(第3章)シェリル・モリス・メイソン

(第3章)シェリル・モリス・メイソン

 

ニューヨーク市内のニューヨーク市警の玄関前。

茶髪の50代位の(にしては20代にも見える)白いコートを着た男が

ニューヨーク市内の玄関前である人物と会う約束をしていた。

やがてニューヨーク市警の玄関から女性の殺人課の刑事が出て来た。

その殺人課も刑事の名前はシェリル・モリス・メイソン刑事だった。

彼女はあの『静かなる丘』の最初のアレッサ・ギレスピーから産まれた

インキュバスを倒した後に死に際に彼女から産み出された転生体の名前が

シェリル・モリス・メイソンである。養父のハリー・メイソンは0歳から

苦悩しつつも赤子から高校生に成長するまでシェリルを育てていた。

しかし邪神復活を狙う教団に追われてハリーが正当防衛で

狂信者を殺害しつつも隠れて逃げ続けた。

しかしとうとう何も知らない探偵のダグラス・カートラントに発見されてしまい。

それから因縁の『教団』の教祖で前世のアレッサの時に幼じみだった

クローディア・ウルフと再会する。さらに養父のハリーを殺され、怒りと悲しみから

胎内にいる神を育ててしまう。それから彼女は自らの運命に向き合うべく

『静かなる丘』へ向かう。そしてクローディアと神を倒して全ての因縁の『教団』

から自由になり、決着を付けた。この事件後にシェリルは偽名の『ヘザー』を名乗らず

本名を名乗った。彼女は養父ハリーと共に隠れて逃げてを繰り返していた為。

高校はおろか小学校や中学校すら通えておらずそしてずっとフリーターだったが。

成人になった後はダグラス・カートラントや色々な福祉施設を巡って就職先を

見学しつつも夜間高校に毎夜通い、普通の高校生の倍以上勉強をしていた。

それから警察学校に通い詰めて、そして卒業して色々あって現在は

ニューヨーク市警殺人課の刑事として数々の凶悪犯を逮捕して

凄腕刑事として名を挙げていた。また他にも超常現象や心霊絡みの異常犯罪や

悪魔や悪霊の相手をして次々と難事件を解決させてきたと言う話はテレビや新聞、

ネットのSNSを賑わせていた。それから今回は鋼牙と共にアメリカの刑務所から

脱獄したテロリストで児童虐待の容疑で収監されていた若村秀和氏を逮捕すべく。

自分が前世のアレッサ・ギレスピーだった頃に住んでいた『静かなる丘』へ

向かう約束をしていた。シェリル刑事はニューヨーク市警の玄関で待っていた

鋼牙を見つけると笑って見せた。「久しぶりね。冴島鋼牙さん!」

「久しぶりだな。シェリル刑事!ワイルドハント事件以来か?」

鋼牙は穏やかに笑って見せた。

しばらくしてシェリル刑事は鋼牙にこう尋ねた。

「それで?例の幻想郷の紅魔館のメイド長の行方は?何か手掛かりは掴めたの?」

シェリル刑事は笑顔から真剣な表情になった。

「いや。皆目見当がつかない。あのワイルドハント事件の時の目撃者も少なすぎるし。

何よりも情報が不足している。彼女の足取りは掴めていない。」

鋼牙も穏やかな表情からとても真剣な表情になった。

すると彼の指に嵌められた髑髏の指輪がカチカチと金属音を立ててしゃべり始めた。

彼は鋼牙の相棒の魔導輪ザルバである。

「彼女は失踪する前に幻想郷やこちら側(バイオ)の世界に

魔王ホラー・ベルゼビュートに忠実に仕えている冥王ホラー・サウロン

リーダーのワイルドハント軍団が目撃されている。

ワイルドハントは夜な夜な空を駆けると言う怒れる亡霊達。

ケルトとゲルマンの民間伝承のモデルとなったホラー。

冥王サウロンはJ・R・R・トールキンの中つ国を舞台にした小説

ホビットの冒険』『指輪物語』『シリマルの物語』に登場する

キャラクターだって人間達から聞いているぜ!」

「つまり?あの冥王サウロンは実在するの?ワイルドハントも?」

「魔獣ホラーは鬼や悪魔のモデルとして伝承として残っている場合が多い」

十六夜咲夜はワイルドハント軍団に拉致されたのは確実だ。

しかし目的が分からない。」

「彼女は『時間を操る程度』の能力を持っている。この能力を利用して一体?

何をする気なのやら。連中から彼女を取り戻すにしても骨が折れるぜ!!」

「冥王ホラー・サウロンは過去の経歴では無く。

実力だけで魔獣武術の頂点に君臨している!」

「なんかヤバい奴だね。ふーん!じゃ!

