(第67章)儀式を起こす狂信的な人の恐怖

(第67章)儀式を起こす狂信的な人の恐怖

 

『静かなる丘』の教会の地下の異世界

エアと魔人フランドールとエイダは鳴葉を探して裏世界の教会を進んでいた。

3人は角を曲がって歩き下の方を歩いていた。

勿論、裏世界なので相変わらず周囲は赤い血と

錆の壁に崖がある細く赤く汚れたタイルの床を歩いていた。

やがて一番端の扉を開けて先へ進んだ。

周囲は相変わらずオレンジ色のもやが掛かり、

赤い血と錆と壁のオレンジ色にメラメラと燃え盛るような動く模様の壁が見えた。

そして近くの茶色の扉に近づいた時、不意にドアがガチャ!と開き人影が出て来た。

エイダ、エア、魔人フランドールは敵が来たと思い身構えた。

するとエイダとエアはマシンガンを向けた。

「うわーわーわーまって!あたしよ!!鳴葉よ!!」

鳴葉は両手を挙げて大声を上げた。

エア、エイダ、鳴葉、魔人フランドールは無事に合流できた事に心底ほっとした。

「無事だったか!良かった!」

「またマイキー、天魔アルミサエルに助けて貰ったの!」

そう言いながらエア、エイダ、魔人フランドールに彼から貰ったお守りの

アルミサエルの印章』を見せた。魔人フランドールによると

どうやらかなり強力な魔力のあるお守りのようだ。

実際、彼女の話によるとこのアルミサエルの印章によって自分を攫った

ケリヴァミショナリー達を消滅させたと言う。

また『オズ』のサークルの大学生の女の子をこのアルミサエル

印章の力と自分のお腹にいる赤ちゃんの力を

使って異世界の外へ逃がした事も全て話した。

「成程ねー。結構良く出来ているわ!」

魔人フランドールも手に持ってアルミサエルの印章に宿っている魔力と

賢者の石を調べていた。更に彼女によると鳴葉の肉体と異世界と現世を

繋げる力のある赤ちゃんの魔力と賢者の石を増幅させる機能のあるらしい。

そして鳴葉に返した。

「それ!きっと役に立つわ。正直貴方の彼氏は凄いわよ!」

「まさに錬金術師ね。きっと才能があったのよ。」

魔人フランドールとエイダに言われて鳴葉は照れ臭そうに笑った。

「きっと!彼は日本の漫画の『鋼の錬金術師』が好きだったから。

趣味で実際に漫画の錬金術をやっていたみたいだし。結構面白かったのよ」

「あっ!それユーチューブで見たなあー」

「なかなか失敗したり。成功したり。面白かったわ。」

「まさか!彼の趣味がこんなところで生かされるなんてね。」

魔人フランドールは続けてこう付け加えた。

「人生何が起こるか分からないものね。」と。

またその動画は見たいもののとにかく色々と忙しいので

この事件が終わったらまた見返してみる事にした。

そして合流してようやく全員揃ったので開いたままのドアの中に入った。

ドアの先には赤い血と錆の壁に覆われ、床も赤く汚れたタイルの床に覆われていた。

また細長い金網があった。そして部屋の奥の扉には鍵が壊れて入れなかった。

鳴葉によるとここに大量のケリヴァーミショナリーがいたけど

マイキー事、天魔アルミサエルが使ったアルミサエルの印章で消滅したと言う。

それからエア、エイダ、鳴葉、魔人フランドールは手分けして既に

異世界から脱出した七羽と鳴葉と大量のケリヴァーミショナリー達が

いた長四角の大部屋を調べた。

床はまるで焼け焦げたように真っ黒に変色していた。

大部屋には何も無いが僅かに人が焼け焦げたような痕跡が床や壁に残っていた。

更に間も無くして遠くから微かに恐らく復活したと思われる

ケリヴァーミショナリー達の呻き声がエア達の耳に聞こえて来た。

エアは「まさか?」と呟いた。鳴葉は少し怯えた表情をしたあと慌てて呟いた。

「マイキー?天魔アルミサエルの言う通りだわ」

エイダはエアと魔人フランドールにこう言った。

「ここには何も無いし先を急ぎましょう!」

エアと魔人フランドールは頷いた。

「ええ、大量のケリヴァーミショナリーは流石に相手してられないわ。」

エアエイダ、鳴葉、魔人フランドールはこの大部屋を調べても

結局何も無かったので急いで引き返した。

そのあとドアの前で4人は警戒していたもののどうやら

ケリヴァミショナリー達は別のどこか場所で復活していたらしく

ドアを開けて廊下へ戻っても連中の人影も気配も無かった。

4人全員は「ほっ!」と一安心し、4人が廊下に出ると更に先へ進んだ。

どうやら連中は自身が「不死身の肉体がある」と思い込んでいる

限り『静かなる丘』の力で何度でも何度でも復活するようだ。

完全にケリヴァミショナリー達を消滅させるには大元の

『静かなる丘』の力を完全に断ち切り、現世から消滅させる

必要があると魔人フランドールから聞いた。

つまり私の胎内にいる神の胎児をどうにかしなければ。

連中は消滅しない。元の人間には戻らないだろう。

魔人フランドールは独りでそう考えていた。

エア、エイダ、鳴葉、魔人フランドールが廊下に出ると更に先へ進んだ。

4人は黙ってその先の赤い血と錆の壁に覆われた廊下を歩き続けた。

そして相変わらずオレンジ色の霧とオレンジ色の燃え盛る動く模様が

メラメラと動き続けている壁はしばらく続いていた。

そして更に茶色の扉を開けていた。

茶色の扉の先の四角い部屋で木の机とオレンジ色の四角い箱。

メモ帳。白いベッドの上にはメモが置かれていた。

部屋の奥には黒カビで汚れた本棚が2対あった。

更にその中央には4対の四角い窪みと

中央に窪みの付いたとても大きな茶色の扉があった。

そして四角い扉は完全にロックされていた。

勿論、取っ手もドアノブも無ければ開ける術も無かった。

また右側にはシェリル刑事が残したメモが張ってあった。

エアはまずはベッドの上のメモを手に取った。

それは『とある物語の絵本の文章』つまり謎のメモの続きに間違い無かった。

インキュバスは本来の太陽神の姿を取り戻そうと世界中を旅しました。

しかしながら方法は見つかりません。しかし諦めずに昼も夜も夕方も夕日も。

1日中、1年、何十年、何百年、何万年が過ぎようと探し続けました。

しかし見付からずインキュバスは途方に暮れました。

そこの20代の青年でアキラと名乗る・・・。」

「えっ?アキラ?!どうして??彼は大昔に火刑された筈!!」

魔人フランドールは信じられない表情でエアを見た。

「分からないが。俺の前世の記憶があるから・・・・いや。なんでも・・・・」

それから周りを見るとエイダは「あー」と声を上げ、鳴葉は白い目で見ていた。

エアは恥ずかしくなり、メモに視線を戻した。

魔人フランドールも同じだった。あーあ恥ずかしい・・・・。

「アキラと名乗る呪術師が現れた。

その呪術師は彼女と同じく世界中を旅していた。

彼はアメリカや日本を渡り歩いて最後にアテスカを旅してアメリカに戻り。

彼女の為に太陽神に戻る方法と呪いと解く方法を見つけてくれました。

インキュバスはその方法を教えて貰いました。元の太陽神に戻るには。

普通の人間の女の子の聖母では不可能であると説いた。

必要なのは神聖で強い賢者の石の力と強力な破壊の魔力。

螺旋を上回る機械生命体の力が必要だと。良く分からないが。

更に新しく『母親の神獣』『父親の神獣』『虐待の神獣』。

『操り人形の神獣』『種族の神獣』を神聖な場所の床の上に

四角と四角の中央の四角に間違いなく配置する。

