(第7章)昆虫型BOW(生物兵器)と新型ウィルス兵器

(第7章)昆虫型BOW(生物兵器)と新型ウィルス兵器

 

まだストークスと僕の心臓はバクバクと鳴っていた。

そしてさっきのHCFの講演室でストークスと

僕が見つけた研究資料は以下の通りである。

最初はかなり古いアンブレラ社のジェームズ・マーカス博士が書き残した

研究資料の一部を引用していた。引用部分は以下の通りである。

「『虫』。

この太古から生き続けている生命体は半ば進化の袋小路に達しているのか。

始祖ウィルスを投与しても莫大なエネルギーによる巨大化や攻撃性の向上と

言った変化しか確認出来ない。現状これらをBOWとして実用化する事は難しい。

(引用・BOWに関するレポート・ジェームズ・マーカス博士の記録より)

(その先はダニア博士が書いた新しい文章がある)

5年前に御月製薬不正事件の裏で

秘密組織ファミリーとの取引をルートにして手に入れた

『賢者石バエル細胞』と『B型T-エリクサー』

を利用して製造した新型のウィルス兵器

の試作は『新型T-エリクサー(仮)』と呼び、更なる研究が続けられている。

その過程で私はこの『新型T-エリクサー(仮)』を過去にマーカス博士が

様々な種類の昆虫にT-ウィルス(初期)を投与して遺伝子操作をして作り出された

昆虫型BOW(生物兵器)プレイグクローラーにその『新型T-エリクサー(仮)』

を運び屋としてカニやサソリとそして人間の遺伝子をプレイグクローラー

遺伝子に組み込んだ結果、体色が赤みを帯び甲殻の発達と外骨格の強化により、

ハンドガンやショットガン数発を弾き返す程の強度を得た。

また著しい硬質もあり、興味深い研究対象である。

しかも強度低下による弱点も現時点では見られず更に驚くべき事に

通常なら有り得る筈が無い人間との生殖能力を得ていることが後に判明した。

そのきっかけはこのスーパープレイグクローラーを世話していた

若い女性研究員に襲い掛かり、交尾して子孫を残そうとする様子が観察された。

またスーパープレイグクローラーは人間の知能らしき発達が見られる事から

簡単な言葉における学習能力テストも今後予定している。以上」

誰がこれを書いたか分からないが確かそのプレイグクローラーと言う

昆虫型BOW(生物兵器)は体長が2m位あった筈だ。

しかもプレイグクローラーは母親のアンヘラ博士の話では湿った場所を好んでいて。

主に屋根裏部屋にいるとか。そして眼下に人を発見すると頭上から姿を現すとか?

しかも強化されたそのスーパープレングクローラーがここに出たら??

考えるだけで僕とストークスはとても怖くなった。

ぶっちゃけヘタクソなお化け屋敷なんかより、滅茶苦茶怖いのだ。

このHCFのセヴァストポリ極秘研究所はね。

トークスも僕と同じ反応で帰り道や自分部屋の

天井の通気口や僅かな隙間もどうしても気になった。

何処かにあれが密かに潜んでいると思うと怖くて仕方が無かった。

今でも正直怖い。それからとりあえず今はまたストークスの隔離部屋に話を戻そう。

そこで僕は魔女王ホラー・ルシファーな存在に怯え切っていたストークスを

どうにか安心させて落ち着かせキスを交わすとまた保安部隊の警備の仕事に戻ろうと

トークスの隔離部屋を後にしようとした。

しかしストークスは僕の右腕をしっかりと両手で掴み一向に離そうとしなかった。

僕はストークスの説得を試みたがよほど怖くて不安なのか絶対に僕の右腕から

両手を離そうとしなかった。ストークスは「嫌々」と首を左右に振り続けた。

それからしばらくはストークスを説得して

右腕を離して貰うのにかなり時間が掛かった。

無理矢理話す事も出来ずにかなり困った。

 

