(第27章)天才女性宇宙人詐欺師は怪獣王を騙せるか?

おはようございます!畑内です。
またゴジラの自作小説を載せます。

(第27章)天才詐欺女性宇宙人は怪獣王を騙せるか?

 空き家でサンドラは近くの捨てられたソファーに横たわり、
落ちていた毛布を拾いそれを掛けて眠ろうとしたが、なかなか眠れず何度も目をこすった。
ちなみにサンドラは寒さを好む宇宙人なので
小屋全体が寒くても平気である。
 ただその寒さ以前に一番気がかりなのは自分の身体だった。
サンドラは、自分が開発したウィルスに感染し、
急激に身体が変異している為、このまま眠ってしまえばもはや
「自分が自分では無くなるのでは?」「自分は死んでしまうのでは?」と、
言い様の無い激しい不安と恐怖で眠れなかった。

 『M機関』や『特殊生物犯罪調査部』の活躍によって逮捕された3人は、
しばらく身柄を網走警察署に預けられる事となった。
その際、3人は鋼鉄よりも10倍の強さを持つ宇宙超合金
『スペースチタニュウム』で出来た特殊なオリに拘束された。
尾崎達が3人に掛けた手錠もスペースチタニュウムで出来ている為、
破壊する事はほぼ不可能だった。

 ガーニャは自動販売機のある休憩所で、再び、未だに逃亡中
で命があとわずかしか無いサンドラの事を考えていた。
そこに宇宙人に殴られた右頬にガーゼを付けたニックが現れる
自動販売機でジョージアの缶コーヒーを買った。ニックはつ
いでにガーニャの分も買うとそのジョージアの缶コーヒーを渡した。
ガーニャはそれを受け取り、
「ありがとう!」
とお礼を英語で言った。
するとニックは笑いながら英語で
「いいさ!お安い御用さ!」
と返した。
 缶コーヒーを飲み終え、ニックは空き缶をゴミ箱に捨てながら
「なあ……もし、網走に現れたクリオネとヒグマにゴジラの青
緑色の鱗と背びれを掛け合わせた怪獣が、ウィルスで変異した
サンドラだったら、いずれ本物のゴジラと戦う事になるよな?」
ガーニャは突然の言葉に
「ああ……」
と曖昧に答えた。
ニックは
「それならあいつは当然ゴジラを誘惑してくるよな?」
ガーニャは
「君は何を言いたいのかね?」
ニックは
「つまりゴジラがサンドラに騙されたら?地球は大変な事にな
るんじゃないか?」
ガーニャは思わず笑いながら
「まさか?彼女がゴジラをそう簡単に騙せるかな?それはまず
無いんじゃないか?」
ニックは
「でも?あいつは男だぜ!騙される可能性はあると思うな……」
しかしガーニャは
「でも!ゴジラは放射熱線という飛び道具があるだろ?」
ニックは
「最強の詐欺師なんだろ?」
ガーニャはますます笑いながら
「でもゴジラは人間じゃないからな」
と言った。
ニックはコインを取り出し
「懸けてみるか?」
しかしガーニャは立ち上がり
「いや……遠慮しとくよ!ごちそうさま」
というと休憩室を出て行った。

 山岸は心配でたまらない顔で
「それで……その宇宙人の右腕がヒグマみたいで、鱗に覆われていたんだって?」
 友紀も心配そうな顔で
「蓮君から聞いたわよ!それで凛ちゃんその右腕に噛み付いた
のね?」
山岸は
「また……凛ちゃん無茶な事をしていない?」
凛は曖昧に
「うん……」
と答えた。
 
 サンドラはしばらく眠っていたが突然激痛が全身に走り、悲鳴を上げながら起き上った。
 しかし全身に走った激痛は一瞬だけですぐに収まった。
サンドラは安心した様子でまたソファーに眠った。

山岸は
「そう言えば!僕がテレビのニュースで一瞬だけ見た怪獣の腕
は確か……青緑色のゴジラの鱗みたいだったっけ?」
と言った。
友紀は
「その映像はあるわ!」
と言うと自分のデジタルカメラを取り出し、偶然録画した流氷
観光砕船「おーろら号」を襲った謎の巨大生物の映像を再生し
た。そして映像を一時停止にすると、僅かに見えたヒグマの様
な腕の部分を拡大した。
友紀は
「ほら!ここ!」
と比較的手ブレが少ない映像を指さした。
 確かにそれは洋子と長野先生を襲った時のサンドラの変化
した右腕にそっくりだった。
その映像を見た山岸は
「それじゃ?網走の街で暴れていた怪獣が洋子ちゃんと長野先
生を襲ったサンドラって人なの?」
友紀は
「恐らく……」
とつぶやいた。
しかし友紀は
「それなら?あの人はどうして怪獣化したんだろう?」
山岸は
「その辺は良く分からないけど……多分他の観光客が撮った映
像を地球防衛軍が分析しているんじゃないかな?ニュースにも
出ないと思うよ!」
友紀は
「どうして?」
山岸は
「だって……『怪獣に変身する謎の宇宙人』なんて報道したら
周りの住民が大変な事になっちゃうよ!」
友紀は確かにその通りだと思った。
山岸は
「もしかしたら?遺伝子操作でゴジラのDNAに含まれるオル
ガナイザーG1を組み込んだのかも?……でも!それじゃ!かなりヤバいよ!」
凛は驚いた顔で
「まさか?」
友紀はおずおずと
「なんなのその……オルガなんとか……って?」
山岸は
「オルガナイザーはDNA情報を細胞に伝達して生物の形を作るんだ!」
友紀は
「つまり?」
と山岸の顔を興味深々で見た。

(第28章に続く)

では次も載せます♪♪