(第58章)相次ぐ恐怖の怪現象と猟奇殺人事件。

(第58章)相次ぐ恐怖の怪現象と猟奇殺人事件。

 

映画館を出たエアとストークスはHCFセヴァストポリ研究所に帰る

途中に近くのアイスクリーム屋でアイスクリームを買った。

そして2人で仲良く電気屋のテレビを見ながらベンチに座り、

アイスクリームをぺろぺろ舐めていた。

エアとストークスはアイスが溶けてしまうので急いでアイスの部分だけ全部食べた。

エアもストークスの気が付いたら汗だくだった。

だからこそ!!早く家に帰ってシャワーを浴びたいとエアは思った。

エアとストークスは暑いのを我慢して電気屋の街頭テレビを見ていた。

テレビ画面には日本人のキャスターがの若い女性が

原稿を片手にニュースを伝え始めた。

「先程、入ったニュースです!昨日未明。

ノースカロライナー州とサウスカロライナー州の各地の街で相次いで

魔獣新生多神連合の異教の神々や悪魔の目撃情報が多数寄せられる中。

彼らは各地のキリスト教系の建物を襲撃し、これまでに死者は

6000000万人を超える見方をアメリカ政府は発表しました。

更に彼らは新興宗教イスラム系テロリストにも無差別に繰り返した事により。

ほとんどの組織や団体が壊滅状態となっている模様です。

しかも攻撃には異教の神々や悪魔のみならずBOW(生物兵器)の

ハンターαやリッカーと言ったものまで戦場に投入されていた事が後の

ルーアンブレラ社の取材で分かりました。彼らは過去の唯一神の手によって

神から悪魔に貶め堕とされた強い恨みと復讐心に駆られているらしい。

今後も攻撃を止めないと我々人間側に強く訴えかける模様。

更に彼らは殺害した人間からアストラル体、つまり魂を回収し続けているとも

主張しており、その理由はこちら側(バイオ)の世界とは違う唯一神が支配する

第3の世界の旧宇宙を破壊して魔獣新生多神連合が創世する新宇宙に

魂を連れて行くと主張しています。えっ?新宇宙?スケールが

でか過ぎて私には全く持って分かりません!!とっ!とにかく!

これらはFBIの捜査で判明していて!

各地では魔獣新生多神連合の異教の神々や悪魔達が目撃されています!!

住民には彼ら異教の神々や悪魔達に接触しない様に注意をアメリカ政府と

BSAAやブルーアンブレラ社は呼び掛けています!十分外出には気おつけて下さい!

私の親友の女性アナウンサーも行方不明になりました!

誰か行方をご存じの方は・・・・」

トークスは怯えた表情でエアの右腕をギュッと握った。

彼女は幽霊やお化けが苦手だと言う事が最近分かっていた。

僕も日頃からよく知っていた。

「大丈夫さ!何かあったら!必ず僕が守ってやるさ!」

彼はストークスにそう呼び掛けた。しかしストークスは何故か黙っていた。

彼女は自分が見たあの夢をエアやHCFの仲間達に話していなかった。

あの白い仮面を被った黒いマントの怪人の事を・・・・誰も・・・・。

エアはまた面倒事が起きる前にHCFセヴァストポリ研究所に

帰らなくちゃいけないだろう。早く迎えに来てくれないかな?

ここでゴロツキと争うのは御免なんだ!アイスクリームも全部喰っちまったし!

それからストークスと一緒にベンチに座って待ちぼうけしていた。

しかし時々、裏路地や歩道を警戒していたが何も無かった。

だからぼーつとまたテレビのニュースの続きを見ていた。

「次のニュースです!今日未明!キッチンでランチの後片付けを

していた妻に向けて夫が銃を発砲する事件が発生しました。

更に銃声を聞きつけた10歳の息子を射殺。

異変を感じ取った6歳の娘は直ぐにバスルームに身を隠しましたが。

父親は「これは遊びなんだ」と言って娘をバスルームから騙して誘き出し、

正面から胸へ銃弾を一発打ち込まれ、搬送先の聖ミカエル病院で亡くなりました。

母親は妊娠中だった模様。近隣住民から通報を受けたニューヨーク市警が

到着した時、父親は車の中でラジオを聞いていたようで。

また父親は犯行に及ぶ数か月前より隣家に聞こえる程の大声で

謎めいた数列を唱えていたとの事です。

更に先月にはメイン州でも銃による一家心中が起き。

昨年12月にはライフルと包丁を使った一家暴行事件が発生しており。

いずれも父親による犯行によるものです。相次ぐ家族一家暴行事件について

ニューヨーク州メイン州の警察はそれぞれに関連性がないとしながらも。」

それからしばらくその恐ろしいニュースの報道は続いた。

「労働や育児などの平均的な家庭を取り巻く社会問題と切り離して

考えるのも難しいと言う見解を発表しました。

「次のニュースです。再び『静かなる丘・サイレントヒル』の

再興された教団達は何十人もの信者と共に各地で活動を始めました。」

テレビ画面ではまだニュースの報道は続けられていた。

メイン州ニューヨーク州等の全米で『PTV』と呼ばれる麻薬が出回り。

中毒による禁断症状で幻覚を見て暴れる事件が多発しています!