聖母は強大な闇の力と神の力を持つ外なる神の血を引く

異教の神の力を持つ魔人が最も良いとされる。

早速、彼女は正しい降神術を欲深い人間に教えて実行させました。

(この先の文章はビリビリに破かれて読めない)」

「そんな・・・・・アキラがその神の正しい儀式を教えたの?」

「分からない。少なくとも前世の記憶には無かった。」

魔人フランドールとエアは戸惑いお互い顔を見合わせた。

そこにエイダが現れて2人にこう言った。

「とにかく!若村と造反したアキュラスが企んでいた計画は

ようやくやっと突き止められたわね。その先にーきっと。」

「その若村秀和がいると?」

鳴葉はエイダの方を見ると「きっといるに違いないわ」と答えた。

それに対して彼女も「ええ、ここは一本道だし」と言った。

「もしかしたら異世界の抜け穴を浸かってその先にいるのかも。」

「早いところ、多分、鉄板をはめると開く仕組みよ」

また魔人フランドールは扉に付いているシェリル刑事が残したメモを手に取った。

それは彼女が残した手記の一部のようだった。

「それはシェリル刑事のメモか?」

「ええ、どうやら私達がここまで辿り付くように導いてくれたようね。

聖母アレッサとの記憶と彼女本人がね」

「じゃ!ここはアレッサ・ギレスピーの部屋?」

「かも知れないけど。もしかしたら彼女の想いが」

「どちらにしろ。この先でようやくラストって訳でしょ?」

鳴葉はエアに今まで手に入れた鉄板を出すように頼んだ。

エアは鉄板を取り出し全て鳴葉に渡した。

鳴葉は扉の4対の四角い窪みと中央の窪みにあの鉄板を

ガチャッ!ガチャッ!ガチャッ!と音を立ててはめ込んだ。

時々、さっきのメモを確認しながら。『父親の鉄板』『母親の鉄板』

『虐待の鉄板』をはめ込んだ。しかし困った事

に他の『操り人形の鉄板』と『種族の鉄板』を所持していなかった。

これでは扉が開かない。

その時、茶色の扉がまた開き、白いコートの男が現れた。

ふとエアは最初にあのイコン画のあった礼拝堂で急に

教会全体が激しい上下左右の大きな地震があった事を思い出した。

エアは白いコートの男に例の地震の事を尋ねるとすぐにこう返答した。

「ああ、前にあったあの教会の地震か。あれは。

どうやらこの教会に安置されていた魔人フランドールの全身火傷の肉体に魂が戻り。

活動を始めたのをきっかけにこの教会の内部に宿っている

異世界の魔人フランドール由来の魔力が活性化した為だ。

そう、魔人フランドールの胎内にいる神が目覚めようとしている。

「フラン!もう感じている筈だ!胎内で神が胎動している事に!

神はお前から産まれたがっているんだ。」

「ええ、分かっているわ・・・・分かっているのよ・・・」

魔人フランドールは両手で下腹部を抑えた。更に彼女は俯いていた。

魔人フランドールは腰が砕けたのか?直ぐにその場にへたり込んだ。

エアは直ぐに居ても立っても居られず彼女の元に駆け寄った。

エアは魔人フランドールの肩にそっと触れた。

彼女の小さな身体はプルプルと震えていた。エアの手には彼女の震えが伝わって来た。

「こわい・・・・の・・・私の産んだ子供が・・・・・。

人間に・・・・私の友達のアリスちゃんや・・・・。

トリニティちゃん・・・・フィッシャーズのみんなの世界を・・・・。

また・・・・あの時・・・・みたいに・・・。私は・・・・私は・・・・。」

するとエアは無言で両手を出すとスーツとまるで昔からそうして

きたように魔人フランドールの身体をしっかりと抱き締めた。

その瞬間、フラッシュバックで目の前が真っ白になった。

魔人フランドールとエアの目の前には黙ってエアの前世の少年アキラが怖くて

震えている魔人フランドールをしっかりと抱き締めている光景が鮮明に映し出された。

「大丈夫!僕は何があっても君の味方だ。

例え神様や天使や人間世界を敵に回しても君を・・・・・」と。

魔人フランドールは彼の言葉がかつて前世のあの中世の

時代のアキラ少年が残した言葉だと気付き、心の底から安堵し、大粒の涙を流した。

 

(第68章に続く)

(第66章)呪いの赤い薔薇

(第66章)呪いの赤い薔薇

 

魔導輪ザルバは緊迫した表情を浮かべたまま鋼牙にこう言った。

「こいつはマジか?・・・酷過ぎるぜ!なんて怨念だ!」

魔導輪ザルバは急にドアの先の真っ暗な部屋から感じた言いようの

無い名状し難い何か禍々しい邪悪な

。吐き気をよもおす何かを感じ続けていた。

不意に鋼牙の心臓はまるで鷲掴みにされたようにギュウッ!と激しく痛みを感じた。

更に喉の奥底から強い吐き気がこみ上げてくるのを感じてしまい。

「おえええっ!」と無意識に嗚咽を漏らしてしまった。

危うく吐きそうになり大慌てで飲み込んだ。

喉に酸っぱい酸の焼けるような痛みが走った。

しかしすぐに苦しそうな顔から元の不愛想で冷静な表情に戻った。

鋼牙は何事も無かったかのようにゆっくりと真っ暗な部屋の中に足を踏み入れた。

床は腐った木らしく踏みしめる度に今にも割れそうな程に大きく軋んだ。

更に木の床が割れる音がした。パキパキパキと。

鋼牙はエイダから渡された懐中電灯で暗い部屋の中を照らした。

周囲に散った白い光は腐った木の壁や天井や柱が見えた。それ以外は全く無かった。

しかし確かにあの名状し難い何か禍々しい邪悪な

気配は部屋中にまるで重いガスの様に充満していた。

「こいつは呪いだ。こいつは反メディア団体ケリヴァー達が残したメディアの

テレビやゲーム、携帯、スマホ、SNS(ソーシャルネットワークサービス)

や今の人間社会に対する憎悪、嫉妬、傲慢な選民思想の全ての負の感情が入り混じった

強烈かつ強力な呪いだ。呪いは人間の負の感情そのものだからな。

口や言葉、文章にして相手の机や手紙、SNS(ソーシャルネットワークサービス)

に書き込むだけで今は簡単に人を呪い殺せる時代だ。特に自殺者がそうだ。

だがこれはもっと古いやり方のようだが。まあーやり方は今の

SNS(ソーシャルネットワークサービス)の書き込みと似たようなものだがな。」

「今じゃ。呪いの原理は得てして単純なものだ。相手の身体の一部。

髪や皮膚、ボタン、子供の歯、血、爪。今は相手のスマートフォン

パソコンの自分で作ったホームページやユーチューブで投稿した動画のコメントや

チャンネル評価欄と言った精神の一部に呪いの効果がある暴言や荒し行為、

誹謗中傷のコメントや低評価の無意味な使用による全ての動画の否定。

彼らは遊びや正義の為にやっているだろうが。そのせいで実際に

呪いによって精神が壊れて自ら命を絶ち、死亡する事例が後を絶たない。」

「しかも当のご本人様は呪い殺していると言う自覚が無い上に証明出来ない。」

「ついでに呪いは直ぐにSNS(ソーシャルネットワークサービス)

が伝染させて周囲に拡散させる。だから多くの自殺者が出てしまう。」

「だから昔よりも被害が大きくなってしまう。酷い時代だぜ!」

「例の日本の東京の歌舞伎街で発生した田村花さんの弟の

男子中学生が起こした不特定多数の人々を殺した事件。

あれはリアリティ番組で起こった問題行動をきっかけに。

SNS(ソーシャルネットワークサービス)による激しい誹謗中傷を

集中的に受け続け、不特定多数の医名の人々の言葉と暴力によって自殺した。

男子中学生は自分の姉のSNS(ソーシャルネットワークサービス)

