殺人ゲームを強要する連続殺人鬼ジグゾウ帰還す!!

『SAW・ジグゾウの帰還』 


日本・長崎。
「うーん。うーん。」
日本人の少年タクマは何度も唸った。
やがて日本人の少年タクマはようやく目が覚めた。
「ここはどこだ?」
タクマは周囲を見渡した。
そこは巨大なドーム状の施設だった。
どこなのかはさっぱりと分からない。
更に他にも仲間の日本人の少年がいた。
「おい!ケンジ!大丈夫か?」
「ああ、大丈夫さ!」
「おーい!」
誰かが呼びかける声が聞こえた。
ケンジとタクマが見るとそこにはメガネをかけたユウキがいた。
「ケンジ!タクマ!ここはどこだ?」
「わかんねえよ!」
「畜生ふざけんな!」
ケンジとタクマは意味もなく苛立ち、怒鳴り散らした。
キャハハハハハハハハハハハハッ!
大きな不気味な笑い声が聞こえた。
「なんの声だ?」
「人形の音声みたいな……」
「畜生!マジで何なんだよ!」
間もなくして3人は気づいた。
「なんだよこれ?」
「畜生!ふざけんな!」
「悪質な奴め!親に告げ口してやる!」
3人の両足には頑丈な銀色の鎖で床に繋がれていた。
つまり身動きは全く出来ない訳である。
そして中心には小さなテーブルがあり、テープレコーダーが一つ置いてあった。
何なのか分からぬまま、ケンジは手を伸ばし、テープレコーダーを取った。
そしてテープレコーダーに「スイッチオン」と言う紙が貼られていた。
ケンジはテープレコーダーのボタンを押した。
間もなくして音声が流れた。
「ハロ!ケンジ!ハロ!タクマ!
ハロ!ユウキ!ゲームをしよう!
君達は日本の修学旅行へ行った際に
かつてこの長崎の地で被爆した男に向かって
「死に損ないのクソジジイ」や「拍手しろ!」と暴言を吐いたね。
君はこの平和な時代に生まれたから分からないだろうが。
君たちは原爆の放射能の怖さを理解していない。
だからそんな発言が出来るのだろう。
君たちは昔平和だったはずの街に原爆を落とされ、
町は焼き尽くされ、その男も被爆した。
分かるかね?被爆すれば癌にかかる。
癌はいずれ男の命を奪うだろう。
君達は戦争や原爆に真剣に向き合い、
再び戦争や原爆で自分の様に君たちや
君達の未来の子供達が原爆や戦争のせいで死ぬまで苦しみ、
命を縮める事が無いよう平和の為に真剣に君たちに説明しようとしていた。
しかし君たちはそんな真剣な彼の意思をないがしろにしたのだ。
これは許されるべき事ではない!お待ちかねのルール説明だ!
ここは長崎の原子力発電所の一部の部屋を無礼を承知ながらお借りしてもらった。
この原子力発電所のこの部屋は放射能レベルを実験する為の部屋だ。
これから10時間後にはこの部屋には長崎で落ちたの
と同等の高レベルな放射能で満たされることになる。
もちろん君達の身体は原爆並みの放射能で焼き尽くされ。
のた打ち回り。苦しみ、そして死ぬ事になる。
だが、安心したまえ、助かる道はある。
3人のそれぞれの床にスイッチがあるはずだ。
このスイッチを押し続ければいい。
そうすれば放射能レベルは下がり続ける。
人体に影響がないレントゲンレベル。
あるいは原爆以下にまで放射能を下げれば君達は助かる。
ただし、押し続けるには君達に暴言を吐かれ、
被爆69年となっても君達が原爆や戦争が人事に感じ、
本気で向き合ってもらえなかった被爆者の男の怒りと無念が襲いかかるだろう。
さあ、少年達よ!今こそ!原爆や戦争に真剣に向き合う時だ!
生きるか?死ぬかは?君達次第!ゲーム開始!」
そしてテープレコーダーのゲーム開始宣言と
同時に壁に付けられた大きなデジタル時計がカウントを始めた。
「おい……じょうだんだろ!」
「ふざけんな!こんなクソゲーム止めろ!」
「死にたくない!死にたくない!」
余りの現実離れした出来事に呆然となるケンジ。
理不尽な怒りをぶつけるタクマ。
死に恐怖に怯え切ったユウキは目の前のボタンを死に物狂いで押した。
次の瞬間、彼が押したボタンは高熱を発し、彼の掌を焼き尽くした。
「ぎゃあああああああああああっ」
ユウキは悲鳴を上げつつも死に物狂いで押し続けた。
「ユウキ!ああ、何なんだよ!」
現実離れした出来事に呆然となっていたケンジは我に返った。
そしてユウキに習ってボタンを押した。
同時にボタンは高熱を発し、彼の掌を焼き尽くした。
「馬鹿!やめろ!そんなことしたら死んじまうぞ!」
「お前もやれよ!それこそ本当に死んじまうぞ!」
「嫌だね!俺はやらない!大体!あのクソジジが悪いんだ!」
そう言い、タクマはボタンを押そうとしなかった。