また各地で白いローブに身を包み、動物の骨のマスクをした怪しい集団も目

撃されており、周辺住民は注意して下さい!更に『静かなる丘』とは

別の家でリサと言う名前の幽霊の目撃情報が相次いでおり。あれ?そんなの

原稿に書いてあったっけ?あれ?そこにいるのは誰?リサ?女の人?消えた??」

エアはテレビを見ている内に日本人の若い女性のニュースキャスターは茶色の瞳を

丸く開けたまま苦しそうに片手で口を押さえる様子を見て

明らかに様子がおかしい事に気付いた。なんだか様子が変だぞ!!

「うっ!気持ち悪いっ!なんなの?くそっ!うっ!誰か?誰か?」

やがて日本人の若い女性のニュースキャスターは

顔を真っ青にして周りのスタッフに助けを求めた。

更に日本人の若い女性のニュースキャスターは椅子からフラフラと立ち上がった。

右手を伸ばして、まるで幽霊のようにのろのろと歩き出した。

直ぐにスタジオの外から数名のスタッフが日本人の若い女性の

アナウンサーに向かって走り出してくるのが映った。

「うっ!ひっ!くるしいわ!なんでぇ?なんでぇ?」

日本人の若い女性のニュースキャスターはスタジオのどこかを指さしていた。

「なっ!何かがいるっ!あれは?魔獣新生多神連合の神?

悪魔?違うっ!違うっ!違うっ!違うっ!違うっ!違うっ!あっ!あれは?

きゃああああああああああああああああああっ!いやああああああああああっ!

見える!見えるの!」と日本人の若い女性のニュースキャスターは

絶叫してスタジオの隅に小さく縮こまってガタガタガタ震え出した。

しかもずっとスタジオのどこかを指さしていた。

カメラマンは直ぐに日本人の若い女性のニュースキャスターが

指さした方にカメラを向けた。しかし何も見えなかった。

文字通り、影すら無い。レンズに映っているのは白い柱と

灰色のコンクリートの壁と黒いタイルの床だけだった。

しかし日本人の若い女性のニュースキャスターはその場を指さしてただひたすら

ガタガタガタガタ震え続けて『何か』の存在を必死に

周囲のスタッフやテレビ関係者に訴え続けた。

勿論、スタッフもテレビ関係者の眼にもやはり影も形も無く

ただ白い柱と灰色のコンクリートの床しか見えなかった。

どうやら見えているのは日本人の若い女性のニュースキャスターだけだった。

つまり誰にも見えていないのである。

その為、スタッフもテレビ関係者も困り果てていた。

また何人か怯え切った若い女性のニュースキャスターをなだめようと

青い服を着た新人のトルコ人の若いスタッフが歩いて来たそして綺麗な日本語で

「大丈夫!大丈夫!大丈夫!」と呼びかけ続ける内に日本人の

若い女性のニュースキャスターは少しづつ落ち着きを取り戻しつつあった。

また白い服のスタッフは日本人の若い女性のニュースキャスターの為に

水を一杯持って来た。しかし日本人の若い女性のニュースキャスターは神経質に

白い柱と灰色のコンクリートの壁とタイルの床を茶色の瞳でチラチラ見ていた。

「まだ!見えるのよ!もう嫌・・・・見たくないのに・・・・・」

日本人の若い女性のニュースキャスターは目を真っ赤に腫れさせて

ボロボロと大粒の涙を両頬まで流した。そこでニュースは中止となり。

「しばらくお待ちください」の表示になった。

それからエアとストークスはしばらくニュースを見て茫然としていた。

その時、ニュースが終わった丁度にHCFセヴァストポリ研究所に帰る為の

車が到着したのですぐに乗り込んだ。

そしてまたストークスとエアは黒い目隠しを付けられた。

やがて車はHCFセヴァストポリ研究所に到着した。

文字通り我が家へ帰ったストークスとエアはそのニュースの

最初の魔獣新生多神連合の各地のキリスト系教会や新興宗教

イスラム系テロリストを無差別攻撃のニュースをリー・マーラに報告した。

「ええ!知っているわ!さっき電話で話して息子のマーティンを

私のおばあちゃんの家に連れて行ったわ!もう引き離した。

息子を人間としての幸せと将来の為よ!

今後は私とおばあちゃんで息子を最後まで責任を持って育てます!」

 

(第59章に続く)