(第30章)絶対恐怖領域からの現実逃避者

(第30章)絶対恐怖領域からの現実逃避者

 

「誰も傷つかないのに・・・みんな幸せなのに・・・・

どうして?どうしてだよッ!!」

「そうよ!早くここから出してよ!」

「こんな場所耐えられへん!」

「現実に帰って早く毎日動画を出さなあかんし!アイドルもしないと!」

のぴと若村以外の別の女の子の声が複数聞こえた。

勿論、聞き覚えがあった。

のぴの周りには現実(リアル)の世界で赤い光によって生命のスープに

還元されてイリスオブジェクトの真っ赤なコア(核)に

大勢の女性達や男達の魂がひとつとなっていた筈の

『おこさまぷれーと』のメンバーが全員立っていた。

ゆいにや。ちゃき。りあらがいた。

3人は背中から黒い2対のカラスの羽根のようなものを生やしていた。

そして真っ赤なドレスを全員着ていた。

「どうしてあそこから抜け出た??」と戸惑い混乱する若村。

「潜入捜査を頼まれたんよ」とちゃき。

「ここに現在逃亡中でこの大事な時にニコルさんに暴行を働いた男がいるの」

「そいつを逮捕したいから自分達を現実(リアル)に返して欲しいって」

ゆいにゃとりあらは口をそろえてこう言った。

「バカな。出られる筈がないんだ・・・みんなひとつに・・・・」と若村。

「正しくはひとつに成りかけているだけよ。私達は貴方達とは違う!」とのぴ。

「そう言う事や。早く私らやみんなを現実(リアル)に帰して!」とちゃき。

若村は両手で頭を抱えてまた座り込んだ。

「いやだあっ!計画は完成目前なんだ!絶対あきらめないぞ!

独りになるのは嫌だ!あんな汚れた世界なんか絶対に戻らないっ!!」

若村はギャーギャー子供のように周囲に大声で喚き散らした。

堪らずちゃきはいつもの大きな声で怒鳴った。

「うるさい奴っちゃな!いい加減にしろ!子供か?前はよ!」

ちゃきの怒りの言葉に若村は怯えたようにビクン!と身体を震わせた。

彼はしばらく沈黙していた。それからブツブツと何かをつぶやき続けた。

「せっかくコトリバコとかえるのうたを集めて組み合わせたのに!まだ諦めきれない!

どうして?君達は否定するんだ?気持ちよい筈なのに!安心できるのに!ブツブツ」

「ブツブツやかましいな!はっきりと喋れよ!」とまた大声でちゃきは言った。

「それならコア(核)の中を見てよ。ほらほら!」

若村はしつこくのぴ達に足元の真っ赤なコア(核)を見るように促した。

ゆいにゃとちゃきとりあらは「もう!見たくない」ので目を閉じた。

そしてブツブツとはっきりとお経か何かを唱え続けた。

のぴは若村が抱える心の闇を深く知らなきゃいけなかったので・・・・。
恐る恐る下へ顔を向けて真っ赤なコア(核)の中を見た。そこにはー。

無数の星の数だけの若い女性達と反メディア団体ケリヴァーと思われる

若い男性や中年のおっさん達が全裸でコア(核)の赤い液体の中を彷徨っていた。

男と女は所々で一組となっていた。

のぴも流石の奇妙な光景に言葉を失った。

さらに気持ち悪くなった。なんなの?この光景??

うわっ!トラウマになりそう・・・・と正直思った。

確かにちゃきの言う通り、自分でも耐えられそうにないと思った。

「ごめん・・・・・若村・・・・無理だわ・・・・」と反射的につぶやいてしまった。

しかし若村はそんな彼女の呟きを無視してこう話を続けて来た。

「これで大勢の『知恵』となる君と

『ネガブドネザルの鍵』と『母体』の生贄と・・・。

最後に神殺しとなる私が融合して。みんな融合すればね。

最強の単体生命体に進化するんだ!

そして太陽神テスカトリポカや天魔達や他の邪悪な異教の神々共や

悪魔達、汚れた人間達を消してね。魂を地獄に落とせるんだ!」

しかしそれでものぴ、ゆいにゃ、ちゃき、りあらははっきりと「嫌だ」と否定した。

「どうして否定するの???下の真っ赤なコア(核)の魂は浄化されたんだよ??」

若村はまた足元の真っ赤なコア(核)を見ろと指さした。のぴはまた見た。
再び真っ赤に輝くコア(核)の中には美しい日本人女性がいた。近くに男性もいた。

短い茶髪のキリッとした細長い眉毛に青い瞳の筋肉質の

がっちりとした男性と日本人の若い女性は抱き合っていた。

真っ黒なツインテールが両脇辺りまで伸びていた。

やや太い眉毛。ぱっちりとした茶色の瞳。丸っこい低い鼻。

ふっくらとした両頬は紅潮していた。

ピンク色の唇にネズミのように2本の前歯が見えた。

更に張りのある大きな丸い両乳房があった。

更にプルプルと上下左右に激しく揺れていた。

やがてその若い女性は気持ちよさそうに瞳を閉じた。

筋肉質のアメリカ人女性の男性は彼女の両脚を左右に大きく広げさせていた。

若い日本人女性は荒々しく息を吐き、深い胸の谷間を紅潮させて高い声で喘いでいた。

もはや現実(リアル)では純情可憐だってのであろう彼女は乱れていた。

他にもそんな男女は沢山いたが見ていられず直ぐに目を背けた。

若村はニヤニヤ笑いながら

「ねえ?気持ちよさそうでしょ?幸せそうだろ?」と言った。

しかしのぴは「こんなの幸せじゃない。ただ気持ち悪いだけ」

と突き放すように答えた。

若村はニヤニヤの表情が消え、ショックを受けたのか真顔になった。

「・・・・・・・・」長い間、お互い沈黙していた。

長い沈黙を破り、若村を諭すようにのぴは声をかけた。

「貴方はフェルマーの最終定理を解ける位、頭が良い筈。だったら・・・」と。

のぴは若村に慎重に言葉を選びながら声掛けを続けていた。

「もう分かっているんじゃないかしら?こんな計画では自分の。

自分自身の心は救えないんだって。

頭に知識を一杯入れても心は満たされない。

一人だったの。ずっと。愛情は知識だけじゃ手に入らないってね。」

若村には図星だったのかまた更に長い間、沈黙した。

確信を付かれたのだろう。またしてもお互い長い沈黙が続いた。

若村の表情は絶望的だった。とにかく暗黒のようにその表情は真っ暗だった。

しかし俺に対してのぴは希望に満ちた表情をした。

「大丈夫!貴方は私が救い出す!あのウォルター・サリバンのように・・・」と。

 

イリスオブジェクトの真っ赤なコア(核)の外のイリスオブジェクトの本体が

安置されている『柳星張の宇宙』。クリスとドラキュラ伯爵はその

ディラックの海の暗黒空間の虚空の床に伏せたまま若村秀和自身が

トリガー(引き金)になったであろう『インパクト』が続いていた。

彼らはその場から動かずあのアスカと言う名前の女の子が『ガイウスの槍』を

持って来るまでイリスオブジェクト本体の動向を見守っていた。

間も無くしてまたイリスオブジェクトの頭上の天使の輪と全身が真っ赤に発光した。

続けてまた高熱の円形の衝撃波を放った。

そして真っ赤に輝く衝撃波は現世の現実(リアル)こちら側(バイオ)の

世界のアメリカ合衆国全土から国外の別の国全土に広がって行った。

そしてまた国外のメキシコやアメリカ近くの国全土の人々はー。

ニューヨークやアメリカ合衆国に住んでいた人々と同じく一人残らず

全員、男も女も子供も赤ちゃんも動物も全て生命の力を失い、一斉にパシャッ!と

音を立てて衣服や首輪などを残してオレンジ色の液体の生命のスープに還元された。

また人間の感覚で言う『死』がメキシコやアメリカ大陸。

他の大陸に一気に広がり、地球上の全ての世界の大陸をあっと言う間に覆い尽くした。

世界中の大勢の人々と動物達の魂は生と死の境界の三途の川へと向かって行った。

やがてまた三途の川に辿り付いた世界中の大勢の魂達は群れを成して天へと届く

三角形の銀色の塔へ落ちて行った。そして若村に選ばれなかった男性や

赤ちゃんや子供の大勢の魂は黒き月に吸い込まれるように消えて行った。

クリスとドラキュラ伯爵、大河、ピアーズ、スティーブン、阿門法師矢生き残った

ハガネの騎士達は手出しが出来ずにただ事の成り行きを見守るしかなかった。

話は戻り『柳星張の宇宙』の虚空の床に伏せていたクリスは歯噛みしていた。

ドラキュラ伯爵は「まだだ!第4のラッパ!あれが来るまでは!」と声をかけた。

クリスは酷く焦った表情で大声でドラキュラ伯爵に言った。

「時間が無いぞ!第5のラッパ!第6のラッパ!第7のラッパ!間に合うのか?」

「チッ!残り三つか・・・既にアメリカの外に広がっているな」とドラキュラ伯爵。

「だが。のぴとさっきのイリスオブジェクトのコア(核)の

人に協力を頼んだんだろ?」

クリスの問いにドラキュラ伯爵は答えた。

「ああ、なんとか時間稼ぎをね」と。

「時間を稼いでどうにかなるものなのか?どう考えても悪くなる一方だぞ!」

「まあまあ。あともうすぐで彼女はここに来る!あともう少しの辛抱さ!」

のんびりとした口調のドラキュラ伯爵に呆れ果てた表情でクリスは首を左右に振った。

ドラキュラ伯爵はクリスがとある事件についての事を考えているのに気が付いた。

「例の『R型暴走事件・ブラッディローズ事件』の解決直後に発生した

未解決の連続レイプ事件について考えているんだろ?

被害者は20代から30代の若い女性達。ほとんどが金髪美女だったな?

ただの人間の仕業だと思っていたら。確か?」

「ああ、明らかに人間業じゃない。高速移動しながら上着と下着を脱がせて。

行為をする。しかしそれだけでは我々は新型のBOW(生物兵器)の仕業とは

断定できずに結局。人間かBOW(生物兵器)なのかうやむやになった。

しかし被害者の若い女性達の体内から『賢者の石』と

『始祖ウィルス』が血液中から発見されて。一時ネットニュースで騒ぎになった。

被害女性達はゾンビにもクリーチャーにもならず

抗体物質が当時あるかと思われていたが。

実際は賢者の石の力でウィルス完全適合者の肉体に改造されていたのが

主な原因と判明した。だから女性被害者達はウィルスと共存している状態らしい。

それどころか休眠状態であり。感染力もゼロだと判明している。

不思議な事にな。勿論、妊娠はしていないが

代わりに烈花法師によると犯人は『外神ホラー』で間違いない。

しかも良く分からんが精気を死なない程度に吸われていたらしい。」

「精気とは生命力・生命エネルギーの一種さ。君達の気力のようなものだよ。

どうやら人間の血肉魂よりも若い女性の精気が大好物の可能性が高い様だ。

他の魔導輪ザルバや魔道具達のように

人間を殺さずの生命を喰う方法を知っている事から。

犯人の外神ホラーはかなり賢い様だ。

またどういう訳かセックスフレンドもいるらしい。」

ドラキュラ伯爵はスマートフォンを操作して防犯カメラの映像を見せた。

場所は道場で両頬まで伸びたベリーショートヘアの若い女性が

日本人の青年と柔道のけいこをしている様子が映し出された。

日本人の青年は彼女を組み手で投げようと両手で

金髪の美女の柔道着の首元の襟をつかんで左右に引っ張った。

次の瞬間、ビリッ!と柔道着が左右に大きく裂けた。同時に上半身が裸になった。

そして張りのある白い肌のスイカサイズの大きな丸い両乳房を露出させた。

すると日本人の青年は大きく口を開けて大爆笑して両手で腹を抱えた。

「これはなんだ?ただのドッキリの映像じゃないか?」とクリス。

「この先からがとても面白い!!あの日本人の青年は凄いぞ!」とドラキュラ伯爵。

防犯カメラの映像では日本人の青年は「悪い子におしおきだぞ!」と言った。

次の瞬間、日本人の青年は姿形が見えなくなり。

高速移動したと同時に。

金髪女性の柔道着の上着はそのままに

あっさりと下着とパンツを脱がしてほぼ裸にした。

続けて日本人の青年は金髪の女性を目にも止まらぬ速さで仰向けに押し倒した。

彼は目にも止まらぬ速さで彼女の両脚の内太腿を両手で掴み、左右に大きく広げた。

日本人の青年は目にも止まらぬ速さで腰を前後に振り続けた。

彼女はキリッとした細長い細長い茶色の眉毛をハの字にして額にしわを寄せて行った。

丸っこい鼻。ふっくらとした両頬と深い胸の谷間は紅潮していた。

彼女は灰色の目を丸くして驚きつつも気持ちよさそうに瞳を閉じた。

そしてピンク色の唇を震わせて精一杯、大きく口を開けた。

更に張りのある白いスイカサイズの大きな丸い両乳房はピンク色の乳輪と

乳首を屹立させながら目にも止まらぬ速さで前後左右に揺れ続けた。

「ただのセックスではない。あの子の精気を気絶寸前まで吸い取っているのさ。」

ドラキュラ伯爵の解説にクリスは額にしわを寄せて厳しい表情をした。

 

