(第30章)怒り狂う悪魔は誰か?

(第30章)怒り狂う悪魔は誰か?

 

「クソっ!裏切りやがってええええええええええっ!!」

分厚い扉の窓ガラスに映る桜谷萌博士は怒りと憎しみで激しく歪んでいた。

ちなみに普段の桜谷萌博士は表情はとても可愛らしいものである。

そんな彼女はスペイン人と日本人のハーフでまだ若い20代の女性である。

彼女は胸元まで伸びたサラサラの黒いロングヘアー。

ぱっちりとした茶色の瞳。茶色の眉毛。やや高く丸っこい鼻。

更に真っ赤なフリル付きの赤いブラジャーとパンツを履いていた。

真っ赤なフリル付きの赤いブラジャーに覆われたとても丸いまるで

新鮮な果実を思わせる白い肌に覆われた両胸と深い胸の谷間が見えた。

またムチムチのスレンダーな体格をしていた。

エイダは少しも表情を変える事が無かった。

続けて天井のスピーカーからAI(人工知能

のアポロのとても厳しく重い宣告をした。

「桜谷萌博士!!貴方はHCF社に対する重大な背信行為により。

『ウィルス兵器遺伝子改良実験室』の職を解任します!以後!

桜谷萌博士は新たに誕生したリッカー・プラントデッド・プロトの生態調査

による実験の被験者として!登録します!既にダニア博士は了承済みです!

『萌・被験者』以後!こう呼びます!」

「残念ね!本当に!」とクリスティン。

「クソーいい女だったのになー」とダニエル。

「君はまじめでちゃんとした常識人だと思っていた。」

とスペンスも残念そうな表情をした。

「はああああああああああああああっ!ふっざけんなああああああああああっ!!」

そう言うと『萌・被験者』は部屋の中からガンガンと分厚い扉をひたすら

何度もしつこく蹴り続け、呪詛の言葉をと反メディア団体ケリヴァー

のリーダーの若村に対する狂信ぶりを叫び始めた。

「くそっ!くそっ!このっ!このっ!お前らっ!お前らっ!このっ!このっ!

やっぱりお前達もメディアの申し子め!さあ!あの『R型』って女の子は何処よ?

何処?答えなさいっ!あの子は可哀そうな女の子!薄汚い大人に

AI(人工知能)と言うメディアの災いの呪いの死の印を植え付けられし!

哀れな子!私達はただただあの子から呪いを解いてやろうとしているだけ!

この悪魔め!純粋な子供の心を貶める邪悪な悪魔め!

お前らのような!悪魔は神である若村様の命令でHCFも全てメディアに

関わる人々を静粛する!全て殺して我々は理想の楽園を作るのよ!

だから!ここでウィルスを作ったのよ!!全てのメディア関係者を

一人残らず殺す生物兵器を!!」

「それはつまり?バイオテロ?」とエイダは質問した。

「このメディア社会は間違っているのよ!だから我々が正してやるのよ!

これはバイオテロじゃないわ!」

しかし萌博士の自信に満ちた言葉にエイダは怒りを感じた。

両手でバンと外側から分厚い扉を叩いた。

続けて怒りに満ちた茶色の瞳で萌を睨みつけた。

「いいえ!貴方が今やろうとしている事は正にバイオテロよ!!

貴方は純粋な子供達に夢を与えて生きる希望を!!

多くの子供達を笑顔にして親子楽しくコミニューケーションを

取り合って生きられるようにと。今までの貧しい人々の支えになるようにと

必死にメディアを作り、今の世の中を良くしようと日々努力しようとしている

人々や子供達の心を踏みにじって罪の無い人々を殺そうとしているの!

あんた達のやる事なんかガキ以下よ!あんた達の方が小汚いわ!

間違って人生うまくいかずにその理由をただメディア社会のせいにしているだけ!

メディア社会に全ての悪を押し付けて、

自分達のやっている事は全だと嘯いているのよ!

貴方達はただのチキン!現実から目を逸らす為のただの言い訳よ!

本当はメディア社会が怖いの!そんな事も分からないなんて!この馬鹿野郎!!」

エイダは今までのとても冷静沈着な姿とは異なり、今まで位、激しく怒っていた。

これにはさすがのアッシュ博士もダニエルもクリスティンもエイダの鬼神を思わせる

怒りの剣幕に圧倒されて何も口を挟めずその場で棒立ちになった。

一方、分厚い扉の中に新たに誕生したリッカー・プラントデッド・プロトと

共に密室状態で閉じ込められている萌博士もエイダ・ウォン

凄まじい剣幕に圧倒されて今まで自信に満ち溢れていた笑顔は

消えてただただ目を丸くして茫然としていた。

正にハトが豆鉄砲を喰らったような表情となっていた。

しかしエイダと萌博士の話に割って入るようにAI(人工知能)の

アポロが新生物として誕生したリッカー・プラントデッド・プロトの体内の

ウィルス調査内容と生態進化予測の説明を始めた。

「その完全な成人男性まで成長した個体の体内にある

『新型T-エリクサー(仮)(E型特異菌遺伝子有り)』

ウィルスの遺伝子の割合を分析した結果!!