に書き込んだ不特定多数の人々に同じ苦しみを味合わせ復讐しようと。

現実の不特定多数の人々に『静かなる丘』の力を利用した呪いを拡散させた。」

「そして不特定多数の医名であるが故に全く姉のSNS

ソーシャルネットワークサービス)の誹謗中傷の書き込みに

関わらず無関係の人々にも呪いが跳ね返って降りかかり、多数の死傷者が出た。」

「何もしていないのにいきなり無関係の人々の頭上から

呪いが雨あられと降り注ぐ全く!これじゃ災害だぜ!」

鋼牙は懐中電灯を持って真っ黒な部屋をあっちこっち照らした。

特に気になる者は無かった。

鋼牙は腐りきってぽっかりと開いた穴の開いた床を照らした。

床は見事に割れて細長い穴が幾つも開いていた。

鋼牙は慎重に足を踏みしめて先へ進んだ。

彼は恐る恐る懐中電灯で穴だけの腐った床を照らした。

すると穴だらけの床の底にはー。悍ましい光景が広がっていた。

床の底にはパズルの木箱があった。

更に木箱は開いているらしく蓋が本体と大きくズレて中身が見えていた。

「鋼牙・・・・これはマズいな・・・・」

「あの名状し難い禍々しい邪気の正体はこれだな。」

さらに蓋が開いたパズルの木箱の中から大量の緑色の植物が飛び出ていた。

それはいわゆる蔓植物だった。緑色の葉や茎に無数のまるで剣のような

長い棘が表面に並んで生えていた。

それをよく懐中電灯の明かり照らしてみた。

正体は薔薇(バラ)だった。

しかも周囲には懐中電灯の光に照らされて白骨死体が多数放置されていた。

恐らく反メディア団体ケリヴァーが仕掛けた罠の犠牲者だろう。

彼は白骨死体を見た。

体格的に考えて腰の骨、つまり骨盤は丸い形をしていた。

しかも全員、骨は男と比べて小さくほっそりしている。

どうやら女性の白骨死体で間違いなさそうだ。

白骨死体の周囲にパズルの木箱から伸びた薔薇の蔦が絡まっていた。

しかもまだ呪いと共に生きていた。

また全員では無く一部の白骨死体の骨盤は変形していた。

更に骨盤で囲まれる空間から大量の緑色の薔薇の棘だらけの蔦と

歪に大きな血のように真っ赤な薔薇の花が多数咲いていた。

「こいつは?まさか?女性の子宮から??」

「最悪だぜ。この呪いの薔薇は人間の女の・・・・」

しばらくして鋼牙と魔導輪ザルバは黙り込んだ。

鋼牙は口を開き、パズルの木箱を照らした。

「どうやら生贄は動物と人間の一部と8つの薔薇を使用したのだろう。

これはどうやら最近問題になっている・・・・」

「新型の・・・・だな。間違いないぜ!鋼牙!」

地下にあった薔薇の花と大量の蔦に

絡め取られた白骨死体は異様な程身をくねらせていた。

それは今にもその瞬間、苦しんでいるようにも性的快楽に悶えているようにも見えた。

鋼牙は白いコートの内側から魔戒剣を抜いた。

彼は銀色に輝く両刃の長剣を片手で構えた。

鋼牙は険しい表情を浮かべると「おおおおおっ!」と雄叫びをまた上げた。

それから穴の中に飛び込むと銀色に輝く両刃の長剣をパズルの木箱に突き刺した。

続けて手首を大きく捻った。パズルの木箱から甲高い悲鳴が長々と響き渡った。

「うぎゃあああああああっ!ぐあああああああっ!ぎゃああああああああっ!」と。

続けてパズルの木箱はバコン!と音を立てて砕け、消滅した。

同時に薔薇の花の棘だらけの茎も葉も根もあっと言う間に茶色に枯れ果ててしまった。

そしてただの土の塊となった。

周囲に渦巻いていたあの名状し難い禍々しい

邪悪な気配も一瞬にして完全に消滅した。

彼は呪いの邪気を断ち切ったのであった。

そう魔戒剣は人間の邪心や欲望の塊の陰我を断ち切る力がある。

しかしそれと同時に呪われた血の薔薇の木箱からここで何が起こったのか?

鋼牙は周囲の赤い薔薇の呪いの箱によって呪い殺され白骨化した

被害者の女性達の残留思念を探ろうと静かに瞳を閉じて耳を澄ました。

だがすでに呪いの力のせいなのか?もう現場に残留思念は全く残っていなかった。

だからここで何が起こったのか?分からずじまいだった。

くそ!何も残っていないのか?

「どうやらここには残留思念は残っていないようだ。」

残念そうに魔導輪ザルバも呟いた。

だが鋼牙は冷静にここで呪いの赤い薔薇の入った呪いの箱の実験を推測した。

おおよそではあるが。

間違いなく実験はこの腐りきった部屋の地下室で行われたであろう。

多分、実践訓練か何かであろう事は想像に難くない。

犯人は間違いなく若村秀和か幹部か団体メンバーの仕業だろう。

どれだけの破壊力があり?どれだけの効果か?

破壊の範囲は?何十人の人々が呪いで殺せるのか?

しかしそこまで分かったところで・・・・。

守りし者としてあの白骨化した彼女達は・・・。

救えなかった・・・無念だが・・・・。

気持ちが沈んだ鋼牙を魔導輪ザルバは彼なりに励ました。

「何もかも遅すぎた。・・・・。とにかく破壊した。

ここでは少なくとも亡くなった人間の彼女達の魂は呪縛から解放された筈だ。」

鋼牙は何かを感じて天井を見上げるとー。

呪縛から解放された無念の多数の女性達の魂が自由に

腐りきってぽっかりと開いた穴の開いた床を通って

次の転生の為に天へと召され、飛び去って行った。

それは喜びと安堵の声を上げて何処までも高く高く高く飛び続けた。

しばらくして鋼牙もようやく安堵と穏やかな表情で見送った。

鋼牙はふとはらりとあの若い女性の魂が自分達を解放してくれた

お礼として空からメモを落してくれた。

鋼牙は礼としてそのメモを手に取った。

きっとこれ以上自分達のような反メディア団体ケリヴァーの呪いや

怪異の被害者を増やして欲しくない。

そう言った強い想いと思念がメモから残留思念として強く感じた。

鋼牙は彼女の強い想いと思念を汲み取り、メモをしっかりと読んだ。

「人形・・・二体・・・起動・・・。A型 W型・・・霊力と精気で・・・。

呪いの箱・・・呪いの赤き薔薇。我々の自然なる呪術の力。

魔人フランドールに神を胎内に宿す・・・。赤き薔薇・・・被験者死亡。

死んだ数・100名。SCP財団に要注意。」

どうやらそれ以外は何も書いていないようだった。

彼らはやはり若い女性の精気と霊力を利用して何かを作ろうとしていた??

だが?連中は一体何を何の目的で?いや。

もしかしたら?呪いの箱と呪いの赤い薔薇以外にも

呪具(じゅぐ)か何かを製造していたのだろう。

思い当たるとしたら呪いの人形だろうか?

A型とW型の呪いの人形か何かを?。

しかしふたつの呪いの人形はどうやって?何の用途あるのだろう?

彼は両腕を組み、しばらく考えていたが答えは出なかった。

そこに魔導輪ザルバはまたカチカチと鋼牙に話しかけた。

「もう少し手掛かりを手に入れないと分からないな」

「ああそうだな。とにかくこの『静かなる丘』の土着神復活事件を

片付けたら直ぐにアサヒナ・ルナと烈花法師と共に調査を開始しよう。

いや、この呪いの人形の件はシェリル刑事が解決しそうな何となくそんな予感がする。

だから反メディア団体ケリヴァーが仕掛けた同型の呪いの薔薇の入った木箱と

あの黒い液体の入った呪いの木箱・・・・の通常型も見つけたら

解呪して破壊しないとな。あの呪いから解放された被害者女性達の為にも」

続けて魔導輪ザルバも静かにカチカチと金属を鳴らしてこう言った。

「全く骨の折れる仕事だが!彼女の無念の魂の想いの為に

都市伝説の解決に全ての呪いの箱の処分。」

「呪いの薔薇の入った木箱。・・・・の通常型。

あれは間違いなく反メディア団体ケリヴァーの連中が無差別にゲーム会社や

スマホと携帯会社、テレビ局の女性と子供を殺す為に仕掛けたものだ。

つまりメディアに関係している女性や子供達を殺して自分達のメディア抹殺が正しいと

世間や人間社会に主張して自らの行為を正当化させるテロ行為を行っている。

しかも『静かなる丘』の霊的な力の影響で

田村花さんの弟の男子中学生が起こした怪異。

オペラ座の怪人』が起こした24の新約の秘跡の怪異。

更にアキュラスによるあのマネキンモンスターが起こした怪異。

他にも数多くの怪異がアメリカ各地で限定的に発生している。

既に幾つかの怪異は自分の知人達の惜しみない協力に

よってほとんどの怪異事件はどうにか解決している。しかし・・・・」

「ああ、例の呪いの箱の怪異は片付いちゃいない。

あの被害者女性のような惨劇がニューヨークの街の

何処かの闇の中で出ているかも知れん。

ほとんど手掛かりは少ないがニューヨーク市内とアメリカ各地の

都市伝説が怪異と深く関係しているのは間違いないなさそうだが。

どれも共通して呪いの木箱と赤い呪われた薔薇の

種に纏わる不気味な都市伝説の怪異の数々。」

鋼牙は魔導輪ザルバの話を聞いた後、直ぐにバサッと白いコートを

翻してジャンプして上の階に戻り、用の済んだ真っ暗な部屋を後にした。

 

(第67に続く)

ここ最近、新しく確認された怪異について。最近、嵌っているゲームに登場する存在についてを語る。

こんばんわ!畑内です。

今日はまじめな記事を書きたいと思います。

最近、嵌っているゲームの中に登場する途轍もなく恐ろしくも

悍ましくも残酷かつ凶暴な目に見えない存在について特集したいと思います。

 

