(第15章)異形の者達・リヴィアのゲラルドとワイルドハント

(第15章)異形の者達・リヴィアのゲラルドとワイルドハント

 

エアは冷静にフランバブルヘッドナースが振り下ろした鉄パイプを両手で掴んだ。

続けて身体を左側に振り、フランバブルヘッドナースを赤い血と錆の壁に叩き付けた。

そしてフランバブルヘッドナースはまるで子供のように駄々をこねるように

仰向けに転がったまま両手両足を上下にジタバタ振り回した。

不用意に近付いたエアの脚や腹をガンガン蹴飛ばした。

更に鉄パイプでエアの右脚を叩こうとしたのでエアは慌てて後退した。

エアはハンドガンの銃口を向けて、引き金を引いた。

何発かの銃声の後、フランバブルヘッドナースは身体から

血を大量に流して一切動かなくなった。

そして安心したのも束の間、暗闇から今度は両腕を拘束された

人間の姿をしたクリーチャーが現れた。

やはりナースと同様に魔人フランドールの姿形が似ていた。

金髪のサイドテールの形をしたゴム状の触角。

その上からドアノブの形のナイトキャップの形をした突起。

また深紅を基調とした半袖の服の赤いミニスカートの形をした模様の

付いた左右の魚に似た尾鰭。赤いソックスと赤いストライプシューズの

模様が付いた両足で羽根はナースと同じく無かった。

やがてストレイトジャケットフランは全身の皮膚に裂け目を出現させた。

そして機械のような鳴き声を発しながらもがくように移動した。

ストレイトジャケットフランはゆっくりとエアに近づいて行った。

その時、ストレイトジャケットフランの思念がエアの脳裏に流れ込んで来た。

それは魔人フランドールの過去の恋人であり、自分の前世だった男の子の

アキラを救い出せなかった。そして死なせてしまったのにも関わらず

自分が生きていると言う矛盾による苦悩が感じられた。

そう、あいつがもがくように移動しているのは彼女の苦悩が投影だれているんだ。

しかしエアが考え込む間も無くストレイトジャケットフランは身体の

あっちこっちの裂け目から赤い液体を吐いた。エアはとっさに身をかわした。

しかしエアの右手の甲の白い皮膚に赤い液体が当たった。

じゅーっ!と言う音と共に右手の皮膚が液化して溶け、血が出た。

エアは激痛を感じた。どうやら酸。硫酸らしい。

「クソ!」と言うとエアは両手でハンドガンを構えた。

すかさず距離を取り、ハンドガンの引き金を引き続けた。

やがてストレイトジャケットフランは全身が穴だらけになった。

ストレイトジャケットフランはそのままうつ伏せに倒れた。

しかし仰向けになった状態から四つん這いでガサガサと素早く這い回った。

ストレイトジャケットフランはまるでエアを導くように廊下の奥の暗闇に消えた。

 

黄金の三角頭(ゴールドピラミッドシング)は突然、

アメリカの地方都市サウスアッシュフィールドに現れた。

そのあと地元警察からウィッチャーの仕事を受けたリヴィアのゲラルドが現れ、

黄金の三角頭(ゴールドピラミッドシング)と交戦した。

一時は互角の剣術で攻め合ったが最後は黄金の三角頭(ゴールドピラミッドシング)の

赤い電撃を纏った強力な蹴りの一撃で吹き飛ばしてゲラルドをダウンさせた。

意識が薄れかけたゲラルドに黄金の三角頭(ゴールドピラミッドシング)は

こう告げて霧に中に姿を消した。その後、リヴィアのゲラルドは失神した。

「オズウェル・E・スペンサー卿に仕えていた執事長のパトリックの孫娘に

太陽の聖環がある筈だ」と。失神したゲラルドは一緒にいた仲間の

軍医のシャニーにより意識を取り戻した。

一方、黄金の三角頭(ゴールドピラミッドシング)はこの街に

その孫娘が住んでいる事を知っていたので地元の若い女性3人を調べ始めていた。

1人目の地元の若いアメリカ人女性は

茶色のテンガロンハットを被っていた。背中まで伸びた長い長い美しい金髪。

キリっとした茶色の細長い眉毛。鼻筋の通った丸っこい高い鼻。

茶色のつぶらな瞳。ピンク色の唇。形の整った顔立ち。

とても大きなスライムのような巨乳。しかし違うらしくすぐに解放された。

2人目のアメリカ人女性は両首筋まで伸びた茶髪の長い前髪は

2対下顎まで伸びていて。先端はクワガタムシの角のように

左右合わさって曲がっていた。

キリっとした細長い眉毛。丸っこい高い鼻。

ピンク色の唇。張りのある豊満で丸い両乳房。

3人目のアメリカ人女性も金髪で長い前髪で片目を隠していた。

片方にはキリっとした茶色の細長い眉毛。

鼻筋の通った高い丸っこい鼻。ピンク色の唇。白い肌の大きな丸い両乳房。

片手にポラロイドカメラを持ったまましばらく宙に浮いていた。

しかし調べていたアメリカ人女性3人には真っ赤に輝く

太陽の聖環が見つからなかった。そして3人のアメリカ人を解放した。

だが4人目の地元の日本人女性を全裸にした際に白い肌の

深い胸の谷間に真っ赤に輝く太陽の聖環を発見した。

 