場面は変わり、セヴァストポリ極秘研究所のBOW(生物兵器)及び

ウィルス兵器中央実験室の片隅にある

HCF研究開発主任ダニア・カルコザ博士の自室。

ダニア・カルコザ博士は大きな金色の柱と縁取られた黒色の玉座に座った。

それから彼女は目の前の大きなモニター画面を見た。

ダニア博士は目の前のモニター画面に『メニュー』の画面が表示されていた。

ダニア博士は幾つもの選択画面から

『新型ウィルス兵器とBOW(生物兵器』開発記録』

と題されたファイルアイコンを指で押した。

するとファイルアイコンが起動し、モニター画面に記録が表示された。

それは以下の通りである。

「『賢者石バエル細胞内にある遺伝子をB型T-エリクサーに組み込み誕生した

TとGの遺伝子を持つ変異株の製造に成功している。

その試作ウィルス兵器『新型B型T-エリクサー(仮)』は

TとGの2種類のウィルスが賢者石バエル細胞に含まれる

始祖ウィルスによって遺伝子交配を可能にしている。

更に加えて御月製薬の研究員トムから受け取ったプラントE44の植物細胞に

『B型T-エリクサー(仮)』を感染させたのちにTウィルスによって初めて誕生した

マーカスリーチの遺伝子をウィルスを使って組み込み新型のBOW(生物兵器

が製造される。植物型蛭『プラントリーチ』である。

それを繁殖させて数を増やした上で更に詳しく研究するとする。以上。」

ダニア博士は更にファイル内の2つ目のファイルアイコンを指でタップして開いた。

「『R型』はまだ胎児である。しかしいずれは何かの実験に使用する予定である。

だがまだ胎児である為、まだ保留とする。以上」

ダニア博士は3つ目のファイルアイコンを指で押した。

「2017年にルイジアナ州のベイカー家を襲ったエヴリンが持つ

E型特異菌の遺伝子の回収に成功する。そして『新型Tエリクサー(仮」』にも

E型特異菌の遺伝子を組み込む事に成功。『新型T-エリクサー(仮)』。

『新型T-エリクサー(E型有り)』。

『新型T-エリクサー(E型無し)』と呼ぶ事にする。以上」

「2種類の新型T-エリクサーの試作ね。成程ね。」

ダニア博士は一人で納得した。

それから画面の隅にある『メニュー』を指して、元のメニュー画面に戻った。

ダニア博士は順調にB型T-エリクサーウィルスをベースとした新型ウィルス兵器の

研究開発の今のところの成果にそこそこ満足していた。

こうして10年後の『R型暴走事件』のきっかけとなる

T-sedusa(シディウサ)の誕生はもう目の前だった。

 

一方、僕事、エア・マドセンはようやくストークスを説得し続けた末に腕を離して貰い。不安な表情で僕の顔を見たストークスに申し訳ない気持ちを

感じつつもストークスのいる隔離地下室を後にした。

僕は直ぐに寄り道をせず保安室へ戻り、保安部隊の警備の仕事に戻った。

僕は仕事の為に東洋人の美しい女スパイのエイダ・ウォンと仲間の隊員と合流した。

それからセヴァストポリ研究所の地下の駐車場に救急車が停まっていて

その内部は研究室に改造されていた。

僕とエイダとアッシュ博士と医療チームが乗る事になっていた。

またヘルメットと防弾チョッキとアサルトライフル武装した

保安部の隊員も乗る事になっていた。大体4人か。

今回はニューヨーク市内の病院関係者を装って現在、開発研究中の

『新型T-エリクサー(仮)』の感染変異の経過観察用の成人男性と

『新型Tエリクサー(仮)』の治療に必要な試作ワクチン投与完治用の

被検体を回収するのが主な任務で。僕達、保安隊員はその作業中の医療スタッフと

エイダとアッシュ博士、医療チームの護衛が仕事だそうだ。

やがて僕達を載せた救急車はセヴァストポリ研究所から離れた

ニューヨーク市内の道をしばらく走行し続けた。

やがてある狂った殺人事件に遭遇した。

それは救急車を装った護送車の助手席に座っていたエイダがふと

窓の外のとある建物の近くの森で黒いスーツと白いシャツに黒いネクタイと

白いズボンを履いた銀髪の若い男と緑のシャツと灰色のズボンを履いた

小太りの男が何やら揉めている様子を発見した。

それからエイダは運転席で運転している僕にあの2人の男の

近くの森に救急車を止めるよう指示され、近くの木々の間にその救急車を停めた。

そして救急車の窓から2人の男の口論の成り行きをしばらく見守った。

2人は長い間、口論をしていた。

突然、緑のTシャツと灰色のズボンを履いた小太りの男は一本の包丁を取り出した。

そしてもう一人の銀髪の若い男に刃を向けた。

同時に奇声を上げて包丁で目の前の顔を真っ青にしている銀髪の男の

全身を執拗に何度も何度もめった刺しにして殺そうとした。

そして銀髪の男は青ざめて小太りの男に向かって何かを叫んだ。

しかし小太りの男は早口で更に何かを片言で喚き散らしていた。

とうとう小太りの男は持っていた包丁を両腕を振り上げて銀髪の男を

何度も何度もしつこく執拗に異常なまでに包丁の刃を突き刺した。

それは胸部、腹部、両腕、両脚に及びたちまち全身は刺し傷だらけとなった。

やがてその銀髪の男が仰向けに倒れている地面は血溜まりが広がった。

そして狂ったようにけたたましく笑い出した。

「俺の事を馬鹿にした!ざまあみろ!アハハハハハハハハッ!」

「やめろ!お願いだっ!俺は!ブログがッ!ぐっ・・・・あっ・・・・・」

次の瞬間、HCFのエイダと僕と保安部隊が一斉に救急車から降りた。

 

(第8章に続く)