(第40章)母の手掛かり

こんにちは畑内です。
ゴジラの自作小説を載せます。
ちなみにさっきまで職場帰りに新しいジーンズを
探していましたのでかなり遅れました。

(第40章)母の手掛かり

凛が地球防衛軍特殊生物犯罪調査部に戻ると、蓮が走って来て
「おーい!もうすぐで君のお母さんの手掛かりが見つかりそうだぞ!」
その瞬間、凛の顔がパッと明るくなり、
「本当なの??」
蓮は自分の部屋に凛を案内し
「これを見てくれ!」
と言いパソコンを見せた。
「唯一の手掛かりは帝洋パシフィック製薬にある!」
パソコンには
「小笠原怪獣ランドや世界中の企業と協力して未知の伝染病に立ち向かう!」
と言うスローガンが大きく書かれていた。
「これのどこが?手掛かりなの?」
蓮はキーボードをいじり、次のページを開いた。
次のページには「パスワードを入力してください!」と表示され、
パスワードを入力すると、G血清や抗生剤『タブリス』、
ジラについてのデータが表示された。さらに、G血清や抗生剤
タブリス』の研究を行っている研究所は小笠原怪獣ランドから
アメリカのアパラチア山脈の地下に移転したと言う驚きの事実が書かれていた。
凛はそのデータを見て
「それじゃ?G血清やジラはアパラチア山脈の何処かで研究が続けられている訳?」
蓮は頷くと
「そうさ!あの小笠原怪獣諸島付近の海域とアパラチア山脈で発見されたあの惨殺事件も、
君のお母さんの失踪も何か関係があるのは確かだ!」
と考えながらボールペンの芯を机で叩いた。

「あなた達はそんな傲慢な考え方をしているから!平気で生物兵器を作れるんですよ!」
と突き放された心理学者達は憤慨した態度で分子生物学者達を非難し、こき下ろした。
それから2時間、『怪獣世界』についてJBVスタジオのサイエンス番組内で議論が
長々と続けられていたが、幾ら話しても視点が完全にズレているせいか、
話は平行線をたどるばかりである。
とうとう司会者の優香は我慢が出来ず、衝動的に司会の机を両手でバアン!
と叩き、「いい加減にして下さい!お互い非難し合って!
お互いの存在を認め合おうとしないんじゃ!不毛な言い争いです!」
と大声を上げたのでさっきまで言い争っていた分子生物学者や精神科医
心理学者達はたちまちシーンとなった。
しばらくして優香は申し訳なさそうに
「すいません……でも……『怪獣は実際、存在していて街を壊している!』
と言うことも確かだし、『思った事が現実になる』
と言う考えた方も有りだと思います。
ただ、『怪獣世界』の価値観や考え方が違うからこそ!
お互いの考え方や価値観を理解し、
尊重しないと放送時間の最後まで議論がまとまりません!」
学者達は沈黙していたが、やがて
「分りました……」
「すいません……」
「少し熱くなり過ぎました……」
と反省の言葉を述べた。
それから優香は
「じゃ?次からは頭ごなしに否定しないで議論できますか?」
と尋ねると学者達は全員頷いた。それから静かな声で優香は
「実はあたしには小さい頃から霊感の様なものがあって
怪獣世界が少しだけ見えるんです……彼らは街で暴れる怪獣達とは違ってほとんどがひ弱で、
普通の人間には曖昧な形や姿
でしか見えません……今も私の目の前にその怪獣の魂と言うか、霊がいます!」
すると全員は大慌てで周りを見渡したが、怪獣らしき影はどこにも見当たらなかった。
1人の心理学者は落ち着きを取り戻した口調で
「成程……彼らは人間の思考に反応して自らを物質化させるんだ……」
さらに優香は静かに
「実は……昔、小さい頃、おじいちゃんから聞いた話があって……」
心理学者は興味津々な表情で優香を見た。
「昔、地球や他の惑星には現実とも空想ともつかぬ半透明の怪獣の原生物達が多く溢れていたって……。
それは見る人が極端に恐れていたり、
人間のような姿なのでは無いかと思ったり、平和な気持ちを持って思い浮かべたりする事によって、
魂とも幽霊とも妖怪とも色々見えたって聞いたわ。
現代の人達にはその原生物達が『怪獣』として見えているって……。
東京のあたしの家に遊びに行く度にいつも言っていたわ!」
心理学者は
「現代人は悪魔のことは映画などでも描くくせに、
神聖なもののことはむしろこきおろしますからねえ。」
優香は無言で頷いた。
他の分子生物学者は
「うーん」
と長い事考えていた。
一人が「もうちょっとね、違う学問分野の人がここにいれば切り口が色々あるんでしょうがね。
ずっと昔、脳死のことでそんなことがあったでしょう。
まあ、もっと話が紛糾しそうですけど。」
と言った。
最後に優香は
「人類と怪獣は共存できるでしょうか?」
「まあ……お互いの存在をまずは認め合うべきでしょうかね!私達みたいに」
「やっぱり!色々考えてみましたが……唯一科学的な結論は……」
心理学者も生物学者
「我々には『まだ説明不可能だ』です!」
と全員、大笑いしながら言ったので、優香にも笑顔が戻った。
「そろそろ時間が来ました!又ぜひいらしてください!
今日は本当にありがとうございました!」
すると全員
「こちらこそ!ありがとうございました!」
と深く頭を下げた。
こうしてサイエンス番組の生放送は無事、なんとか終了した。

新設アルカドラン地下研究所。
 北村はⅩ星人の宇宙船を改造した監獄の中にいるジラを見据え、
「よし!餌の時間だ!」
と言い、壁に埋められた機械に取り付けられた赤いボタンを押した。
 するとジラの監獄の天井が開き、M塩基を組み込まれ巨大化したイカ型の怪獣が落下した。
ローランドは
「気の毒だが……これも我々の切り札の為に必要なのだ……」
やがてジラの咆哮が監獄から聞こえ、特殊加工された強化ガラスに大量の血と真っ黒い墨が飛び散った。
「さて!アカツキシソウの影響を受けた怪獣達は……あと何日餌に利用出来るだろうか?」
とつぶやいた。
 ジラは餌の巨大イカを、カマキリの様なのこぎり状の棘がついた爪で引き裂いた。
そして片腕を突っ込み、肝臓を滴出してそれを脇に置いた。
それから巨大イカに噛みつくと、たちまち巨大イカは原形を留めず分解した。
ジラは餌を一種の高エネルギーに変えて体内に吸収しているらしい。
 捕食した後、ジラは監獄の中で身動き一つせず、じっとしていた。
その様子を見ていた北村は
「一体?奴は何を考えているんだ……」
2人は餌をやる仕事を終えると、お互い時計を見ながら
MWM社の上層部とエバート大統領が到着するのを待った。

(第41章に続く)

では♪♪