再び生と死の境界の三途の川ではピアーズと阿門法師とスティーブン。

生き残った魔戒騎士のハガネの騎士達は太気配を感じて空を仰いだ。

すると天空の魔戒法師達に助けられ天井の時空が大きく歪んだ。

やがて魔戒法師の法術によって出来た時空の歪みによる球体の空間内部から

赤いプラグスーツを着た女の子が槍を持って出て来た。

「人が?」と驚くピアーズ。

「危なくないか?」と不安げな表情のスティーブン。

「心配ない」といつも冷静な大河。

「ようやく槍を手に入れたか?全く冷や冷やさせる」と阿門法師は苦笑いを浮かべた。

そして2万人の魔戒騎士ハガネの騎士達も空中を落下し続ける女の子。

惣流・アスカ・ラングレの勇姿を見ていた。

彼女は槍を持ってパラグライダーの様に大の字になっていた。

アスカの耳元からビュウウウッ!と風の斬る音が聞こえ続けた。

風に吹かれてとても気持ち良さそうだった。

彼女は外神ホラー・イリスの陰我のあるオブジェ(物体)でゲート(門)となる

超巨大な三角形の銀色に輝く党全体が分離して花弁のように開いた。

三角形に開いた突起の先端からひし形に分厚いオレンジ色の壁が現れた。

アスカの身体はその張り巡らされたオレンジ色の

分厚い壁に阻まれて内部に侵入出来なかった。

「クソっ!ATフィールドだ!入れない!クソっ!何とかして壊さないと!」

アスカな苦々しく口を噛みしめてガイウスの槍を使って壊そうとしたが無理だった。

「ダメだっ!あーあーもーもーロンギヌスの槍さえあれば壊せるのにいいっ!!」

地上では大河は「ATフィールド?聞いた事無いな」と小首をかしげていた。

「あのアスカと言う娘によると『心の壁』のようなものらしい。」

具体的にはあれは『他人との恐怖』で生まれるらしいな。」

阿門法師はアスカから聞いた話を大河とピアーズとスティーブンと

魔戒騎士のハガネの騎士達に短くわかりやすく説明していた。
ハガネの騎士達は口々にお互い話していた。

「それもマズいな。俺達も手伝うべきだろう。」とスティーブン。

「無理だな。あれは通常の武器では破壊不可能のようだ!」と阿門法師。

「クソっ!それじゃ!入れないじゃないか!!」と焦りを募らせるピアーズ。

アスカは一人で逆立ちの状態のまま空中に浮き続けていた。

そしてガイウスの槍の先端を突き立てながら何かを決意したように。

「やるわよ!アスカ!」と呟き、閉じていた瞼を開けた。

アスカは「うおおおおおおっ!」と声を荒げた。

彼女のスレンダーな身体は徐々に変化した。

変化した姿形は『未完成の量産型イリス』に類似していた。

姿形は真っ赤に輝くシェルエットの

ようなもので透明な中央の球体の中にアスカがいた。

アスカの周囲を取り巻く巨大な霊的な物質化したオーラのようなものは大河と

ピアーズと阿門法師。そしてスティーブンの肉眼ではっきりと見えた。

『未完成の量産型イリス』のシェルエットはアスカの意志に従うように動いた。

真っ赤に輝く4対の細長い触手の先端の銀色の矢じりをATフィールドに突き立てた。

「ATフィールドを中和してやる!悪いけど!

『郷に入っては郷に従わせて貰うわよ』」

『未完成の量産型イリス』のシェルエットは

全身の表面に同質のATフィールドを展開させた。

『未完成の量産型イリス』の霊体を増幅させて自己のATフィールドを強化させた。

 

(第31章に続く)

2022年の新年最初。1月9日(日曜日)小説の投稿 (第29章)かえるのうた

2022年の新年最初。1月9日(日曜日)小説の投稿

(第29章)かえるのうた

 

のぴがイリスオブジェクトの真っ赤なコア(核)に侵入してから1時間後。

彼女の目の前の視界は真っ暗だった。

やがてゆっくりと瞼を開けた。

すると目の前に日本の異様な光景が広がっていた。

それは日本の2階建ての日本家屋があった。

しかもかなり豪邸らしく広かった。

またかなりの年季が入っていた。

どうやらのぴがいるのは大木と草地の中に大きな水溜まりがあった。

なにこれ?池?それとも水溜まりかしら?

のぴは不思議と首を傾げた。

既に夜遅く腕時計には『午後11時』とあった。

何が始まるの??一体?まだ何か続きがあるの?

のぴは徐々に顔が青くなった。

するとのぴの脳裏に若村の言葉が聞こえた。

行事を見ないと行けない。

行事を見ないといけない。

行事を見ないといけない。

外を見ろ!

外を見ろ!外を見ろ!

何がっても最後まで見ろ!最後まで見ろ!

外を見ろ!外を見ろ!外を見ろ!外を見ろ!外を見ろ!外を見ろ!

なに?なに?こわい。こわい。一体?何が始まるの?えっ?えっ?ちょっと!

クリス!ドラキュラ!あっ!うわあっ!ああ・・・・ああああ・・・あ・・あ・あ。

のぴは恐ろしさの余り、目をつぶろうとしたが若村の言葉を思い出して思い留まった。

声をかけるな!黙って耳を塞がず最後まで聞け!

言う通りにしろ!と声が聞こえ続けた。

そして何かを見るように強要するその若村秀和の声は耳から聞いたと言うよりも

直接、無理矢理、頭の中に語り掛けて来るように思えてのぴはゾッとした。

やがて時刻は11時・・・・。

何かが聞こえた。

のぴは何かが聞こえた方を見た。

しかも大きな水溜まりの周囲に大勢の人達がいた。

全員、不自然な程にびしょ濡れだった。

しかも大勢の人達は水溜まりの方を見ながら歌っていた。

それはのぴは黙って最後まで聞き続けた。

「かえれぬこはどこか・・・・。

かえれぬこはいけのなか・・・・。

かえれぬこはだれか・・・・・。

かえれぬこは・・・・。かえるのこはどこか・・・・。

かえるこのこはいけのそと・・・・。

かえれぬこはだれか・・・・・。

かえるのこは。」

もしかして?あたし?いや違うわ。

別の女の子の名前よ。巻き込まれている。

「かえるのこはさくや。

かえれぬこはどうしてる。

かえれぬこはどうしている。

かえれぬこはないている。」とそこでピッタリと歌が止まった。

しかも大勢の人達に混じって若村もさっきの不気味な歌を歌っていた。

やがて気が付くと水溜まりの端に若村秀和は体育座りしていた。

それからまた目の前が真っ暗闇になった。

しばらく虚空の暗黒が包みこんだ。

しばらくしてまた同じ水溜まりにのぴは立っていた。

目の前に若村秀和が立っていた。

のぴは恐怖で何も言えず反論も出来ずにただ黙って若村を見ていた。

やがてどこからかザッザッザッと砂を踏みしめて歩く音が聞こえた。

のぴは最初はアスカがガイウスの槍を持って現れたかと思った。

しかし全然違った。

多分、歌の中でさくやと呼ばれていた女の子だと思った。

さくやと言う名前の女の子は銀色のボブカットにもみあげ辺りから

三つ編みのツインテールの髪の先に緑色のリボンが付いていた。

10代の少女。青い瞳は虚ろで何処か人形のようにぎこちなくふらふら歩いていた。

彼女の正体は『天魔ゼルエル』であり。

名前は本来は『十六夜咲夜(いざよいさくや)』である。

彼女こそが『24の秘跡』の最後の生贄の『母体』だった。

しかも彼女の胎内には失われていた筈のあの虹の女神イーリスの

欠けた心の胎児が宿っていた。そして若村秀和はまた大きく息を吸い込んだ。

続けてまた大声で歌い出した。しかも内容は少し違っていた。

歌を歌い続ける若村秀和の表情は無表情だった。

「かえれぬこはどこか・・・・。

かえれぬこは池の中・・・。

かえれぬこはだれか・・・。

かえれぬこは若村。

かえるのこはどこか・・・。

かえるのこは池の外・・・。

かえれぬこはだれか・・・・。

かえれぬこはさくや・・・・。

かえるのこはどうしている。

かえれぬこは泣いている。

かえるのこはどうしている・・・・。

かえるのこは鳴いている。」

これで終わりかと思いきやまた更に同じ歌が続いた。

しかも名前の部分が変わっていた。

「かえれぬこはどこか・・・・。

かえれぬこはいけのなか・・・。

かえれぬこはだれか・・・・。

かえれぬこは若村・・・・。

かえるのこはどこか・・・。

かえるのこはいけのそと・・・・。

かえるのこはだれか・・・・。

かえるのこはのぴ・・・・

かえれぬこはどうしている・・・・。

かえれぬこはないている。

かえれぬこはないている。

かえるのこはどうしている。

かえるのこはないている。」

彼女は思わず一気に全身が激しく大きく震え上がった。

間違いなく自分の名前だった。

若村は立ち上がると十六夜咲夜の背後に回った。

続けてにっこりと笑った。

ドン!と両手で若村が背中を押すと彼女の身体はポン!と宙へ飛んだ。

そしてボチャン!と水の音がした。十六夜咲夜の身体は

胎内にいる虹の女神イーリスの胎児諸共、ため池の中に水柱を上げて沈んで行った。

若村はにっこりとまるで少年のような笑顔をした。

「君だよ!21の秘跡はこれでいいんだ・・・・」

それから若村はじりじりとのぴの方に歩いて行った。

のぴは恐怖の余り、全身が硬直してその場から動けなくなった。

ヤバいっ!あの池に突き落とされる!そうなったら・・・・!

儀式は完了してしまう!どうすれば???

「君は21番目の『知恵』とネガブドネザルの鍵を持つ者の生贄。

そしてさっき突き落としたあの子はね。20番目の『母体』はね。

十六夜咲夜虹の女神イーリスの欠けた心を持つ者の生贄。

あとは君だけさ。11番目の私『解放』の

アダムの者が生贄になれば楽園が創造できる。

いや、正確にはイリスオブジェクトのコア(核)に創造の生命が吹きこまれるのだ。」

のぴは脳裏に若村が残したメモの中に『アダムと虹の女神イーリスの融合』と言う

くだりを思い出した。恐らく虹の女神イーリスと○○〇の部分は

私の名前じゃなくてあの咲夜と言う名前の女の子だったんだ。

マズイ!なんとかしないと!

ネガブドネザルの鍵を私が起動したまま生贄になり。

そしてあいつは私を利用して取り込み。捨てられて!!

あの咲夜と若村が融合する。

嫌だっ!それじゃいやだっ!!何を言っているのだろう?

でも!こんなんじゃ!駄目!いけないッ!

なんとかしないと!なんとかしないと!!

それから若村秀和はあっさりとのぴの目の前に接近した。

そして一切の迷いも無く両手を素早く伸ばした。

続けて彼は両肩を掴むと身体を左回転させたのちに背中をドン!と突き飛ばした。

ボチョン!と音を立てて水柱を上げて溜め池のそこにゆっくりと沈んで行った。

なんとか水の底から這い上がろうとしたがどうしても身体が動かなかった。

『知恵』の私と『母体』の咲夜って女の子が生贄。

あっ!御免!クリス!ドラキュラ伯爵!

おこぷれのみんな。私駄目だった。

御免なさい!御免なさい!んっ?これは?この力は?

あっ!あっ!思い出した。

私はここで生贄として終わっちゃ駄目なんだ!

なんとかしないと!あの!アスカがガイウスの槍を持ってくるまで私が頑張らなきゃ!

動け!動け!今動かないとみんな死んじゃう!みんなの世界が無くなっちゃう!

お願い!うっ!ぐっあっ!ごほっ!ごほっ!

動・・・・いて意識が・・・ダ・・・メ・・。

のぴは徐々に意識が薄れて行き、目の前がぼやけていった。

次第に暗闇が・・・。

しかし彼女は意を決して生きる事を諦めなかった。

のぴは瞼を閉じてもう一度開いた。

「こんちくしょう!私は『知恵』の生贄じゃないっ!

ただの人間だああっ!こんちくしょおおおおっ!」

彼女は気合を入れ直し、渾身の限り、腹の底から力強い声で叫んだ。

次の瞬間にのぴの胸部が一気に暑くなるのを感じた。

あついっ!これは?ネガブドネザルの鍵???反応している???

