(第58章)軍法会議

こんにちは畑内です。
ゴジラの自作小説を載せます。

(第58章)軍法会議

 地球防衛軍本部内ではミュータントでスピーシ・バッグ部隊のアヤノが
逮捕された事で大騒ぎになり、直ちに軍法会議が開かれた。
 軍法会議には各国の地球防衛軍の代表が集まった。
それからロシアの地球防衛軍の代表は
「君達!日本の地球防衛軍はどうなっているのかね?」
更にドイツの地球防衛軍代表からは
「度重なる不祥事!」
「どう君達は責任を取るつもりかね?」
とロシアの地球防衛軍代表。
「念の為に断わっておくが!昔の一人の研究員の目撃証言のみで安易に
逮捕した覇王圭介のケースとはまるっきり違うと言う事を前提に考えて欲しいね!」
とカナダ代表の地球防衛軍は指摘した。
再びロシアの地球防衛軍代表は
「たしか?ゴードン君が大佐だった昔、軍法会議内で
上司を殴って懲罰房行きになった不祥事があったね?」
「それで?次はこの不祥事か?」
とドイツの地球防衛軍代表。
「もう一度!ミュータント兵達を再教育すべきでは?」
「これは重大な問題であり!重大な不祥事である!」
「凛の護衛の失態もその中の一つだぞ!」
地球防衛軍の熊坂司令官は
「はい!おっしゃる通りです!しかし!アヤノさんは無実を主張しています!」
「彼女は!嘘をついているんじゃないかね?」
とオーストラリアの地球防衛軍の代表は疑いの目で熊坂司令官を見た。
「これまでの君達の不祥事を考えれば!」
「この事実に気が付かなかった君が甘いからじゃないのかね?」
「君には司令官は少し荷が重すぎたのかね?」
「元鬼教官の名が泣いたな……」
熊坂司令官は自分の鬼教官のプライドを傷つけられ、
歯を食いしばり怒りを堪えながら、長い間、各国から来た
地球防衛軍の代表の容赦の無いバッシングの嵐を真摯に受け止めていた。