始祖ウィルス20%、Tウィルス20%と割合は同じですが問題は

G変異株の遺伝子の割合が急激に60%まで活性化しています!

この事から予測して予測して見た目がTウィルスに感染して変異した

ゾンビの進化型のリッカーに習性や行動が類似しています!

しかしいずれはG変異株における進化の影響により、聴覚の異常発達に加えて

オレンジ色の眼球発生による視覚の異常発達により弱点は遅かれ早かれ克服するでしょう。また既に変異の過程により間違いなくGの繁殖行動に似た行為を

萌・被験者にしていました。既に彼女の胎内にはリッカー・プラントデッド・プロトの

G胚に類似した寄生生物がいる事が確認されました!!おそらくG胚と同じ

役割を果たすと推測します!萌・被験者は既に症状が」

アッシュ博士、エイダ、スペンス、ダニエル、クリスティンは厳重にロックされた

厳重にロックされた分厚い扉の向こう側の部屋にいる萌博士を見た。

萌博士はぺたんと座り込んでいて両手でお腹を抑えてうずくまり、

大きくうなっていた。「うううううううっ!ううううっ!あああああっ!」

間も無くして萌博士は外にいる全員にこう訴えた。

「お腹が痛いっ!痛いの!うううっ!くそっ!なんなのっ!」

やがていつの間にか降りて来たリッカー・プラントデッド・プロトは

萌博士の目の前まで4足歩行で近づいた。「ひいっ!」と小さく悲鳴を上げた。

しかしリッカープラントデッド・プロトは萌を同族とみなしているのか

何もしてこなかったし、そこでじっとしていた。

 

BOW(生物兵器)及びウィルス兵器研究開発中央実験室深部の

BOW(生物兵器)特性商品テスト広場。

円形の広場では魔女王ホラー・ルシファーとエア・マドセンのストークスを巡る

戦いが続いていた。エア・マドセンと魔女王ホラー・ルシファーは

お互い距離を取り間合いを計っていた。

その時、魔女王ホラー・ルシファーが

つまらなそうな表情で舌打ちしたのが気になった。

「おい!何故?舌打ちしてつまらなそうな面をしてやがる!!

そんなに俺の闘い方がつまらないのか?えっ??この!!」

「そうでない。あの魔人フランドールがよけいな事をしたせいだ!

あいつはせっかく我が幽霊共に命令を出して。

ポルターガイストを起こして混乱させてやろうと思ったと言うのに!

あいつはHCFセヴァストポリ研究所の屋上のへリポートで天空に結界

の門(ゲート)を作り、黄泉平坂に繋げて三途の川この地に縛られた死者共を

解放しおった!余りにここに縛られている

死者の数は多いから少し時間かかるじゃろうが

これでHCFセヴァストポリ研究所内のポルターガイストも心霊現象も

徐々に収まって行くじゃろう!そしてぴたりと止むじゃろう!

妨害しようと大量の死者の者達をけしかけたところで魔人フランドールには

束になっても勝ち目はあるまい!そんなに気になるなら耳を良く澄ましてみよ!

きっと死者の声が多く聞こえるだろう!!」

エアは静かに瞼を閉字て耳を澄ませた。

「ああ黄泉平坂か?」「ここは現世の国」

「ここは生者の国ここに居るべきじゃない!ここは死者の国!」

「魔女王ホラー・ルシファーじゃない。魔人フランドール??」

「行かなければ!」「あそこなら安らかに眠れる!!」

エアはゆっくりと瞼を開けた。確かに他にもたくさんの

死者達の声は聞き取れたが意味は分かり辛かった。

ただ全ての幽霊に共通するのは「死者の国に行けば必ず静かに過ごせるようになる」

「縛られた地から解放される」と言う一種の安堵感と言う感情だった。

「さて!」と魔女王ホラー・ルシファーはエアに続けてこう言った。

「そろそろストークスの血肉魂を巡る戦いを再開しよう!!」

「ああ!!望むところだ!かかってこいっ!」

エアは魔女王ホラー・ルシファーの攻撃に身構えた。

 

HCFセヴァストポリ研究所の医療室ではアッシュ博士と保安部長

のブレス・マドセン、隊長のマッド、グーフィ、その他の数名の隊員達が

AI(人工知能)のアポロとある調査を行い、その内容を元に話し合っていた。

それはHCFセヴァストポリ研究所からさほど遠くない位置にある

第二次世界大戦時に存在していた旧米陸軍研究所跡地の極秘調査の結果だった。

そしてエアが魔人フランドールと名乗る小さな女の子から聞いた情報をまとめるとー。

第二次世界大戦中に米陸軍が研究所を建設して主に細菌兵器の研究をしていた。

 

(第31章に続く)