(第3章)黄金騎士ガロ対へドラ(後編)(みなさんお待たせ!!)

(第3章)黄金騎士ガロ対へドラ(後編)(先行公開おしまい)

 

怨霊へドラとの壮絶な戦いから更にもう1時間経過した頃。

鋼牙は気絶して動かない田中ルーラーンをお姫様抱っこしたまま

林を駆け抜けて街中を通ってもう一つの合流地点に向かっていた。

そこは今は動いていない『聖ラファエル病院』である。

彼はそこに駆け込むと玄関近くの待合室の受付となったソファーに倒れ込んだ。

するとそこに合流したニューヨーク市警の殺人課の刑事の

シェリル・モリス・メイソンが現れた。

続いて他の大勢の病院にいる医師や看護婦と職員、スタッフが集まった。

彼らは直ぐに病院を改良してちゃんと機能している

ER(緊急救命室)へと急いで運んだ。

それから鋼牙は酸で焼けただれた火傷と喉の炎症の治療をして貰った。

「また世話になるな。SCP財団のエージェントのその・・・・」

「いいのよ!ここはシェリルでいいわ。」とシェリル刑事は優しく鋼牙に語り掛けた。

そう、この『聖ラファエル病院』は廃病院として数年前から放置されていたのを

SCP財団が土地と病院の建物を丸ごとを買い取って秘密裏にアメリカのSCP財団の

異常現象に晒された被害者の人間達の治療を行える特殊な病院施設となっていた。

SCP財団は今回のニュ―ヨークタイムズ紙のニュースを知り。

シェリル刑事はこれは未知のSCPの仕業だと感じ。

鋼牙と協力してそのSCPについての捜査と調査を開始していた。

へドラそっくりの姿をしたUMA(未確認生物)は財団では未知のSCPと呼ばれており。

『SCP1970・724JPーへドラと似て非なるものー』。と呼称されていた。

そして勿論、このSCPとコンタクト(接触)してしまったであろう

田中ルーラーン巡査は脳や内臓や身体機能に異常が無いかCT検査やレントゲン検査や

心電図等の精密検査を行った。また他にも妊娠検査も念の為に加えて行い。

生殖機能の検査や視力や耳の検査。果ては動体視力の検査も行った。

検査を受けた本人はただただ戸惑い検査中に終始不安な表情を見せた。

一方、鋼牙はとりあえず酸での火傷の消毒等をして自分で傷跡も残さずに治療した。

それからシェリル刑事と何人かの財団職員に正直に色々報告をした上で。

あの『SCP1970・724JPーへドラと似て非なるものー』と遭遇した際に

とにかく強力な猛毒ガスやら強酸やらを浴びて酷い目に遭った事や相手は

全身が水分を含んだヘドロだから乾燥が弱点であり。

電気や炎が効果的であると伝えた。

またこの『SCP19790・724JPーへドラと似て非なるものー』は

ポリコレ過激派によって性的な偏見や差別によって公(おおやけ)の場から追放された無数のゲームキャラクターやV(ヴァーチャル)ユーチューバーの美女や美男。それを作成した人々のやり場の無い怒りと憎悪と悲しみや復讐心を持つ生きた人間の悪意から漏れ出た無意識な悪意が渦巻いて産まれた生霊であり。

怨念のような存在だったと伝えた。

しかもその悪意はごく日常で漏れ出したのが寄り集まって

巨大に融合した怨霊の集合体となっている。

と言う事も付け加えた。

更にあれは生きている人間の憎悪と復讐心から産まれた存在だから

とにかく一匹は苦労して仕留めた。しかし生きている現在(いま)の人間達。

つまりポリコレ過激派の差別や偏見でキャラクターを産み出した創った

キャラクターそのものを弾圧する限り。

またもう1匹。またもう2匹と今後も無限に世界各地に出現し続けるであろう。

だからこのSCPに関しては警戒と管理を決して怠らない様に。

その説明にシェリル刑事は冷静に「分かった!」と答えた。

しかし他の財団職員達は夜中のあの施設の中の

SCPの収容エリアに行くのが恐ろしくなり、

自分があれに会ったら間違いなく殺されそうだと考えただけでゾッとした。

そして全員心底震え上がり、顔面蒼白になっていた。

一方、田中ルーラーン巡査は精密検査の結果は特に公害による症状も病巣も

何も確認されずとにかく健康で。勿論、命に別状は無かった。

更に妊娠検査の結果、彼女は幸いにも妊娠していなかった。

一応、念の為に産婦人科医と看護婦はルーラーンの子宮をエコー(超音波)

検査と3Dスキャンを行い、子宮内を確認した。

すると胎児は存在せず何も入っていなかった。

彼女の子宮内には真っ赤に輝く液体が混入していた事が分かった。

更に精密検査で真っ赤に輝く液体の正体は精子では無く

無数の細胞の集まりである事が判明した。冴島鋼牙によればこれは

『原初の賢者の石』『オリジナルの賢者の石』である事が判明した。

また魔導輪ザルバによれば田中ルーラーン巡査の体内からは死なない量の精気と彼女が

長時間性的快楽を感じ続けて性欲が増幅した事によって発生した大量の

マガツヒを喰われている事もシェリルや産婦人科医や看護婦達に伝えた。

それを知ったほとんどの産婦人科の医師や看護婦や看護士は

様々なSCPの影響による異常性は数多く目撃していたせいなのか?

