(第33章)逮捕

(第33章)逮捕
 
烈花とクエントは互い武器を構え、息もぴったりに上下に頷いた。
クエントはドアノブを慎重に回した。
しかし烈花は「ええい!面倒だ!」と言うと思いっ切り、
『関係者以外立ち入り厳禁』の看板が付いたドアを力一杯、蹴り飛ばした。
同時にドアが蝶番ごと外れ、そのまま一気にバタンと倒れた。
それを合図にクエントと烈花は突入した。
「えっ?」
「なっ!何をしているんですか?」
烈花とクエントは余りの異様な光景にぎょっとした。
ジョン・C・シモンズが御月カオリ社長の青いジーンズに
覆われた大きな形の整った丸いお尻を左右交互に
何度も両手で力一杯、バシバシと叩き続けていた。
しかもジョンはどこか楽しそうだった。
御月カオリはお尻の鋭い痛みと怒りと悔しさ、悲しさ、
そして屈辱に満ちた複雑な表情を浮かべ、大口を開けていた。
しかもお尻を叩かれる度に御月カオリは荒々しく息を吐き、
お尻に何度も走る鋭い痛みで喘ぐような甲高い叫び声を上げ続けていた。
「ああっ!ああっ!ああっ!ああっ!
ああっ!あああっ!あああっ!はああっ!」
御月カオリは腫れた右頬以外の左頬を紅潮させた。
更に何度もジョンにお尻を叩かれる度に。
彼女の床まで伸びた長い茶髪と下に向かって落ちている
白いシャツに覆われた大きな形の整った丸い両胸が
激しく何度も前後に揺れ続けていた。
やがて御月カオリは次第に気持ち良くなって来たのか?
両瞼を閉じ、額にしわを寄せ、口から涎を垂らした。
ジョンはバシバシと両手でカオリの
形の整った大きな丸いお尻を叩き続けた。
その度に御月カオリは泣き叫ぶような声では無く、
叩かれる度に性的興奮を感じたのか?
口を大きく開け、荒々しく息を吐き、甲高い声で喘ぐように叫び続けた。
「うああっ!やめろ!やめてっ!きゃああっ!きゃああん!きゃああん!
でも!きゃあん!気持ちいっ!きゃあっ!
はああん!んんあっ!はっ!はあん!」
間もなくしてジョンは烈花とクエントが茫然と自分と
御月カオリの事を見ているのに気が付き、
ようやくカオリのお尻を叩くのを止めた。
御月カオリは疲れ果てたのか?バタッと
そのまま仰向けに倒れ、ハアハア息を吐き続けた。
そしてジョンは立ち上がった。
「おっと!失礼!クエント・ケッチャムさん!烈花法師!
駆け付けるのが余りにも遅いんで!日本式のお仕置きをしていたところだ!
この女は余りにも高慢すぎる!これ以上思い上がらない様にね!
ついでに僕の親友や同胞達をT-エリクサーを利用して
M-BOW(魔獣生物兵器)に仕立ててマリオネット
(操り人形)にして自由を奪おうとした罰もある!」
「・・・・・・・・・」
「・・・そう・・・そうですか・・・・・・」
烈花とクエントが茫然としつつもジョンの顔を見た。
間も無くして御月カオリは床の上で横向きになり、シクシクと泣き出した。
「畜生!畜生!復讐してやる!復讐してやる!復讐してやる!」
それ以降も御月カオリはジョンに向かってブツブツとつぶやき続けた。
しかしそこに烈花とクエントは御月カオリ社長の横で屈んだ。
2人は涙で腫れ上がった彼女の茶色の瞳を見てこう言った。
「貴方をBOW(生物兵器)と新型ウィルス兵器の製造を
指示した容疑で拘束します!いいですね!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
御月カオリは歯を食いしばり、黙秘を続けた。
烈花は少し乱暴に御月カオリをうつ伏せにした。
そして両手首に銀色の手錠を懸けた。
「さあ!立ってくれ!」
烈花は立ち上がるのを拒む御月カオリ社長を無理矢理立たせた。
クエントは外にいるBSAAの特殊部隊にひとつに連絡を取った。