その存在の名前は『怪異』である。

怪異とは人間の幽霊。即ち、亡霊の類だが。

今まで普通に心霊スポットで遭遇する白装束のただ人を脅かす幽霊とは違う。

更に生きた人間を死に誘う亡霊以上に危険かつ凶暴な存在である。

彼らは生きている時に無念の死を遂げた怨霊が

高レベルの強力な呪詛かあるいは呪いの力の力の影響を受けた事で。

通常の怨霊から突然変異を遂げ、更に凶暴かつ残虐な存在『怪異』へと変異したと

今までの怪異事件の怪異達の様子から私は推測する。

つまり強力な呪詛かあるいは呪いの力を広範囲に撒き散らす何かによって

周囲の亡霊達が急激に凶暴化して突然変異を遂げているのである。

怪異は亡霊の中でもトップクラスに霊力や呪いの力が凄まじく強く。

彼らの目的は強烈な恨みや強烈な殺意と敵意に他人を呪い殺す死の力により。

性質も性格も通常の幽霊や怨霊より捻じ曲がっており、非常に危険である。

『怪異』達の目的は共通して。背筋の凍るような目的を持っている。

彼らの目的は・・・・・・。

『生者を死の淵へと追い詰めて恐怖と絶望に染め上げる。』事であり。

それが怪異達の悦びなのである。

更に生者の絶望と恐怖に満ちた呪いによる残虐な死を与えて殺す。

恐らく殺した後はその残虐な死体となった肉体を取り込み、自らの贄とするのである。

その為、間違って運悪く遭遇すれば生き残る可能性は極めて低い。

連中は生者を殺す為ならどこまでも強力な呪いの力で追いかけてくる。

逃げても逃げきれないと言うのは彼らにとって恐怖や絶望を与える格好の行動である。

絶望的かつ強力な戦力を持つ強大な相手だが。

しかしそんな怪異達もかつては我々と同じ生者だったものだ。

即ち人間なのである。だから人間としての無念の思いなど。

怪異個人の怨みや憎悪となり人間に敵意を持った根本的な原因。

(例えば小学校の虐待による衰弱死、周りに自分を助けてくる大人が

いなかった時の絶望や恐怖心や事件等で怪異になる者が死亡した場合。)

さえ判れば奇跡的に撃退する事は可能である。

 

例えばH小学校に出現していた花彦君のケースの場合。

動画の方が説明が速いだろう。弟者とおついちさんが戦った動画である。

『怪異』サンプル『花彦君』の事件の動画その1。


#1【ホラー】おついち,弟者の「死印 -しいん-」【OTUBE】

 

『怪異』サンプル『花彦君』の事件の動画その2


#2【ホラー】おついち,弟者の「死印 -しいん-」【OTUBE】

 

『怪異』サンプル『花彦君』の事件動画その3


#3【ホラー】おついち,弟者の「死印 -しいん-」【OTUBE】

 

ちなみにこの最後の動画で花彦君の無念を晴らして救済に成功しました。

これで奇跡的に生きて生還する場合もあるようです。

また苦しめて怪異を破壊した場合。

その事件に関わり主人公と協力していた同行者が悲惨な死を遂げる場合もある。

また一度怪異を倒しても呪いの源であるもの

を何とかしない限り無尽蔵に『怪異』が発生し続ける場合もある。

『怪異』の存在は遠い国の黄泉の国の世界には存在しない。

彼らは今ここでこの私の『特撮映画ジャーナル』のブログを読んでいるこの瞬間にも

『怪異』は誰も知らない悲惨な事件の裏や陰で犠牲となった

人間の怨霊が直ぐ日常の裏側に存在するのである。

彼らは隙があれば我々の日常を平然と何食わぬ顔で侵食してくる。

古いネットの掲示板やBBSやツイッターや様々な情報がはびこる現代社会。

その裏や陰には虐待や殺人や自殺、性的暴行等の恐ろしい事件。

その裏で犠牲となった人々の数々。いまだに消えぬ傷と怨みと憎悪と敵意。

彼らは恐怖と絶望の存在であるがその前に

そう言った事件に巻き込まれた犠牲者でもある。

死者は当たり前のことだが。決して冒涜してはいけない。

面白半分に心霊スポットで騒がない。墓を荒らしてはいけない。

幽霊の降霊術を面白半分にしない。

今の現代社会。幽霊や呪いは現実には存在しない事になっている。

しかし一度根付いた怨みや憎悪や敵意は必ず目に見えない形で

何処かに残っているかも知れないのだ。

彼らは人間である。勿論、人権もある。

彼らが自分達の策略で死んだからと言って

怒りと抗議の声を上げられないまま黙っているとは限らない。

いずれは自分のした事は必ず自分に返ってくるのだ。

あるいは本当に怒りと抗議の声を上げに死者の世界から来る事

だってあるかも知れない。

肝に銘じておこう。信じるか信じないかは貴方次第ではあるが。

少なくとも自分は目に見えない力が存在するのは信じている。

読者の皆様はどう考えているのだろうか?

幽霊や呪いは存在しない?存在する?信じる?信じない?

答えは皆様の心の中に一人一人個人の中にあるでしょう。

心霊体験をした方もしなかった方もきっと・・・・・ね。

 

では♪♪

 

 

 

(第65章)ニュクスプログラム(後編)

(第65章)ニュクスプログラム(後編)

 

エアの脳裏には荒々しく吐く息と喘ぐ声が聞こえ続けていた。

「ああっ!ああっ!気持ちいい!ああっ!ああっ!気持ちいいッ!

気持ちいいよおっ!ああっ!はああっ!んんっ!

あっ!ああっ!あんっ!ああっ!はあああっ!はあああっ!はあああっ!ああっ!

はああんっ!気持ちいいッ!ああっ!あっ!んあああっ!はああんっ!!」

やはり山岡・フィリップス・莉奈さんは

体位を変えられて四つん這いから座位に変わり!

大きな白い肌の美しい巨尻は前後左右に

目にも止まらぬ速さで白い肌の表面が波打ち続け。

腰がカクン!カクン!と動く様はまるで乗馬のようで。

ついでに姿勢もピーンと背筋が伸びてとても美しい。

ご両親がしっかりと愛情をと厳しさで教育した証拠だ。

さて今回は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

しばらくガルヴァスター・D・スカーレット伯爵夫人も

パトリックと言う名前の男性吸血鬼も黙った。

やがて莉奈の喘ぎ声の混じった甘い声と荒々しく吐く息が聞こえた。

「あっ!どうして?!ひゃああん!私の身体が変わって行くのぉっ!ああっ!

凄く気持ちいいッ!あん!あっ!全身の細胞が作り替えられて。」

「やりましたぞ!実験は成功です!コア(核)は完成した!!」

「よし!彼女は無事に人間の姿を保ち全身コア(核)になった。

彼女は知恵の実と生命の実を得た。

そして彼女は女神ニュクスとして転生したのだ。

これで龍王エロースと心はシンクロしている。

そしてエロースが『宇宙の卵』になったあとは卵を破壊しようとする

大天使や天使達や同じLAW(ロウ)の神々から心臓を守る優秀な兵士となろう。

『宇宙の卵』さえ孵化してしまえばそれでいい。

『新宇宙誕生前』に未来から過去の2030年の時代に彼女は帰還する。

ジル・バレンタインの望み通りだ。なのも心配もいらない。

コア(核)も彼女も正常だ!!問題無しだ!!」

エアはモノクロの目の前の景色がカラーの元の景色に戻った事を知った。

そして同時にガルヴァスター・D・スカーレット伯爵夫人と

男性吸血鬼のパトリックや実験に失敗した女性達と莉奈の声もぴったりと止んだ。

エアはただ茫然と突っ立っていた。直ぐに3人は鳴葉の捜索を開始した。

3人は上の方の細長い赤い血と錆に覆われた壁と廊下を歩き続けた。

しかも周囲には金網の隙間から壁の表面をオレンジ色に蠢く影が見えた。

それはまるで魔人フランドールが負った火傷の生々しい傷跡に見えた。

魔人フランドールは少しだけ気分が悪くなったが気にしないようにした。

エアとエイダは周囲がオレンジ色の霧がかかって先が見えない事に不安を感じていた。

もしかしたら?この先で鳴葉さんが・・・・。

更にその先の正面の茶色の扉を開けようとした。

その部屋の中からあのアキュラスの声がした。

3人は扉に耳を当てて彼の話を盗み聞きした。

勿論、良い子は真似してはいけない。

これは非常時であり、エア、エイダ、魔人フランドールからの約束である。

そしてアキュラスは何かをしゃべり続けていた。

「何故だッ!アキュラス!俺にどうして逆らうんだ!何故だッ!

お前は神の代理人である役目を捨てる気か??」

それは多分若村の声だろう。

鳴葉はニュースの仕事で彼の声は良く聞いていたので間違いないと思った。

やがてアキュラスの小さな声が聞こえて来た。

「はあっ!言いたい事があったらはっきりと言ったらどうなんだ??」

その若村の大声にアキュラスは更に大きな声で答えた。

「もう!嫌なんだ!同族を!自分と同じ存在の物達を壊してさ!

女の人の精気を奪って人の形を奪うのが!」

「何を言ってやがる!あいつらはメディアのせいで汚れてんだ!!」

「だから?そんなにやりたかったら一人でやればいいッ!

僕はもう!あんたの操り人形でいるのは嫌なんだ!!

そしてあの子を苦しめるのも!あの火傷の呪いで悪化させて!

