(第6章)山岸雄介と山梨友紀

おはようございます。
まだ時間があるのでゴジラの自作小説を載せて置きます。

(第6章)山岸雄介と山梨友紀

 CCI・真鶴特殊生物研究所。
 ビリーは自室で会議の為の資料をまとめていた。
 それはアカツキシソウとアオシソウに関する数枚の資料だった。
アカツキシソウ」
「普段は暁とオレンジのクリスタルに潜んでいるアメーバかゲル状の寄生生物である。
体内にM塩基に類似した構成を持つPS45を持ち、
主にバガンゴジラの仲間)やキングギドラを宿主にする。
人体に触れると激しい幻覚症状を起こし、
その力は人間の精神を狂わせ自殺に追い込む程、有毒である。
繁殖能力もあるらしいが詳細は不明である。
バガンに寄生すると舌の長い怪獣に変異し、
キングギドラに寄生するとデスギドラに変異すると推測される。
また中国の遺跡からは暁と黄金、漆黒の混じった亜種に変異したものが確認されている。
 最近ではその暁と黄金、漆黒の混じった亜種から
M塩基やウィルスが精製できる事が分かっている。
ウィルスを投与された生物は紫色のアメーバに変異するようである。
しかしいずれもゴジラの持つG塩基の力によって簡単に消滅してしまう。」
と書かれていた。
さらにもう一枚の資料には「アオシソウ」と書かれていた。
「アオシソウは青黒いクリスタルに潜んでいる青い液状の寄生生物である。
体内にはPS45より毒性が極めて低いPS44を持ち、
やはり構成はM塩基に類似している。
キングギドラバガンを始め多種多様の生物を宿主にするようである。
またアオシソウにG塩基を組み込むとお互い共生し、
変異したアカツキシソウやM塩基を分解・吸収し、進化する。
癌やエイズ、さらに新型インフルエンザに対して効果があるのではと注目されている。」
追記「アカツキシソウからM塩基の他にも
様々な病原菌を生み出されたとの情報があるが現在調査中である。」

それからビリーは資料の束をまとめ、カバンにしまうと自室を出て会議室へ歩いて行った。
 その途中、廊下の角で突然、大きなカメラを持った若い男性が現れた。
彼の名前は山岸雄介。
 音無凛とは高校3年生からの付き合いで、ラブレターを送ったり、
密かに彼女の姿を写真に撮ったり、かなり夢中だった様子だったが、
臆病で内気で奥手な性格が災いし、彼女に自分の胸の内を伝えられないばかりか、
当時、ヤクザの娘で不良だった山梨友紀に、事ある度に体育館や空いた教室に呼び出され、
カツアゲされた揚句に袋叩きにされる等、かなり陰湿な虐めを受けていた。
 ところが友紀達に虐められている現場に偶然、
密かに思いを寄せていた音無凛が通りかかり、
助けられた。友紀達は凛のただならぬ激しい殺気に圧倒され、恐怖で逃げ出した。
 友紀はその事件からしばらく体調不良を起こした後、
とうとう自分が男子生徒をカツアゲしたり暴行を加えていた事
を先生や両親に洗いざらい白状した。
それ以来、彼女や友達は悔い改め、
凛が中国で行方不明になった時も学校をズル休みしてまで凛を助けに行ったりしていた。
 社長になった今でも凛や山岸とは唯一無二の親友である。
 少し話が脱線したが、山岸の話に戻すと、
その出来事以来山岸、友紀、凛は周囲の生徒や先生が驚く程、仲が良くなった。
 ちなみに大学へ進学に進学したのは彼と音無凛、山根蓮の3人だけである。
 彼は蓮と凛と同じ大学を卒業し、現在はフリーのカメラマンになっている。
 ビリーは大声で大きなカメラを持った山岸に向かって
「おい!ここで何をしているんだ!」
山岸は片手で頭を抱え何度も頭を下げながら
「いや……すいません……道に迷ったので……」
ビリーは
「やれやれ」
とあきれた表情で首を振り、
「関係者以外は立ち入り禁止だぞ!!」
山岸は慌てて首を左右に振り
「えっ??そうだったんですか??」
ビリーは
「やれやれ!分かったら!他の職員を呼ぶからさっさと出て行きなさい!」
山岸は
「はい……失礼しました!」
すると山岸はビリーの鞄から数枚の資料の紙の角が見えたので
「これは?何の資料ですか?」
ビリーはあわてて鞄に資料の角を「ガサガサ」としまうと
「何でもない!これは!ただの薬品販売の広告だ!」
と言うなり慌てふためいた様子で走り去った。
その後、山岸は3人の大柄な職員に連れられ、研究上の外に摘み出された。
一方、ビリーは鞄を持ちあわてて走りながら舌打ちをし
「あの日本人のフリーカメラマンのガキめ!コソコソ嗅ぎ回りやがって!」
と悪態を付いた。
しかしふと立ち止まり荒い息を吐きながら、思い出した顔で
「そうか!あいつは国連のあの音無凛さんの恋人だったな……
まさか?国連があのフリーのカメラマンを利用して……」
とつぶやいた。

―小笠原怪獣ランド―

 そこは20世紀の終わりに国連が小笠原諸島無人島に
怪獣達を集め、管理と飼育を積極的に行っている施設である。
小笠原怪獣ランドには赤外線による管制装置によって怪獣を区域ごとに分け、
周囲には各怪獣の本能や習性に応じた防護装置が設置されていて、
怪獣が外に逃げ出せない仕組みになっている。
 現在飼育されているのは2代目ラドンアンギラス、ミニラ、
ゴロザウルス、バラン、バラゴン、マンダ、クモンガ、モスラの成虫の9種、
新たに保護されたキングシーサーアンギラスラドン、クモンガ、の4種である。
 小笠原怪獣ランドの地下深くに建設されたコントロールセンターでは、
自己点検回路を備えた数々の制御装置によって、
怪獣達や怪獣達の食料となる小笠原海底牧場も管理している。
 表向きはM塩基の研究や怪獣達の飼育による生態調査、
研究によって過激なテロリストによる怪獣災害を撲滅する事が最大の目標となっている。
 しかし表があれば必ず裏があるのが今の世の中の常である。
 次の章ではこの小笠原怪獣ランドの裏を紹介しよう。

(第7章に続く)