(第45章)どうしようもない絶望の中に希望を

(第45章)どうしようもない絶望の中に希望を
 
大戸町モーテル風ホテル。
覇王と蓮、山岸、真鍋は結局、一度、全員、モーテル風ホテルに帰る事にした。
レンタカーに乗っている間もホテルに着いた後も全員無言で一切言葉を発しなかった。
やがて真鍋はホテルの前でドキュメンタリーのレポートをしようと山岸に呼びかけた。
日東テレビのカメラマンの山岸はおぞましい
真実を知ってしまったショックの余り意気消沈していた。
そんな。やっと憧れのテレビレポーターになれたのに……。
しかし直ぐにカメラの録画スイッチ押したか確認しカメラを構え、撮影準備を始めた。
やがて山岸はこれが最後の仕事になるかもしれないと。
山岸がカメラを構えると真鍋はレポートを始めた。
「こんばんは、みなさん、日東テレビレポーターの真鍋です。
今回の取材で我々は島上冬樹の失踪事件を追う内に我々の住む
この世界を超越した存在に出会いました。
それは偉大なるイースの種族。
彼らは太古の昔、地球に飛来した旧支配者のクトゥルフに対抗すべく
彼らは原始キングギドラを製造しました。
原始キングギドラは何十億もの歳月をかけて進化を繰り返した結果、
キングギドラバガンゴジララドンになり、現在の地球に生存しています。
さらに旧支配者のクトゥルフ。彼らはおぞましく危険な存在です。
「島上冬樹の話によれば『全人類やミュータント達が呉爾羅族に変身すれば放射能
放射線物質に汚染される恐怖や凶暴な怪獣や宇宙人、そしてなにより
旧支配者クトゥルフがもたらす宇宙的恐怖から解放される』と。
しかし私はそれで人類が幸せになるとは思えません。
何故なら放射能放射線物質に汚染される恐怖や凶暴な怪獣や宇宙人の恐怖。
そして旧支配者クトゥルフがもたらす宇宙的恐怖真剣に向き合い、必死に闘い続け、
拒否し続ける事を選択した善人な人間や
ミュータント達や偉大なるイースの種族が存在しています。
確かに人間達は時には怪獣達に餌にされ、
建物ごと踏みつぶされ理不尽に命を奪われるもの達もいます。
またミュータントもX星人やカイザーによって操られ全滅しました。
我々人類やミュータント、ノスフェラトウ達は確かに彼の言う通り、
『動物の様な鋭い牙も爪も無い、ちっぽけな存在に過ぎないかもしれません。』
事実、我々人類はおぞましい冒涜的な
旧支配者のクトゥルフの前では無力で何も出来そうになりません。」
日東テレビのレポーターの真鍋の必死のレポートは続いていた。
何故ならこれが最後の仕事になるかも知れないからだ。
「また偉大なるイースの種族と旧支配者のクトゥルフはお互い敵対する存在である事実も判明しています。
また旧支配者のクトゥルフの同族が
放つテレパシーは非常に危険で普通の人間が触れたら
精神が狂い正気を失う作用がある模様。
事実、旧支配者のクトゥルフの姿を捉えた映像を見た数名のスタッフや
アナウンサーやカメラマン達は精神が
狂い正気を失ってしまったと言う情報もあります。
やがて真鍋は山岸に一度カメラを止めて、ある映像を流すようにお願いした。
その映像は大戸島町の病院からモーテル風のホテルに帰る途中で取った映像だった。
一度、巻き戻し、改めて再生されたカメラの映像には
大戸町内で起きた激しい暴動が録画されていた。
数人の黒いフードを被った男達が宝石店の
ガラスをハンマーで破壊し、略奪行為を繰り返していた。
またある者は大勢集まり、機動隊や地元の警察と衝突し、
大勢の人達の中には拳銃を乱射する者も数名いた。
そして再び早送り後、真鍋のレポートの続きから再生された。
「この様に各地では混乱が見られる模様です。この絶望的な状況を救えるのは……」
何故か、真鍋はそこで言葉を切り、何故かそこでレポートを終わらせてしまった。
後に真鍋は山岸が構えるカメラの前で急に座りこみ、泣き崩れた。
モーテル風のホテルの自分の部屋では覇王は相変わらず大戸島病院の
島上冬樹の病室の時と同じく、無言で窓の外の満天の星が輝く夜の空を見ていた。
心配するな。美雪。凛。大丈夫だ。
蓮は写真を取り出した。
写真には茶色の髪で白いウェンデングドレスを着た女性の川根洋子の姿が映っていた。
蓮はウェンデングドレスを着た洋子の笑顔を思い出す度に彼女と自分の
円満な夫婦の未来が悲惨なものにならないか不安で胸がいっぱいになった。
クッ…俺は父親のデストロイアは友紀の親友やその他大勢の人々の命を奪った
忌まわしいデストロイアの血を受け継いでいる。
私は父とは違う!それを証明する為に君を幸せにしたいんだ!
そうしなければ……俺に生きる価値なんて何も無い。
頼む若いゴジラ、俺達のいや、
人類やミュータント、ノスフェラトゥ、怪獣達の共存の未来を。
いや、本当に若いゴジラ一匹で止められるのか?
あいつを。あの旧支配者クトゥルフを。
 
