューヨーク市内の聖ミカエル病院の周辺の裏路地。

のぴと咲夜。そして『おこさまぷれーと』と

霧島マナと『ヱヴァンゲリヲンヴィシュヌ』

とガイウスの槍によってインパクトを起こした事で元の日常を取り戻した。

そしてあの若村秀和と反メディア団体ケリヴァーがかけた『排他的脅迫の呪縛』は

消え去り、ヘンリック・ターナを初め黒き月やイリスオブジェクトのコア(核)の中に

閉じ込められた人々は(のぴが救済した反メディア団体ケリヴァーの大勢のメンバーの

ヘンリック・ターナと若村秀和の魂も含む)

人間の個性を取り戻して全員、現実(リアル)の世界へ帰って行った。

しかし反メディア団体ケリヴァの悪霊の融合体の魔王アリオクに取り込まれ魂達。

そしてもちろん、大勢の人々も動物達に交じってヘンリック・ターナも唯一生き残り。

元の個体を取り戻して現実(リアル)の世界へと帰って行った。

ヘンリック・ターナ葉裏路地を歩いていた所を同じく

元の人間の個体を取り戻したニューヨーク市警の2人の刑事に発見された。

「ヤバいっ!」とヘンリックは叫んで復活したばかりの人間の肉体を

全力で動かして必死の逃亡を図った。彼は迷宮のようになっている

裏路地の道をクネクネと上下左右に走り回り。

途中で曲がり、低い段差や壁と飛び越え続けたたが。

彼の悪運は尽きたらしく目の前の

高い高い赤いレンガの壁に逃げ道を塞がれてしまった。

ヘンリックは赤いレンガの壁を罵りながら乱暴に両拳で叩き続けた。

ニューヨーク市警の刑事2人はようやくヘンリックを追い詰めた。

ニューヨーク市警の刑事二人はヘンリックに逮捕状を見せた。

更にニューヨークの刑事の2人は素早くハンドガンを取り出した。

「手を上げなさい!」

「おとなしくするんだ!」

「もう逃げられないのよ!」

「諦めろ!」

ヘンリックはニュヨーク市警の2人の刑事の指示に従い、頭に両手を置いた。

さらに大人しくレンガの床に両膝を付いた。さらにうつ伏せに床に倒れた。

すかさずニューヨーク市警の刑事2人はヘンリックを床に押さえつけた。

そして両手に手錠をしっかり掛けるとすぐに立ち上がらせた。

「はい!午前4時30分!ニコル・ブレナンさん性的暴行の罪で!」

「君を逮捕する!もう!彼女達のおかげで!あそこには逃げられないぞ!」

ヘンリックは悔しさの余り「クソ!あいつら許さないッ!」と叫んだ。

「あいつらだと?!彼女達のせいにするな!自分が招いた事だ!若村も全員な!」

大男のニューヨーク市警の刑事はヘンリックを大声で叱りつけた。

ヘンリックは「クソっ!クソっ!クソっ!クソ!クソ!」と何度も罵った。

彼は掃除したばかりのパトカーに乗せられてどうにか

機能回復したニューヨーク市警に連行されて行った。

こうして彼は元の人間社会の法律によって裁かれる事となった。

つまり全ての罪は現実(リアル)の世界で。

約一時間後にニューヨーク市警の建物前にパトカーが到着すると。

ヘンリック・ターナは両手に手錠をかけられたまま

2人の刑事によりパトカーから降ろされた。

警察署の玄関前では彼が務めていた

アサヒナ探偵事務所の所長のアサヒナ・ルナがいた。

彼女は恐ろしく厳しい表情で両腕を組んでいた。

灰色の瞳には激しい怒りと失望が入り混じっていた。

彼女のピンク色の唇は怒りで振るわせていた。

アサヒナはヘンリックと自分と目があった途端にとても厳しくこう告げた。

「貴方は残念ながらクビよ!若年女性を助けると宣っておいてこの始末!最低な男!」

アサヒナの厳しい表情と強い口調に自分のした事を後悔した。

彼はとうとう自分がした事の重大さに気付いた。

そして瞳を閉じて口を堅く閉じてうなだれたまま2人の刑事に連れて

ニューヨーク市警に入り、最終的に初めての拘置所デビューを果たしたのだった。

その様子をアサヒナは残念そうと言うように悲しそうに彼の後ろ姿を見送った。

こうして彼は大きな犯罪を侵して最終的に職を失ったのである。

アサヒナは青い車に乗るとそのまま鍵を回してエンジンを動かした。

やがて彼女の乗った青い車ニューヨーク市内の建物を後にした。

選民思想』は人々を人形に変えてストローマン論法をしたところで

結局は確実に不幸なるだけね。やさぐれメタルや仁藤夢乃氏や

弁護士達やツィフェミ達やポリコレ達のように。」

アサヒナは車のハンドルを回して運転しながらつぶやいた。

そしてまた聖ミカエル病院へと向かって行った。

とにかくあの『おこさまぷれーと』のメンバーの『のぴ』と言う子が心配だった。

どうやら彼女の精神世界(内なる魔界)には3種類の霊体か神霊が潜んでいるようだ。

片方は『正義』を司り彼女自身の公明さと

自分の中の善悪や理性を司っているみたいだけど。正体が良く分からない。

とりあえず彼彼女の中に巣食っているけど。まるで原始的な本能で動く霊的な何か?

