(第14章)いじめっ子の復讐

(第14章)いじめっ子の復讐

 

「うわあああああああああっ!!うわあっ!

なんだ?!誰だ?なんだ?お前達はあっ!」

いきなり赤い血と錆の廊下から宮田文夫と思わしき男の声がした。

宮田の悲痛な叫びと怯える声がした。

「うわっ!やめろおっ!豚野郎!こっちくんな!!なんだ?おわあああっ!

ナッ!ナイフ?飛んできたぞ!まじかよ!うわっ!」

「早く逃げなさい!出口はあの時計のところ!!」

「オーツ誰だか知らんが緑色の瞳のねーちゃん!助かったぜ!!

まじで!!とっとと!逃げてやる!!じゃあな!」

その声は多分、リサ・ガーランドと宮田だろう!

とにかく声がした方角に行ってみようか!

そうだ!行こう!何か手掛かりがあるかも知れない!

エアは血と錆に覆われた廊下を急いで走り抜けた。

しかしその時、ピーツ!ピピーピッ!と無線機が鳴った。

直ぐにエアは無線機に出た。それはHCF保安部隊のマッドからだった。

「おい!大変だぜ!ニュースは見たか?」

「いや、見てないがまさか外の現世の世界で異変が?」

「ああ、ブラザー大変だぜ!全米のアメリカ人の20代から30代の若い女性や

どういう訳か日本各地の中学校や高校に通う10代の若時女性と男性達が襲われているんだ!さっき!有名なメルヴィス女子大学や

他にもアメリカ合衆国東部のリベラル・アーツ・カレッジ女子大学や

日本各地、主に東京や北海道と言った全道の学校を中心に出現を

繰り返して。彼女達に性的暴行を行った後にマネキンに変えて

自らの身体の一部にしていたらしい!」とマッドはエアの端末機にその映像を送った。

端末機のモニターにはメルヴィス女子大学の校内のキャンパス広場だった。

しかも広場には無残にズタズタに引き千切られた衣服が足の踏み場も無く

一面所狭しと散らばっていた。勿論全員、女子大生のものである。

また他のリベラル・アーツ・カレッジ女子大学校内の広い教室も

やはりズタズタに引き千切られた衣服が大量に

所持金と共にあっちこっち散らばっていた。

更に場面が変わって日本の六本木にあるとある中学校の教室や廊下などの映像には。

まるで鋭利な刃物で切り裂かれて大量出血した大勢の男子高生や男性講師の死体が

転がっていた。まさか?アキュラスの仕業か??人の魂を狩り出して?」

再び体育館の映像が変わり、体育館内には無残に引き千切られた白い体育服や

ブルマが散らばっていた。また別の教室には黒い制服やスカートがズタズタ

になって床に落ちていた。その時、日本人の女子高生が息を切らせて教室の中へ

飛び込んで来た。その一人の女子高生は怯え切っていた。

しかしいつの間にかもう一人の女子高生がいた。先に飛び込んだ女子高生が

教室にいたもう一人の女子高校生に向かって怒り狂ったように叫んだ。

「佐代子!なんの真似?いい加減にしろ!!

あの化け物はあんたが呼んだの??言いなさい!白状しろ!この豚女!!」

佐代子と呼ばれた女子高生は狂ったように笑い出し、右手に持っているものを見せた。

「これ!!ヴィジャーボードって言うの!これで呼んでやったのよおっ!!

キャハハハハハハハッハハハハハハッ!キャハハハハハハッ!キャハハハハッ!!」

「こんな事をしてただで済むと思ってんの?!このバカ女!」

「うるさいっ!黙れっ!アキュラスとその支配者の天魔ヴァルティエル様は!

私を救ってくれるのよっ!!全部あんたのせいよ!!あんたが!!!

『あいつ絵ばかり描いてオタクじゃね?キモイんだけど!』。

とか言って私の絵をゴミクズ呼ばわりして!

気持ち悪くなって履きそうな私を笑ってさ!!みんなで指さしてさ!!

『ウケるマジキモ!あいつまた吐くんじゃね?!』とか言って

あんたと仲間のグループを私を笑いものにしたあっ!!

私を…私をっ!『ゲロマシーン』扱いした!!

私の大事なおばあちゃんの靴を隠した!!

見付からなくて泣いている私をネットで笑いものにした!先生は!!靴を盗まれて

ローファーを借りたのに!あのクソ先生は代金を支払えとほざきやがった!!

もう!我慢できないん!私をバイ菌扱いを男子生徒と先生と一緒にやって!!

楽しかっただろ???ええーつ!ブスの直美ちゃん!!キャハハハハッ!!

ふざけんな!!インタネットやらSNSでLINEで365日、24時間!

裏垢で私の悪口や恥ずかしい写真をアップしやがって!!

24時間私はどれだけ息が詰まる思いをしたか分かってんの???」

ドオン!ドオオオン!ドガアアン!と言う音と共にマネキンモンスターが

教室の中へ入って来た。直美は叫び声を上げた。

「仲間のいじめた奴らは全員アキュラスが始末したの!それでさ!

