(第83章)X星人の意外な要求

ゴジラの自作小説です。

(第83章)X星人の意外な要求

「ありがとうございます!助かりました!」
「なに!いいですよ!」
と蓮。
「気を付けて行くんだぞ!物騒な奴がうろついているからな!」
「分かりました!」
「本当にありがとうございます!」
蓮とゴードン上級大佐は国連の関係者達を見送ると、
ジェレルを迎えにカウセリングセンターに続く廊下を歩き始めた。
その間、ゴードン上級大佐は歩きながら蓮に
「実はノスフェラトゥ達がいる
小惑星676162のヘブンバーズについて面白い事実が分かったんだ!」
と楽しそうに蓮に話した。
ゴードン上級大佐は話を続けた。
「実はそのCCIの調査船から送られたその小惑星の研究データと、
現存している他の小惑星のデータの一覧を照合した結果、
神の悪戯か?9007ジェームズ・ボンドと言う名前の小惑星のデータとピッタリ一致したんだ!」
「へえ……凄いな!」
ちなみにそのジェームズ・ボンドと言う名前は、
大体の映画や小説ファンならご存知の通り、
あのイアン・フレデリック原作の007シリーズに登場する
イギリスの諜報員のキャラクターの名前である。
 ついでにその9007ジェームズ・ボンドと言う名前の小惑星は現実に実在しており、
興味のある方はネットで検索してみるといいだろう。
 小惑星の話をしながらしばらく2人が廊下を歩いている途中、杏子に出くわした。
彼女は動揺した様子でゴードン上級大佐に敬礼をすると
「失礼!ゴードン上級大佐!」
「どうした?またレイが現れたのか?」
「違います!さっきこちらの通信にⅩ星人から!」
「なに?Ⅹ星人だって?」
「彼らはⅩ星人の軍事企業の『エクスクロス社』と名乗っていて!
こちらの要求に応じるなら、ノスフェラトゥのテロリストのアジトから救出したサンドラを、
引き換えに日本の地球防衛軍本部に引き渡すと言っています!」
「あいつらの要求は何だ!」
「要求はレイ・グリード、マーク・アーヴィンの2人を
この世から抹殺する事だそうです!マーク・アーヴィンは既に
ロシアの特殊部隊に射殺されたと情報が……
国連の関係者の話ではそれも取引の一部だったそうです!
あとはこの日本の地球防衛軍本部内に潜伏しているレイ・グリードだけです……」
と杏子は淡々と話すと完全に黙りこんだ。
 一方、ゴードン上級大佐と蓮はⅩ星人の意外な要求に驚き、お互い顔を見合わせた。

 ガイガンと同化し、一心同体となった洋子の顔も、
ガイガンと全く同じ位置にかなり酷い火傷を負い、
元々熱に弱い宇宙人と人間のハーフである彼女の皮膚は剥がれていた。
そのガイガンの顔を見たジラは再びせせら笑い
「皮肉にもお前達はゴジラと同じ血を持ってしまったが為、呪われた運命を辿ろうとはな……」
洋子は焼けつく様な痛みを堪えていたが、しばらくすると徐々に和ぎ始めた。
 ゴジラが驚いた様子でガイガンの顔を見ると、
新しい皮膚が形成され、元通りに再生していた。それと同時に洋子の顔も新
しい皮膚に覆われ、火傷のあとも一つも残さず、元の美人の顔に戻っていた。
 顔の再生が完了したガイガンは再び起動を開始し、
本来のⅩ星人の命令通り、ジラを抹殺しようと大きくジャンプし、ジラに切り掛った。
 しかしジラは身体を回転させ、尾を再びガイガンの身体に叩きつけようとした。
 そこにゴジラの放射熱線がジラの尾に直撃した。
 ジラはバランスを崩しその場に倒れた。
 その身体の上にガイガンはのしかかり、
尾の先端についているアサルトライフルをジラの頭部につきつけた。
「これで!終わりよ!」
アサルトライフル銃口が輝いた。
するとジラは急に洋子の意識に
「何故戦う?」
と質問した。
洋子の意識は急にジラの質問に
「えっ?」
と動揺した。
さらにジラは恐らくテレパシーで洋子と同化しているガイガンのコンピューターに侵入し
「お前は?何故戦う?」
ガイガンはコンピューターに侵入した謎の脳波の発信源が
ジラの体内にあるマグマ状の物質からだと突き止め、そのマグマ状の物質に
「ジラと地下研究所アルカドランの抹殺!」
と返事を飛ばした。
するとまた返事が返って来た。
「お前は生きているのか?死んでいるのか?」
そこでガイガンは返答できず
「・・・・・」
と表示され、一時沈黙した。
ジラはガイガンと洋子が動揺した隙を狙い、再び大口を開け、口から火球を吐き、反撃した。
ゴジラは急に動かなくなったガイガンと洋子に
「よそ見するな!」
と言わんばかりに
「グオォォオオオオオン!」
と大きく吠えた。
 そのゴジラの咆哮を聞き、洋子が「ハッ!」と我に返ったと
同時にガイガンも動き出し、ジラがまさに火球を吐く直前、
アサルトライフルから青緑色の光線を放っていた。
 たちまちお互い光線と火球がぶつかり合い爆発した。
 ジラは身体の半分に火傷を負っていたがそれでも
ジラは倒れる事は無く、地に足を付け立っていた。
 そのときジラに異変が起こった。
急にジラの口がビリビリと音を立てて、耳まで大きく裂け始めた。続いて下顎が裂け、下
腹部から8本の暁とオレンジ色のノコギリ状の細かい棘に覆われた触手が次々と生えていた。
 変身が完了すると裂けた下顎を花弁のように広げ、ワニかサメに似たナイフ状の歯を剥き出し、
「グオォォオオオン!」
と咆哮を上げた。
それに答える様、ゴジラもオレンジ色の目で、変身したジラを睨みつけ、
「グオォォオン!」
と威嚇する様に吠えた。
ジラはゴジラを睨みつけ
「心弱く、まだ迷い混乱している女と、
死んでいるのか生きているのか分からない怪獣と一緒じゃ!さぞ心強いものだね」
ガイガンと同化している洋子の意識とゴジラを挑発した。

(第84章に続く)

では♪♪