(第55章)黒幕と疑念

こんにちは畑内です。
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(第55章)黒幕と疑念

 地球防衛軍『特殊生物情報部』内、諜報部の管理室。
 波川玲子は再び訪れた覇王圭介から、
 X星人ノスフェラトゥの戦争を起こした黒幕に関する驚くべき情報を聞いていた。
 波川は真剣なまなざしで覇王の言う事に耳を傾けていた。
覇王は「私が地球を去った後、様々な惑星を転々として、
偶然興味を持ったノスフェラトゥの神話の様な話を聞ききましてね!
それが最近、地球やX星、小惑星で頻発しているノスフェラトゥ

X星人の戦争を裏で操っている 黒幕に深く関係する事が分かりました!」
波川は目を丸くし
「一体?黒幕の正体は?目的はなんなの?」
覇王はどう説明したらいいのか分からず、しばらく黙っていた
がやがて口を開き、
「黒幕の正体は『第3の堕天使』と名乗る人物です!」
「第3の堕天使?」
「どうやら……その人物はあの死神デスギドラも操っていたらしい……」
「その黒幕と思われる『第3の堕天使』の目的は?」
「目的はX星人ノスフェラトゥ、人類の全滅です!
いずれ科学技術を発達させて寿命を伸ばし続けた果てに
これらの生命体が不老不死を手に入れるのではないかと奴は恐れているようです」
波川は驚いた表情で
「それは……あまりにも突飛な話じゃないの?」
覇王は首を左右に振り
「いや!ありうると思います!仮にその黒幕が『死そのもの』ならね!」
「健康がその存在を脅かす?」
覇王は少し大きな声で
「だからこそです!例えば人類は最近やウィルスと戦う薬や食生活の変化、
災害対策の技術を向上させ!昔に比べると飛躍的に寿命が延びています!
それは『死そのもの』である黒幕にしてみれば!
自分の存在が脅かされている訳です!
だから不老不死を手に入れる前に人類、X星人

ノスフェラトゥを絶滅しようとさせようと企んでいるのじゃないかと!
まだ物的証拠は曖昧ですが……明日アメリカに行って!必ず真相を掴んで見せます!」
「分かりました……あなたを信じます!頑張って下さい!」
覇王は波川と固く握手を交わすとアメリカに行く準備の為、

自分の部屋に戻って行った。

 東京の地球防衛軍『特殊生物犯罪調査部』の取調室。
 突然、ノスフェラトゥが起こしたディスプレイ殺人の重要参考人
として連れて来られたアヤノは特殊な椅子と手錠で両手両足を縛られ、自由を失い、
「ちょっと!どういう事よ!」
と特殊生物犯罪調査部の一人に大声で食ってかかった。
しかし特殊生物犯罪調査部の者は冷静な口調で
「あなたは……24日前、東京品川の最初のディスプレイ殺人事件が
発生する前の午後10時から発生後の午後12時の間!何処で何をしていましたか?」
「24日前は……休暇を取って実家に帰っていたわ!でもどうして!
まさか?軍人のあたしが犯人だと疑っているの?」
「あるいは殺人犯の手引きをしたか?」
と別の特殊生物犯罪調査部の一人が言った。
アヤノは憤慨した口調で
「あんなノスフェラトゥの連中と手引きなんてするわけないでしょ?」
しかし特殊生物犯罪調査部の関係者は話を続けた。
「だだね!奇妙な事に!最初の殺人事件が起こった
現場の公園からあなたの姿によく似た女性を付近の買い物帰りの主婦やOL、
それから現場にいた酔っ払いの男が目撃しているんですよ!」
「あと!そのあなたの姿によく似た女性の特徴は黒髪でみつ網をしていたと

証言しているんです!」
「しかも!その黒髪でみつ網をしている女性は、
我々の仲間の山根蓮さんと音無凛さんがUFOと謎の女を
追った港区のコンテナ室の現場でも目撃されています!」
「物的証拠はあるの?」
すると特殊生物犯罪調査部の一人はビニール袋に入った青い衣服を取り出し、
アヤノの目の前のテーブルに置くと指をさし、
「……港区のコンテナ室の現場で凍死した男性の死体付近で見つかった衣服です。
あなたのサイズとこの衣服がぴったりなばかりか、

あなたの指紋が検出されたんです!」
アヤノはその青い衣服を見て思わず
「これ?何日か前に!実家に空き巣が入って……盗まれたものだわ!どうして?なんで?ここに?」
すると特殊生物犯罪調査部の一人はアヤノの両肩を強く掴み
「それは!君が犯人だからだ!」
アヤノは動揺のあまり取り乱した口調で
「違う!あたしは犯人じゃない!あたしが300人の人間を殺したとでも言うの?
あたしの服にあたしの指紋があっても当然じゃない!」
しかし特殊生物犯罪調査部の2人は更に彼女を追い詰めようと
白い手袋をつけ、別のビニール袋から細く加工された

ズボンの黒いベルトを取り出した。
「さらに今回のディスプレイ殺人で殺された300人の被害者に共通して!
この細く加工された黒いベルトで首を締めて気絶させた跡がある!」
とアヤノに、これも実家から盗まれた細く加工された黒いベルトを差し出した。
「これは最後に発生した銀座の公園で発見された!
それからこのベルトは犯行前に君が細く加工したと

思われる跡と新しい君の指紋が検出された!」
さらに話は続き
「君とその仲間達はこの黒いベルトで被害者の首を絞めて気絶させた後、
注射器で首筋を刺し、M塩基破壊兵器で殺害した!違うか?!」
「もしかして?君は……」
「ミュータントじゃなくて?ノスフェラトゥじゃないのかね?」
「よし!彼女や他のミュータント達のDNA再検査を行うように要請しよう!」
「もしかしたら他にも仲間がいるのかもしれない!」
と彼らは口々に言った。
「違うわ!あたしは正真正銘のミュータントよ!お願い無実よ!信じて!」
「よし!24日前に彼女が世田谷の実家に帰っていたか

どうか家族に確認を取るんだ!」
「はい!」
と一人が返事すると慌ただしく取調室から出て行った。
さらにアヤノは思い出した様子で
「今日!あなた達が来る前に!本部に直接、
3年前にロシアに連れて行かれた筈のノスフェラトゥのレイから電話があったの!」
するとその一人残った特殊生物犯罪調査部の一人はせせら笑いながら
「それ本当かな?もしかして仲間と連絡を取っていたんじゃないか?」
「違うわ!あたしに復讐する気なの!」
「レイと君とは仲が良くなかったらしいが……

これで決まりだな!奴は君を裏切ったんだ!」
「違うって言っているでしょ!」
とアヤノは声を枯らして怒鳴り声を上げた。
「まあいい!すぐに通話記録を調べるさ!」
と言い鼻歌を歌いながら、一人残った特殊生物犯罪調査部は

取調室の部屋の隅の椅子に座った。
アヤノは悔しさのあまりその場で
「絶対許さないわ!」
と何度も何度も泣きながら恨みをぶつける様に言い続けた。

(第56章に続く)

では♪♪