長い間、アレッサみたいに苦しめるのはもう嫌だよ!

僕は!あの子、魔人フランドールを苦しめたくないッ!

もう!いいんだよ!僕はこんな地獄の舞台から降りるんだ!」

やがて若村の怒鳴り声が響いた。

「なんだと!俺は目的を達成させる!その為の操り人形だ!

お前は俺の言う通りに動いていればいい!!」

しばらくして若村は慌てふためいた口調と恐ろしく悲しい声で

アキュラスに向かって小さな声で叫び続けた。

「おいっ!まて!行くなっ!お前はいなければ!俺は・・・・・・・。

くそっ!行くんじゃないっ!!お前の今まで溜めた女の精気を与えれば

完全に復活した紙はますます強くなる。君には最後の役目が・・・・お願いだ!」

「どうせ!僕を神に食らわせて生贄にする気だろ?

全部!ガルヴァスター・D・スカーレット伯爵夫人から聞いたぞ!

悪いが俺は神の生贄に誇りをもつ事なんか出来ない!もう!!

俺はあんたの操り人形じゃない!バイバイ!若村!

もう二度と会う事はないねー!自由に生きるんだ!!」

「まてーまてー畜生!何故だっ!どいつもこいつも!

『R型』と言い『アキュラス』と言いどうして俺に逆らう??

もう!いい!俺は仲間のあいつらとやってやる!!必ず!必ず!!」

それから長い間、続いたアキュラスと若村の声はパッタリと止んだ。

ドアの先の部屋からは何も聞こえなくなった。

エア、エイダ、魔人フランドールはアキュラスが操り人形で

全ての黒幕が若村秀和だと知った。

そしてアキュラスの造反に3人は余りにも予想外の展開で驚いていた。

それ以降、聞き耳を立てていたがそれ以上は何も聞こえず静かだった。

3人はもうこの扉の前に立ってもしょうがないと判断した。

エア、エイダ、魔人フランドールはそのままエレベーターのところまで戻った。

そして反対側の先へ進み、消えた鳴葉の捜索を開始した。

3人は廊下の奥の一番端の扉の前に立った。

開けようとしたが鍵が壊れて開かなかった。

そして代わりにまたアキュラスと若村の会話と何かを投げつけられた。

ガシャンと音を立てて床に落ちる音がした。

続けてアキュラスの怒号が聞こえた。

「物投げんじゃねええええっ!壊れちまうだろうがあああっ!!」

「・・・・・・・・」とアキュラスの余りの迫力に若村は黙っていた。

「どうしたんだ?今ままで俺の言う通りに動いていたじゃないか?

あのプログラム通りに忠実に動いていた。どうしてだ??」

「僕は。俺はお前達と違う!違うんだ!いい加減しつこいよ!

次!僕の目の前に現れたら息の根を止める!!」

廊下の奥の一番端の扉の前から聞こえていたアキュラスと若村の会話は消えた。

しばらくの沈黙の後に静かにエアが口を開きこう言った。

「完全に交渉決裂だな」

「引き際を知らない奴は嫌われるわよ」とエイダ。

「今、もうあいつは十分嫌われ者よ。人間達にも者達にも。

人間社会のメディア達からも!反社会勢力も同然よ!」

魔人フランドールはやれやれと言った表情でそう言った。

それから二番目の扉を開けて先へ進んだ。

暗くてよく見えないが相変わらず赤い汚れた廊下のようだ。

しかもまた目の前に2体の武装したケリヴァーミショナリーが現れた。

すかさずエイダとエアが前に出てマシンガンで攻撃される前にハチの巣にした。

ケリヴァーミショナリー2体倒したエアもエイダを先頭に

魔人フランドールの背中を守るように後ろを向きながら進んだ。

更に鉄のフェンス前でも武装したケリヴァミショナリーが現れた。

しかしエアは大きな鉈を持った右腕を振り上げた時に素早く

近付いて手首を掴んで床で投げ飛ばしマシンガンで倒した。

エイダと魔人フランドールは手分けして先々の2つの扉を

調べるが鍵が壊れて開かなかった。

3つ目も。しかも正面の玄関だけは何故かガチャッと開いた。

細長い直線通路の角のある場所である。

もしかしたら鳴葉がいるのかも??そこは広い四角い部屋だった。

多分元は食堂だったのだろう。

隅には食器の乗ったテーブルが積み重なっていた。

エアはエイダと魔人フランドールで部屋内の探索を開始しようとした。

丁度その時、またもやエアの無線が鳴り始めた。

エアが出るとお馴染みのグーフィ博士が出た。

「伝えたい事があるんだ!実は『静かなる丘』に行ったっきり

行方不明になっていた女性達が次々と自宅の風呂場で家族によって発見された。

最初に発見されたのがアリー・スラグスと言うロシア人の若い女性だ。

そして次々と失踪した女性達が自宅の風呂場で見付かっているんだ!

しかも様々な場所でマネキンモンスターに襲われて肉体を

マネキン化されて身体の一部にされた多数の若い女性達も

次々と自宅のお風呂場で発見されているんだ!!

全員無傷でしかも妊娠はしていない。何故だろう?」

「じゃあ。あのリベラル・アーツ・カレッジ女子大学の女子生徒達や

アメリカや日本の高校や中学校の大勢の男子高生や男性講師や

女子生徒達やビーチにいた女の子も男の子達も全員風呂場で見つかったと?」

「自宅の風呂場で見つけたのは家族で全日本と全米各地の多数の人々。

勿論、リベラル・アーツ・カレッジ女子大学やビーチの女子も男子も

大勢の男子高生や男性講師も含めてな。全員、蘇生した上に無傷で無事だった。

しかも全員アキュラスに襲われた記憶を失っている。

ただ頭の中に全員

『アダムとイヴとなり新しい世界で繁殖し、自由に暮らすがいい』」と。

「アダムとイヴか・・・そうか。どうやらアキュラスは若村秀和の

操り人形だったが。今では仲たがいして彼の元を去った。」

「操り人形が自我を持って反発したのか?」

「あいつは操り人形として『死』を全く恐怖せずに無感情で言う通りに

儀式を進めていた。彼のプログラム通りに。

でも途中で何故か若村に反発してプログラムに反した行動を取っていたらしい。

どうやら何度も破壊されて再生を繰り返す度に

『死』の恐怖と自由意志が芽生えたようだ。」

「なーるほど。プログラムされていた。

コンピューターが何度もデータを壊されて修復している内にバグが起こったんだな。

つまりバグったのさアキュラスはさ」

「バグを起こしてあんな行動を??」とエア。

「あれだよ!物を大事にしないで乱暴に扱ったからさ。彼の性格が災いしたのさ」

グーフィ博士がそう答えた。エアは「ふーん。そうなんだ」と呟いた。

そしてグーフィの無線の報告を聞き聞終えて無線を切った。

そのあと魔人フランドールとエイダと共に

教会の地下の異世界を進み、鳴葉を探し続けた。

 

『静かなる丘』の教会内のとある場所の部屋。

そこは数時間前にエア一行が通ったあの吊り下げられた

大きな長四角の箱と穴と細長いL字型の廊下にある鍵の壊れた部屋だった。

それは魔導輪ザルバがその部屋の中に言いようの無い名状し難い

何か禍々しい邪悪な。吐き気をよもおす何かを感知したらしい。

「おいおい!気おつけろ!鋼牙!こいつは凄い邪気だぜ!!」

魔導輪ザルバから聞いた鋼牙はお構いなく「おおおっ!」

と声を上げて鍵が壊れて開かないドアを叩き壊して中へ侵入した。

魔導輪ザルバも呆れて「おいおい、それじゃ!面倒事になるぜ!」と。
「どのみちここは反メディア団体ケリヴァーの活動拠点だ。

若村意外の連中が潜んでいる場所は調べておく必要がある。

その先は真っ暗で部屋の中に何も無く何も見えなかった。

やっぱり何も無いか?と鋼牙は思った。

しかしすぐに鋼牙は何かを感じた。

更に魔導輪ザルバは緊迫した表情を浮かべた。

 

(第66章に続く)

バイオハザードの公式サイトがリニュアル!バイオハザードポータルサイトがオープン

こんにちは畑内です。

最近、バイオハザードの公式サイトがリニュアルしたそうです。

バイオハザードポータブル』となってオープンしたそうです。

それで私も会員登録をし直してようやく昨日落ち着きました。

色々ややこしくてガイド読みながらですが何とかできました。

 

バイオハザードポータルサイト(公式)

BIOHAZARD PORTAL | CAPCOM

 

新しく会員専用の特典とかいろいろあるようですが。

実はツィッタ―とかやっていないので正直・・・・。

まあいろいろなコンテンツは随時追加されるようなので楽しみにしています。

現在は『雨が語る大きな雨音』と言うコンテンツがあります。

これは『バイオハザード2(PS版)とバイオハザードRE2の違いの比較』とか。

技術面での画面の違いとかですね。アナログとデジタルの違いやリアルな造形とか。

『こんなのあり?見た目に衝撃を受けたクリーチャー3選』とか。

それらのキャラの紹介や衝撃的な感想とか。

今はこれだけしかない模様。

これから私も順次近鉄を追加したら楽しみたいと思います。

更に最新作の(バイオハザードヴィレッジ(8))も楽しみにしています。

公式サイトの舞台の映像を見ましたが。

舞台はヨーロッパの寒い地域の村で狼男(ライカン)や魔女が登場する模様。

その魔女やライカン(狼男)がウィルスなのか?前作の7のE型特異菌の影響なのか?