今回はそれじゃなくて。連絡は聞いているわ!」

「そうだな。今回は脱獄した若村秀和の逮捕に協力して欲しい」

鋼牙はシェリル刑事を見た。

彼女は両頬まで伸ばした金髪。ぱっちりとした茶色の瞳。高い鼻。

ピンク色の唇。ふっくらとした両頬と丸顔。豊満な両胸。

スレンダーな身体に大きな丸いお尻の魅力的な女性に成長していた。

しかし今は分厚い真っ黒なコートに黒いシャツに黒いズボンを履いていたので。

見た目がスレンダーな身体は良く分からなかった。

また右手のみ黒い手袋を履いていた。

「脱獄した若村秀和について探偵を使って色々調べていたらしいわね。

教えてくれるかしら?さっそくだけどさ!」

「ああ、これが資料だ!」と言うと鋼牙はシェリル刑事に調べた資料を渡した。

シェリル刑事は真剣な表情を崩さず無言でずっと読み続けた。

それはこんな内容である。

「数カ月前にアサヒナ探偵事務所のアサヒナ・ルナ氏に

依頼していた若村秀和に関する報告書。

若村秀和(35歳)独身男性。5歳の頃に両親が仕事の都合上で日本から

アメリカ北東部の『静かなる丘』へ移住した。彼は遊園地のある街の中心

『ぺルヴィル地区』に住んでいた。彼は幼い頃から母親と父親に虐待されていた。

更に親により『静かなる丘』の郊外にある『児童養護施設・希望の家』の玄関前に

10歳で捨てられた。それから『希望の家』の施設員が引き取った。

しかし『希望の家』はあの教団による子供たちの虐待と洗脳が行われており。

当然母親代わりとなった施設の若い女性に必死に甘えようとするが施設の若い女性は

ただひたすらの頭ごなしに怒鳴り散らし、物を投げつけられ。

突き飛ばして暴力を振るった。これにより女性に対して憎悪を抱く。

やがて大人になった若村は『静かなる丘』で自分より相手が弱い意志を持ち。

抵抗しない事を良い事に痴漢やセクハラ、性暴力行為を働いた。

さらに教団側は彼が熱心な信者であった為、彼らは若村の犯罪を

無かった事にしてもみ消された。それからニューヨーク市に移住後。

日本にいた頃に知ったとあるNGO団体のテレビ、ゲーム、

スマホ、携帯が子供達に悪影響を与え、子供達が暴力的になる。

命の無いフィギュアで遊んでいる子供達はみんな悪い大人になる。

と言う考え方と『静かなる丘』の教団の歪んだ教育による異常な排他的思想や

選民思想に影響されて反メディア団体ケリヴァーを創設してメディア社会を

悪の社会と呼び過激な活動を始める。

それから『R型暴走事件(ブラッディローズ事件)』により、

反メディア団体ケリヴァーはすでに消滅した『静かなる丘』の教団の後ろ盾を

得る事無く壊滅した。それから若村はバイオテロ未遂と『R型』に対する

児童虐待容疑でBSAAのクエント・ケッチャムにより逮捕される。

のちにアメリカ刑務所へ収監されるのである。以上である。アサヒナ・ルナ」

それからシェリル刑事はお返しに鋼牙にメモを渡した。

彼女のメモは以下の通りである。

「若村秀和の『R型暴走事件』を起こす前の彼の犯罪の告発に関するメモ。

反メディア団体ケリヴァーが『R型の暴走』によって壊滅後。

約一カ月余りで彼の犯罪が次々と告発されている。

その中で最も深刻なのが。反メディア団体ケリヴァーに所属していた20代から

30代の若い女性達に対する性的暴力である。

彼らは反メディア団体ケリヴァーの活動を疑問視して

団体を去ろうと申し出た際に彼は激怒した。

数名の件肉質の体格の幹部達と共に『おしおき』と称して集団で性的暴力を振るった。

また彼を逮捕したBSAAエージェントのクエントの話によると。

彼らの性的暴力を日常的に見ていた『R型』が暴走した時に彼らの

性暴力を模倣していた様子があったらしい。

つまり大人の行為を子供が真似をしたのよ。くそったれな話ね。ああと。

それ以降、彼女達は恐怖心から団体を抜け出せず。

望まぬ活動に無理矢理協力させられて激しく苦しみ続けたと言う。

しかしケリヴァーが壊滅して若村が逮捕されたのを機に次々と暴行を受けた

若い女性達が自らの被害を告発する動画を次々とユーチューブやニコニコ動画

その他動画サイトやSNSに泣きながら告発する映像をアップしたり、

ツイッターの文章に書いたりしてそれをアップしたり、

SNSでの拡散によって若村と性的暴行に関わった幹部13名の名前と

住所がネット上に晒された。しかも彼らは逃亡中である。

この事例は世界でも頻発しており、一つの例として『アフリカのコンゴ共和国』では

紛争地域にて武装勢力スマートフォンやその他電子機等の材料となるレアメタル等の鉱物資源の違法採掘の為に近くに住んでいる周辺住民の若い女性に武装勢力

男性兵士が性的暴力を加えて彼女達に恐怖心を植え付けて

心を支配して反撃出来なくする。この途轍もなく極悪非道な行為は

まだどこかの紛争地域で起こっている。

勿論、我々平和に暮らしているニューヨークや日本やその他の世界各国も

他人事では済まされないのである。

そして今回の犯罪を起こした若村氏や幹部13名には

当然の法的処罰を与えるつもりだ!私は女性達を肉体的・精神的に

傷付けた男達を許さない!!絶対に必ず若村も逮捕してやる!!

シェリル・モリス・メイソン刑事」

「成程!意気込みは十分だな!」と鋼牙は思った。

それから鋼牙とシェリル刑事はパトカーに乗り、発進させた。

 

(第4章に続く)