(第14章)凶暴化するクリオネ達

次のゴジラの自作小説です。

(第14章)凶暴化するクリオネ

 凛のクラスが乗っていた観光砕氷船が襲われた時に出来た分厚い流氷の
巨大な穴の付近をゴジラは海水の匂いを嗅ぎ、泳ぎ回っていた。
背びれが微量に青く光り始めた。
 ゴジラはその方向に泳いでいくと背びれの青い光は強くなっていった。
やがて青い光が一番強くなった分厚い流氷の巨大な穴の近くを泳ぎ回り、ゴジラは海底に消えて行った。

 長野先生は
「洋子さんを知りませんか?」
と二人に言った。
 原田先生は
「さあ……自分の病室にはいないんですか?」
山岸は
「友紀ちゃんと凛ちゃんが洋子ちゃんと一緒に蓮君の病室に行ったと思うけど……」
と言ったので、長野先生は洋子と蓮のいる一般病室へ行ったが、病室には洋子はいなかった。
他の観光客の患者達に居場所を聞いて回ったが、
誰も知らないと言うので長いこと先生は病院内を走り回った。
 それから長野先生は病棟の外の休憩室に入って行く洋子を見つけた。
休憩室の中では蓮が切羽詰まった声で
「俺の父親を殺したゴジラと凛に復讐したい!」
洋子は悲鳴に近い声で
「やめてよ!そんな事をして何になるの??」
蓮は鋭い声で「もう!俺は決心したんだ!」
洋子は迷いながら「でも!それでいいの?後悔しないの?」
蓮は少し笑いながら
「しないさ……だから……親友の友紀ちゃんに近付いたんだ!」
洋子は驚いた顔で「まさか?彼女を利用するの?」
蓮は「もちろん!」
洋子はさらに大声で「やめてよ!可哀そうよ!」
蓮は「確かにそうかも知れない……でも俺はこれをやらなくて
はいけないんだ!」
洋子は「どうして??」
蓮は
「俺は父親をゴジラとあの女に殺されたからだ!」
と答えた。
 長野先生は驚きのあまり両手で口を押さえつつも
「復讐??どうして??」
と訳が分からなかった。
 長い沈黙の後、その休憩室に怒った様子の凛と友紀が入って行くのが見えた。
長野先生は「何を話すのかしら?」
 今度は蓮と凛が言い争いをしているのが聞こえた。
蓮は怒った声で
「俺は!彼女の気持ちを考えているよ!」
凛も負けじと大声で
「嘘よ!あなたは!」
蓮は
「それじゃ!俺達以外の普通の人間が怪獣の気持ちを理解でき
るのか??そもそもお前に俺の気持ちが分かるか??」
友紀は
「もう!やめてよ!」
と悲鳴に近い声を上げた。
しかし友紀の悲鳴に近い声を無視して蓮は
「それじゃ?逆に怪獣は人間の心を理解する事が出来るのか??」
凛は口ごもり「それは……」
蓮は
「いいか!お前とゴジラは俺と父親の存在そのものを否定したんだ!
しかも俺の母さんも!俺を否定し続けている!俺と父の苦しみが分かるか?」
洋子は
「もういいわ!もういいから!」
しばらくして友紀の声が聞こえた。
「なんなの?蓮君!何を言っているの??凛ちゃんは貴方の為
を思って言っているのよ!なんで!そうやっていつも喧嘩ばか
りするの??一体??2人の間に何があったのよ!原因は何??このままじゃ!!
2人とも卒業前に退学になっちゃうよ!それでもいいの??」
4人の会話を聞いていた長野先生は時計の午後3時の針を神経質に見ていた。
蓮は「それも困る!」
友紀は泣きながら必至に
「だったら……仲良くしてよ……お願い……」
しかし蓮は「それは断る!」
友紀は「どうしてよ!」
蓮は「これは俺とあいつの問題だ!」
友紀は「蓮君……」
「もういいわ!行こう!友紀ちゃん!洋子ちゃん!」
と怒鳴ると友紀と洋子を連れて凛は休憩室の部屋のドアを乱暴
に開けて出て行った。蓮はまだ腹が立った様子で
「チクショウ!」
と怒鳴った。
 その後、長野先生は3人の行方を失い、仕方が無く
夕食を取りにレストランへ向かった。

 オホーツク海の沿岸で体長2mの巨大なクリオネが20頭も
捕獲された。しかもその巨大なクリオネは数頭の群れで調査隊のダイバーに襲いかかった。
後に引き揚げられた遺体は体内の養分を残らず吸い取られミイラと化していた。
 以前、ショッラスと言うゴジラ放射能で巨大化したフナムシがいたが、
クリオネがまさかそんな事をするとは誰ひとり思わず、
M機関のミュータント兵達は衝撃を受けていた。
 調査した結果、このクリオネは未知のウィルスに感染し巨大化、
凶暴化したものと推測された。
そしてそのウィルスは宇宙人のサンドラに投与されたものと
同一であると国連の分子生物学者の音無美雪と神宮寺博士は結論付けた。
 またこの未知のウィルスはクリオネを始めゴジラ、ヒグマ、
コブラにも感染する事が出来る事が判明した。国連はこの新種のウィルスの駆除対策を検討し始めた。
 このままだと北海道の貴重な野生動物のヒグマやクリオネ
大変な事になると神宮寺博士や野生動物の専門家は危惧していた。

(第15章に続く)

今日のゴジラの自作小説の変更はここまでです。
続きはまた後日に変更します。

では♪♪