少しは驚いたものの既に慣れているようだった。

冴島鋼牙は冷静に魔導輪ザルバと会話していた。

「やはり。精気やマガツヒを性欲と性的興奮の絶頂の感情を

食い物にする能力も原初の賢者の石か?」と鋼牙。

魔導輪ザルバは首を小さく左右に振る仕草を見せた。

「それは絶対にないな。『原初の賢者の石』は元々不安定で壊れやすい。

だからこの『原初の賢者の石』の持ち主である白痴の魔王ホラー・アザトホースの

落とし子がこちら側(バイオ)の現世から消滅すれば石は完全に消滅しちまう。

だが鋼牙!どうやらあの女には『原初の賢者の石』ともうひとつ

ジル・バレンタインやドラキュラ伯爵と同様の『オリジナルの賢者の石』

全身の細胞に寄生しているようだぜ。強烈な賢者の石の力を彼女から感じるぜ!」

「まさか?そのSCPは白痴の魔王ホラー・アザトホース接触したのか?」

「ああ、その可能性は非常に高いだろう。本人に聞けば確実だろうな。

それに白痴の魔王ホラー・アザトホースはこちら側(バイオ)の世界の

自然や植物や動物。そして人間を創造して。

あらゆる万物や始祖ウィルスを創造した上で支配している最高位の外神ホラーだ。

もしかしたらあのSCPは白痴の魔王ホラー・アザトホースとのコンタクト(接触

に成功して『オリジナルの賢者の石』『原初の賢者の石』

を授けられた可能性が高い。

そうなると・・・・・・・。今は『原初の賢者の石』の力で

『オリジナルの賢者の石』の力が抑えられているが。

いずれは人間を創造する能力を手に入れる事もあるかも知れん。

そしてこの事実から確実に奴はこちら側(バイオ)の世界に強力な力を

極限まで抑えたクローン体。分身体がこの街中に出現したと言う事になる。

そうなるとこの街はさらに厄介事に巻き込まれるだろう。」

魔導輪ザルバはそう言った。それから鋼牙は更にSCP財団の関係者と話し合っていた。

シェリル・モリス・メイソンはニューヨーク市警の刑事として殺人事件を解決しつつも

SCP財団のエージェントの仕事として保護した田中ルーラーン巡査、他。

8人の若い女性達とのインタビュー記録を残す仕事を忙しくしていた。

それによると彼女達と交尾してマガツヒと精気を食らった平成版へドラは

2004年公開の『ゴジラファイナルウォーズ』に登場していた雄の個体で。

1970年公開の『ゴジラ対へドラ』に登場していた昭和版へドラは雌の個体らしい。

特に田中ルーラーン巡査はゴジラファンで彼女によると2019年に配信された

アプリゲームの『ゴジラディフェンスフォース』によると平成版

(ファイナルウォーズ)の雄の個体には左腕か右腕の

どっちかの先端の突起が生殖器らしい。

そして平成版(ファイナルウォーズ)の雄の個体は他の昭和へドラと

違って完全に無意識の悪意とか大勢のポリコレ過激派や性的差別や

偏見を持っている人間達に敵意を抱いている訳では無いらしい。

敵意が無いのが唯一彼のみで他の昭和版の雌のへドラ達は

非常に明確な敵意を持って人間を殺害しようとして来るそうだ。

シェリル刑事と田中ルーラーン巡査他、8人のインタビューをした。

すると鋼牙と魔導輪ザルバが問題に上げたへドラそっくりの姿をした

UMA(未確認生物)に関して新たな情報を得た。それはかなり厄介な問題だった。

どうやらオスの個体(ファイナルウォーズに登場した)平成版へドラは

白痴の魔王ホラー・アザトホース以外にも別の強大な魔力と強力な

スキルを幾つか持つ魔獣新生多神連合の一柱である

魔人マザーハーロットとコンタクト(接触)したようだった。

しかも会ったのはついさっきのようだった。

ジル・バレンタインの隣の家に住んでいたチェコ・スラーヴァーは

彼らの会話を偶然聞いたらしくそれによると。