続けて胸部からオレンジ色の光の壁のようなものが展開されて全身を包んだ。

のぴの身体は急に軽くなった。同時に『メルキセデク』に変身した。

若村を探して『メルキセデク』となった

のぴは溜め池の中をまるで潜水艦の様に進んだ。

「くそっ!あいつはどこだ?とっちめてやる!!」

と言いながら下へ下へと潜り続けた。

のぴはどんどん下へ下へと潜って行く内にイリスオブジェクトのコア(核)

に向かって泳いでいる若村を発見した。

「若村ッ!やらせんぞ!待てーコラー!」大声で怒鳴り散らしながら

さらに力強く泳ぎ若村に近づいて行った。


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やがてのぴの目の前に超巨大な真っ赤に輝くコア(核)が現れた。

若村はその真っ赤に輝くコア(核)の上に着地した。

のぴも真っ赤に輝くコア(核)の上に着地した。

一方、先に沈んで行った十六夜咲夜は虹色の女神イーリスの欠けた

心の胎児を胎内に抱えたまま真っ赤に輝くコア(核)に到達していた。

咲夜は「みんなが呼んでいる」と独り言のようにつぶやいた。

彼女の身体はそのままコア(核)の穴の中に一気に吸い込まれるように。

身体を完全に取り込まれて姿を消していた。

あとはのぴと若村が真っ赤に輝くコア(核)に

取り込まれて内部でアダムである若村と虹の女神イーリスの

欠けた心を持つ咲夜が融合し。

続けて『虚無』『暗黒』『憂鬱』『絶望』『誘惑』。

『起源』『監視』『混沌』『十の心臓』の生贄の魂全てと。

彼によって無作為に選ばれた美しい若い女性の魂と

ケリヴァー同志達の男女の全ての大量の魂と融合して

『ネガブドネザルの鍵』をのぴに起動させて強大な神殺しの力を宿らせて

出来損ないの人類は群体から神殺しの強大な力を持つひとつの超個体。

人工的な単体生命体に進化するだけである。

あともう少しだ。

「私と下の大勢の魂と共に結び付こう。そしてひとつになるんだ。」

「嫌だ!気持ち悪い!私は個人でいい!自我があった方がいい!」

はっきりとした口調で若村の誘惑を拒絶した。

「拒んでも無理なんだよ!もう二度と単体生命体には戻れないんだよ!」

「嘘ね!ただ魂がひとつになっているだけ。私が願えば元通りに出来る!」

「・・・・・・・・・」とのぴの自信満々な返答に若村は沈黙した。

「嘘だ!嘘をつくな!」と若村はヒステリックに叫び始めた。

のぴは冷静に瞼を閉じ、首を左右に振るとこう話を続けた。

「嘘じゃないわ。私の力なら止めさせられる!もう一度人生をやり直させられる!」

「いやだっ!私はこの方がいいのだあっ!このコア(核)の中の方がいいんだ!」

「駄目よ!自分の殻の閉じこもっていちゃ!人として駄目なのよ!」

「私は人を捨てて神になり!楽園を創造するんだ!みんな幸せなんだよ!

苦しみや悲しみも寂しさも誰かにいじめられる事も虐待される事も無いんだよ!」

「ふざけんなよ!苦しみも悲しみも寂しさも全部なあ!

私達人間が生きた証なんだよ!!

それを奪い取る権利なんかあんたには無いよ!

あんたはただひたすら現実(リアル)

から逃げているだけだッ!人が怖くて!

死ぬのも怖い!

他人に暴言を吐かれて力を振るわれるのが怖い!

大人が怖い!

ただそれだけだよ!

あんたはただの引きこもりだ!

自分の殻に閉じこもって幸せになれると思い込んでいるだけだっ!」

のぴの言葉は若村の胸にまるでガラスの破片のように何度も突き刺さった。

「うわあああっ!」と叫び、若村はその場で頭を抱えてしゃがみこんだ。

どうやら彼の自我がこれ以上持たないようだった。

更に続けてのぴはこう言った。
「貴方は他人を恐怖する余り。

自分の存在を認めてくれそうな仲間と女性と結びつこうとしている。

ただ怖くて顔見知りの自分を守ってくれそうな人達と一緒にいたいだけ。

潜在的な他人の恐怖が今まで貴方が

犯してきた大きな罪を重ねた根本的な原因なのよ。」

若村はまた体育座りとなりブツブツとしゃべり続けた。

「俺は両親やあの母親代わりの女に殴られて蹴られたんだ!!
好きだったテレビもあの女が俺の目の前でバッドで叩き壊して破壊したんだ!!

好きな番組だったんだよ!それをあいつが!

あの女が!許せねえ!許せねええっ!!

俺は同じ事を『R型』の前でした。

やっぱり自分と同じだった。暴走して仲間は死んだ!!

もう俺には何も出来やしないんだよ!こうするしか!俺は止められないんだ!

みんな!みんな!俺を!俺の知らないい所で笑っているんだ!

俺と同じように他人の作品のキャラクターを否定した。やっぱり同じだった。

でも俺すら無視する奴もいた!なんでだ?何で無視するんだ!!

クソっ!クソっ!あいつも!あいつらも俺が描いたロボットアニメの

エヴァ初号機の絵を馬鹿にしたんだ!!クソっ!!この!あいつらは!

『命の無い物を絵にしても価値の無いもの』とか。

『テレビやゲームは子供に悪影響』だとか言う

『希望の家』の俺を虐待した『教団』の大人共!社会に出た時の周りの大人!

あいつら!!クソっ!クソっ!許せねええっ!

反省すらしていねえのではないか??俺はッ!」

「きっともしかしたら本当は心の底から反省しているかも知れない。

本当に心から申し訳無いって思っていたら?貴方は許せれると思う??

教えて若村さんの心の奥底から・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「許せないさ!許せないんだよ!もう人々が俺を拒絶していて!!

復讐してやるんだ!ここで!ここでなら!果たせるんだ!

もう俺には現実が良く分からなくなったがな。」

若村の返答に対してのぴは静かにこう答えた。

「他人と現実(リアル)と自分の真実との溝が正確に把握できないのね」

「夢の中でした幸せを見いだせないのね。」

「そうだ・・・俺は!俺はッ!」と若村は苦々しい表情になった。

のぴはそんな若村にこう話を続けた。

「結局は都合の良い作り事で現実(リアル)に復讐していたのね」

「虚構に逃げて真実を誤魔化していたのね。」とのぴ。

「じゃ!俺が夢を見ちゃいけないのか?」

「それは夢じゃないわ。」とのぴは首を左右に振り、否定した。

続けてのぴはこう言葉を続けた。

「それは現実の続きなの」と。

若村は悲しそうな表情で「俺の・・・俺の夢は・・・どこだ?」とつぶやいた。

「それは夢の終わりよ。若村さん。」とのぴは静かに口を開いて言った。

若村はのぴが何を伝えたいのか知り、絶望した。そう知ってしまったのだ。

つまり今まで理想の楽園としていたものが

『偽の夢』だと気づいてしまった結果だった。

そして自分がそれを断ち切らない限り、『現実』へ続く『真実』には辿り付けないと。

自分の夢は『楽園』は単なる現実逃避する為の手段に過ぎなかったのか??

私の楽園は現実逃避の手段でしかないと??そんなの認めないッ!認めるものかッ!

「認めるべきよ!!貴方は現実を忘れる為だけに

『楽園』を創造しようとしているなら!

貴方はただ現実世界(こちら側・バイオの世界)を拒絶し続けているだけなのよ。

「貴方の自我はほとんど喪失しかけているわ!もう後戻り出来なくなるわよ!」

「もはや!他人の関りなど必要無いッ!選ばれた者と一つとなり!神となる!

君も同じ運命なんだ!」と若村は立ち上がり、両手をのぴに向けて接近した。

しかしのぴは拒むように後退した。

そしてキッパリとした口調で断り、こう宣言した。

大きな声で。

「断るわ!悪いけど!私はおこさまぷれーとやファンやリスナーの人達。

これから入ってくる新メンバーやツイッターやユーチューブの

チャンネル登録者さん達の大勢の人々の関りを拒否して!

断ち切ってまで!『神様』と『黙示録』と『楽園』。

『世界の終末』を単なる現実の代用品のように扱うような生き方は

自分が現実(リアル)に求めている生き方じゃないッ!」と。

若村は激しく動揺した。

のぴにはっきりと拒絶されどうやらかなり精神的に戸惑い、混乱している様子だった。

「なぜ・・・だ?ひとつになる事が・・・こんなに安心できるのに・・・・。」

若村は苦悩した苦しい表情を見せた。

 

(第30章に続く)

新年あけましておめでとうございます。特撮映画ジャーナルを今後ともよろしくお願いします。

明けましておめでとうございます。

読者様!皆様!今後!特撮映画ジャーナルをよろしくお願いします。

さて今年は2022年。新年がやってまいりましたが。

まずは今年の目標と予定をざっと書いておきます。

まず去年(2021年)を簡単に振り返るとー。

『新型コロナ』の蔓延による自粛運動がありました。

実際、私が働いている飲食店の牧家のピザ生地や

ソースやドレッシング等の下請けをしている職場では

かなりの打撃を受けました。

まずは牧家の売上自体も落ち込み。

また他にもやっていた苺農家さんの下請けの仕事もなくなり。

給料も全盛期よりも落ち込みました。

だから今年はボーナスも無いです。

給料もそこそこ安定はしていますが昔よりはもらえません。

ただまだ働けてもらえるだけありがたいですが。

あとは海外ドラマのトゥルーブラッドのDVDとブルーレイボックスを

7シーズンを買いそろえたので慢性的な資金不足です。

とは言ってもお菓子や漫画や冷凍食品を買える程度の余裕があります。

今年はもう色々、欲しいゲームとかソフトとか我慢しております。

現在欲しいのは『ウィッチャー3ワイルドハント』と『真・女神転生Ⅴ』

のソフトと『任天堂スイッチ』ですが。

今年はコロナが収まって元の給料に戻りなおかつボーナスが出るまで我慢します。

もしかしたら安くなっているかも知れませんし。

今年はPSPのペルソナ3ポータブルの女性主人公の

2週目のクリアを目指す事を目標とします。

実際、あともうすぐでラスボスのニュクスアバターとストレガの残り二人と戦います。

今はそれしかやるゲームはありません。

ドラマ版の『ウィッチャー』も観てみたいですが。

現在はユーチューブの『おついちのウィッチャー3ワイルドハント』

の動画で我慢しています。と今年はやたらに我慢するのが多いです。

 

自作小説はと言うと・・・・。

現在。予想外に話が長くなってしまった為に急遽新しい物語を追加した。

サイレントヒルズミカエル』の続編『シン・サイレントヒル』は

一応もうすぐで完結の予定ではあります。

既にアイディアノートには下書きは完結しており。

あとはWPSからブログに投稿するだけです。

でも量が多いので大変な作業となっております。

自分が勝手に話を無計画に追加して悪いのはごもっともですが。

ただ去年は『ヤフーブログ』から『はてなブログ』への引っ越しで。

自分はブログのデータを無計画に増やして『ヤフーブログ』から

はてなブログ』に引っ越しさせるのに丸ごと移動させるのは大変だなと思い。

確か8月中はブログの記事を投稿するのは控えていた筈です。

それで遅くなって。更に自宅の引っ越しの関係で・・・・・。

引っ越しの為に自分の私物を整理したり、

色々な引っ越しの不安やストレスのせいで9月辺りから11月まで位は

ブログの変更できずにかなり時間が空いてしまった気がします。

そんな自分にとって精神的に大変な状態が2度も続いた事で。

結局は『サイレントヒルズ・ミカエル』のブログ投稿も

非常に遅くなってしまったと思います。

こればかりは・・・・自分ではどうしようも・・・・・。

結局は11月と12月と今年の2022年1月に続いてしまい。

未だに『新しく追加した『シン・サイレントヒル』ですが。

完結出来ずにいます。しかし2022年の今年中には必ず完結させたいとも思います。

ですのでしばし皆様お待ちを・・・・。すいません!!

あと『ミミック・フェロモン』も『シン・サイレントヒル

完結後に投稿したいと思いますがこれは投稿までかなり

時間が掛かる見通しとなっております。

しかも『新型コロナ』のネタとして『GOTOトラベル』のネタを使いましたが。

結局投稿が大幅に遅れたことにより。

あれですね。タイムリーなネタではなくなってしまいましたね。

だからネタとしてはつまらないかも?

