(第9章)アダムとイヴ

(第9章)アダムとイヴ

 

エアの恋人のストークスの姿を正確に模倣したファントム(幻影)の

肉体の一部は彼女の口の動きと声を真似て彼にとって恐ろしい言葉を口にした。

「私は模倣しただけ。でも貴方のおうちの隔離室の床からあの子を取り込んだのよ。

貴方と彼女が必要だから!!」

エアは驚きつつも腰のホルスターからハンドガンを引き抜いた。

しかし引き金を引く事は出来なかった。ストークスそっくりだったから。

きっと撃ったらストークスそっくりの声で甲高く叫ぶに違いない。

くそっ!駄目だ!!抵抗出来ないッ!くそっ!!

そしてエアが攻撃出来ない事を知ると勝ち誇った表情でニッコリと笑った。

「やった!攻撃されないっ!あなたの思考をさっき読んだ。

でも大分前から『静かなる丘』に入った瞬間から思考と記憶を

行動パターンを読み取っていたのよ。神の力でね。」

トークスの姿をしたファントム(幻影)はエアを物凄い力で引きずり回した。

やがてボコッ!と開いた真っ黒な底無しの穴に引きずり込んだ。

エイダはエアを助けようと慌てて走り出した。

しかしそれをエアは「駄目です!巻き込まれます!大声で制止した。

エアは「ああっ!参ったな!」と両手を頭に乗せた。

もう、お手上げと言う感じだった。

やがて彼がゴボゴボズブズブとあっと言う間に

ファントム(幻影)の一部に取り込まれた。

エアの視界は真っ黒になりブラックアウトした。

取り込まれたエアはまるで底無しの沼の泥の中にどんどん沈んで行く感覚に襲われた。

僕はしばらく瞼を開けられなかった。しかしやがて開けられるようになった。

するとファントム(幻影)の体内は驚くべき光景が広がっていた。

そこは別の空間だった。そこはどこかの教会の地下室のようだった。

教会の地下室には広い四角い空間で茶色の壁が周囲を囲っていて。

床は茶色で白くなっていた。そこに本物のストークスが立っていた。

しかも全裸だった。くそっ!あのファントム(幻影)は何を企んでいる!!

またエアが気が付くと全裸になっていた。さすがにお互いお恥ずかしくなった。

しかしストークスはあの海のような澄んだ青色の瞳でエアを見た。

やがてストークスはおずおずと口を開き話し始めた。

「私達。アダムとイヴになるんだって・・・・・」

「アダムとイヴ??誰がそんな事を言った??」

「白い仮面の黒いマントの怪人さん!」

「どう言う事だ??何故??どうやってここに??」

「幻影の声に導かれて隔離部屋に出て来た黒い沼に入ったのよ。

私も良く分からなかったけど貴方に会える気がした。」

「大丈夫か?気分は高揚したり?幻覚は??」

「うん!大丈夫!!私の中の感情が貴方を欲しているのよ」

そう言いながらストークスはエアの筋肉質な体を

しなやかな白い肌の細い腕で抱きしめた。

エアとストークスはお互いを見つめ合った。

エアはまた初めて会った時のように心臓がドキドキしていた。

彼女は最近、髪形をまた元の髪形に戻していた。

オールバック風の三つ編みに束ねたポニーテールの茶髪が胸元まで

伸びていては髪質は相変わらず艶やかだった。細長くキリッとした茶色の眉毛。

丸い鼻。ピンク色の唇。

スレンダーな体形でそれはジル・バレンタインそっくりだった。

「怖いの?私と体を重ねて繋がるのが?」

心配そうな表情でエアに聞くストークスに彼はにっこりと笑って答えた。

「全然!!君となら!出来るなら君と体を重ねて繋がりたい!」

その答えにストークスも嬉しそうに笑った。

彼女はエアの身体に密着した。勿論受け入れた。

トークスはエアを仰向けに押し倒した。

仰向けに押し倒されたエアは「おいおい」と首を左右に振った。

トークスは一気にエアの身体に馬のように跨った。

続けて腰をゆっくりと前後に振り続けた。

同時に大きな丸い両乳房は上下左右にゆっくりとプルプルと揺れ続けた。

やがて彼女は荒々しく息を吐いた。そして甲高い声で喘ぎ続けた。

「あっ!あっ!はっ!ああっ!あっ!はっ!いっ!あっ!あんっ!あっ!」

トークスは両瞼を閉じ、口元を緩ませて笑い続けた。

やがて彼女の両頬と深い胸の谷間の紅潮した皮膚に大粒の汗が

ゆっくりと流れ落ちて行った。

エアも筋肉質の紅潮した皮膚が汗にぐっしょりと濡れ続けていた。

「私はみんな!沢山の人々が私達と繋がる!!私は貴方もみんな繋がって世界がっ!

