(第7章)脅迫

ついでにこれも載せておきます。

(第7章)脅迫

凛と山岸が教室の中に入ると親友の友紀が
「二人共おはよう!!」
とあいさつした。山岸は「おはよう!!」とあいさつしたが凛は何も挨拶せず、
黙って自分の先に座った。友紀は不機嫌そうにため息をついた。
一方地球防衛軍内の一室で、黒と茶色の混じった短い髪に灰色のシャツを着た男
がパソコンで文章を打っていた。
「国連最高機密」
「音無凛『18歳』」「音無凛に関する監視報告書」
「現在彼女は18歳になり、心も体も成人女性に近くなっている……しかし最近
彼女の性格に変化が現れ始めている。この所、攻撃的な映画やゲームを好むよう
になり、少し怒りっぽくなっている。また友達や恋人との関係にもかなり目立つ
変化があった。彼女の行動の中に動物的な部分が多く見受けられた。これは自然
な変化なのか不明。頻繁に悪夢も見るらしい。また健康診断の際、レントゲンで
小さいガンのようなものが腕の静脈内で発見された。初期症状で彼女の健康には
問題は無い模様。以上」
書き終えると、国連や地球防衛軍、CCI、CIAに送信された。

上海海洋研究所では『実験体の第2実験』についての会議が始まっていた。
高新一は
「少女の母親も重要なサンプルとして誘拐したい所だが…あいにくM機関のミュ
ータント部隊やCIAも護衛を使って監視しているから綿密な計画を練らなければ……」
すると楊国花が
「その点はご心配無く。国連や地球防衛軍の動きを封じる為に彼女に脅迫状と共
に2つのDVDを送ります」
と言うと2つのDVDを取り出し、一つをDVDプレイヤーに入れた。
陳天来は
「4年前に覇王と言う男と美雪と言う女性、その娘の行動を記録した
DVDです。」
と言うと1つ目のDVDを再生させた。
それは9月1日の午後5時35分に撮られたもので、覇王と美雪は公園のベンチ
で話していた。やがて場面が変わり、午後6時に撮られた映像では美雪が家の玄
関の前で覇王を自分の家に入れていた。
再び場面が変わり、覇王と美雪は後ろ向きにベッドに座って何事かを話していた。
そして2人がベッドの上で互いに向きあった所でDVDを止め封筒に入れると
、陳天来は2つ目のDVDを入れた。2つ目には美雪と例のターゲットの娘が映
し出されていた。同じクラスの友達と思われる男の子と学校へ向かう様子が映された。
陳天来はDVDを取り出し、封筒に入れた。
それを見ていた高新一は
「どうやら数年前に取引した監視システムの技術が役に立ったようだね!!」
隣で楊国花は
「脅迫状には『我々は数年前から貴方達親子を監視している。国連にも日本の
内閣に対策を依頼しても無駄だ。必ずあなたの娘は頂く』と書きました。」
と言うと脅迫状を封筒に入れた。
高新一は
「どうだね?『例の寄生生物』のクローン技術とM塩基の支配技術の研究は?」
孫飛山は
「はい!!驚きました!!」
李仙竜は一つの薬の瓶を取り出した。
「つまり……M塩基とは『例の寄生生物』の遺伝子を元に我々が開発した、言わ
ば超小型のテレパシー受信機なのだよ!!」
陳天来は
「ただ体内に入れるだけでたちまち支配できる薬だ!生物が持つ感情を抑制させ
てテレパシーでコントロールする!!どうだね??素晴らしいと思わないかね??」
と嬉しそうに言った。
高新一は
「今まで他の宇宙人達がやってきたような、外科手術で脳を切り開いてわざわざ
コントロール装置を入れる方法はとっくに時代遅れなのだよ」
と言った。やがて会議は終了した。

その日の夜に凛はベッドで寝ているとまた夢を見た。
山岸に話した夢と全く同じだった。
彼女は真っ暗闇のど真ん中に立っていた。
そこにもう一人の自分と、黄金色に輝く『何か』が現れ、凛に襲いかかって来た。
凛は恐怖で震えていたが
「いい加減にしてよ!!」
と怒鳴り、その黄金色に輝く『何か』に殴りかかった。
しかし黄金色に輝く『何か』はヒラリとかわすと長い爪で彼女の肩を切り裂いた。
凜は倒れ込み、押さえていた肩を離して自分の手を見た時、絶句した。彼女の
手には深紅色の血がベッタリ付いていた。さらに凛の腹に長い爪が突き刺さった。
そこで凛は悲鳴を上げて目が覚めた。
美雪がバタバタと音を立てて二階へ駆け上がってドアを開けた。
「どうしたの!?汗びっしょりで!?」とあわてて彼女の額の汗を拭おうとする
が、凛はその手を払いのけて
「大丈夫よ!!」
と大声で言ってベッドから起き上がり、下へ降りて行った。
一方ニューヨークにある薬品会社本部の地下研究所では2人の研究員が何やら話
し合っていた。
一人の若い坊主頭の研究員が
「また……その中国にある日系企業は、別の中国の企業と取引をして、CIAか
らハッキングしたG塩基の情報と『例の娘』の情報で何かの取引をしたらしいと
いうことです。バイオメジャーのスパイからです」
と報告した。
もう一人の灰色の立派な髭が生えた研究員は
「『例の娘』の情報とは何だ?」
と聞いた。
若い坊主頭の研究員は1枚の写真を取り出し
「右に写っている女性は国連の分子生物学者の音無美雪という人物で、左に写っ
ている男性は地球防衛軍のM機関にいたが…現在は軍をやめて行方不明になって
いる覇王圭介。この二人が『例の少女』の両親です。現在は母と二人暮らしをしています。」
その写真を見た灰色髭の研究員は
「なるほど……美男美女カップルか。それで『例の少女』は何者だ?まさかカイザーかミュータントなのか?」
と聞いた。すると若い坊主の研究員は首を振って
「『例の少女』の詳しい情報がさきほど届きました」
と言うと30枚のコピー用紙を手渡した。
灰色の髭が生えた研究員はそのコピーを読んでたちまち驚きのあまり無言になった。

(第8章に続く)

また職場から帰ったら載せます。
では♪♪