へドラそっくりの姿をしたUMA(未確認生物)は『神樹スプレ』から

その魔人ホラー・マザーハーロットによってまた新しい魔人の力が与えられて

平成へドラ(ファイナルウォーズ版)の姿形とフォルムも1mmも変わる事も無く。

青みが掛かった体色のヘドロでは無く樹木の肌に覆われたフォルムを維持したまま

もう一度だけ全身が赤い光に包まれたあとにー。

再度、新たな存在として転生したらしい。

彼は全身から無限に湧き上がる強大な魔力にしばらく驚きを隠せずにいた。

彼は『神樹スプレ』から『魔人スプレ』に名前を改めて名乗っていた。

でもそこで何故か自分はまた意識が朦朧として。また気絶してしまったらしい。

なんで?あの時間だけ意識がはっきりしていたのか自分でも全く分からないと言う。

 

南の方角の林ではSCP財団の機動部隊ゼロは冴島鋼牙と交戦していた

昭和版の雌の個体のへドラと田中ルーラーン巡査他、8人の若い女性達と交尾して

『性的搾取的』に彼女の身体を貪った平成版の雄の個体のへドラを捜索していた。

一方、田中ルーラーン巡査から得た情報を頼りに昭和版

へドラの雌の個体は人間に確実に敵意を持っている為、火炎放射器で倒す事が

許可されていた。また平成版の雄の個体のへドラは

会話とコンタクト(接触)を試み、生きたまま捕縛する任務を与えられていた。

SCP財団の機動部隊ゼロはどんどん林の奥へと歩き続けていた。

しばらく林の奥深くを進んでいる内に急にある場所の一角の林の

茂みが大きく左右にガサガサと激しく揺れ続けていた。

咄嗟に隊員全全員は一斉に銃口を緑の茂みに向けた。

やがてバサッ!と緑の茂みが大きく左右に分かれた。

同時にあのもう一匹の巨大な緑色の頭部と真っ赤な瞳を持った一回り小さな

怨霊へドラが飛び出して来た。

そして隊員達が持っていた火炎放射器の引き金を引く寸前。

怨霊へドラは顔の左右の管からプシュウウッ!!と真っ白な霧を発射した。

そして真っ白な霧は瞬時に全員の隊員達の身体を包み込んだ。

次の瞬間、次々と隊員達の男女の断末魔の太い声と甲高い絶叫が聞こえ続けた。

「うぎゃああああああああっ!」「きゃあああああああっ!」

「うわああああああっ!」「があっ!ぐうっ!」

「ぐうごがっ!がっ!」「きゃああっ!いやあああっ!」

全隊員達は白い霧の硫酸ミストを大量に浴びた事により、彼らのヘルメットや

防弾チョッキや火炎放射器の金属とプラスチックや布を溶かして腐食させてしまった。

更に彼らの露出した全ての肌を溶かし尽くしてしまい。

肉も内臓も皮膚の眼球も髪の毛も全て跡形もなく瞬く間に消し去った。

全員は即死した。そして一人残らず白骨死体と成り果てた。

また周囲の硫酸ミストを浴びた緑の芝生も彼て茶色に変色した。

そしてSCP財団の機動部隊ゼロを瞬く間に全滅させると

また茶色の枯れた芝生の中に一瞬で姿を消した。

更に他の場所でも別の個体が現れていた。

別の個体の怨霊へドラはもうひとつの機動部隊ファーストの隊員達に向かって

大量の緑色の汚泥(ヘドロ)の塊をボン!ボン!と音を立てて弾丸のように

高速で打ち出してそれを全身に浴びた機動部隊ファーストの隊員達は男も女も

緑色の汚泥(ヘドロ)に包まれて即死してしまい、白骨化して1秒足らずで全滅した。

SCP財団もゼロとファーストの特殊機動隊の無線が途絶えてしまい。

シェリルと冴島鋼牙がそれぞれの現場に向かったが両機動隊員の全滅が確認された。

勿論、機動隊二つを襲った昭和版のへドラの雌の個体2体は隊員を全員殺害後に

何処かへ逃げ去ってしまったらしく林の中にはいなかった。

「くそっ!2匹とも逃げられたな!」と悔しさで顔を歪めて鋼牙は言った。

「うわっ!酸?硫化水素の匂い・・・最悪」とシェリルは鼻を指でつまんだ。

 

