(第4話)改造

(第4話)改造
 
ジルとクリスが暮らすバイオハザードの世界。
BSAAはジルとクリス、パーカーとクエントの計4名の
調査チームを大西洋のバミューダ・トライアングルに派遣した。
何故なら既に証拠隠滅で爆破され、沈没した筈のクイーン・ゼノビア
と言う怪現象が発生したからである。
そしてクリスとジルはクイーン・ゼノビアに乗り込み、調査をしていた。
だが、既に消滅した筈のウーズ達が新聞記者に襲いかかろうとしていた。
クリスとジルはどうにか、ウーズ達を船外に追い払った。
しかしそこで時空の歪みに巻き込まれ、船外で失踪したのだった。
彼らは時空の歪みを通りバミューダ号と言う名前の別の船の中にいた。
その事を知る筈もないパーカーとクエントは大慌てで彼らを捜索していた。
ジルとクリスは無線により、無事が確認され、
何とか元の世界に戻ると約束した。
奇妙なヘルメットを被った坊主頭のクエント・ケッチャム。
茶色の髪に太い両腕に太った大男のパーカー・ルチアー二。
するとパーカーは隣に立っているクエントにこう尋ねた。
「なあ、昨日、無線で会話していた烈花と言う
名前の女の子が錬金術師って本当なのか?」
「本当ですよ。」
「あんた信じているのか?」
クエントは少し笑った。
「そう言えば、ジェシカは何処に消えたのだろう。」
「さあ、FBCの長官のモルガンが逮捕された時、失踪しましたからね。」
「あんた、彼女の事、好きだったんだろ?」
パーカーの質問にクエントはこう答えるとがっかりした表情になった。
「はい、でもモルガンのスパイでした。」
「まあ、気を落とすな。」
パーカーはクエントを慰めた。
しかし彼の心には無線で話していた烈花の声が思い出された。
彼女は別の世界にいるのならどうすれば会えるのだろう?
 
牙浪の世界。
クリスは閑岱の小屋の近くで魔戒法師の邪美と会話していた。
「どうすれば俺達もその魔獣ホラーと闘える?」
「あんた昨日あんな酷い目に遭ったのにまだ懲りていないのかい?
言っておくが、あいつは何十人の魔戒騎士や
法師が束になっても敵わない位、強いんだよ」
「だが閑岱の森に時空の歪みが出現し続ければ
レギュレイス以外のホラーも復活するかも」
確かに彼の言う通り、時空の歪みが出現し続ければ
他のホラー達が復活する可能性はあるだろう。
上位の元老院の神官達の指示を仰ぐより、
彼らに協力した方がいいかも知れない。
そう考えた邪美は何かを決心した様子でこうクリスに提案した。
「あんた。どんな武器を持っているんだい!」
「そうだ!」とクリスは懐から
異様な長い銃身を持つマグナムを取り出した。
「これはなんだい?」
「ペイルライダーと言うのさ」
「へえー」
邪美はそれを受け取るとクリスにこう言った。
「実はあたしの知り合いに魔導具を作る職人がいるんだ。
これを彼のところに持って行けばホラーに
対抗する武器に改造できるかも知れない。」
「その人は不道レオって言うんだ。」
「分かった!頼む。」
そして邪美は最近、冴島鋼牙の家に居候している
不道レオの元へ歩き出したのだった。
 
一方、ジルと翼は昨日、発生した時空の歪みの他にもまた新たな時空
の歪みが発生いないか確認すべく閑岱の住民に聞き込みをしていた。
翼の妹の山刀鈴は奈落の森の近くの林で
空間がグニャリと大きく歪むのを見たと言う。
彼女は不安な表情で翼を見た。
「にい、レギュレイスが復活したってホントなの?」
翼は暗い表情になり、「ああ」と答えた。
すると彼女の表情はたちまち血の気が引いたかのように白くなった。
「心配するな!鈴!必ず俺と仲間達が白夜の日に必ず封印して見せる。」
翼の力強い言葉を聞き、鈴はようやく顔が晴れた。
「必ず!約束を守って!」
「ああ、約束は必ず守る!」
すると茂みから媚空と言う名前の黒い服を着た10歳位の女の子が現れた。
彼女によれば森の中で魔戒筆を術の練習中になくしてしまい鈴法師と
茂みの中を探していた時に空間がグ二ヤリと歪むのを一瞬だけ見たと言う。
さらに閑岱を束ねる魔戒法師の長である我雷法師も見たらしい。
ジルはその我雷法師なる人物に会いに行き、詳しい話を聞く事を提案した。
何故か、翼は乗り気では無いらしく何故かうーっと大きく唸った。
「兄、駄目だよ!怖がっちゃ!」
それからしばらく翼は妹の鈴に説得され、渋々、我雷法師の家を訪れた。
我雷法師はとても愛想がよく、ジルと翼を歓迎し、
団子とお茶まで用意してくれた。
そしてやはり我雷法師も閑岱の森を散歩している時に
空間がグニャリと歪むのを見た様だ。
更に我雷法師は「ところで」と話を切り出し、
何故か山刀家の跡継ぎの話になった。
また魔戒騎士の称号は一子相伝で剣術や体術、
騎士の称号を受け継がれてゆくと言う。
我雷法師によれば既に妹の鈴は銀牙騎士の家系の者と結婚している。
黄金騎士ガロの称号を持つ冴島鋼牙も
一般人の女性のカオルと結婚している。
つまり、山刀翼も魔戒騎士である以上、女性と結婚し、自分の剣術や体術、
白夜騎士の称号を受け継ぐ男の子かあるいは
魔戒法師の卵となる女の子を作り、
立派な山刀家の家庭を築くことが必要だと説いた。
我雷法師が話を始めてから2時間後、
翼とジルはようやく我雷法師の家を後にした。
「さっきは色々すまない。
はあ~もう破滅の刻印は消滅したと言うのに……」
「皆、貴方の将来の事を心配しているのよ。」
しばらくしてジルは何かを決意した様子で
大きく呼吸すると翼に向かってこう切り出した。
「実はソウルメタルの扱い方を教えて欲しいの。」
「本気か?厳しい修行になるぞ!」
「なんとまあ、大それたことを……言う娘じゃのう。」
ゴルバも呆れるやら感心するやら複雑な表情を浮かべた。
あたしは正しくありたいの!だから!
どんな厳しい修行にも耐えて見せるわ!」
しばらく翼は芝生に立ったまま腕組みし、無言でどうするのか考えていた。
翼はジルの青い瞳から並みならぬ強い決意を感じ取り、こう答えた。
「いいだろう!君のその強い決意に満ちた青い瞳を信じてみよう」と。
「本当に?ありがとう!」
 
夜、人里近くの街でレギュレイスは
人通りが少ない陰気な裏路地を歩いていた。
やがてレギュレイスは大きなゴミ箱の
大きな黒い影のところで立ち止まった。
レギュレイスは突如、白い手をゴミ箱の陰に向かって伸ばした。
ギエエッ!ギギッ!
影の中から得体の知れない黒い怪物がまるで底網漁の様に引き出された。
2本の触角、黒いごつごつした身体、悪魔の翼と天使の翼。
間違いなく素体ホラーである。
レギュレイスは自らの身体から白い仮面を取り出した。
ジタバタ両足を動かし抵抗する素体ホラーの顔に
かぶせたと同時に甲高い悲鳴が響いた。
やがて素体ホラーは薄気味悪い仮面を被り、
両腕が剣状の人型の怪物に変化した。
変身した怪物はまるで操り人形のような不可思議な挙動を繰り返した。
 
(第5話に続く)