もう一つは何か良く分からない邪悪な何か?

とにかく戻って念の為にのぴさんに話を聞いてみよう。

彼女は車を聖ミカエル病院に向かって走らせた。

アサヒナは聖ミカエル病院に着くと

病室でベッドの上でくつろいでいるのぴと面会した。

またお見舞いに鬼島神具もいた。

どうやら彼も同じもの。霊的な何かを感じていたそうだ。

そして鬼島とアサヒナはのぴに質問した。

のぴも答えられる範囲の質問に全て答えた。

魔獣新生多神連合のジョン・C・シモンズと名乗る人物の大きな屋敷で色々な

検査をして貰ったらしい。でも自分の中にある3つの霊的存在には触れていなかった。

しかし代わりに彼女は自分の肉体と魂の中に流れる血液から油出したもの。

『宇宙の賢者の石』を手に入れて。これはえーと。ここも何故か記憶が曖昧で

『我々の切り札』とか『エロース』と言う言葉しか思い出せなかった。

確か自分はあれを・・・。戦争の道具として使うな。と反発した。

これ以上は詳しくは思い出せなかったので思わずのぴは言葉が詰まり黙った。

しかしジョンの辛うじてつぶやいた一言だけは辛うじて思い出していた。

それとあの子の事も・・・・。

小さな声だったので本当に彼が行ったのかは定かではない。

『宇宙の賢者の石。これを利用すればあの東のミカド国の人間を

無意味に絶望に浸らせず余計な苦しみを与えずに済む』と。

勿論、鬼島神具やアサヒナはこのジョンの言葉の意味は全く分からなかった。

一方、のぴは思い当たる節があり、背筋がゾッとなってしまった。

こうして全ての事件が終わり、元の日常へ戻って行ったのだった。

 

シン・サイレントヒル事件(静かなる丘の一連の超常現象の事。)から3日後。

再び平和が戻ったアサヒナ探偵事務所ではアサヒナ所長が机に置いてあった

『月刊アヤカシ』と言う雑誌の記事を読みながら目線を上にやり下にやり

器用にテレビを見ていた。『月刊アヤカシ』の記事には。

『特集・ガイア教団とミロク教典』とあった。

この記事を書いたのは『ヒジリ』と言う人物らしい。

新宿衛生病院と代々木公園の黒い噂と市民と日本の会社との間で暴動があったらしい。

更にその一連の暴動事件にガイや教団成る怪しい教団が関わっていたとか?

彼女は直ぐに額に眉を寄せて『月刊アヤカシ』を閉じて机に置いた。

この雑誌はほんの2日前に発売されたばかりのものだ。

現在ではの本やアメリカ合衆国や世界中で『静かなる丘・サイレントヒル』の

一連のオカルト儀式から起こった超常現象から新たなオカルトブームに火が付き。

世界中をブームの炎の波が包みつつあった。大量のオカルト雑誌や

怪しい儀式に関係した本が世界のあらゆる言語に翻訳されて発売されており。

2日前の例の日本の暴動事件は丁度昼の12時の全世界のニュースで。

『日本の代々木公園で発生したガイア教団とサイバーズ社との公園の騒動に

関する緊急記者会見がの様子が報道されていた。

そして暴動事件と呼ばれていた一連の騒動の様子に

加えて事件の真相を語っているサイバーズ社の責任者の氷川氏の姿が

カメラに映っていた。彼は真相を語る中で『月刊アヤカシ』の

『特集のガイア教とミロク教典』ともうひとつ全く別のタイトルで

同じ内容の特集が組まれた『月刊オーパーツ』の

記事の話は実は半分嘘で半分本当だと語っていた。

既に『ミロク教典』は彼らに返却済みだと公表した。

それから素直にガイア教団や市民団体に対して

謝罪の意を示した所でニュースは終わったのだった。

しかしアサヒナ所長はカメラ越しに頭を下げて瞼を閉じて

静かに謝罪する姿が彼がどうにも反省しているように見えなかった。

 

(第54章に続く)