エヴリンが何かに関係するのか?気になるところです。

あと舞台となる雪に閉ざされた村とお城がどこか魔界村にも雰囲気が似ている気がする。(多分公式サイトの写真を見ればわかると思う)

なんというか。超常現象が起きてもおかしくない感じがする。

後アンブレラもマークもありますし、何か関連があるのか?謎だらけですね。

幾つかのキャラクターも判明しています。

白い魔女タイラントに似ていますが。

もしかしたら?完全適合者なのかもしれません。

物凄く背が高いし、右手から長い爪が自由に生えてきましたし。

 

バイオハザードヴィレッジ公式サイトはこちらです。

バイオハザード ヴィレッジ | CAPCOM

 

続報を待つばかりです。

では♪♪

 

(第64章)ニュクスプログラム(前編)

(第64章)ニュクスプログラム(前編)

 

鳴葉はお腹の子宮の中にいる赤ちゃんの姿を思い浮かべた。

そして自然と自分の胎内の音が聞こえて来た。

そして自分の大きな心臓の音と小さな心臓の音も。

2人がその言われた事をしていることを確認すると

天魔アルミサエルは両手を広げて力を込めた。

するとアルミサエルの印章が真っ白に発光した。

真っ白な光は七羽のみ身体を覆い尽くした。

それからフッと真っ白な光が消えた。

同時に七羽の身体は吸い込まれるように鳴葉のお腹の中に消えて行った。

七羽の目の前には小さな胎児が見えた。

続けて七羽は鳴葉の親友を殺した過去の映像や殺人鬼の人格である

ブッチャーを倒し、自ら罪に向き合う彼女の姿が断片的な記憶となって

七羽の脳内に流れた。やがてまた真っ暗になった。

一方、鳴葉はまだ目をつぶってじっとしていた。

七羽は目の前にゴボゴボと泡が目の前に見えた。

更に七羽は自分の裸のイメージが見え、更に海面に向かって

上昇して行く自分のイメージが何度も浮かんだ。

やがてザバアアアアアン!!と海面が左右に割れたと

同時に目の前の長い間、フラッシュバックした。

やがてフラッシュバックは消えた。七羽は目を覚ました。

同時に上半身を起こした。七羽が目覚めて上半身を起こすと

そこはサイレントヒルの教会の地下では無く現実世界の。

しかも自宅の湯船の中だった。

しかも今しがた目覚めたようにほっかほっかで温かく湯気が出ていた。

まるで今、丁度お風呂の中に入って悪夢を見ていたかのように。

七羽はしばらくお風呂の湯に肩まで浸かった。

そしてスマートフォンで仲間に連絡したが誰一人繋がらず虚しい呼ぶ音と

「ただいま電話に出られません」と言う女性のアナウンスが流れた。

そしてこれが現実だと知り、あの悪夢が本当だと徐々に実感し始め、

やがて湯船の中でシクシク泣き出した。

風呂から上がった後、七羽は生気のない顔でベッドに倒れた。

ふとリビングに行ってテレビを付けた。

すると自分達の失踪に関するニュースが報道されていた。

しかし今はそんな事など、どうでもよかった。

彼女はリモコンでテレビを消した。

そして何も考えられずベッドの上で眠った。

もう二度とあの悪夢を見る事無くようやくぐっすりと深い眠りの中で幸福感を。

なにより今、生き残った幸せを噛み締めた。

やがて母親と父親が自宅へ帰って来た。

勿論、呑気に眠っている娘をベッドで見つけた途端、大騒ぎになってしまい結局は。

長い間、気持ち良く眠れなかった。

彼女はしばらく不機嫌になった。

とは言ってもー。行方不明になった自分の娘がいたら

流石にびっくりしても無理はないかな?と思い不機嫌も徐々に直って来ていた。

しかし自分だけ逃げ延びて、仲間を誰一人救えなかった事を。

自分があの時、恐怖に打ち勝ってちゃんと行動していたら?

全員、助けられただろうが?私は一生後悔する。ああっ!

七羽は自分が悲しくなりまたシクシクと泣き出した。

両親はそんな七羽を酷く心配した。

元々ニューヨーク暮らしだった私は直ぐに母親によって

ニューヨーク市警の刑事が来て色々話した。

勿論、どれも信じられないものだった。

彼らは混乱しつつもちゃんと真剣に私の話を聞いてくれた。

両親は信じていなかったが刑事はある程度信じてくれた。

また自分が異形の怪物に暴行された事も話した。

当然、両親は鬼神の如く激怒した。それをどうにか刑事と私で落ち着かせた。

そして念の為にアフターピルを飲み、聖ミカエル病院で精密検査をした。

天魔アルミサエルの言う通り、私は幸いにも妊娠していなかった。

しかしあの時の恐怖を思い出し、急に男性が恐ろしくなった。

また私の子宮からレイプの証拠となる精子が採取された。

それからDNA鑑定で異形の怪物になって私を襲った男の正体が分かった。

その男はレイプの常習犯だった。もっとも今はあのサイレントヒル

異世界を彷徨っている。いずれ必ず重い罰を背負い、罰が与えられるだろう。

いや、私は強く望んだ。誰かがあいつに罪を認めさせて罰を与えてくれる存在が!

そうすれば襲われた仲間達も少しは浮かばれる筈よ!!罪人め!

やがて七羽の自分や仲間の女の身体を傷付けた罪人に罰を与えたいと

言う強い想いは『静かなる丘』へ向かい、

ケリヴァーミショナリー化したあの罪人の前に

レッドピラミッドシングが地面から生えるように出現した。

 

教会地下に続くエレベーターの扉が開き、ケリヴァーミショナリー達に

攫われた鳴葉を救い出すべくエア、エイダ、魔人フランドールは

直ぐにエレベーターの外へ出た。

その直後、またしてもエアは急に目の前がモノクロの景色となった。

更にガルヴァスター・D・スカーレット伯爵夫人と

1人の男性吸血鬼の会話が聞こえた。

「魔獣新生多神連合の連中が我々と取引したらしい。

さっきの取引内容を聞き、すでに応じた。魔獣新生多神連合は予め『静かなる丘』

の人間達。つまり異世界に迷い込んだ連中を霧の中で失踪したとメディアの人間共に

情報操作した上に200名のアメリカ成人女性を保護の名目で集め、我々に提供した。

我々は全員、吸血鬼リーパーとして男性型リーパーに血液のみを吸われ、

新しい遺伝子を持つ新たな存在として仲間にした。彼女達は下顎が左右に裂け。

先端に神経毒がある2対の棘。吸血用に発達した円筒状の器官と無数の牙が生えた。」

「女性型リーパーに変身した若い女性達はそれ以降、我々吸血鬼はその名の通り、

人間や動物の血液。他にも魔獣ホラー達と同じように人間の魂や肉。

動物の肉や魂も食う。別に魔獣ホラーに憑依されてホラー化した訳じゃない。

近縁種のようなものだ。勿論、生殖能力もあり、感情もある。」

「魔獣新生多神連合は見返りに何を要求を??」

アメリカ大学の女子大生の『オズ』のメンバーの4人の内1人を利用して

あの人工の龍王エロースが暴走しない様にする人体実験を行って欲しいそうだ。」

エアの脳裏の中でガルヴァスター・D・スカーレット伯爵夫人は

男性吸血鬼と共に話を続けていた。

「つまり人工の龍王エロースが暴走しない様にプログラム通りに目的を達成させる為に

安全装置とコントロール装置(司令部)としてコア(核)の開発実験を任された。

実験体は『山岡・フィリップス・莉奈』。彼女はジル・バレンタインが助け出した

残り3人のメンバー『妹の詩音』『友達の小杉莉子と有村有子』を庇い。

自ら実験の被検体として申し出て来た。勿論、我々は了承した。

他に選択肢があったのかはまた別の話だけどね。フフフフッ!!」

ボチャアアアアアン!!と大きな水の音がした。

続けてゴボゴボと言う音とボチャボチャと叩く音が聞こえた。

するとガルヴァスター・D・スカーレット伯爵夫人の声が聞こえて来た。

「安心しろ!仲の赤き液体が肺を満たせば直接酸素を取り込む筈だ!!」

やがて莉奈は液体から恐らく酸素を肺に取り込めたのか?ぐぐもった声は無くなった。

「被検体の莉奈の神経と子宮を接続する。性欲増進剤を投与!!