再び東の方角の林ではSCP財団の機動部隊フォースはとにかく林の奥を捜索していた。

どうやらこちらの方角の林の中に『神樹スプレ』となった平成版へドラが

逃げて行ったと言う田中ルーラーン巡査の目撃証言があった。

SCP財団の機動部隊フォースの隊員達はその情報を頼りに林の奥を進んで行く内に

急にある場所の一角の茂みが左右に大きく揺れ続けていた。

すると咄嗟に全隊員達は一斉に火炎放射器銃口を向けた。

さらに隊長は勇敢にも注意深く茂みに近づいた。

やがて左右に揺れた緑の茂みから15歳の少女が飛び出して来た。

15歳の少女は両手を挙げて「待って!撃たないで!」と大声で呼びかけた。

彼女はどことなくジル・バレンタインに面影が似ていた。

彼女は茶髪の胸元まで伸ばしていた。

茶髪の髪型はウェーブをかけたロングヘアー。

キリッとした細長い茶色の眉毛。丸っこい高い鼻。ピンク色のぷっくりとした唇。

白いTシャツの覆われた掌サイズの両胸。青いズボンの履いた美しい両脚。

と白と黒の入ったスポーツシューズを履いていた。

すると隊長のタウス・コルーニャと言う名前のスキンヘッドの

筋肉質の大男は大慌てでこう叫んだ。

「まて!撃つな!ジル・バレンタインの娘だぞ!!全員降ろせ!!」

それを聞いた隊員達は慌てて武器を降ろした。

「ミス・アリス・トリニティ・バレンタイン!君は彼を見たか?」と質問した。

彼はアリス・トリニティ・バレンタインに例の『SCP1970-724JP』の

姿が移った写真を見せた。

実際、10ケ月前に既にニューヨーク各地で目撃されていた。

当然、彼女も8人の美女が失踪していた事は知っていたし。

さらに多くの個体が殺害したと思われる白骨死体のニュースも

ニューヨークタイムズ紙を読んで知っていた。

現在そのへドラそっくりの姿をしたUMA(未確認生物)は

『スレンダーマン』や『ブギーマン』や『バイバイマン』に

匹敵する都市伝説としてネット上のSNSで語られているのも知っていた。

そして彼女も目的は。

「冴島鋼牙に黒い封筒を渡さなきゃいけないので探している」だそうだ。

彼女は真っ黒な封筒をフォース機動隊のタウス隊長にチラッと見せると

ニッコリと微笑んだ。さらに自慢げに明るく楽しくおしゃべりを始めた。

「さっきあんたが探している平成版の雄の個体のへドラ君の事だけどさ!

あいつ!さっきある力を手に入れて逃げられちゃった。

でもね途中で神崎りょうすけってイケメンの男に出会っちゃってさ!

あの平成へドラの雄の個体は全細胞に存在する賢者の石の力を利用してね。

『魔戒樹』と融合して新生したそうよ!今の彼はもう・・・・・・。

貴方達の知っている『公害怪獣へドラ』はもう存在しないわ。

彼は『公害怪獣へドラ』と言う人間に宛がわれた役目から解放されてね。

転生して『神樹スプレ』となって『自然神』となって。もう『怪獣王ゴジラ』とは

戦わないで私達のいる世界(こちら側・バイオの世界)で自由に生きるんだってさ!!

だから探さないでほっといてやってよ!それと保護した8人の若い女性達は

失神しているわよ。幸いにも全員『望まない妊娠』はしていないみたいね。

勿論、新聞やニュースで騒ぎになったあの女性達の事なんだけど。

彼に長い間、強烈な性的快楽の絶頂を与えられ続けると身体から放出される

意識存在が持つ精神エネルギーの一種の

色欲の赤いオタマジャクシのマガツヒ(禍つ霊)

と精気を死なない程度にをたっぷり喰らっていたみたい。

新聞やニュースで騒ぎになったあの女性達はどうやらただの餌だったようね。」

「そうか。それはなんだ?」と機動隊フォースのタウス隊長はアリスの持っている

物を指さしたので彼女は「ただの葉巻よ!さあ!話はおしまい!案内してよ!

あげる!私は未成年で煙草は吸わないから!」

アリスは笑いながら答えると葉巻をタウス隊長に渡した。

機動部隊フォースの隊長のタウスはアリスから

葉巻を受け取ると仕方が無く無線で報告した。

「ターゲットの『SCP1970-724JP』の雄の個体のへドラは逃亡してしまい。
ロストしてしまいました。それに加えてアリス・トリニティ・バレンタイン氏が

冴島鋼牙に会いたがっているので案内する。

それであとの処理は任せるよ!シェリル!」

「勿論、いいわ!あと硫酸ミストや汚泥(ヘドロ)の大掃除と有害物質の

除去も全て私がやっておくわ!引き上げていいわよ!!」

「ラジャ!シェリル・モリス・メイソン!

捜索は中止!詳しい話はあとでする!アウト!」

機動部隊フォースの隊長のタウスは無線を切った。そして彼女を黙って案内した。

 

『2021年7月24日。へドラ50周年記念。

4ケ月も遅れましたがおめでとうございます!』。

 

(第4章に続く)