色々又考え直したり手直しをするかもしれません。

なのでしばしお待ちを。

あと『牙浪Xバイオハザードクロスオーバー』シーズン4ですが。

現在は登場人物とか敵の魔獣ホラーとかいろいろ構想がまとまりつつあり。

前の先行公開のへドラ50周年記念を加えた3話の続きも実はアイディアノートに

第9話まで書いてあります。ですが。

これが公開されるのはまだまだ先の未来の話です。

いつかはここまでお披露目できるように精進いたします。

あと『ベルセルク』の作者さんの三浦健太郎氏が急死したと言うニュースが

ネット上で話題になっていましたが。

実のところは『牙浪Xバイオハザードクロスオーバー』シリーズも

いずれは区切りの良い所で完結させないといけないなと最近考えるようになりました。

自分も重度の心臓病を抱えて長生きできるわけではありませんし。

いつ自分がぽっくり死ぬかなんてわかりませんから。

一応、完結でも。続きが書ける位の終わり方でもいいかと思いました。

それでいったんシリーズに区切りを付けて潔く身を引くのも重要なのでは

と考えるようになりました。

だから次の『牙浪Xバイオハザードクロスオーバー4』

白痴の魔王の落とし子編で一度区切り良く完結させようかなと考えています。

その先は読者の想像力にすべてを託す終わり方でもいいし。

あるいはすっきりと終わらせて鋼牙とカオルが無事に

元の向こう側(バイオ)の世界に戻って息子の雷牙と執事ゴンザと

再会するもう一つの結末を用意するのもありかと考えています。

勿論、静かなる丘・サイレントヒルの一連の事件に巻き込まれた

リヴィアのゲラルドとフィリパ・エイルハートとシャニーも

元のウィッチャーの世界に戻って仲間と再会するエンドも書く予定ではいます。

このシリーズの結末に関してはまだもう少しじっくりと

生きている間に腰を据えて考えたいと思います。

もう書きたいことが多すぎて滅茶苦茶長くなりましたが。

ひとまず今日はこのくらいにします。

 

今年もよろしくお願いします。 畑内翔太。

 

 

 

 

 

 

(第28章)儀式の始まり(ブログの2021年今年最後の小説投稿)

(ブログの2021年今年最後の小説投稿)

(第28章)儀式の始まり

 

のぴとドラキュラ伯爵とクリスは天空を自然に見上げると

鳥と貝を合成させた人型の巨大生物が見えた。

それか既に虚無空間のディラックの海の暗黒空間にすでに完成した(と思われる)

ルービス型。レイアン型。

ダニエル型。沢口桜型。

田中萌歌型。

根本はるみ型。

キム・コンスタンス型。

アレックス・ミーガン型。

8体の量産型イリスの完成体が出現した。

続けて次々の8体の量産型イリスの胸部の分厚い

中央に輝くコア(核)からドシュッ!ドシュッ!と音を立てて

その真っ赤なコア(核)の形が大きく鋭利に変形した。

同時に8体の量産型イリスの真っ赤なコア(核)から

真っ赤に輝く槍が高速に伸びて行った。

しかもそれぞれ見た目では全く区別がつかずどれも同じだったが。

実際、各個体。『ルービス型』は『虚無の槍』。

レイアン型は『暗黒の槍』。

ダニエル・シー型は『憂鬱の槍』。

沢田桜型は『絶望の槍』。

田中萌歌型『誘惑の槍』。

根本はるみ型は『起源の槍』。

キム・コンスタンス型は『監視の槍』。

アレックス・ミーガン型は『混沌の槍』をそれぞれ赤いコア(核)の中に持っていた。

そして8つの槍の鋭利な真っ赤に輝く槍の先端は次々とイリスオブジェクトの胸部が

ガバッと開いた左右に超巨大な真っ赤な球体のコア(核)を貫いた。

続けて黒き月から奪い去った21の秘跡の『虚無』『暗黒』『憂鬱』『絶望』

『誘惑』『起源』『監視』『混沌』の生贄となった女性の魂を貫いた。

全員、対となった若い女性達は恍惚の笑みを浮かべて次々と

歓喜に満ちた甲高い喘ぎ声に変わって行った。

そしてイリスオブジェクトは起動を始めた。

イリスオブジェクトは映画の『ガメラ3邪神(イリス)覚醒』に登場する

ガメラの最大の敵の邪神イリスと双子のようにそっくりだった。

イリスオブジェクトは素早く天空に向かって三角形の顔を向けた。

続けてイリスオブジェクトの頭上にあの再び

死神ホラー・タナトスと同じ天使の巨大な輪が現れた。

ドラキュラ伯爵は「始まったぞ!若村はインパクトを起こす気だッ!」と叫んだ。

「ああ、確か第2のラッパまでは終わっている。第3のラッパからか!」とクリス。

「あれを止めないと!大都市から国内や国外に広がって行くよ!」とのぴ。

しばらくしてイリスオブジェクトの全身が真っ赤に発光した。

続けて頭上の天使の輪が真っ赤に発光した。

それからすぐに高熱の円形の衝撃波が放たれた。

咄嗟にドラキュラ伯爵はクリスを庇い、暗黒の虚空の床の上にうつぶせに伏せさせた。

のぴはもろに直撃したが、両脚を踏ん張り、転倒しない様に身体を支えた。

更に真っ赤に輝く衝撃波は現世の現実(リアル)のこちら側(バイオ)の世界の

ニューヨークを中心にシェリル刑事が神の力で守っている結界の中にいる

フィッシャーズや他の生存者とアスカに救出されたケリー・ブライアンと

ごく一部の何人かの生存者を除いてアメリカ全土の街の人々は一人残らず

全員、男も女も子供も赤ちゃんも動物も生命の力を完全に失った。

結果、パシャアッ!と音を立てて首輪や衣服や所持品を

残してオレンジ色の液体の生命のスープに還元されて。

人間の感覚で言う『死』を大陸と街全体を覆い尽くした。

そして大勢の人々と動物達の魂達は生と死の境の三途の川へと向かって行った。

やがて三途の川に辿りついた大勢の魂達は巨大な天空まで届く三角形の

銀色の塔に向かって落ちて行く若村に選ばれた大勢の若い女性の魂の姿があった。

また逆に選ばれなかった大勢の男性、赤ちゃん、子供、動物の魂は若村に選ばれた

大勢の若い女性の魂と別れた後に全ての不必要な魂として選別(せんべつ)され。

黒き月の中に吸い込まれるように消えて行った。

それを大河と阿門法師、ピアーズ、スティーブン。

2万人のハガネの騎士達は黙ってそれを見ていたのだった。

こうして異世界の外側の現実(リアル)と虚構(フィクション)の境界が完全に

消滅しつつある危機的な状態のこちら側(バイオ)の世界のニューヨーク市内は。

若村秀和がトリガー(引き金)となった人類補完計画発動により。

アメリカ合衆国全土は一人残らず大統領も政府の人間も米軍も多様性のある人種。

その一般市民で女も子供も男もオレンジ色の液体の生命のスープに還元されて

アメリカ大陸全体は『死』に覆い尽くされてしまい。

とうとうアメリカ大陸全体のあらゆる大都市や田舎町や村等はオレンジ色の液体で

道路も歩道も全て覆い尽くされていて誰もいなくなった為、不気味な静けさになった。

 

再び話は戻って『柳星張の宇宙』ではとうとう第3のラッパが

放たれた事で若村秀和による楽園創造による人類補完計画が始まっていた。

ドラキュラ伯爵は語るように話した。

「ついに目覚めたな。生命と創造を司る虚空の女王『イリス』。

太古の昔。別次元の地球に現れた全ての生命に死を与えた

銀色の卵の死神ニュクスの美しき一人娘よ。父親のニュクスの代わりに

生命を終わらせ。新たな生命と創造する虚空の女王イリス。

この先は大事だぞ!普通の人間の女性のぴよ!」

「うっ!うん!あのコア(核)の中に入れば。

私!あのコア(核)の中に入って若村を説得して見せる!」

「はい!あとはアスカがガイウスの槍を持ってくる筈だ!」

「直ぐに俺達がイリスオブジェクトのコア(核)の中に届ける!」

「儀式を止める反対儀式は私達に任せてくれ!」

ドラキュラ伯爵とのぴとクリスは真剣な表情でお互い納得した。

3人は無言で頷き合った。のぴはクリスとドラキュラ伯爵に背を向けた。

もうこれ以上!誰も酷い目にあわさせないし!傷付けさせない!誰も死なせないッ!

待ってなさいッ!若村秀和!私が貴方を止めるっ!貴方の心を救い出すッ!

のぴは暗黒の空の床を強く蹴り、斜め上に高速で飛行した。

そしてのぴはそのままイリスオブジェクトの胸部の

真っ赤なコア(核)の内部に吸い込まれるように姿を消した。
クリスとドラキュラ伯爵はうつ伏せに伏せたまま次の機会を待った。

クリスとドラキュラ伯爵が伏せている虚空の床は透明なガラスのようなものでー。

眼下には真っ赤な液体。いや、海が広大に存在していた。

しかも海の水面には天魔ヴァルティエルにより洗礼を受けた外側が

純白で内側から漆黒の鳥の翼を背中から離した生やした

ハンターα(アルファ)と思わしき生物が死んでプカプカと浮かんでいた。

しかもよく見ると全ての唇は口紅を塗ったように真っ赤でとても不気味だった。

彼らの唇はピクリと動かなかった。さらに太陽の聖環も消滅していたようだ。

「どうやら太陽神テスカトリポカが知らなくとも天魔ヴァルティエルが

軍団を動かしてイリスオブジェクトを利用して

無理してでも儀式をしようとしたようだ。

しかし失敗して太陽の聖環の進化体を無力化させられたから完全に停止した。

文字通り返り討ちだな。これで若村が有利だ。

奴は切り札の死神ホラー・タナトスを失っている。

太陽神テスカトリポカはもう儀式を続けられんな。」

「それはつまり?若村秀和は既に『神殺し』の力を手に入れたと?」とクリス。

「恐らくそうだろう。これで奴は一気に神に近づいた。」とドラキュラ伯爵。

「まさか?自らが道具として利用しようとした人間に神が負けるとはな。」とクリス。

「ちなみに天魔ヴァルティエルは安全な『静かなる丘・サイレントヒル』の裏世界から

洗礼をしたハンターα(アルファ)達に指示を送っていたのは確かだ。

奴はこんな危険な場所に自ら望んでこようとは思うまい。神の従者であり。

異世界の案内人であり。管理者だからな。勿論、失敗したのを知って。

今頃は神の異世界と裏世界を守る為に慌てて防護策をしているだろう。」

「神の従者。天使達も大変なんだなー」とクリス。

「天使は結局悪魔と同じ肩書の職場に過ぎないのさ」とドラキュラ伯爵。

「天使も悪魔もあくまでもお役所仕事か?」とクリス。

「その通り、両者はそれぞれ神に与えられて役目を全うしているんだ」

とドラキュラ伯爵。

その時、クリスは急に素早く指さした。

同時にドラキュラ伯爵もつられてクリスの指さす方を見た。

巨大なイリスオブジェクトの頭部の前に女の子がいた。誰だろう?

「チッ!やはり冥王ホラー・サウロン

ワイルドハントの力をもってしても無理だったか」

「どういう事だ?あの女の子は誰だ?アスカでは無い様だが」

「『解放』の若村秀和。『知恵』ののぴ。

最後の21の秘跡の生贄『母体』の十六夜咲夜(いざよいさくや)だよ」

クリスとドラキュラ伯爵は改めて

『柳星張の宇宙』空間の暗黒に浮いている彼女を見た。

「本来の21の秘跡の儀式のやり方を失っていた。ただ一部だけ切り取られていて。
切り取られた儀式の一部はアメリカのインディアンや他のアジアの国の人々等に

形を変えて独り歩きして伝わり。それぞれの場所に伝わって行った。

分かりやすく言えば『金色龍神の玉』のようなものだ」

「成程、奴はそれらの儀式の一部を組み合わせて。」

「どうしても足りない部分はエヴァの儀式を取り入れて補完した。

そして最後の欠落した儀式を行うであろう。」

とドラキュラ伯爵はクリスにそう言った。

「クソっ!どうすれば!」とクリスはつい頭を抱えてしまった。

すると冷静にドラキュラ伯爵はクリスにこう言って励ました。

「落ち着き給え。いいか?私と君とあの子が若村秀和の儀式を阻止しなければ。

君のかつての大切な人であり。私の愛した人のジル・バレンタイン

私の愛する双子の娘のアリス・トリニティ・バレンタインの親子が

幸せに暮らしているこちら側(バイオ)の世界は破壊されて居場所を失ってしまう!!

いいか!よく聞け!私と君とあの『のぴ』って子の力と他にも大勢の人々の力!

それだけじゃない!『守りし者』として闘った大勢の魔戒騎士や魔戒法師の英霊達!!

魔女王ホラー・ルシファー!!ジル・バレンタイン

リヴァイアのゲラルド!フィリパ・エイルハート!

偶然にも巻き込まれてしまったユーチューバーのフィッシャーズ!!

まだまだ大勢いるぞ魔女王ホラー・ルシファーの力を持つ

HCF(ハイ・キャプチャー・フォース)の男のエア・マドセン!

自らの油断の為に今回の一連の『静かなる丘・サイレントヒル』の怪異事件を

引き起こす最初のトリガー(引き金)になってしまい

責任を感じている魔人フランドール!

他にも『静かなる丘・サイレントヒル』の表世界と裏世界の

創造主となったアレッサ・ギレスピーの転生体のシェリル・モリス・メイソンも!!

アサヒナ探偵事務所のアサヒナ・ルナや怪異事件専門家の鬼島神具!!

そして・・・・闇を切り裂き光をもたらす黄金騎士ガロの冴島鋼牙も

この大事件に臆することなく立ち向かっている!

何も私達だけが孤独のまま闘っているだけじゃないんだ!!

あの儀式によって生き残った人々がそれぞれ自由に!

この超常的な理不尽に抗い続けている!ここで頭を抱えるな!!

クリス!クリス・レッドフィールド!!己が信じる正義の為に!!

この理不尽に抗え!!もう!既に儀式を止める術はあるんだ!!