細胞変異の痛みと苦しみを無くす!」

間も無くして特殊な薬品によって性欲が増進したのだろう。

莉奈は荒々しく息を吐き、「何これ?なんか・・・暑い・・・」と呟いた。

続けてひときわ大きな高い声と喘ぎ声をしゃべる声がした。

「きゃああんっ!きゃあん!あっ!あっ!太い触手が!!ああっ!ああっ!

はああっ!ああっ!あっ!あっ!もっと!もっと!突いて下さいッ!!

あうっ!ああっ!はあううっ!あっ!ああっ!暑いッ!暑いッ!

暑い液体が私の子宮の中にッ!ああっ!ああっ!んああっ!

あっ!まるで野獣みたいにッ!!優しい!優しいよおっ!あのズタ袋の連中より!

いいッ!いいッ!んん!あっ!凄いッ!凄い!ヤバい!」

その時、男性吸血鬼がガルヴァスター・D・スカーレット伯爵夫人にこう話し始めた。

「しかし元々、アンブレラ社が過去に開発した

肉塊の姿をした不定形BOW(生物兵器)ニュクスは無数の生えた触手で

外敵を取り込んで一体化させる能力を持つ危険な代物。

こいつのデータを利用して例の『R型暴走事件』に使用された

新型のTウィルス兵器『T-sedusa』んっ?シディユウサ???」

「多分、ウィルス開発者が日本人か誰かで英語が苦手なのだろうな(汗)

誘惑と言う意味なら正しくはー。

『Tーseduction』だな。この意味ならー。

性的に誘惑する事(そそのかし)、婦人誘拐、人を魅惑するもの。

あるいは魅力の事だな。」

「でもみんなローマ字ですが公式文章全部(苦笑)

「別に細かい事は気にしなくていい。

ただこの『Tーseduction(セダクション)』は少々厄介な特性がある。

この新型ウィルスは感染によって不適合者は肉体がウィルスの

始祖ウィルス特有の毒性に耐えきれずに液化してしまうようだ。

完全適合者は一人だけ。今ある程度ウィルスが適合した人間の女はいない。

データが正確であればすでに不適合者によって核(コア)内部で

肉体の一種の消化・分解による液化で死亡し、養分となっている。

その人数も5000人以上は突破している!!

せめて完全適合者かある程度ウィルスに適合した人間の女が現れると良いのだが。

実際、ニュクスの特性上、高濃度のT-ウィルスを持つ性質があり。

あれも高濃度の『Tーseduction(セダクション)』を体内に持っている。

現在はウィルスの濃度をあらゆる方法で下げようと手を尽くしたが。

なかなかうまく行かない。」

「そうですね。全員被検体になった若い女性達は肉体の消化・分解の崩壊が始まるまで

性的快楽を楽しんでいらっしゃった。

ある金髪の美女は2本の触手で大きな丸い両乳房を

下側から持ち上げるように揉まれて、瞳を閉じて、深い胸の谷間が強調されて

とてもお美しかった。お腰もまるで蛇のようで情欲に駆られましたが。

性的興奮が絶頂に達した時、肉体はバシャッ!と消化・分解されて

コア(核)の養分として吸収されてしまいましたが。」

「ああっ!ああっ!ああんっ!ああっ!あああうっ!ああっ!ああっ!ああはっ!

いいッ!ああんっ!あああっ!ああんっ!はああっ!あぐっ!あっ!あんっ!

ああっ!ああっ!ああっ!ああっ!あっ!あうっ!あうっ!あうっ!ああイクッ!

あっ!くっ!ごぼごぼごぼごぼ。ごぼっ!かっ!かっ!・・・・・・・・・・・」

そしてまた男性吸血鬼の話がエアの耳に聞こえて来た。

「またポニーテールのアメリカ人女性も張りのあるスイカのように

大きな丸い両乳房を上下左右に揺らし、仰向けに倒れて両脚を広げ、

左右両膝を曲げて性的快楽を楽しんでらっしゃった。」

さらにまたエアの脳裏に茶色のポニーテールのアメリカ人の

若い女性の荒々しく吐く息と喘ぎ声が聞こえて来た。

一瞬、脳裏に両瞼を閉じて恍惚な表情を浮かべている丸顔の女性が浮かんだ。

「ああっ!ああっ!あんっ!ああんっ!

凄く気持ちいいッ!イクッ!きゃあああんっ!

ダメッ!ああううっ!はあっ!はあっ!

ああんっ!ああぐううっ!はあああっ!

ああっ!あんっ!ああっ!あああんっ!ああっ!凄いッ!そこっ!ああっ!

あっ!はっ!はあああんっ!あっ!はっ!うごごごっ!ごぐっ!がっ!かっ!」

エアの脳裏に液化したアメリカ人女性の姿が浮かんだ。

彼は気持ち悪くなり、慌てて口を片手で押さえた。

しかも液化したアメリカ人女性の肉体は赤い壁に吸収されて行った。

続けて男性吸血鬼の声がまた聞えて来た。

「さて!今回の『オズ』のメンバーの一人『山岡・フィリップス・莉奈』さん!

彼女はウィルス適合者と成り得るか?それとも肉体が崩壊するのか?」

やがてまた莉奈の荒々しく吐く息と喘ぎ声が聞こえ始めた。

「ああ!ああっ!気持ちいいッ!ううん!ああっ!ああっ!」と。

 

(第65章に続く)

(第63章)あれは?デビルマン?

(第63章)あれは?デビルマン

 

『静かなる丘』の教会の暗い何処かの部屋。

しばらく意識を失っていた鳴葉はゆっくりと瞼を開けた。

そこは教会の地下のどこかの部屋のようだった。

周囲を見ると彼女がいる部屋は長四角の広い大部屋である事が分かった。

更にその部屋には自分ともう一人に日本人女性がいた。

その日本人女性は裸で灰色のボロボロの布を纏っていた。

両頬まで伸びた黒髪。やや太く長い茶色の眉毛。

美しい茶色の瞳。丸っこい低い鼻。ピンク色の唇。

少し口が開くと美しくも白い前歯が見えた。両頬はふっくらとしていて丸顔だった。

彼女もまた日本の大学生のサークルの『オズ』のメンバーのようだ。

そして他のメンバー達と同じようにズタ袋の怪物の

反メディア団体ケリヴァーの『教団』の狂信者達に捕まってしまったようだ。

そして他のメンバー達と同様に性的暴行を受けていた。

自分以外のメンバー達は全員彼らに洗脳されてズタ袋の怪物になってしまったらしい。

しかし自分は仲間になる事を拒絶した為、奴らの仲間にはならなかった。

それでも連中は自分(名乗るのを忘れている事に気付き、彼女は七羽と名乗った。

メンバー名は『おくびょうライオン』らしい。)そして今も生き残っているのは

自分と逃げ出したリーダーの山岡詩音さんだけらしい。

とは言っても(生き残っていないかも知れない)と不安な表情になった。

「とにかくここから出ましょう!もしかしたら!会えるかも?」

鳴葉は落ち込む七羽を励まして立たせた。しかしそこにガチャッ!とドアが開いた。

そして入り口からはあのズタ袋の男が沢山現れた。

ズタ袋の男達は全員共通していた。

頭部に茶色の四角いズタ袋を被っており、素顔は見えない。

茶色のエプロンを付けており、灰色のズボンを履いていた。

そしてがっちりとした体格にプロレスラーのような筋肉質な体格で

全員胸板が厚く大きかった。また何人かの女性も入って来た。

彼女達は細身のあるスレンダな体格で胸は丸く大きかった。

また日本人らしき体格のズタ袋を被った怪物も混ざっていた。

間違いなく彼らに洗脳されて怪物化した大勢の若い女性の被害者の成れの果てだろう。

そしてズタ袋を被った人型クリーチャー『ケリヴァーミショナリー』の大群達は

あっと言う間に鳴葉と七羽の周りをグルリと取り囲んだ。

鳴葉は七羽を庇うように片手で七羽の身体を掴んだ。

ケリヴァーミショナリー達はじりじりと包囲網狭めて近づいて来た。

くそっ!駄目だッ!囲まれているから逃げられないッ!!

ケリヴァーミショナリー達に包囲されて絶体絶命の中、

鳴葉はどうにか防衛しようとマシンガンを取り出そうとした。

しかしタイミングが悪い事にマシンガンはあの

ケリヴァーミショナリー達に攫われた時にどこかに落してしまったらしい。

クソっ!これじゃ丸腰ッ!どうすれば??守れるの??