「見ろよ!放射能レベルが下がっているぞ!」
ユウキは壁に付けられた放射能レベルを示す羅針盤を指さした。
確かにボタンを押している間は放射能のレベルはぐんぐんと下がっていた。
「タクマ!やれよ!馬鹿!」
「ふざけんな!ふざけんなよ!」
ユウキとケンジはボタンを押し続け掌を高熱で
焼き尽くされるのを感じつつも必死の形相で耐え続けた。
とうとうタクマも微かに啜り、泣き出した。
そして観念したのか?ようやくボタンを押した。
当然、彼が押したボタンは高熱を発し、彼の掌を焼き尽くした。
「ぎゃああああっ!熱い!アチ!畜生!」
タクマは高熱に耐えかねて手を離した。
「無理だ!熱くて押せない!お前達は馬鹿か?こんな熱いのを?」
「押さなきゃ死ぬ!俺達が暴言を吐いた人も同じ気持ちだったはずだ!」
「彼も僕達よりも……きっと原爆でもっともっと熱い思いをした。」
「俺は…………くっ・・・・・」
それから3人は掌を高熱で焼き尽くされるの
感じつつも死に物狂いでボタンを押し続けた。
それから押し続けて約5時間が経過した。
3人は荒々しく息を吐き、額と全身に大量の汗を流した。
既に3人の意識は限界に達し、いつ意識を失ってもおかしくない状態だった。
やがてタクマは高温に耐えかね、またボタンを離してしまった。
「離すな!この馬鹿!クソ野郎!」
「ここで死んだらお前のせいだ!わかってんのか!クズ野郎!」
ユウキとケンジは理性を失い、獣のような声でどなり散らした。
タクマは二人の凄まじい剣幕に圧倒され、またボタンを押した。
再び彼の掌を高温が焼き尽くした。
「ぎゃあああああああああっ!」
再び3人の絶叫と怒号が放射能レベルを実験する為の部屋に木霊した。
そして更に約4時間が経過した。
タクマもユウキもケンジもただひたすら
必死に気を失わぬように意識を保ちつつも、ボタンを押し続けた。
そして3人の掌はボタンを押し続ける限り高熱で焼き続けた。
やがてあと1時間……そして……。
放射能発射まであと10秒!9秒!」とカウントダウンが始まった。
「良し!後もうすぐだ!みんな頑張れ!」
「………………」
「頑張れ!畜生!生き残ってやる!絶対に!絶対に!」
カウントは続いた。
「8秒!7秒!6秒!5秒!4秒!3秒!2秒!1秒!」
放射能注入!」とアナウンスが聞こえた。
そして放射能レベルの実験室の部屋は放射能で満たされた。
数時間後、タクマとケンジとユウキは目を開けた。
3人は吸い込まれるように放射能レベルを示す羅針盤を見た。
羅針盤は少なくとも原爆レベルの放射能の注入は避けられたようだ。
「生きている……」
「よっ!よかった!俺達生きているんだ!」
「やった!やった!良かった!良かった!」
3人はようやくこの死のゲームから無事生還した事を心から喜んだ。
やがて今度はキィーキィーキィーという不気味な音が聞こえた。
3人は不気味な音のした方を見た。
すると黒いバサバサした髪と赤い瞳。
鋭い表情の顔にほっぺに赤い渦巻が書かれた
不気味な腹話術人形が自転車を漕ぎ、現れた。
「あれ?まさか……」
「嘘だろ?なんで日本にいるんだよ……」
「ビリー人形……」
するとギイギイと軋む音を立て、ビリ人形は狼狽しきった3人をギョロリと見た。
3人は恐怖の余り全身が硬直した。
間もなくしてビリー人形から音声が流れた。
多くの人間は生に感謝しない!しかし君達は違う!今日からな!」と。
 
数時間後、3人はアメリカの刑事と協力していた
長崎県警と特殊部隊によって無事救出された。
3人は外に出た時、心なしか空気がうまい気がした。
3人は病院に入院生精密検査が行われた。
だが3人は奇跡的にレントゲンレベルの
放射能を浴びただけで健康そのものだった。
それを聞いたタクマは顔が青ざめた。
もし、俺もあのボタンを押さなかったら?
今頃彼らと一緒に原爆並みの放射能で焼け死んでいたかも知れない。
そう考えるだけで恐怖のあまり小便を漏らしそうになった。
まさにタクマを含む3人は原爆の放射能の怖さを身近で思い知った。
同時に仲間の2人のおかげで今の命が助かった事を。生に感謝した。
後日、3人は暴言を吐いた被爆した男に心の底から深く謝罪をした。
それから 被爆69年となり、原爆や戦争を人事とは思わず
本気で向き合う事を被爆した男に約束した。
 
(SWA)ジグゾウ!復活記念自作小説・完結
 
ジグソウ・ソウ・レガシー予告編。
 
ジグソウ・ソウ・レガシー公式サイト。
公開は11月10日(金曜日)日本公開の予定です。
 
では♪♪