ドラキュラ伯爵の余りにも必至かつ真剣な魂の訴えに心を動かされた

クリス・レッドフィールドはさっきの弱気な自分に腹が立ちつつも。

思いっきり両手でバシン!と力強く両頬を叩いた。

そして両頬に鋭い痛みが走ったと同時にしっかりと気合を入れ直した。

まさかお前に鼓舞されるとな・・・・OK!やってみよう!」

何もかもが吹っ切れたクリス・レッドフィールドの顔をドラキュラ伯爵は

確認すると「それでこそ!クリス・レッドフィールドだ!」と言った。

クリスはふと何処かでそれを聞いたような気がした。

やがてすぐにやがてそのセリフが直ぐにあの宿敵の

アルバート・ウェスカーのセリフだと言う事に気付いた。

全く・・・粋な奴だ!あいつのセリフを吐くなんて・・・・・。

「私は例え!太陽神テスカトリポカに業火でこの身が焼き尽くされようとも!

命を懸けてジル・バレンタインとアリスと

トリニティと友人と仲間の為に闘うだけだ!」

「いや!それでは駄目だ!お前は少なくとも

ジルとアリスとトリニティの家族としてこの厳しい戦いを共に生き延びて貰うぞ!

俺はあんたを生かして!この戦いに勝つなら何でもしてやる!

もう!ピアーズやイーサンの時のような悲しい出来事を繰り返させない!!

必ずこの戦いに勝つぞ!!」

クリスの言葉に逆に鼓舞されて今まで味わった事の無い物を感じていた。

それはとても暖かい光と呼ぶべきか?あるいは・・・・・・・。

あるいは希望の光・・・。黄金の輝きか?

もしかして?これこそが?人間達が持つ観測の力?

そして・・・・『絆』の力なのか?私の心にも!!

外神ホラー・ニャルラトホテプの化身の邪悪で血に飢えた野獣の

原始的な本能とも全く異なるもの人が持つ希望の光か?

これが?かつての向こう側(バイオ)の世界の魔戒法師の里の

閑岱の土地で冴島鋼牙と一騎打ちをした時に。私は・・・・。

ジル・バレンタインの前世のジャンヌ・ダルクを目の前で奪い取った復讐の為に

彼らを悲しませて絶望の淵に落とす為に私は大勢の魔戒騎士や魔戒法師を惨殺した。

更に私はクリスの目の前でジルを奪い取った。全ては復讐の為に。

しかし冴島鋼牙はかつて同じような間違いを犯して復讐の為に自ら鎧を喰わせて

暗黒の淵に身を委ねそうになった時も彼の友人の

銀牙騎士ゼロ・鈴村零に助けられていた。

そして彼の周りには愛する女性がいた。

しかし・・・・私は独りだった。きっと若村秀和の同じだろう。

私が『ジル・ジャンヌを幸せにできたのか?』を彼に質問した時に彼は・・・・。

冴島鋼牙は答えなかった。それが何故なのか?分かった気がする。
私はジャンヌも転生体のジルさえも幸せに出来なかった。

だからこそ!私は!!せめて現世の向こう側(バイオ)の世界での何気ない日常を。

人々と彼女や娘の人間らしい日常生活が送れる今の世を守らなければならないのだ!

それが私がここへ来た理由!!私の存在理由なのだ!!

クリス・レッドフィールドも同じだろう!!

クリス・レッドフィールドもまた彼のように同じ気持ちだった。

俺も大切な人のジル・バレンタインとドラキュラ伯爵の娘の

アリス・トリニティ・バレンタインの住んでいる

こちら側(バイオ)の世界での何気ない日常と大勢の一般市民。

世界中の人々の人間らしい日常を送れる今の世を!

そして。ドラキュラ伯爵も!今度こそ!全て守り切ってやるんだ!!

こうしてかつて敵同士だったドラキュラ伯爵と

クリス・レッドフィールドはお互いの目的の為に協力し合い。

そして二人の間に太陽の様に熱い友情が芽生えた。

同時にパリン!とクリスの心のガラスが割れる音がした。

続けて彼の脳裏に一枚のカード。タロットカードが浮かんだ。

そのタロットカードは『太陽』だった。続けて自分の心の声が聞こえて来た。

『汝は我。我は汝。汝の心の中により、新たな絆『太陽』を見出したり。

そして『太陽』の絆の力により『太陽の最奥の扉』を開かれたり。

汝に究極の『太陽』の力『クトゥグァ』の力を授けん!」と。

「『クトゥグァ』?なんだそれは?」と変えは首を傾げた。

するとドラキュラ伯爵は皮肉交じりにこうつぶやいた。

「成程。ニャルラトホテプと敵対して私の化身のひとつが潜んでいた

ンガイの森を焼き尽くした旧支配者が彼のペルソナになったか・・・・」と。

つまり私と彼は和解したか訳か?おもしろい!!

 

(第29章に続く)

2021年最後。12月31日(金曜日)読者の皆さんよいお年を。

(第27章)『STEVEN』(今日から毎週水曜日と土曜日に続きを投稿)

(第27章)『STEVEN』

 

『STEVEN』はそこまで説明すると大きく一呼吸を置いた。

そしてゆっくりの椅子の背にもたれかかった。

再び口を開いて説明を再開した。

「ほとんどの大勢の悪魔や妖精。人間。堕天使達は消滅したかに見えたが。しかし。

辛くも生き延びた一部の者達もいた。生き延びた人間や悪魔達は次元の漂流者となり。

やがて魔王ベルゼブブや一部の悪魔達はこちら側(バイオ)の世界に

強い繋がりがあったもうひとつの向こう側の世界(牙浪)の世界の

時空を操るメシアの涙・エイリスと契約をして

魔獣ホラーの上級の魔王ホラーに転生して魔王ホラー・ベルゼビュートとなり。

魔獣新生多神連合を君達こちら側(バイオ)の

世界で組織しているのも知っている筈だ。

また先の『第3の世界(真・女神転生Ⅳファイナル)の東京を完全に

消滅させたマイクロブラックホール『大アバドン』は大きく時空を歪めた。

つまり『第3の世界(真・女神転生Ⅳファイナル)』の周辺の並行世界

パラレルワールド)の時空も大きく歪み、空間の壁も脆く崩れやすくなった。

あらゆる世界の存在。人物。都市。オーバーテクノロジー外来種

君達の世界には本来存在しないものが流れ着き、漂流する現象が相次いでいる。

『静かなる丘・サイレントヒル』『ガイウスの槍』『メトロイドプライム』。

これらは本来こちら側(バイオ)の世界に存在しない筈だったものだ。

幸か不幸か第3の世界(真・女神転生Ⅳファイナル)と

恐らくペルソナ3の一部の世界がこちら側(バイオ)の世界は

人間界と魔界の様に一本の道として繋がってしまったようだ。

だから唯一神側の大天使や天使達も悪魔達や魔獣ホラー達も自由に

3つの世界の行き来が可能となった。

いずれは何人かペルソナ能力者も現れるかも知れない」

「だからBOW(生物兵器)や犯罪組織やバイオテロ以外にも悪魔や

異教の神々による怪異事件が増えていると言う訳か。ペルソナはまだ見た事無いが。

まさかオロス・プロスクや逢魔(おうま)以外にもこんな事件を起こす奴らが。

「さて!大体の必要な話はこの位にしておこう。

今君達は向かおうとしている場所はこちら側(バイオ)の世界の中心であり。

例えるなら地球の中心の核に当たる始まりと終わりの地。

『柳星張の宇宙』。望む世界へと変える事が出来る唯一の場所。

エヴァの世界』のゴルゴダオブジェクト同様『全ての始まりで約束の地』。

『世界の書き換えが可能な場所』『宇宙の卵』である。

私は観測の力を以て解釈させて貰っているよ。」

「あっ!あのー!」とのぴはおずおずとゆっくりと手を上げた。

「のぴさん!どうぞ!私の知る範囲の答えとヒントを与えよう」

『STEVEN』は眼鏡の奥の茶色の瞳でのぴを見た。

「そもそも貴方は何者ですか?人間なんですよね?何か目的が?もしかして?

私達の目的とは別の・・・・目的が?」

『STEVEN』は優しく口元を緩ませて答えた。

「私はかつて『真・女神転生』と呼ばれた

最初の並行世界(パラレルワールド)で物理学者をしていた。

私は離れた場所へ物体を転送するターミナルシステムの開発者だった。

しかしアクシデントによってターミナルが魔戒に繋がってしまった事によって

悪魔に襲われて車椅子を生活をしなければならない程の酷い怪我を負ってしまった。

私はその苦い経験から悪魔に対抗する手段として悪魔召喚プログラムを制作。

それをパソコン通信を利用して無差別にばらまいたのさ。

そして私はどの勢力にも属さず多くの悪魔や異教の神々と戦う人間達を導いて来た。

ここは多くの人間達や自ら望んで天魔となった者やあの包帯の少女の

地母神アスカも私の協力に応じて君達を導いている。気付いていたかい?」

のぴは驚き目を丸くしていた。クリスもただ茫然としていた。

しかし唯一ドラキュラ伯爵だけは薄々気づいていたらしい。

彼は両腕を組み、さっきの『STEVEN』の話を聞いてようやく納得した表情をした。

「やっぱり。そうだったのか・・・・この良く分からない奇妙な違和感の正体は

人間を超えた君の干渉だったのか。通りでフットワークが軽い訳だ。しかし驚いた。

まさかここまでの理(ことわり」に干渉する力を持つ人を超えた存在が実在するとは」

ドラキュラ伯爵が感心している中。

さらに『STEVEN』は途轍も無く衝撃な真実が語られた。

「さてと!ついでにのぴさんとクリスさんとドラキュラ伯爵。

今回の『柳星張の宇宙』へ行き『神の玉座』に近づいた。

そしてのぴさんは人を超え神となったよしみだ。

こちら側(バイオ)の世界の成り立ちについて少しだけ語ってあげよう。

「こちら側(バイオ)の世界にはかっては大いなる理(ことわり)に従い。

ここもあの第3の世界(真・女神転生Ⅳファイナル・ロウルート)と同じように

唯一神YHVAが支配する古き宇宙だった。

しかし古き宇宙の世界の東京に住んでいた15歳の少年

『ナナシ』と呼ばれた人外ハンターと言う人物が。

本来は魔獣新生多神連合の前身となる筈だった多神連合の

魔神クリシュナをマサカドの太刀で切り裂き封印した。

そして宇宙の卵の最深部に位置する心臓が変化した

玉座に座り、全ての人類の魂と新宇宙を手にした。

彼は救世主(カルキ)のフリンを神殺しとして魔神ダグザと共に利用された。

モノリスを通り抜けてYHVAの宇宙へ行き、唯一神を原天使サタンと共に討った。

宇宙の卵は仲間の魂をひとつづつ砕き、宇宙の卵を孵化させた。

ナナシは15歳の少年であり『神』となった。神殺しのフリンは彼の分霊として。

寄る辺の女神のアサヒと言う少女は転生を利用して大勢の人間を産み育て続けた。

ナナシとアサヒは男神と女神として共に新たな世界を創造した。

しかしそんなナナシとフリンが何故?白痴の魔王ホラー・アザトホースと呼ばれ。

フリンが外神ホラーの副王ヨグソトホースと呼ばれるようになったのか?

私には分からない。ただこちら側(バイオ)の世界の人々が

そう観測したのかも知れないね。

何億年以上かけてこちら側(バイオ)の世界は

新たな自然や動物や植物。鉱物。あらゆる万物を創造し。

そして2030年の現代に至ると言う訳だよ。

つまりこれはナナシとアサヒの宇宙創世後の世界だった。

ちなみに魔神ダグザは唯一神YHVAの言葉から自由となり

『ダグザ』と言う役割から解放されて。

宇宙の一部としてずっと君達を一現象自然神として見守っているよ。」

「そんな。始祖ウィルスや始祖花を創造したのはナナシと言う少年なのか?」

クリスはどうしても信じられず『STEVEN』に尋ねた。

「君がナナシをそう観測すれば真実となるだろう」と

意味深な事を『STEVEN』は答えた。

「スケールがでか過ぎて?えっ?良く分かんないよ!どう言う事?どう言う事?」

のぴは大混乱してしまい頭を両手で抱えて考え込んでしまった。

そんなのぴの様子をドラキュラ伯爵は気遣い「無理に考えなくていい」と言った。

「さて!これ以上時間は無いだろうから失礼するよ!