 洋子の自宅では蓮と洋子は長い間口論を続けていたが、
それでも両者の主張は平行線をたどったままになり、とうとう蓮は声を荒げ
「大体!今日は午後5時からプロレスのシングルマッチの試合があるんだろ?」
と言われ洋子はようやく我に返り
「あっ!」
その洋子のハッとした表情を見た蓮は
「ほら見ろ!少しは周りを見ろ!午前12時にもなって!今更キャンセルする気か?」
と怒鳴り散らすと不機嫌な表情のまま地球防衛軍本部へ向かって出かけて行った。
 洋子は飲み干したコップの中にある氷をバリバリと音を立てて、
噛み砕きながら明日行われる衆院選挙のニュースを見た。
やがてニュースが変わり、
「次のニュースです!アメリカのメキシコの山中に落下した
クレーターから起動したガイガンは飛行を続け、アパラチア山脈
シェナンド国立公園に着陸したとアメリカの地球防衛軍が発表しました!
また別の場所にゴジラやジラも出現した事から、
動物愛護団体は国立公園内の野生動物に被害が無いか懸念をしています!
また最新情報が入り次第お伝えします!」
洋子はブツブツと
「蓮の馬鹿……何も分かっていないくせに……でも!
今日の試合は絶対勝たなきゃ!あ~あ~独り言が癖になりそう……」
とつぶやきながら、それからまだ時間があるのでテレビをダラダラ見ていた時、
ふとある疑問が脳裏に浮かび、真相を確かめようと、
かつて高校の国語の教師でMIBでもある同じノスフェラトゥの長野先生に電話を掛けた。
 彼女は他の誰よりもノスフェラトゥに一番詳しいからである。
 長野先生が電話に出ると洋子は先程思い立った質問をぶつけてみた。
「ねえ?あたし達ノスフェラトゥにはゼイリュ族、ゲンヴ族とか?
ズザグ族とか?ビャグゴ族とか?とか本当にいるの?」
長野先生は動揺した様子で
「えっ?ビャグゴ族?ズザグ族?なんて聞いたこと無いわね……あたしが知っているのは……」
としばらく言葉を切った。やがて長野先生は再び口を開き、
「宇宙人の形態保守派のゼイリュ族と人間同化派のゲンヴ族のこの2つだけよ!」
つまりノスフェラトゥには2つの一族が存在し、お互い対立している。
 その2つの一族の対立の背景には以下のことがあった。
労働力確保が目的でⅩ星人が人工的に作り出したノスフェラトゥは繁殖能力が極めて弱く、
また多くの仲間が故郷の小惑星からⅩ星に連れて来られ、
奴隷の様に扱われ、多くの仲間が死んでいった。
 その中、一部の仲間が野生のキングギドラバガンを利用してⅩ星人に対し反乱を起こした。
命からがら地球へ逃げ延びたが、反乱で戦って逃れた時点でオスの数が激変しており、
地球人の死体に寄生しているノスフェラトゥの男女の数が極端に異なる為、
いずれこのままでは種族は絶滅し、人間と同化する運命にあった。
 だからこそ、形態を維持するか失うかをめぐって元々故郷の小惑星にいた2つの一族が対立した。
 ひとつは形態保守派のゼイリュ族で、彼らは宇宙人として自分達の形態を
維持し続ける事が『種を絶やさず存続させる』事だと考え、だからゴジラの細胞を利用し、
遺伝子の保存と融合の新しい形を自分達が作り出した特殊なウィルスを使って、
宇宙人である特徴のみを強化しようと計画していた。
それが完成すれば人類は不要になるが、結局その計画は失敗し、
ウィルスと投与された仲間は暴走し、投与した自分は危うく破滅しかけた。
 その為、彼らは今でも混血児を増やす為に人間や特殊な能力を持つ、
ミュータント達を襲い続けているのが今のゼイリュ族の状況である。
 ノスフェラトゥ達が立ちあげたMWM社の関係者達もゼイリュ族の出身が多く、
Ⅹ星人に対しての反乱を考える者達もこの一族が極めて多かった。
また特にⅩ星人がつけたノスフェラトゥと言う名前を忌み嫌う傾向にある。
例えば北海道網走市、厚生病院内でテロ事件を起こしたサンドラ達がそうである。
 一方、人間同化派のゲンヴ族は、いずれ人間と混血し、
彼らの次の世代から徐々に自分達の形態や姿を失って人間に近くなっても、
種を絶やさない事を最重視し、いずれ完全な人間あるいはミュータントになっても、
彼らとの間に子孫が残っている、つまり『種は存続されている』と言う事で良いのだと考えている。
 例えば長野先生や洋子もそうである。
 しかし最近、G塩基を持つノスフェラトゥの種子が何処からか地球に流れ着き
(恐らくⅩ星から来たのではないかと言う説が地球人や
ノスフェラトゥの仲間達で囁かれているが真相は不明)、
それが地球人の男性の死体に次々と寄生し、徐々にまた男性型のノスフェラトゥが増加する傾向にあり、
ノスフェラトゥの男女の比率は回復しつつあるとノスフェラトゥ達の
その後の研究で明らかになったので、徐々に両者の対立も収まるか見えた。
 しかし未だにゼイリュ族の間で、今までの行為を続けて来たⅩ星人達に
弾圧された事に対する反感や恨み怒りがまだ根強く残っており、
それを諌め、和平を試みようと交渉を図るゲンヴ族との対立は続いていると言う。
 永野先生の話を聞いた洋子は
「ありがとう!おかげですっきりしたわ!」
長野先生は
「それじゃ!プロレスがんばってね!テレビで応援しているわ!」
洋子は再び
「ありがとう!じゃ!もう行かなきゃ!」
とお礼の言葉を述べて電話を切ると、プロレスの試合の最終調整の為に自分の衣装を持ち、
自分の青い車に乗り込んで、プロレスの会場にある東京ドームへ向かった。

(第59章に続く)

では♪♪