あんたが最後!いじめの黒幕でボスクラスの直美ちゃん!」

「嫌あああああああああああっ!嫌だあああああっ!死にたくないっ!」

直美は無様に四つん這いで教室の床を這って逃げようとした。

しかしマネキンモンスターは無数のマネキンの肢体を伸ばした。

「いやいやいやいや!死にたくないっ!死にたくないいいっ!!」

直美は近くの大きな窓をガラッと開けた。

続けて彼女は顔をくしゃくしゃに泣き腫らして

死に物狂いで窓の外から身を乗り出した。

そしてマネキンモンスターの無数の肢体が直美の足首を掴む直前にスルリと

無数の白い手をすり抜けた。直美の体は真っ逆さまに落下して行った。

窓には一瞬だけ、彼女の白い上履きが見えた後は真っ白な濃い霧の空のみが残った。

窓から落下した直美は真っ逆さまに学校の多分、10階か30階の高い所から

緑色の雑草と石だらけの土の上に凄まじい音を立てて激突した。

ボキリと言う嫌な音と共に直美は地面に激突した勢いで両脚を骨折した。

一方、直美が窓から落下する無様な姿を見た佐代子はけたたましく笑い続けた。

「キャハハハハハハハッ!キャハハハハハハハッ!キャハハハハハハハッ!」

エアはその教室のモニター映像に直美と佐代子、

アキュラス以外にも他の存在が見えた。

それは教室の割れた窓の奥に不気味に立っていた。

それは黄色の皮に包まれた右側頭部に口があり、

そこから舌のような器官を出し入れしていた。

頭部は縫い合わされていた。

白い服はノースリーブのローブを着ていた。股下は袋のように閉じていた。

その他にも黒い長靴、人差し指、中指、薬指が繋がった

奇妙な形のゴム手袋をしていた。

もしかしたら周囲の学校の生徒や先生には怪しい清掃員の男に見えていただろう。

しかしエアは事前にエイダからの情報でこいつの正体を知っていた。

こいつは天魔ヴァルティエルである。

佐代子は目の前にいつの間にか立っていた天魔ヴァルティエルを

ぱっちりとした茶色の瞳で見た。

それからマネキンモンスターは今度は佐代子に背後から襲いかかろうとした。

しかしそれを天魔ヴァルティエルは未知の言語でそれを制止させた。

佐代子は一瞬戸惑い、動揺した。しかし天魔ヴァルティエルに

助けられた事で佐代子は天魔ヴァルティエルに恋愛感情を抱いた。

「あっ!ありがとう!」とおずおずと礼を述べた。

マネキンモンスターは天魔ヴァルティエルの

呼びかけによって佐代子から離れて行った。

そこで映像は停止した。彼女がどうなったのかは分からなかった。

やがてマッドは無線を通してエアにこう言った。

「それであの佐代子って言う女の子は天魔ヴァルティエルに

裏世界へ連れて行かれて現在、失踪扱いとなっている。

それにしてもあいつらかなり酷い奴らだよな。

天魔ヴァルティエルはあの狂暴そうで超巨大な

マネキンモンスターと交信して従えていた。

とすると?今までの騒動はあの佐代子って女の子とあいつの仕業。

つまり犯人なのかな?ヴィジャーボードで呼んだらしいが・・・・

他にもこっくりさんとか?」

「いや!まだ分からん!もしかしたら他に裏があるのかも?

とにかくマネキンモンスターと天魔ヴァルティエルの目的をしっかりと

探ってから結論を出さないと!佐代子も単に『静かなる丘』の力に

当てられただけかも知れない。心の闇に飲み込まれて暴走しているだけで。

そんな気がするよ!勿論、こちらで万が一遭遇したら保護するよ!」

「じゃ!何か分かったら報告して!彼女を見つけたら保護してやってくれ!!

頼むぜ!!俺達はもう少し色々調べてみる!!」

「OK!じゃあ!」とエアは無線を切った。

それからエアはアルミケラ病院の裏世界の暗闇の奥から人影が見えた。

エアは思い切って「おーい!俺はここだ!」と声を掛けて見た。

しかし暗闇から現れたのは人間では無く怪物だった。

ナースの怪物は頭部に赤十字をつけた白いナースキャップを被っていた。

また真っ白な看護婦の白い服を着用している。またゴム手袋を着用していて。

バブルヘッド(泡の頭部)を持ち、それは人型だが異様な外見で苦しそうに

顔をブルブルと震わせていた。

体型はグラマスで白い肌の胸元が大きく左右に開いていた。

その為、深い胸の谷間は露出していた。また非常に短いミニスカートを履いていた。

フランバブルヘッドナースはどこからか引き千切ったであろう排気管の

鉄パイプを持っていた。更にいきなり右腕を振り上げてエアに殴りかかって来た。

「うわあああっ!」と声を上げて素早く回避した。

フランバブルヘッドナースが振り下ろした鉄パイプは錆塗れの自動販売機に直撃した。

錆塗れの自動販売機はたちまちへこんで壊れた。

続けて鉄パイプを水平に素早く振った。

鉄パイプはエアの右腕に直撃した。酷い激痛を感じたが歯をくいしばって耐えた。

エアは止む負えずフランバブルヘッドナースの顔面を拳で殴りつけた。

甲高い女の叫び声を上げてフランバブルヘッドナースは大きく後退して

暗闇の中へ逃げ込んだ。それからフランバブルヘッドナースは暗闇から

再び現れて鉄パイプをまた大きく振り上げて来た。

 

(第15章に続く)