君達も自らが信じる道を目指して頑張りたまえ!」

『STEVEN』はクリスとドラキュラ伯爵と

のぴを激励すると何処かいずこかへ去って行った。

ドラキュラ伯爵に促されてのぴとクリスは先を急いで進んだ。

クリスも『STEVEN』が言った真実について考えていた。

しかし余りにも突飛過ぎて未だに信じられずにいた。

だが今はじっくりと考察している心の余裕は無かった。

だから全ての真実を考えて頭の中を整理するのは後回しにした。

 

再び生と死の境界の三途の川頂上決戦。

魔獣ホラー・タナトスを捕食した4対の塔のような造形物はまるで生き物のように

銀色に輝く太い三角形の触手のようにユラユラと不気味に蠢いていた。

さらに4対の銀色に輝く触手はお互い複雑に螺旋状に絡み合った。

そして巨大な天空まで続く三角形の銀色に輝く塔を形成して活動を一度停止した。

「あれはマイナス宇宙の高次元に封印されている外神ホラー・イリスのものだ!」

「と言うとあれは現世のこちら側(バイオ)の世界に通じるゲート(門)なのか?」

「ああ、そうだ!あいつは高次元の異空間に封印されているが。復活が始まると

あのように高次元空間から死と生の境の三途の川と

現世のこちら側(バイオ)の世界へと光速移動して

復活する為に自らの肉体を分離させた転送装置を作り出すんだ。そして」

「その間にあの残りの5つのラッパを鳴らして人間の魂を回収するのか?」

「さあーただ選ばれた魂だけで残りは何処かに永遠に閉じ込められるだろうな」

しばらくして大河は阿門法師とピアーズとスティーブンにこう言った。

「恐らく若村秀和はあれを現世のこちら側(バイオ)の

世界に召喚するタイミングを狙っている筈だ!」

「と言うと?」とスティーブン。

「今、『静かなる丘・サイレントヒル』の教会礼拝堂の地下のバベル

超結界内部で私の息子の冴島鋼牙と賢者の石の力を持つ男・エア・マドセン。

神を産んだ聖母のフランドール。彼らによって膨大な魔力と

賢者の石の補給源を断ち切られて弱体化する瞬間をな。」

「そして弱った太陽神を彼らが封印すれば邪魔な神は消せるじゃろう。しかし奴は」

「最後に若村が神となり、楽園を創造する。

そして最後にイリスを利用して太陽神テスカトリポカと

他の邪魔な人間達や魔獣ホラーや神々を消し去り。

神殺しの役目を果たし、自らの目的も同時に果たすのじゃろう。」と阿門法師。

すると冴島大河も両腕を組んで何かを考え続けていた。

 

『最果ての死の砂漠』の地下の若村秀和の心の最深部の潜在意識に

通じる細長い通路は下へ下へと続く一本道となっていた。

のぴとドラキュラ伯爵とクリスは若村のいる『柳星張の宇宙』へ続く光速で

高次元の『イリスオブジェクト』の存在する場所へと急いで向かって行った。

その間ドラキュラ伯爵は続きを話した。

「よし!この先にあるはずだッ!間も無く『静かなる丘・サイレントヒル』の礼拝堂で

鋼牙達によって太陽神テスカトリポカの弱体化が始まる。

奴は今それを狙っているんだ!」

「そういえば」とクリスは今までドラキュラ伯爵に対して

妙な意地を張って言えなかった事を話した。

それはもはや遅い質問だった。もはや愚問かも知れない。

「若村秀和の計画は何故?

太陽神や神の従者や他の神々や天使に知られていないんだ?」

すると案の定「愚問だな」とドラキュラ伯爵に言われて案の定、むかっ腹が立った。

しかしすぐにドラキュラ伯爵はこうちゃんと説明した。

「若村は『静かなる丘・サイレントヒル』の超常的な力と他の場所や並行世界

パラレルワールド)から手に入れた『ネガブドネザルの鍵』や特殊な呪術結界を

利用してあの第1から第2の研究室を含む高次元の柳星張の宇宙へと続く

光速装置も全て秘密のベールに覆い隠していたのだろう。

もしかしたら?この先にタイムマシンとやらがあるかも知れないな。

そもそもこれを太陽神様が知ったらとうの昔に『若村秀和のイリスの儀式』

は連中に阻止されているだろう。誰も気が付かなかったのさ。

でもそれをヨグソトホース様と

ジョン・C・シモンズ事、魔王ホラー・ベルゼビュートの二人が計画を知った。

だから私とクリスとのぴと守護天使のアスカが送り込まれたのさ。

だから太陽神テスカトリポカは若村を死んだと思い込んでいるだろう。」

それから一本道の壁にドイツ語と日本語の混じった文章のメモがあった。

ドラキュラ伯爵は分かるように全文日本語にしてクリスとのぴに聞かせた。
守護天使について。その名前と人間の名前。私の知っている限り。

鳴葉有子の守護天使は『天魔アルミサエル』聞いた事があるような無いような。

魔人フランドール・スカーレット守護天使は『天魔ヴァルティエル』。

太陽神の聖母らしい。エア・マドセンの守護天使は『破壊神ミカエル』。

強そう。優しそうなのにこんな奴が何で?人々の守護天使『聖母シェリル』。

最初の聖母。アレッサの転生体。運命の人。

主にエイダ・ウォンや多くの人々を導いているらしい。

のぴの守護天使『この私!惣流・アスカ・ラングレ!この私こそ!聖母にして。

まーいーや。私は貴方のペルソナ。私は常に貴方の心の中にいる。

だから怖がらないで大丈夫よ!私達守護天使の役割は迷える人々を導く事!

それが出来るのは私達だけなの。私は恥ずかしいけど魔法と物理が使えっ。あーつ」

のぴは途中まで書いている当の本人のアスカも

恥ずかしくなったのか書くのを止めていた。

彼女の手紙は途中で途切れていたがのぴはそんな彼女の励ましに元気づけられた。

そして気持ちが楽になり幾つか明るくなった。

やがて一本道を抜けてのぴとドラキュラ伯爵とクリスは若村秀和の

心の最深部にあるイリスオブジェクトの存在する『柳星張の宇宙』に続く

巨大なまるで古びたお城を思わせる空間に出た。

周囲には茶色の古びたレンガの壁に覆われていた。

また途中で壊れた階段が上部に何か所かあった。

しかしすぐに捨てられて忘れ去られたように内部は荒れていた。

そこはお城の入り口のエントランスの広場のようだ。

周りには既に破けてボロボロとなった赤い旗や青い旗があっちこっちに

立てかけられていた。ほとんどはお城の中へと続く廊下は

全て崩れた茶色のレンガや木の柱の一部により完全に封鎖されていた。

そこじゃとてもうす暗くむせかえるような異臭が立ち込めていた。

クリスは平気な顔で辺りを探索して歩き回っていた。

「よく平気だな・・・酷い場所だ」とドラキュラ伯爵。

「もう酷い場所は慣れっこさ!もっと酷い場所を知っている。ここはまだマシさ!」

そう言うクリスの横に立っていたのぴは涙目になって咳をしながら周囲を見渡した。

しかしどこも荒れ放題でまるで心霊スポットの中に入っているようで少し怖かった。

また周囲には大量の血痕が周囲のオレンジ色のレンガの壁に付着しているのを

見つけてしまい顔を青くしてのぴは情けない悲鳴を上げた。

「わあああっ!あああっ!血が付いてるうううっ!」と言う具合に。

ドラキュラ伯爵はその血痕を調べた。

「彼の心の傷だな。恐らく幼い頃に両親や『教団』に虐待された時に付いたものだ。」

「荒れた心城の中は彼の今の心の中か・・・」とクリス。

「こんなに酷いなんて・・・・」ただただ茫然とした表情を浮かべるのぴ。

「あっちこっちボロボロだな。よほどこっぴどくやられたのだろうな。」とクリス。

「あれは?イリス?どうやら廃棄処分されたようだな。」とドラキュラ伯爵。

のぴが見るとボロボロで傷だらけのイリスと思わしき生物の死骸があった。

しかもイリスと思わしき生物の傍に落ちてた資料は。

「2020年。実験用の若い女性捕獲用イリス起動。13番目の無人機。

2030年。十分な実験用の若い女性が20人集まったので廃棄処理」とあった。

よく見るとイリスの胸部には真っ白になった捕獲用の繭の残骸があった。

「どうやら完全に生命機能は停止している。アンブレラ社よりもうまく処理したな」

そしてドラキュラ伯爵とクリスとのぴは城のイメージのエントランスの広場の中央に

周囲のボロボロな城の内部と正反対に美しく七色に輝く長四角の巨大な装置があった。

「これだ!これが『柳星張の宇宙』へ続く装置だ。エレベーターのようなものだ。」

「この先に若村秀和とイリスオブジェクトが・・・・・」とのぴ。

「ああ、この先が高次元の『柳星張の宇宙』に続くものだ!」とドラキュラ伯爵。

「よし!行くぞ!早いところ若村と

インパクトを止めて元の世界の戻さないと」とクリス。

「じゃ・・・行きましょう!私達で何とかしないと・・・・・」

のぴは歩き出した。続いてドラキュラは伯爵もクリスも歩き出した。

ドラキュラ伯爵とクリスとのぴは高次元に向かって七色に輝く長四角の装置に入った。

やがて3人の目の前が真っ白になった。

数分後。ドラキュラ伯爵とのぴとクリスはゆっくりと瞼を開けた。

そこは巨大な暗黒空間だった。

どうやら虚無空間のディラックの海らしい。

さらにのぴが下を見ると大量の真っ赤な液体。

いや海のようなものが広がっていた。

 

(第28章に続く)

(第26章)死神の失脚

(第26章)死神の失脚

 

阿門法師も大河もスティーブンもピアーズもハンターγ(ガンマ)達に

食われそうになったハガネの騎士達を助ける為。大河は牙浪剣で切り裂き、

次々とハンターγ(ガンマ)を消滅させた。

ティーブンもゴールドガーを連射してハンターγ(ガンマ)を

次々と頭部を撃ち抜き、消滅させて行った。

ピアーズはスナイパーライフルから持ち替えて

グレネードランチャーの火炎弾で攻撃した。

そしてなるべく広い範囲の2種類のハンターγ(ガンマ)の大群を

魔導火の火炎で焼き尽くして延焼させて一気に倒して行った。

ピアーズは駄目押しと言わんばかりにロケットランチャーを使い。

手当たり次第にロケット弾で吹き飛ばして行った。

ようやく2種類のハンターγ(ガンマ)は次々と大河達によって全滅させて行った。

やがて全ての死神ホラー・タナトスの身体の一部の2種類のハンターγ(ガンマ)を

完全に全滅させる事に成功した。生き残った大河。ピアーズ。スティーブン。

ハガネの騎士達。2万人はどうにか安堵の表情を浮かべた。

死神ホラー・タナトスは自らの一部で模倣した2種類のハンターγ(ガンマ)

を殲滅させた事に獣のように吠え、腹ただしく慟哭(どうこく)上げた。

「くそおおおっ!このやろうめ!

集まった分の魂は取り込んだが!全然足りぬわあっ!」

大河とスティーブン、ピアーズ、阿門法師と生き残った2万人のハガネの

騎士達は見上げるように死神ホラー・タナトスとようやく対峙した。

「次は貴様だ!タナトス!!」と大河。

「お前を倒す!」とスティーブン。

「これ以上面倒ごとは増やしたくない!」とピアーズ。

「さてとタナトスを封印するとしよう!」と阿門法師。

更に生き残った2万人のハガネの騎士達も両刃の長剣魔戒剣を両手に構えた。

死神ホラー・タナトスは不意に空を見上げた。彼女が見上げた空は。

青空にポツンと浮かんでいる黒き月があった。

死神ホラー・タナトスは舌なめずりをした。

「フフフッ!あの黒き月の中には現世(現実・リアル)から生命を失って

分離した人間共の魂がある!あれを喰い尽くせば妾はより強いホラーとなろうぞ!」

「マズイ!あいつ黒き月の中に人間の魂を喰おうとしている!」と大河。

「食われたら!2度と転生できない!魂が死んでしまう!」とピアーズ。

「くそおっ!早く止めないと!全員本当に消えてしまう!」とスティーブン。

次の瞬間、天空からオレンジ色に輝く光線が死神ホラー・タナトス目掛けて落下した。

死神ホラータナトスはその極太のオレンジ色に輝く光線を頭上から直撃されたので。

大きくつんめのり、危うくうつ伏せに転倒しかけたが足元で両足を踏ん張り耐えた。

上空には七色に輝く円盤の上に死者となった

大勢の魔戒法師達が魔導筆を両手に構えて。

ハッ!と気合を入れ続けながら球体から極太のオレンジ色の光線放ち続けた。

極太のオレンジの光線はタナトスの後頭部と背中に当たり続けた。

彼女は飛び上がって黒き月のところへ行けずに長い間、足止めをされた。

死神・タナトスの動きが完全に制止されている間。

大河達は直ぐに計画の変更と先の続きを手早く仲間達と話し合った。

「ぐぞっ!死んでも魔戒騎士と同様に邪魔するかアアアアッ!」

死神ホラータナトスは怒り狂い吠えた。

しかし残念ながら飛ぶ事も出来ずにそのまま動きを止められ続けた。

さらに死神ホラー・タナトスは苛立ちを募らせて獣のように激しく唸り続けた。

大河、阿門法師、ピアーズ、スティーブンは武器を両手に構えた。

「ピアーズ!あのパチンコ玉のコア(核)は俺が引き出すッ!のぴの意識も救い出す!

そして光矢流星(こうしりゅうせい)で一気に仕留める!

奴を予定より早く封印する!!」

「どうやら若村秀和は予定をひとつくり上げたようじゃな!」と阿門法師。

「そうだな。阿門爺さん!俺達の手でな!」とスティーブン。

大河は合図があるまで阿門法師とスティーブンとピアーズと

生き残ったハガネの騎士達を待機させるとたった一人で魔戒馬・轟天を走らせた。

そして大河はたった一人で死神ホラー・タナトスに立ち向かって行った。

大河は轟天を走らせて砂浜の大地を疾走した。

奴は過去のシグマが製造したイデアと同じように霊獣の波動が弱点のはずだッ!!