「御月カオリ社長を拘束した」と彼らに伝えた。
そして御月カオリ社長を引き渡すべく地下の極秘研究所のハイブを出て
御月製薬北米支部に向かう事にした。
するとジョンが『悪いが僕も付いてっていいかな?』
「何故だ?一人で帰れるだろ?」
つつけどんに烈花が言うとジョンは困った表情になった。
「実はさっきまで道に迷って……」
「はあー」
烈花は呆れた様子で大きく声を上げた。
わりと方向音痴ですね……。
クエントは口に出さなかったもののそう思った。
「ハハハハッ!すまん!すまん!」
ジョンは思わず笑い謝った。
烈花はフ―ツと溜息を付き、小首を傾げた。
それからジョン、烈花、クエントは逮捕した御月カオリを
極秘研究所ハイブの裏口の分厚いドアから出た。
そして御月カオリの身柄は地上に待機していた
BSAA特殊部隊2部隊で構成された護送隊によって車へ乗せられた。
そして護送車は御月カオリ社長を乗せ、
BSAA北米支部へ走り去って行った。
これからBSAA隊員と尋問官による厳しい取り調べが始まる事となった。
クエントと烈花はようやくひと仕事を終えてホッと一息を付いた。
やれやれこれでひとまず御月製薬不正事件は概ね解決したな。
後は究極の破壊の神を鋼牙さんとジルさんが
封印してくれればそれで終わりだ。
「これからどうする?」
「どうしましょうね」
2人は御月カオリを逮捕し、極秘研究所のハイブに出て
護衛隊に引き渡した後の事は何も考えていなかった。
しかも気が付くとジョン・C・シモンズは既に消えていた。
恐らく満足して黒い車に乗って、自分の屋敷に戻ったのだろう。
全く悔し顔を拝む為にわざわざ送ってまで
あの極秘研究所のハイブに侵入するなんて。
クエントは腕組みしながらそう考えていた。
しかも日本式のお仕置きなんて……。
彼は何処で学んだのでしょう?
烈花は無線で現在、究極の破壊の神が幽閉されている
極秘研究所ハイブ内の最下層に向かっている鋼牙とジルに
御月カオリ社長を逮捕した事を報告した。
それを聞いたジルと鋼牙はこう返事をした。
「了解!このまま最下層の究極の破壊の神を封印しに行く!
また地上で落ち合おう!」
鋼牙の言葉を最後に通信は切れた。
「おい!待ってくれ!通信を……もう……切ったな!」
烈花は不満気に両頬を膨らませた。
「鋼牙さんは何て?」
クエントの質問にぶすっとした表情で烈花は答えた。
「このままジルと究極の破壊の神を
封印しに行くと言って……無線を切った!」
「きっともう休んでいいと思ったのでは?」
「俺は!別に疲れていないっ!」
ムキになった烈花がそう答えたのに対し
クエントはあくまで冷静にこう話した。
「まあージルさんも鋼牙さんが一緒なら大丈夫でしょう!」
「まあーそうだが……」
烈花はやれやれと首を左右に振った。
続けて彼女は大きく溜め息をついた。
 
極秘研究所のハイブの究極の破壊の神が幽閉されている研究所の
最下層を目指して迷路の様な通路を進んで行く
内に恐らく最下層に続くであろう。
分厚い扉と思わしき入口を見つけた。
しかし何者かの力により強い力で軽々とこじ開けられたようだ。
分厚い扉は蝶つがいごと外れて通路の脇の壁に立てかけてあった。
「アナンタの気配だ!」
「ええ、ここから強いホラーの気配が!」
「奴はここを通って行ったのは間違いないな!」
「先へ進みましょう!アナンタもそこにいるわ!」
鋼牙とジルはお互い頷き合い、ドアが無い入口を通り、
地下へ続く長い長い階段を下りて行った。
地下へ続く長い階段は銀色に輝いていた。
鋼牙は白いコートの赤い内側から魔戒剣を。
ジルは両手にホラーの法術が込められた
特殊弾が装填されたマグナムを構えた。
 
(第34章に続く)