山岸は泣き崩れた真鍋を連れてモーテル風ホテルの中に戻った。
その後、山岸は真鍋を寝かせた後、凛のいる自分の部屋に戻った。
「あたしは大切な友達や親戚や両親や
ゴジラや怪獣達が無い世界なんて考えられないの」
山岸はふいに言った彼女の言葉が良く理解できた。                   
今回は地球防衛軍轟天号の乗組員と初代ゴジラのクローンが
旧支配者のクトゥルフの同族を倒してくれる事を祈るしかない。
その後、山岸は何かを決心した様子でこう凛に切りだした。
「僕は3日前に君を愛し合った。
あの時……実は心に決めていた事があるんだ。」
山岸は両頬をピンク色に染め、恥ずかしそうにそう言った。
凛は自分のベッドに腰をおろし、
茶色い宝石の様な美しい眼で山岸の顔をしばらくじっと見ていた。
まるで彼の次の言葉を待つように。
しばらくして山岸はポケットから小さな箱を取り出した。
山岸は箱を凛に手渡した。
「音無凛さん……僕と結婚して下さい。いや!出来なくても。
例え僕が得体の知れない怪物に変身しても……僕は君を愛している。」
凛はその山岸の心のこもったプロポーズを聞き、
凛は今まで押し殺していた感情が溢れ出るのを感じた。
それは嬉しさと恥ずかしさの混じった複雑な感情だった。
山岸はベッドの上に仰向けになり、ふいに口を開き、不気味な言葉を言い始めた。
「ふんぐるい、むぐるうなふ、くとぅるふ、るるいえ、うが、ふだくん」
凛は指輪の箱を机に起き、ベッドの上に仰向けになった。
しばらくして山岸は仰向けのままこう言った。
「島上冬樹さんによれば、この言葉の意味はこうらしい。
『ルルイエの館にて死せるクトゥルフは夢を見るままに復活の時を待っている』と。」
しばらくして凛は大きくため息を付き、
大戸島病院の島上冬樹の病室を去る時に彼が言った事を思い出した。
『今回の事件が幸運にも解決したからと言って
彼らはまだこの世から消滅した訳ではありません。
そう、貴方達にはクトゥルフの復活のカギとなる
この大宇宙の星辰を動かす歯車を止める事はできません』と。
凛はベッドの上で大きく寝返りを打ち、
仰向けに眠っている山岸の横顔を茶色の両目で愛しそうに見つめた。
「ねえ、また愛してくれる?」
山岸は言葉の代わりに笑顔で答えた。
2人は再び、お互い荒い息を吐き合い、上着と下着を脱ぎ始めた。
凛は山岸の上に跨ると大きな両乳房を
大きく激しく上下に揺らしながら、何度も立ったり座ったりを繰り返した。
山岸は仰向けに寝転んだまま両腕を伸ばし、
彼女の大きなお尻を優しく掌でぎゅっと掴んだ。
凛の両目の瞳は茶色から深紅色に変わり、
ピンク色の唇から黄金の牙がニョキッと生えて来た。
山岸は両頬を薄いピンク色に染め、口を大きく開け、太い喘ぎ声を上げ続けた。
一方、凛は両頬をリンゴの様に赤く染め、口を大きく開け、
獣の唸り声の混じった甲高い喘ぎ声を上げ続けた。
 
(第46章に続く)