だが!まずはのぴの意識が閉じ込められている

核(コア)を引っ張り出してしまわないと!!

大河は魔戒馬・轟天を走らせ続けて死神ホラー・タナトスに一気に接近した。

魔戒馬・轟天に乗った大河はギャロップしつつで高速で上空の

魔戒法師の死者達による法術で動きを完全に制止されてしまった

元死神にして魔獣ホラーとなったタナトスに一気に近付いた。

大河は牙浪斬馬剣をしっかりと両手で構えた。

続けて魔戒馬・轟天は金色の分厚いヒズメをバン!と白い砂浜に叩きつけた。
同時に大きく上空へ飛翔した。大河大きく気合を入れた。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

そして魔獣ホラー・タナトスの胸部の真っ赤な外骨格の皮膚に

牙浪斬馬剣の巨大で鋭い刃を叩きつけた。しかしびくともしなかった。

魔獣ホラー・タナトスは「効かぬ!無駄だあっ!」と声を荒げて叫んだ。

大河は黄金騎士の狼を象った内側の仮面で歯ぎしりして大きくなっていた。

魔獣ホラー・タナトスの真っ赤な外骨格と牙浪剣が擦れ合いバリバリバチバチ

赤いオレンジの火花が大量に散り、黄金騎士ガロの鎧に頭から大量に降り注いだ。

「フフフッ!無駄な事よ!2030年のこちら側(バイオ)の世界の現世・現実

(リアル)は今や汚れ切っておる!男性社会によってのう!

今の時代の人間共はな!太陽神テスカトリポカによって

憎悪の連鎖と将来不安とが循環する目に見えない地獄の中に囚われておる!

しかし今は我と共に人間共を新たな力へ引き上げる

太陽神テスカトリポカの『静かなる丘・サイレントヒル』の力が降臨したのだ!

我は既に真実に他のメシア一族のメシアの兄弟と

姉妹よりも早く力を得た。死神の力をのう!」

魔獣ホラー・タナトスは口元を滲ませて妖しく笑って見せた。

更に彼女は大河に向かってねっとりとした美しい音色で話し始めた。

「そして太陽神テスカトリポカによって我が『ニュクス形態』となり。

こちら側(バイオ)の世界・現世に訪れる事が出来れば

全ての人間の苦しみから完全に開放される。

しかし太陽神テスカトリポカの真実に触れながら救いを理解出来ぬ!

哀れな人間共!そう貴様ら魔戒法師と魔戒騎士!闘い続ける人間!

若村秀和!反メディア団体ケリヴァーやユーチューバー共だ!

貴様らはその全ての神の力を個人の私利欲の為に悪用しているのだ!

もう!諦めたらどうだ?そして現在!約束の場所は『聖ミカエル病院』と言う

名前の塔にある!我はそこから来訪しよう!恐れる必要は無いのだ!

全ての人間は等しく救済されて皆楽園で母子共に安息できるのだ!

我こそが!太陽神テスカトリポカこそ人間の希望なのだ!来るべき刻を待てばいい!」

「その希望は偽りに過ぎないッ!死を待つなど私には出来ない!」

大河は牙浪斬馬剣の持ち手に更に力を込めた。

魔獣ホラー・タナトスは大河をまるで母親が子供をなだめる様に優しくこう言った。

「何も心配しなくともいい。ただ待ち続ければいい。

愛する妻の冴島りんと共に転生したくないか?転生すれば無事に楽園で再会出来よう!

勿論、息子にも会わせてやる!これは革命である!

大きな波のうねりによるものな!先行きの分からぬ未来を救えるのは

太陽神テスカトリポカと我と『ネガブドネザルの鍵』

を持つ人間の女の救世主。つまり!カルキだけなのじゃ!

さあ攻撃を止めておとなしくするがいい!」

しかし大河ははっきりと力強くこう言った。

「断る!そんな救済は今の人間に必要無いッ!」と。

すると魔獣ホラータナトスはフフフッ!と笑うと話を続けた。

「太陽神テスカトリポカ様か若村秀和どちらの儀式が成功しても。

人の手で儀式が行われたとしてものう。

いずれのぴと言う人間の女は神に等しき力を手に入れて創造神に等しくなるだろう!」

「創造主。唯一神YHVA。太陽神テスカトリポカ。

それとも白痴の魔王ホラ―アザトホースか・・・・・。」

大河はのぴが人間を超えて神になる事実を冷静に受け止めつつも彼女の身を心配した。

大丈夫だろうか?人の形と心を失い元の人間に戻れなくなるのでは?

それでは大勢の人々の命が助かっても彼女一人が犠牲になる。それでは駄目だッ!

その時、再び地面の砂浜が上下に激しく揺れ始めた。

なんだ?この地震は?また若村の仕業か?

やがてバコン!バコン!バコン!バコン!と4回機械の駆動音が聞こえた。

同時に砂浜の砂が次々と宙へと高々に舞い上がり、穴が4ケ所開いた。

続けて4つの丸い黒い穴から銀色に輝く太く長い三角形の塔のような建造物が現れた。

さらに中央にいる魔獣ホラー・タナトスの全身にまるで

イカやタコの触手のようにグルグルと巻き付いた。

さらに強力な力で締め上げた。

「ぐあああああああああああああああっ!おのれええええええええっ!

妾から死神の力を。妾の肉を!ぐあああっ!ぐあっ!があがあがあ!

ぐおおおおおおんっ!ぐぞっ!若村秀和ッ!思い通りにはさせんぞ!」

魔獣ホラー・タナトスは胸部の分厚い外骨格の皮膚をガバッと左右に開いた。

そして黒いパチンコ玉のコア(核)から小さい箱を排出した。

異変を感じて離れて宙を飛んでいた轟天に乗った大河は咄嗟に

その飛んで来た箱をキャッチすると砂柱を上げて砂浜の上に着地した。

そして捕食される刹那タナトスは太陽神テスカトリポカの声を聴いた。

「はっ?太陽神テスカトリポカ様???」

(さっきのお前の発言には失望した。

やはり通常の死神ホラーにはこの大役は無理だな。

特に他の人間の言葉を借りて妄想を語り。

人間の尊厳と名誉を穢し!失言するお前に任せられん!)

やがて死神の力を奪われてただの魔獣ホラーに成り下がったタナトスの肉体は

メキメキバリバリと音を立てて全身の真っ赤な外骨格にヒビが入り始めた。

無数の触手で抵抗するも虚しくあっさりとバキバキメキメキグチャグチャ!

と嫌な音を立てて魔獣ホラー・タナトスの赤い巨大は噛み砕かれるように捕食された。

砂浜の地下深くから現れた何者かの手によって。

 

再び『赤き最果ての死の砂漠』の地下洞窟の若村秀和の第2研究所内。

のぴとクリスとドラキュラ伯爵は若村秀和の

人類補完計画を阻止すべく細長い廊下を歩き続けていた。

その時急にドラキュラ伯爵は両腕を左右に伸ばした。

「まて!誰かいるぞ!」と言うと二人を制止させた。

細長い廊下の奥に人影があった。どうやら車椅子に座っているらしい。

ウィーンウィーンと言う駆動音と共にこちらへ向かっているようだ。

しかもその姿は人間の男だった。それは黒い立派な機械の車椅子に座った

白い髪に眼鏡と赤い服を着た男だった。クリスは見覚えがあった。

「まさか?マツダ・ホーキンスさん?何故?車椅子に?」

クリスはマツダ・ホーキンスBSAA代表が車椅子に乗っているのに戸惑った。

彼は大事故をして怪我をしたと言う話も聞いたことが無いし。しかもー。

BSAA北米支部では車椅子で移動している姿などクリスもBSAA 職員もスタッフ。

エージェントもオリジナルイレブンさえも誰も見た事が無かった。

怪我してなんかいないのに?どうして?車椅子なんかに??

するとマツダ・ホーキンスBSAA代表は静かにゆっくりと語り始めた。

「そのマツダ・ホーキンスと言う名前はかりそめの名前だよ。

私もこの名は嫌いじゃないよ。私の本当の名前は・・・・・。

『STEVEN』。別の次元のパラレルワールド(並行世界)の存在する宇宙から

大いなる理(ことわり)の力を借りてここへ来た。所謂。

次元の漂流者。旅人と呼ぶべき人間の放浪者さ。

BSAA北米支部の代表となったのもこちら側のバイオハザードの世界にて

あらゆる世界の行く末を観測する為にここにいる。さてと!!

君達の世界は本来の原作の世界とは大きく異なった道を歩んでいる。

その原因は幾つか考えられるが一番有力で大きな説は2つある。

ひとつは『第3の世界・東のミカド国の世界』にて。いや正しくは。

巨大な天井の蓋の岩盤に閉じ込められた悪魔と人間が争う東京と

呼ばれた大都市で大天使メルカバーと大天使と天使軍と

光の戦士達によって悪魔王ルシファーが殺されてしまった。

さらに裏切ったナナシと言う少年の手によって無限発電炉ヤマトは暴走してしまった。

そして巨大なマイクロブラックホール『大アバドン』によって人間も

悪魔と呼ばれた異教の神々も大都市も全て飲み込み消滅させてしまった。」

 

(第27章に続く)

(第25章)『死』を招き世界を破滅させる満月

(第25章)『死』を招き世界を破滅させる満月

 

『死』そのものを操る権利は一切無い!軽々しく口で『死ね』『殺す』と

言っただけで他人が軽く簡単に死なないのは『死』そのものを操れないからだ!

人間が『死』を手にしたら?どうなると思う?想像してみろ!」

ドラキュラ伯爵に詰め寄られクリスは歯を食いしばり黙り込んだ。

「恐ろしい未来が待っている。

嫌だ!みんな殺されちゃう!」とのぴは怯えた表情をした。

「若村秀和。彼は『死そのもの』と『神に等しき創造の力』を2つ手に入れたら。

旧人類とこちら側(バイオ)の世界は完全に消滅させた上で『楽園』の創造の為に

完全な単体生物として全ての人類はのぴを依り代にして合一化し。

彼が必要ない旧人類とこちら側(バイオ)の

世界を全て一掃させて浄化させるのだろう。」

「くそっ!まるでアルバート・ウェスカーとオズウェル・E・スペンサーのようだ!」

クリスは過去のアンブレラ社が目指していた彼らの愚行を思い出して怒りに駆られた。

「男性達は彼にとって必要無い存在のようだ。さらに選ばれた女性達は若村と合一し。

自分の信者の仲間は男女問わず合一させる。

残りの必要無い女性達は旧世界と共に消し去る気だな。

それも死神ホラー・タナトスから奪い取った『死』そのものの力でな。

クリストのぴとドラキュラ伯爵はもう調べ尽くしたので

『若村第2研究室』の裏口から出て行った。

3人は若村が指定した柳星張の宇宙にあるイリスオブジェクトのある

最深部の細長い通路に向かって進んで行った。それは下へ下へと降り続けた。

まるで若村秀和の心の最深部の彼自身の

潜在意識に向かって先へ先へ進んで行くように。

ドラキュラ伯爵は道中、独り言のようにこうつぶやいた。

「さてと。こちら側(バイオ)の世界を愛しいジルがいる世界の未来はどうなるか?

現実(リアル)は???若村秀和が進める人類補完計画による

全ての旧人類の穢れを滅ぼし、永遠の平穏と安寧の魂の安らぐ楽園にして神の国か?

あるいは太陽神テスカトリポカが進める

善悪に囚われる事の無い弱肉強食の世界の中より

強い個体のSHB(サイレントヒルベイビー)を旧人類の若い女性達の子宮で産ませて

弱い旧人類と人間社会を滅ぼし。強い母親になった旧人類の女性とSHB

サイレントヒルベイビー)と多数の神々と堕天使と悪魔を従えて

次の世界に進化した混沌の楽園か?それとも私達のような元の神々や悪魔に支配されず

今まで通りの人間のメディア社会と旧人類が暮らす楽園では無い

仲間と暮らす普通の中にある中庸か?・・・・・・・・・・・・・。

だが太陽神テスカトリポカは本当に更なる大きな混沌を目指しているのだろうか?

果たして?彼女は何を望んでいるのだろう?」

ドラキュラ伯爵はそうつぶやきつつも彼女の大いなる計画に思いを馳せた。

しかしそんな真剣な表情のクリスと太陽神テスカトリポカの大いなる計画に思いを

馳せていたドラキュラ伯爵の隣で突然のぴは急に眼球とこめかみと

額に針で刺されたような鋭い痛みを覚えた。

「痛っ!痛っ!」と思わずのぴは大声を上げていた。

続けてのぴは両手で眼頭や額やこめかみを押さえて身体を曲げた。

彼女はとうとうその場にうずくまってしまった。

「おい!大丈夫か?」とクリスはのぴに大声で呼びかけた。

しかしのぴの耳には何故か遠くで聞えているように感じた。

やがて何も聞こえなくなった。

同時にのぴの視界は真っ白になり何も見えなくなった。

続けて脳内に無数の脳神経のシナプスの複雑に絡んだ迷路が見えた。

それはまるで森の奥深くに進むように彼女の意識は潜り込むようかのように。

とにかくひたすら下へ下へ下へと下へと進むのを感じ続けだ。

やがて真っ白な光に包まれた。同時にある映像が再生させた。

そこにはお城と城下町のある広い広場だった。

ここは?東のミカド国?いやだ!あたしどうして?