ああっ!はああっ!あっ!あああっ!あああんっ!

はあん!あああっ!ああっ!はっ!」

彼女は更に激しく自らの腰を前後に振り続けた。

同時に激しく白い肌の大きな丸い両乳房は上下左右にプルプルと揺れ続けていた。

更にますます激しく荒い息を吐き、甲高い声で喘ぎ続けた。

エアもますます荒い息を吐き、野太い声で喘ぎ続けた。

トークスはますます性的興奮が高まった。

その為、今度は自らの腰と大きな張りのある丸いお尻を上下に動かした。

そうする事で立ったり、座ったりを繰り返した。

しかもそれを目にも止まらぬ速さで続けた。

同時にストークスはさらに大きく口を開けて

荒々しく息を吐き、甲高い声で喘ぎ続けた。

そして大きな丸い両乳房は目にも止まらぬ速さで

ブルブルブルと上下左右に揺れ続けた。

エアも胸部と両頬を紅潮させて荒々しく息を吐き、野太い喘ぎ声を上げ続けた。

2人はますます性的興奮が高まり、そしてとうとう。

エアとストークスは同時に性的興奮は絶頂に達するのを感じた。

やがてストークスの腰はガクン!ガクン!ガクンと激しく前後に揺れ続けた。

それから激しいセックスの後、ストークスはエアを青い澄んだ瞳で見つめ、

真心を込めて「愛してる!」と言う言葉を贈った。

やがてエア・マドセンの視界が真っ暗になった。

それからエアの意識と肉体は現実世界に戻った。

やがてファントム(幻影)の黒い肉体が左右に開いた。

同時に底無しの穴から再び取り込まれていたエア・マドセンの衣服全てと

全裸の筋肉質の肉体をうつぶせ状態のままベコッ!と音を立てて吐き出した。

彼はうつぶせ状態のまま意識を失いコンクリートの床に倒れていた。

それからファントム(幻影)は白い霧の『リビドーストランディング(性の座礁)』

内部におとなしく消え去った。やがてその白い濃い霧の

『リビドーストランディング(性の座礁)』も跡形も残さずスーツと消失した。

それからエイダは安全を確認した後、うつ伏せに倒れているエアの元に駆け付けた。

エイダは慌てふためいた様子でエアを起こした。

 

それから数分後。

うつ伏せに失神していたエアが目覚めて衣服を着てようやく落ち付いた頃。

エイダはエアに何があったのか尋ねられたのですぐに説明した。

そうあのファントム(幻影)の内部でストークスを見て会った事を説明した。

どうやらファントム(幻影)がHCFセヴァストポリ研究所内に侵入して

トークスを隔離部屋から誘拐したらしい。

エイダは慌てふためいて無線機を取り出した。

やがて無線のスピーカーから慌てふためいた声が聞こえた。

「こちら!HCF保安部隊隊員のマッドだ!なんてこった!

また!ストークスが狙われた!!」

「とにかく何があったのか説明してくれる!!」

「ああ」と言いマッドはHCFセヴァストポリ研究所内で何があったのか説明した。

「今日。ストークスの隔離部屋内に例の警報が鳴ったんだ!!でも!

いきなり警報や一部の隔離部屋のみの監視カメラやドアロックが機能停止したんだ。

AI(人工知能)のアポロも色々やってくれたんだけど。

ハッキングしてきた奴の方が上手で。

ようやく機能を回復させて俺達保安部隊が突入した頃には」

「なるほど!さっきあのストークスが。あとで詳しい文章を!!」

エアは直ぐにさっきの出来事を詳しく文章にまとめて端末機でマッドに送信した。

それからエイダは無線を切った。その頃にはようやく霧が晴れて

『アルミケラ病院』の建物がエイダとエアの前に現れた。

「そろそろ」とエア。「行こうかしら」とエイダ。

2人は素早く立ち上がった。

続けて2人はアルミケラ病院の建物の周囲を見渡した。

アルミケラ病院の門は先は割と広く長四角だった。

目の前には救急車と2つのごみ箱が見えた。

また周囲のアルミケラ病院の建物の窓が割れてギザギザになっていた。

右横には『ALCHEMILLA HOSPTTAL』と赤文字で書かれた

白い看板と四角い大きな左右に開きそうな扉があった。

しかも昔ながらの木製で出来ているようだ。

また木製の扉には何やら黒いインクのようなもので何か書いてあった。

「炎は全てを浄化するその跡に人は楽園へ至る道を見つけるだろう」とあった。

恐らくこの静かなる丘の昔の土着宗教の一節だと2人は思った。

 

(第10章に続く)