エアの端末機のモニター映像に映っていた日本・六本木のとある中学校。

直美はマネキンモンスターの無数のマネキンの肢体から逃れる為に学校の

10階か30階の高い場所から転落した。そして両脚の骨を骨折していた。

「あああああああああああああああああああっ!痛い!痛い!痛い!いやああっ!」

直美は涙目で絶叫しながら両脚を見ると折れた骨の一部は皮膚と筋肉を突き破り、

外へ骨の一部が露出しているのが見え、背筋が凍り付いた。

彼女は誰かに助けを求めて「ああっ!」と声を上げて雑草と石だらけの

土の上をうつ伏せに必死に両手を使って這って前進した。

全身の力が抜け、痛みに耐え、先へ進もうとした。

しかし白い霧の中から不意に「わんわんわん」と犬の鳴き声と「パカラパカラパカラ」

と馬のヒズメの音が遠くからどんどん近づいて来るのが聞こえた。

「ああ、助けてくれるの?」と直美は弱々しく呟いた。

やがて白い霧の中から狩猟道具を構え、馬や猟犬が学校の校庭を

大挙して直美の方へ向かって移動していた。

そしてその一団は直美の目の前で止まった。

間も無くして猟師の一団の首領と思われる

ごつい筋肉質の大男が真っ黒な馬から降りた。

そいつは仰向けに倒れている直美よりも遥かに高く見えた。

見た目は巨大な黒い甲冑の戦士の姿形をしていた。

更に黒い鎧と兜の全身から黒い煙を吐き出し、兜の中央の穴からまるで

サイクロプスのように巨大な燃えるような眼玉が露出していた。

直美はその燃えるような目玉に射竦められ、強い恐怖と畏怖を覚えた。

全身が震え上がり、ただただただ泣き続けた。猟師の一団の首領はこう名乗った。

「我はワイルドハント軍団の首領!冥王ホラー・サウロン!!

さあ。人間の弱々しい魂を持つ女よ。上の階で何を見た??既にいないが」

「あっ!人形の怪物を見た!ああっ!いいから!助けて下さい!!」

冥王ホラー・サウロンは筋肉質の長い腕を伸ばした。

そして直美の下顎を黒い指で掴み、一気に持ち上げた。

彼女はまるで吊るされた人形のように両腕と両脚を力無くダランと下へ落した。

「ならば!両脚が折れた哀れな人形の女よ。生きたたくば!

我々の一団に加われ!そして彼らが仕えている魔王ホラー・ベルゼビュート様の

変異型賢者の石を自らの肉体に受け入れ!神殺しとなれ!!」

「うん!分かった!分かった!分かったからああっ!助けて!助けてくださいッ!」

冥王ホラー・サウロンは彼女の願いに答えて直美を助けた。

彼は口から真っ赤に輝く粒子の霧を放ち、直美の全身を包んだ。

直美の折れた両脚は元通りとなり、地面にしっかりと立った。

彼女の両目は真っ赤に輝き、髪も真っ赤に輝いた。こうして彼女は神殺しとなった。

 

再び『静かなる丘』のアルミケラ病院の裏世界の4階。

エアは消えたストレイトジャケットフランを追跡して先へ進んだ。

その先は広い長四角の廊下になっていて横に

ニューヨークタイムズの新聞が貼ってあった。

「リビドー・ストランディング(性の座礁)内に潜む、ファントム(幻影)

を白銀の魔法騎士リヴィアのゲラルドと七色の翼を持つ女戦士(名前不明)

が完全消滅させる事に成功!!しかし内部には異形の昆虫型クリーチャーの

ワンバックの群れとツイスデッドヘリックスと呼ばれる大型個体。

大量に目に見えぬ原始生命と呼ばれた存在とリビドー・ストランディング

(性の座礁)は消滅せず未だに全米各地に残る。

アメリカ政府は引き続き原因究明の為に調査は続ける方針であると世間に公表した。

また囚われていたSHB(サイレントヒルベイビー)を妊娠した

20代から30代の若い女性は全員、無事救出された。

現在、聖ミカエル病院や全米各地の病院に搬送されている。

現場は宮田フーズの本部工場である。」とあった。

「しかし怪物が宮田フーズの社長と家族と社員を襲撃する前

に白銀の魔法剣士リヴィアのゲラルドと七色の翼を持つ

女戦士と結界を張る魔戒法師達の活躍によって阻止された。

またファントム(幻影)消滅後に大量の『社員に対するパワハラ

『息子のいじめ問題の黙認。』さらに『息子の宮田文夫と仲間達。

妻とその奥さんが妻と息子のサトル・ユウマをいじめるいじめる全ての記録映像』。

『厳しいノルマによる仕事を強要したりする社長と社員のやり取りの音声データ』。

『指示待ち人間と罵倒して殴りつける様子の映像』『以前勤めた会社の前評判を

利用して社長が社員を精神的に追い詰めた時の映像』。その他の証拠は沢山あった。

 

(第16章に続く)