ここの国の名前を知っているんだろう???こわい!!!こわい!!

更に大量の武器や衣服が転がっていた。しかも石畳の床に散らばるように。

そこは何者かに捕食されてまるで溶けたかのように。

大人も子供も男性も女性も全て。

さらにミカド城の頂上にクリオネとドラゴンを合体させたような巨大生物がいた。

そのクリオネとドラゴンを合体させたような

合成生物から強力な電磁信号が発信された。

続けて電気信号は城や城下町の各地に配置された謎の物体とも連携して同じように

電気信号を放っていた。謎の物体群はよく見ると全て10mの高さがあり。

細長く紫色に輝く4対の捻じれたDNA構造を模倣したような

四樹螺旋の形をしているのに気付いた。

しかものぴはそれが無数のミカド国に住む国民の全ての女性を素体に

何らかの方法で両腕と両脚と両手足が変化したものだと理解した。

さらに全体側面には旧魔戒文字が彫られているのが見えた。

しかも何故かのぴはその内容も意味も殆どただの人間には

読めないのにも関わらず完全に理解していた。

その事実に彼女は未知の恐怖を感じた。

のぴは悲鳴も言葉も出せずにただただ唇と全身を震わせていた。

そしてクリオネとドラゴンを合成させたような巨大生物と謎の物体群は周囲に

強力な魔力の場と磁場を発生させてまるで掃除機のように無数の天使軍や

生き残った僅かなミカド国の人々を吸い込んで魂と霊体と肉体を全て一つにして

集束して行った。やがて青く輝く満月の形をした『宇宙の卵』を完成させた。

それはまるでさもそこにあったかのように空高く浮いていた。

そして城の内部も城下町も『死』の沈黙が続いた。

もはやそこに網物も。昆虫も。植物も。誰もいなくなっていた。

更にのぴの視界は今度は青く輝く背景に包まれた。

同時に目の前に唐突に何かが現れた。

それはさっきの巨大な青く輝く満月の形をした『宇宙の卵』が三角形に並んでいた。

しかも約20体まで群れていた。

下部からは青く輝く無数の細長い触手が伸びていて先端は6対の

細長い青く輝く触手が生えていた。

しかも何かを話していた。

「宇宙ヘ来ル君ノオカゲデ我々ハ全員目覚メタ!目覚メタガ腹ガ空イタ!

我々ヲ東ノミカド国ノ他二モアラユル並行世界(パラレルワールド)ヘ!

連レテ行クノダ!我々ヲ完全二スルノダ!!」

そこですぐはのぴは我に返ると複雑に絡んだ迷路を抜けた。

「わっ!はあはあはあはあはあ!何だったの?今の映像??

みんな一つになって月になっちゃった!!」

のぴは唇と全身を震わせながらクリスとドラキュラ伯爵に説明した。

クリスとドラキュラ伯爵はお互い顔を見合わせた。

最終的にクリスとドラキュラ伯爵はのぴの見た幻視は一時的な

精神的疲れと結論付けられた。それにのぴは不満な表情をした。

 

再び生と死の境界の三途の川頂上決戦。

あの『静かなる丘・サイレントヒル』の教会の屋上の裏世界から

ヨグ・ソトホースが放った七色に輝く美しい矢が死神ホラー・タナトスの胸部に

あるのぴを閉じ込めていたパチンコ玉のコア(核)に突き刺さり。

すーつとそこで消えた後。しばらく一分程、経過していた。

やがて死神ホラー・タナトスは苦しそうにまるで獣のように長々と吠え続けた。

「ぐおおおおおおおおおおおおっ!なんだあっ?腹がッ!苦しいイッ!」

やがて下腹部がバアン!と大きく破裂した。

周囲にオレンジ色と黒の筋肉質な下腹部が弾け飛んだ。

そして周囲にオレンジ色と黒の細胞片を巻き散らかした。

その穴から黒き月と呼ばれる巨大な黒みを帯びた

紫色の月のような物体が飛び出してきた。

同時に死神ホラー・タナトスは本来の死神の力さえも徐々に失って行った。

続けて彼女にとって最悪な事に『リビドー形態』から退化してしまい。

素体の『デストルド第1形態』に逆戻りしてしまった。

その逆戻りはまるでビデオの早回しを見ているようにあっと言う間だった。

そして頭部に輝く真っ赤な二重の天使の輪もすーつと死神ホラー・タナトス

頭上から消えた。もはや両性両具の神では

無くただの魔獣ホラーの一体に成り下がった。

今の死神ホラー・タナトスの姿は最初と同じデストルド形態だった。

「ぐあああっ!くそっ!何故だ?たかが人間如きにッ!人間如きにッ!死神!

両性両具の神となる筈の我がッ!我がああっ!私の子宮がッ!まさか!

我が死神!いや!両性両具の神でありメシアの唇からただの!いや!

下級の魔獣ホラーに堕とされるなんて!!ふざけるなあああっ!!

許さん!許さんぞオオオオオッ!人間めええええええっ!

ぐおおおおおおおおん!がああああああっ!」

それを見ていたスティーブンもピアーズも驚いた表情をしていた。

するとすぐにスティーブンが阿門法師に大慌てて当初の計画の確認をした。

「おいおい!計画が?早過ぎないか?あの黒き月とのぴは同時に出てくる筈だろ?

何で黒き月だけ!あいつから出てきたんだよ!!」

すると阿門法師は大慌てしているスティーブンとは反対に冷静にこう答えた。

「ほう。間違いないのう!若村秀和の仕業じゃ!

予想外の事をしでかしたようじゃな!」

そこの轟天に乗った大河がスティーブンと阿門法師の横から現れた。

「まあ世の中そううまくは行かんと言う事だ。

時には予想外の事も起きる。死神ホラー・タナトスも太陽神テスカトリポカも

天魔ヴァルティエルの連中にはいい薬だな。」

「いや!それはそうだが?この後の俺達の計画はどうなんだよ?」

ティーブンは鋭く大河と阿門法師に突っ込みを入れた。

一方、死神ホラー・タナトスの下腹部から飛び出した黒き月は

そのまま生と死の境界の三途の川の青空の浮き上がった。

黒き月はまるで現実(リアル)の満月のように静止して浮き続けた。

のぴは未だに死神ホラー・タナトスのコア(核)の中に閉じ込められていた。

大河と阿門法師は恐ろしくマイペースに「さて?どうしたものか?」と呟いた。

現在の死神ホラー・タナトスは『デストルド形態』で神の力の一部を失った。

正確には若村秀和に奪い取られたと言うのが正しいのだろう。その姿形は。

頭部は牛のような形をしていて頭から2対の昆虫の触角に似た角が生えていた。

上部は赤色で下部からは美しい緑色をしていた。

さらに4対の青い冷めた輝きを放つ眼を左右に三角形に3つ固まって開いていた。

その目は怒りに満ちていた。両腕は真っ赤な筋肉に覆われて肘の下部から

上腕筋辺りの4対の真っ赤に輝く翼の形をした鋭利なカッターが生えていた。

更に両脚は太く分厚い真っ赤な筋肉に覆われて、まるで恐竜のような脚をしていた。

両膝に緑色の羽根を生やしており。両足は3対の細長い緑色の爪が生えていた。

頭部の顎からまた黄色の角を生やし、両頬から2対の細長い

角のエラの突起物を生やした。

その見た目は超巨大な昆虫のような姿になっていた。

彼女は激昂していた。

彼女は荒々しく砂浜の地面を踏みしめて。

地響きを立てて歩き出し、大声で怒号を上げた。

「決して!許さぬ!もういいっ!楽園の扉を開くなど知った事かっ!!この我!!

いや!メシア一族の仇なすような人間共は全員!我が血を吸い尽くし!

絶滅させてやる!!もう魂は必要ないわ!!」と。

怒り狂う死神ホラー・タナトスは全ての人類を捕食し尽くして滅すべく地上の現世

(こちら側・バイオの世界)へ向かうべく両足を砂浜から浮かせて上空へ飛行した。

しかしそれを逃さず轟天に乗った大河は馬を走らせて砂浜を強く金色のヒズメで

踏みしめて大きく再び飛翔した。大河は両手に牙浪斬馬剣を構えた。

大河が野太い雄叫びを上げた。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

死神ホラー・タナトスの背中に追いつくと背中を背骨からバッサリと切り裂いた。

同時に死神ホラー・タナトスの背中に金色の細長い切れ目が現れた。

彼女は背中の激痛で絶叫し、墜落した。

そしてドスン!と砂柱を上げて着地した。

「ぐおっ!おのれええええええっ!黄金騎士!クソっ!

力が足りぬ!!貴様らハガネ共の魂を貰うぞ!!」

そう叫ぶと彼女は全身から赤い光を放った。すると赤い光を受けた

自身の身体の一部から模倣されたハンターγ(ガンマ)は活性化した。

さらに動きも素早くなり、攻撃力も高まった。同時に彼ら大群は積極的に

他のハガネの魂を捕食しようと丸呑みの為に大口を開けて次々と襲い掛かった。

しかしすでに大河やピアーズ、スティーブン、阿門法師や

他の大勢のハガネの騎士達の協力により天文学的な数に昇っていた

ハンターγ(ガンマ)は半数以上が斬られて消滅していた。

個体も3万体と残り僅かだったがここにきて彼らは更に凶暴化してしまい。

半数以上までハンターγ(ガンマ)に魂を喰われて消失した

ハガネの騎士達は追い打ちをかけられ苦戦を強いられた。

最初はそこまで強くなく数の暴力と言う感じだったがここで一気に

残り3万体が強敵となり一気に追い詰められた形となった。

そして最初は五分五分の闘いだったものが一気に形勢が逆転してしまい。

死神ホラー・タナトスの細胞の一部から複製された2種類の

ハンターγ(ガンマ)達の一方的な即死攻撃によって

2万人まで減ったハガネの騎士と大河達の軍は次第に劣勢になって行った。

現在、死神ホラー・タナトスの細胞の一部から複製された

2種類のハンターγ(ガンマ)の数は3万体。

対してハガネの騎士(大河、阿門法師、ピアーズ、スティーブンも含めて)

約2万人と数の時点で不利にな状態だった。しかもさらにハガネの騎士達は

次々と2種類のハンターγ(ガンマ)の大口により、頭から丸呑みにされて

魂も消化されて捕食されて行った。魂は消滅したのでもう転生は出来ないだろう。

ピアーズ、スティーブン、大河、阿門法師の周囲では狂暴化した死神ホラー・タナトス

の身体の一部で構成された2体のハンターγ(ガンマ)は次々と少なくなって来たハガネの騎士達の魂とアストラル体を飲み込むべく容赦なく執拗に襲い掛かっていた。

最初のハンターγ(ガンマ)の個体は『アルビノガンマ』と

BSAAやブルーアンブレラでは呼ばれていた個体である。

最も体色は真っ赤に輝いているが。

この『アルビノガンマ』は全身が真っ赤な体色は勿論。

両生類らしいぬめりとしたオレンジ色のイボで覆われていた。

前足は小さく退化しており、鋭利な牙とオタマジャクシに

類似した尾ひれを持っていた。

それはどこか凶悪に見えた。

続けて通常のハンターγ(ガンマ)は丸っこいフォルムに

全く歯の無い巨大な口に真っ赤に輝く体色。

また両手には刃物のように鋭い水かきの付いた両手を持ち。

こちらは2足歩行で素早く移動していた。こちらは完全にカエルの姿をしていた。

アルビノガンマ』はオタマジャクシ人間。

『通常のハンターγ(ガンマ)』はカエル人間で区別がつくのである。

そして通常のハンターγ(ガンマ)は鋭い爪と刃物のような鉤爪で次々と

ハガネの騎士の身体と鎧諸共切り裂き続け、弱ったところで大口を開けて

積極的に頭から大口で噛みつき、軽々と頭を持ち上げた。

そして次々とズルッ!とハガネの騎士達の鎧を着た思い身体を持ち上げて

両脚をバタバタさせている抵抗するハガネの騎士達を

丸呑みにして魂を消化して養分となった。

これにより魂は消滅し2度と転生できなくなった。

アルビノガンマもハガネの騎士に襲い掛かった。

アルビノガンマは口を大きく開けると口内に収容された第二の顎を露出させた。

しかも分厚いマジニ似た食虫植物を思わせる

太く長い第2の顎を花弁状に大きく開いた。

そして自分の近くに立っていて油断していたハガネの騎士達の胴体に

4対の太い第2の顎を巻き付かせるとそのまま一気に締め上げた。

「うがああっ!」「ぎゃああっ!」と次々と悲鳴が聞こえた。

ハガネの騎士達の胴体はバキッ!と背骨が折れる音と共に綺麗に

まるで椅子を折りたたまれてコンパクトにされた。

そのあとすぐにバクッ!と口を閉じて丸呑みにした。

そして魂を消化して次々とハガネの騎士達も

2度と転生できぬように自らの養分とした。

こうして次々と残りのハガネの騎士達も数も一方的に減って行った。

それはもはやどの位、経ったのか分からなかった。

 

(第26章に続く)