それから無意識の内に下腹部を撫でた。

七羽さんを守らなきゃ!自分のお腹の子供も守らなきゃ!!

でも!武器が無いッ!どうしたら?ポケットには何も無いッ!!

やがてケリヴァーミショナリー達はまるで壊れた機械のようにしゃべった。

「若村様に従え!さすれば幸福を与えん!楽園へ行こう!!

若村様に従え!さすれば幸福を与えん!楽園へ行こう!!

若村様に従え!さすれば幸福を与えん!楽園へ行こう!!」

「若村?薬でもやり過ぎたの?私!幻でも見ているの?」

七羽は激しく動揺し、混乱して両手で頭を抱えた。

しかし鳴葉はケリヴァーミショナリー達の言葉にこう反論した。

「楽園?ふざけた事を抜かすな!!この臆病者がッ!!

楽園がどこだか知らないけど!痛みも苦しみ何も無い世界なんてある訳がないッ!

そんなの『死』だけだッ!!現実のメディア社会を否定しているけど!

本当は恐ろしんでしょ?羨ましいんでしょ??」

ケリヴァーミショナリー達は鳴葉の言葉に激しく動揺した。

更に我が意を得たとばかりに鳴葉は反撃した。

「ただ人を無理矢理従わせている!!望まない支配はいらない!」

鳴葉と七羽に拒絶されたケリヴァーミショナリー達は

自分達の思想が拒絶されても自分達の思想を伝えようとした。

「我々はゲームやテレビ、テレビ、携帯、スマートフォン

人間の精神や肉体無く影響を与える!だからこそ!我々は神をこの日に降ろし!

ゲーム、テレビ、携帯、スマートフォンのメディアやAI(人工知能)の

一切存在しない新世界の楽園を世界にもたらす!

そうすれば我々人々は救われるんだ!!」

「私達はそんなの望んでなんかいないッ!!」

「いい迷惑よ!返してよ!私達の仲間も全員返せ!!」

それから鳴葉と七羽は怒り狂い怒鳴った。

「すると自分達の思想がもはや二人に届かないと分かった

ケリヴァーミショナリー達は「メディアの申し子!魔女共め!」と一斉に叫び始めた。

そして狂ったように銅の杭を持ち、両手を振り上げた。

2人は悲鳴を上げた。

「メディアに犯されて悪魔となった人の子は殺さねば!

メディアに犯されて悪魔になった人の子は殺さねば!

お前達は楽園に住めない!お前達は楽園に住めない!!

害悪!ゴキブリ共!ゴキブリは殺す!殺す!ゴキブリ!!

悪魔の子を腹に宿す魔女!私に近い!私に駄目だ!駄目だ!

反乱者め!反乱者め!小汚いゴキブリめ!」

ケリヴァーミショナリー達は両手で銅の杭を振り上げた。

そして先端を鳴葉と七羽の顔、胸部、腹部に一斉に向けた。

「きゃあああああああっ!」と七羽は悲鳴を上げた。

鳴葉は「ここまでか」と呟記、瞼を閉じようとした。

彼女は「死にたくない!死にたくない!いやあああああああっ!!」

甲高い声で泣き叫ぶ七羽を両腕で彼女の身体をしっかりと抱き締めた。

せめて死の瞬間は見せないよう鳴葉は深い胸の谷間に七羽の顔をうずめさせた。

七羽の視界は真っ暗闇で何も見えなくなっていた。

それでいい。死の瞬間は見せない方がいい。

ああーマイキ!せっかく人生をやり直せると思ったのに!

くそっ!こんなクズ野郎のせいで!くそっ!くそっ!

次第に鳴葉も悔しくなり、シクシクと泣き出した。

「嫌っ!やっぱり!やっぱり!死にたくない!死にたくないッ!助けて!

マイキー!エア!エイダ!魔人フランドールッ!あああっ!」

「魂は今!天の元へ!魂は浄化され!楽園へ!!」

ケリヴァーミショナリー達は一斉に銅の杭を

七羽に向かって振り下ろそうと力を込めた。


Devilman No Uta (NickStradi feat. Howl)

その時、ぽちゃん!と水が落ちる音がした。

「えっ?」と呟くと鳴葉は部屋の入り口を見た。

すると入り口にあのマイキーが変身した天魔アルミサエル

彼は青い瞳は涙を流した。涙は両頬を伝って流れた。

涙を下顎を伝って右掌に落ちて行った。

その瞬間、右掌に円形の青い逆三角形に周囲に幾つも

読めない文字の入った模様の銀のメダルに変わった。

そしてマイキー事、天魔アルミサエル

「『アルミサエルの印章』の力を知れ!」

と言いながらアルミサエルの印章を鳴葉と七羽を殺そうとした

ケリヴァーミショナリー達に向けた。

するとアルミサエルの印章は青く輝いた。

鳴葉は咄嗟に七羽を床に伏せさせた。

同時に青い光はアルミサエルの印章から放たれた。

ドオオオオオオオオオオオオオン!!

大きな爆発音とともに部屋全体が大きく上下左右に揺れた。

鳴葉と七羽を取り囲んでいたケリヴァーミショナリーの大群は

一斉に断末魔とも取れる絶叫を長々と上げ続けた。

ケリヴァーミショナリーの大群は全身を粉々に砕き、

砕け散った破片は天井へ向かってバラバラと昇って行った。

たちまち全員白骨化し、骨も砕けて消え去って行った。

あっと言う間にあれだけ存在していた筈の

ケリヴァーミショナリー達の姿も影も形も見当たらなかった。

残ったのはようやく起き上がって座り込んだまま

呆然としている鳴葉と七羽だけだった。

天魔アルミサエルは茫然としている鳴葉と七羽の元に歩み寄り、屈んだ。

鳴葉は涙を流した。「ありがとう。助けに来てくれたんだ!!」

天魔アルミサエルは無言で頷くとそっと鳴葉の手を取った。

彼女の手の上にそっとさっきのアルミサエルの印章を乗せた。

「これはアルミサエルの印章!強力な火炎属性魔法の力が宿っている。」

「要はお守りみたいなもので。デビルマンの熱光線みたいな感じね。ありがとう!」

鳴葉は天魔アルミサエルからアルミサエルの印章を受け取った。

天魔アルミサエルは真剣な表情をしている鳴葉にこう告げた。

「ただし!これは退魔させるだけ!また連中は来る!」

「じゃ!急いで彼女を外へ出さないと!異世界の外に!!」

鳴葉は緊迫した表情で七羽を見た。

彼女はまだ鳴葉の胸の上に顔をうずめてシクシクと泣き続けた。

更に「帰りたい!」と呟き続けて来た。

鳴葉は頭の茶髪を優しく撫でた。右手で何度も撫でた。

天魔アルミサエルは「方法はある」と答えた。

「彼女は妊娠していない。だからここから出られない。

でも君と僕のSHB(サイレントヒルベイビー)の力を借りれば。」

「SHB(サイレントヒルベイビー)?私の子供の力をどうやって?」

アルミサエルの印章を彼女の頭の上に向ける。

続けて七羽さんの手を君の子供の宿ったお腹に付ける。」

鳴葉は言われるがままアルミサエルの印章を頭の上に向けた。

そして七羽の手を優しく掴み、自分のお腹に付けた。

「貴方が帰りたい場所を思い浮かべて。君の家でもいい。

赤ちゃんの本来のホームは子宮だ。

水のある場所がどこかにあるか?」

「お風呂場。そこなら」

「よろしい!ならば目とつぶり瞑想を」

鳴葉は天魔アルミサエルと見た時、ふと正気に戻り、彼を見た。

「貴方?私を助けてくれた?」

天魔アルミサエルは静かにこう返した。

「私はあの時のマイキー・カールだった者。君が私に託した『ディライト』

はメンバー全員に投与して元の姿に戻した。

元々はTウィルスのゾンビ病の特効薬のようだ。

これは彼女の胎内に侵入したTウィルスに類似した人間をケリヴァーミショナリーに

変異させるウィルスを即死滅させて元に人間の姿に戻し。

投与後もゾンビ化するウィルスと同様に抗体が維持され、永続的に感染による

ケリヴァーミショナリー化を防ぐ事が出来る。

皮肉だが『テレビやゲーム、パソコン、携帯、スマートフォン等を

正しくルールを守って使い。節度を守り、多種多様な自然とメディアの

価値観を受け入れて生活に生かす知恵のある日光さえあれば選民思想

汚れた他人に思想や価値観を押し付けて他人のメディアや

価値観を全否定するような腐った真っ黒な反メディアの作った傘はいらない。』

と言う訳だな。さて脱出の続きをしよう。」

七羽は本当にこれで地獄から出られるか

不安に感じつつも天魔アルミサエルの言う通りに目をつぶった。

天魔アルミサエルは鳴葉にも目をつぶり瞑想するようにと指示をした。

 

(第64章に続く)