(第30章)騙された!

次のゴジラの自作小説です。

(第30章)騙された!

 伊達警察署内に拘束されたレイは、地球防衛軍M機関のジェレルや杏子、
アヤノや他の国際警察に連れられて、特殊な護送車に乗せられ、
極秘に網走警察署に護送される途中だった。
 その時、ジェレルは事情聴取で犯人グループの一人である
レイの証言から得た資料をまとめていた。
 そのまとめている2枚の資料を3人はそれぞれ読み始めた。
1枚目には
「バラとある科学者の娘のDNAを始め、ヒグマやクリオネ
リンカルスと言う種類のコブラ、宇宙人の残骸と思われる砂の
DNAを分析した何やら難しい数式が書かれていた。
もう一枚には何やらメカニックな図案、超合金や様々な機械の機能を始め、
AI(人工知能)について書かれていた。
さらにレベッカとメイスン、シャラン、レイを模した人形と思われる絵が幾つも描かれていた。
 ジェレルは驚きのあまり
「これって?まさか?」
とつぶやいた。ふとアヤノが後ろの護送席に座っているレイの顔を見ると、静かに微笑を浮かべていた。
アヤノはその表情を見て何故か不安な気持ちになった。
 ジェレルは隣にいた杏子に
「これっていつ書いたんだろう?」
そして杏子がそれを手に取り、資料の裏を見た時、みるみる顔が青くなった。
その時、レイから押収した携帯が車内で大きく鳴り響いた。
 杏子が押収したレイの携帯をビニール袋から取り出し恐る恐る耳に当て、
「もしもし?」
と言った。
3人の女性の高笑いが聞こえた。杏子は驚いて携帯を取り落とした。
 しかし杏子はようやく護送車の椅子の下に落ちた携帯を掴み、耳に当てるなり大声で
「あなた達は誰なの??答えなさい!」
と怒鳴った。
すると1人の女性の声に変わり、ロシア語で
「フフフ……教えてあげましょうか?杏子さん!あたし達よ!」
2人目の女性の高笑いが聞こえ、やがて
「途中サンドラと巨大クリオネに襲われたけど……
なんとか逃げられたわ!メカニックの絵を見ればわかるでしょ?」
 ジェレルはアヤノが持っていたメカニックの資料を見るとか細い声で
「ああ……嘘だろ……」
杏子は
「あな……貴方達は今?何処にいるの?」
3人目の女性は笑いながら
「何処にいるのか?それは!秘密よ!」
しばらくして
「そこに仲間のレイがいるでしょ?」
と聞こえた。杏子は信じられないという口調で
「ええ……」
と答えた。
その3人目の女性は
「仲間のレイは女性の魅力を靡かせながら!狙った男を盗み去るわ!アヤノさん!気付けなさい!」
アヤノは憤慨した様子で
「なんなのよ!あの女!」
と大声を上げた。
そして最後に
「参ったかしら?戦うだけの筋肉しか無いM機関のミュータント兵さん!それじゃごきげんよう!」
最後は3人の勝ち誇った高笑いと共に電話が切れ、「プー」という発信音が長い間、聞こえた。

 網走の警察署ではゴードン大佐たちが、捕まえた宇宙人3人の事情聴取をしていた。
 ゴードン大佐の前にカンナが現れ敬礼すると
「ちょっと来て下さい!ゴードン大佐!」
ゴードン大佐は
「どうした……事情聴取は??」
カンナは
「実は……今!色々質問をしてみたんですけど……何も答えないんです!記憶喪失だとか言って……」
ゴードン大佐は苛々した口調で
「ただ!黙っているか?嘘を付いているだけだろ?」
と答えた。
しかしカンナは
「でも……なんか3人共!様子がおかしいんです!」
と答えた。そして2人は取り調べ室まで歩いて行った。

 網走に移動中の護送車ではジェレルが何かに気が付いた様子で後ろの席
に乗っているレイを見るなり、運転席の女性に
「ちょっと!止めてください!」
しかし女性運転手は無言で運転を続けていた。
アヤノは
「聞いているの?!止めなさい!」
しかし運転手は2人の言う事を無視した。

1時間後、レイ容疑者を乗せた護送車が公園の広場で発見され
たと地元の公番の通報を受け、不審に思ったガーニャとジーナ、サミーは現場に向かい、
ジーナは護送車の運転席のドアを開けた。
 すると体を縛られ、口にロープを掛けられた杏子とアヤノが地面に転がって落ちた。
それを見たガーニャは
「嘘……だろ……ジェレルさんは?」
とあわててサミーとガーニャは彼の姿を探したが、影も形も無かった。
 ジーナはレーザー銃を掲げ、運転席のドアを開けると女性運転手がロープで身体を縛られ、
同じく口にロープをはめられていた。
 護送車の後ろに乗せたレイを見ると、それはレイの姿をした精巧な機械人形だった。
杏子は
「いつの間にすり換わったのかしら?」
アヤノは
「恐らく彼女を護送車に乗せる数時間前に……」

 網走警察署内でもゴードン大佐は捕まえたメイスンに
「おい!何か答えるんだ!」
と大声で怒鳴りつけていた。
 しかしメイスン、シャラン、レベッカは無表情で何も答え無かった。
 やがて3人は突然、高笑いを始めた。ゴードン大佐は我を忘れて怒り任せに
「何がおかしい!」
と両手で机を激しく叩きつけながら答えた。
 しかし3人同時に同じ様な口調で、杏子が電話で聞いた言葉を言った。
その声は生身では無く、電子音に聞こえた。
 カンナは信じられない様子で
「そんな……あたし達が追っていた3人の容疑者って?」
するとゴードン大佐は怒りと悔しさのあまり顔を真っ赤にして
「畜生!騙されたあぁぁっ!」
その声は網走警察署内に高々と響き渡った。

(第31章に続く)

職場から帰ったらまた載せます。
では♪♪