(第51章)Ⅹ星人の思惑……ガイガン起動!

こんにちは畑内です。
ゴジラ自作小説を載せます。

(第51章)X星人の思惑・・・・ガイガン起動!

 数時間前のこと。
 クレーターの中央に未だに起動せずに座り込んでいるガイガンを眺めながら、
タトプロス博士は熱弁を振るう神宮寺博士に対し、
「確かにモノアイはまだ光ってはいないが……」
そう言いかけた時、神宮寺博士はこう断言した。
「それに!両腕の鉤爪や回転カッター等の金属部分の色も違う!
青緑色をしていて光沢がある!つまり!これは旧型をベースに開発された新型ガイガンに間違いない!」
「うーん……いや、成程!」
とタトプロスは神宮寺博士の熱心な説明に圧倒され、反論できず、何度も頷いた。
「だとしたら?まだ!起動していないガイガンは一体どんな力を秘めているのだろう?
ただ!あなたの言う様にまだ未完成なら?ジラやゴジラに勝てるのか?」
「分からない!とにかく国連に連絡をしなくては!」
そして2人はすぐにキャンプしている場所に戻り、
まずは日本の地球防衛軍本部に伝えようと連絡用のパソコンを起動させた。
 その時、ガイガンのモノアイが突然「パチッ!」と赤く光り、
じっと座りこんでいたガイガンは静かな起動音を立て、立ち上がると、
初めて見る地球の風景を前に物珍しそうに左右に首を振って、周りを見渡した。
 モノアイ内側は特殊なモニター画面になっているらしく、
モノアイの内側の赤いモニター画面にM塩基破壊兵器のジラと
それらを開発している地下研究所アルカドランの地図が表示された。
 さらにフィーンフィーンと甲高い音が聞こえ、
今度はゴジラやケーニッヒギドラの事、覇王圭介、
音無美雪とその娘の凛に関する顔写真や様々な情報が表示されると
ガチャガチャガチャと音を立てて「任務データ計算中……」と表示された。
 しかしその時、ガイガンの3列の黄金の短い翼のある背中に
正体不明の青緑色に輝く謎の発光体が入り込んだ。
「謎の電波障害確認!作業中止……自己診断中……」
と表示された。
ガイガンの高度なコンピュータープログラムが起動してから
更に5時間の間、モノアイ内側のモニターには
「謎の電波障害を確認!自己診断中……」
と表示され続け、やっとガチャガチャガチャ!と音を立てて
「自己診断中……異常無し……作業再開!」
に表示が変わった。
再びギュイーン!ギュイーン!ギュィーン!と作業を開始する
と赤い画面のまま
「M塩基破壊兵器のジラとアルドランの地下研究所を完全抹殺。」
ゴジラやケーニッヒギドラの情報、覇王圭介、音無美雪、娘の凛の保護」
「謎の多いG塩基の研究の為、サンプルとする。」
と表示された。
ピィッ!と音がし、赤いモニターに
「了解!遂行!」
と表示された。
それからガイガンはコンピューター処理の作業、つまり最後の
仕上げを終え、首を横に軽くひねると、「パキュ」と首を鳴らし、
目標を探して木々を次々と薙ぎ倒し、静かな起動音を立て、歩き始めた。
 ガイガンの表情はのっぺらぼうな個性の無い顔から、
明らかに冷酷な表情に変わっていた。

地球防衛軍本部の司令室では『スピーシ・バック』
隊長のダグラス・ゴードン上級大佐と熊坂司令官が、アメリカにいる
凛から、盗聴器を用いて得たX星人の情報のメールを読んでいた。
ダグラス・ゴードン上級大佐はキーボードをいじり、
「それで?あのMハンター・サイボーグGN400は?」
聞き慣れない言葉を聞いたゴードン上級大佐は怪訝な顔で
「なんだ?これは?」
と首を傾げていたが、次に女性らしきX星人達の会話が続いた。
「ああ……新型ガイガンの事ね?」
「我々の未来は……あの最新型ガイガンに託された訳よ!」
「おっしゃる通りです!しかし……
M塩基を使って形成された細胞組織を破壊する例の細菌兵器への対策は?」
「よくぞ!聞いてくれたわ!我々は初めてM塩基を100%使用
しないガイガンを作り出す事に成功したわ!」
「両足の爪、鉤爪、頭部の角、回転カッター、
尾の先端の槍に至るまで、地球の南シナ海で発見された青緑色に輝く未知の鉱物で造られているの!
全身の金属骨格を覆う細胞は、キングギドラと謎の物質G塩基が含まれた
ゴジラ細胞を移植した特殊な皮膚を使用しているわ!」
「なるほど……」
「それから脳には最新の電子計算機システムを導入したわ!」
熊坂司令は首を傾げ
「電子計算機?古いな」
「つまり最新のコンピューターの事ですよ!」
とすぐにゴードン大佐は補足をつけ加えた。
 X星人の盗聴テープの再生が続いた。
「それは人工電子計算知能機システム!地球人達が言う『AI』よ!
AIには2つの任務と自己防衛命令がプログラムされているの!」
「そんなものを導入して大丈夫ですか?」
「大丈夫!インプット以上の知能を得る事も、
設計者のプログラムのレベルを超える事は無いし!自我……
つまり感情を持って暴走する事は理論的にまずありえないわ!
何故ならあたしがプログラムを設計したから……」
「それじゃ素材に使用した未知の鉱物の正体は何でしょう?」
「地球産の瑪瑙と呼ばれる鉱物と、数年前に小美人が持っていた
液体多結晶合金らしき物で出来ているらしいけど……
まだ謎が多いわ!インファント島の十字架のお守りから
G塩基に類似した物質が発見されていて……最近の地球人達の研究では、
その物質は人間の脳波に類似した波長を帯びているらしいけど……
ちなみにそのインファント島のお守りは行方不明になっている

音無美雪さんが持っているわ!」
そこで盗聴テープはカチッと音を立て、終わった。
「まさか人工知能と自己防衛命令プログラムが開発されていたとは……」
とゴードン上級大佐
「つまり?X星人達はM塩基を使って外部からコントロールする

方法は使用しなかった訳か?」
「これで!M塩基の弱点は克服した訳だな!」
「つまり?ジラはガイガンには勝てない……」
ゴジラはどうなるんだ?」
「恐らくゴジラを抹殺する事はしないだろう!」
「やっぱり覇王君や美雪さん、凛さんも、
同じような理由でまだ謎の多いG塩基を持つ生物の
貴重なサンプルとして生かして置きたいと考えるのが自然だろう……」
しばらくすると指令室の自動ドアが開き、アヤノが現れ、
アメリカ・アパラチア山脈に落下したガイガンらしき怪獣と
ジラが、米軍およびアメリ地球防衛軍と交戦中です!」と伝えた。
「分かったすぐに行く!」
とゴードン上級大佐
「ジェレルは?」
と熊坂司令官。
アヤノは
「それが……例の事件のせいで精神が安定しないので……
特殊生物病院の『怪獣カウセリングセンター』でカウセリングを受けています!
どうやら彼はかなり無理して仕事をしているみたいで……」
「うーむ、しばらく精神が安定するまで休ませる必要があるな!
よし!今回は6人で轟天号に乗って出動だ!」
と熊坂司令が言うと、アヤノとゴードン上級大佐は敬礼をして
「了解!」
と答え、轟天号の地下ドッグに向かった。

(第52章に続く)

では♪♪